人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立劇場でヴェルディ「アイーダ」を観る ~ セレーナ・ファルノッキア、ロベルト・アロ二カ、アイリーン・ロバーツ、須藤慎吾にブラボー!:絢爛豪華なゼッフィレッリの舞台・演出を堪能

2023年04月20日 02時12分57秒 | 日記

20日(木)。昨日、「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」の公演のうち7月25日(火)の洗足学園音楽大学の「バレエ・コンサート」と、8月5日(土)の「真夏のバッハⅧ」のチケットを取りました 昨日は午前中、整骨院に行ったり、ブランチ・コンサートを聴きに行ったりして、WEBサイトへのアクセスが午後になってしまいましたが、バレエ公演は2階センターブロックを押さえることができ、バッハ公演は1階センターブロック席が取れました

ということで、わが家に来てから今日で3019日目を迎え、2020年の米大統領選で使われた投票集計機が不正に操作されたとするトランプ前大統領の主張を繰り返し放送されて名誉を傷つけられたとして、集計機メーカーが保守系のFOXニュースに損害賠償を求めた訴訟は18日、東部デラウェア州の裁判所で、FOX側が日本円にして1055臆円を支払うことで合意した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     嘘の巣窟トランプべったりの報道を繰り返せば  こういう報いを受けるという前例

     

  昨日は、諸般の事情により夕食作りはお休みしました  

         

 

昨夜、新国立劇場「オペラパレス」でヴェルディ「アイーダ」を観ました 出演は アイーダ=セレーナ・ファルノッキア、ラダメス=ロベルト・アロ二カ、アムネリス=アイリーン・ロバーツ、アモナズロ=須藤慎吾、ランフィス=妻屋秀和、エジプト国王=伊藤貴之、伝令=村上敏明、巫女=十合翔子。合唱=新国立劇場合唱団、バレエ=東京シティ・バレエ団、児童バレエ=ティアラこうとうジュニアバレエ団、管弦楽=東京フィル、指揮=カルロ・リッツィ、演出=フランコ・ゼッフィレッリです

この日の公演は全7回のうち6回目の公演です 本来 4月5日のプルミエ(初日)公演を聴くはずでしたが、読響定期公演とダブったため、オペラを昨日に振り替えたのです 主催者側から指定された振り替え席は1階13列27番、センターブロック右から5つ目です 私の会員席より5列も前のセンター寄りの好条件の席ですが、どうも私は通路から中に入るほど苦手です とは言え、主催者としては最大限の配慮をしてくれたと思うので不平不満は言えません

私が 新国立オペラでゼッフィレッリ演出による「アイーダ」を観るのは2003年、2008年、2013年、2018年に続いて今回が5度目です つまり最初に「アイーダ」を観てから20年が経過したことになります

 

     

 

歌劇「アイーダ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が、スエズ運河開通を記念してエジプトのイスマーイール・パシャがカイロに建てた歌劇場のこけら落としのために作曲、1871年に初演された全4幕7場から成る作品です

舞台は古代エジプト。若い将軍ラダメスは、王女アムネリスに仕える敵国エチオピアの王女アイーダと密かに愛し合っている しかしアムネリスも彼を愛していた アイーダは父王の密令によってラダメスから軍事機密を聞き出し、ラダメスは謀反人として捕らえられる アムネリスは自分を愛せば命を救おうとラダメスに迫るが、彼は決然として応じない 地下牢で独り死を待つラダメスの前に牢に忍び込んでいたアイーダが現れ、二人は永遠の愛を誓いながら死を待つ

 

     

 

新国立劇場の「アイーダ」と言えばフランコ・ゼッフィレッリの絢爛豪華な舞台・演出が頭に浮かびます スケールが大きく、その一方で細部にこだわった舞台造りが際立っています とくに注目すべきは第1幕第2場のアイーダ・トランペットのファンファーレで始まる「勝ちて帰れ!」の大合唱と勇壮な行進曲、そしてそれに続く巫女たちのバレエです 兵士たちの行進では、本物の馬が2頭登場し、1頭は舞台中央で一回りして舞台袖に引き上げ、もう1頭は舞台を真っすぐ横断します あれだけの大管弦楽と大合唱の中を、よくも興奮して暴れないものだと感心しますが、訓練の賜物なのでしょう これが馬だったからよかったので、もし豚を登場させていたらブーイングの嵐だったでしょう 東京シティ・バレエ団による巫女たちのバレエが素晴らしい 「アイーダ」は単なるオペラではなくバレエを含む「グランド・オペラ」であること強く印象付けられます

 

     

 

アイーダを歌ったセレーナ・ファルノッキアはイタリア出身のソプラノです 1995年フィラデルフィアのルチアーノ・パヴァロッティ国際声楽コンクールで優勝して以降、ミラノ・スカラ座を中心に数々のオペラ公演に出演し、好評を博しています 自然なコロラトゥーラが美しく、特に第3幕冒頭のロマンツァ「ああ、わが故郷」ではアイーダの切ない感情を抒情的に歌い上げていました

ラダメスを歌ったロベルト・アロ二カはイタリア出身のテノールですが、ヴェルディのオペラを中心に世界中の歌劇場で活躍しています 警備隊長ラダメスに相応しい情熱的な歌唱と卓越した演技力が印象的です

アムネリスを歌ったアイリーン・ロバーツはアメリカ出身のメゾソプラノで、ベルリン・ドイツ・オペラ専属歌手として様々なオペラ公演に出演しています メゾにしては声が良く通り、まろやかで深みのある声が魅力で、存在感が圧倒的でした アイーダに次ぐ主役と言って良いかもしれません

アモナズロを歌った須藤慎吾は国立音大大学院修了のバリトンですが、エチオピア国王に相応しい力強い歌唱力と迫真の演技力で聴衆を魅了しました

ランフィスを歌った妻屋秀和は何を歌っても抜群の安定感で歌い上げます

特筆すべきはアイーダの、アムネリスの、あるいはラダメスの心情に寄り添いつつ、場面を盛り上げるドラマティックな演奏を展開したカルロ・リッツィ指揮東京フィルの演奏です カルロ・リッツィはイタリア出身の指揮者ですが、イタリア・オペラを中心に世界中のオペラハウスで指揮をとっています 私はMETライブビューイングで彼の指揮姿を見た覚えがあります 素晴らしい歌心と卓越した統率力で東京フィルをまとめ上げていました

 

     

 

カーテンコールが繰り返され、終演は21時57分でした ゼッフィレッリの演出による「アイーダ」を観ないうちは、オペラを観たことにならない、と言いたくなるような華麗な舞台です。まだ観たことのない人は一度は観ることをお勧めします 残念ながら日本では21日(金)の千穐楽を残すのみです これを逃すと、5年後の2028年まで待たなければなりません 新国立オペラ「アイーダ」は5年おきに上演されるからです その時、あなたは何歳でしょうか

 

     

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南紫音 ✕ 笹沼樹 ✕ 清水和音でチャイコフスキー「ピアノ三重奏曲 イ短調 ”偉大な芸術家の思い出」、ヴィエニャフスキ「モスクワの思い出」を聴く ~ 第41回 芸劇ブランチコンサート

2023年04月19日 15時45分52秒 | 日記

19日(水)その2.今日午前、東京芸術劇場コンサートホールで「第41回芸劇ブランチコンサート”想い出をたどって”」を聴きました プログラムは①ヴィエニャフスキ「モスクワの思い出 作品6」、②チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲イ短調 ”偉大な芸術家の思い出” 作品50」です 演奏はヴァイオリン=南紫音、チェロ=笹沼樹、ピアノ=清水和音です

南紫音は2005年のロン=ティボー国際コンクール第2位、2015年のハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール第2位に入賞している実力者 一方、笹沼樹はカルテット・アマービレのメンバーとして2016年のARDミュンヘン国際コンクール弦楽四重奏部門第3位入賞のほか受賞歴多数、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのチェリストです

 

     

 

会場は1階席を中心にこの日も良く入りました

1曲目はヴィエニャフスキ「モスクワの思い出 作品6」です この曲はポーランド出身のヴァイオリニストで作曲家のヘンリク・ヴィエニャフスキ(1835-1880)が、1851年~53年にロシア各地を演奏旅行した際の印象を元に1853年に作曲した作品です

濃紺のエレガントなドレスに身を包まれた南紫音が清水とともに登場、さっそく演奏に入ります 南はロシア民謡「赤いサラファン」のメロディーを中心とする超絶技巧曲を、美しいヴィブラートで演奏、聴衆に深い感銘を与えました 演奏後のトークで、彼女がこの曲を弾くのは初めてであることを知って心底驚きました もう何十回も弾きこなしているような完璧な演奏で、表現力が素晴らしいと思いました

笹沼樹がトークに呼ばれ、2曲目に演奏するチャイコフスキーのピアノ三重奏曲の話になりました  笹沼は「この曲はとにかくピアニストが引き受けてくれないと演奏できません」と語っていましたが、清水は「ピアニストが嫌がる曲です チェロ・パートの楽譜は25ページ位ですが、ピアノ・パートは90ページもあります 演奏時間が長く50分近くかかります。演奏する側も大変ですが、聴く側も大変だと思います」と本音を語っていました

 

     

 

2曲目はチャイコフスキー「ピアノ三重奏曲 イ短調 ”偉大な芸術家の思い出"  作品50」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が、1881年3月にパリで客死した大恩人のニコライ・ルビンシテインの追悼のために1881年から翌82年にかけて作曲、1882年3月にモスクワ音楽院で初演されました 第1楽章「悲歌的楽章:モデラート・アッサイ」、第2楽章・第1部「主題と変奏:アンダンテ・コン・モート」、第2部「変奏終曲とコーダ:アレグロ・リソルート・エ・コン・フォーコ」から成ります

笹沼だけ電子楽譜を使用します

第1楽章が清水のピアノによって開始され、笹沼のチェロが哀愁に満ちた第1主題を奏でます そして南の美しいヴァイオリンが加わり、次第に熱を帯びてきます 第2楽章第1部は3つの楽器の優美なアンサンブルが素晴らしく、聴きごたえがあります 第2部に入ると3人のエネルギッシュな演奏が繰り広げられてクライマックスを築き上げ、終盤に第1楽章の第1主題が深い感動のなかで再現され、最後は静かに消えていきます

白熱の演奏でした 久しぶりに室内楽の素晴らしさを味わった気分です

ところで、プログラムに掲載の「コラム」に、チャイコフスキー・コンクール(1958年創設)が、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、国際音楽コンクール世界連盟から除名されたことが紹介されていました 世界中で、同コンクールへの出場を目指して日々レッスンに励んでいる若者も少なくないでしょう。彼らには何の罪もありません プーチン・ロシアの蛮行が世界の政治・経済だけでなく、文化面にも大きな影響を及ぼしていることをあらためて認識させられる出来事です 一日も早くロシア軍がウクライナから完全撤退し、疲弊したウクライナの国土が完全に復旧し、再び同コンクールが開催されることを願ってやみません

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読響サマーフェスティバル2023「三大協奏曲」&「三大交響曲」のチケットを取る / アレックス・ガーランド監督「MEN 同じ顔の男たち」を観る ~ ショパン「ノクターン 嬰ハ短調 遺作」も流れる

2023年04月19日 06時48分03秒 | 日記

19日(水)。読響サマーフェスティバル「三大協奏曲」と「三大交響曲」のチケットを会員優先発売で取りました

「三大協奏曲」公演は8月23日(水)18時30分開演 東京芸術劇場、プログラムは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」(Vn:前田妃奈)、②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(Vc:鳥羽咲音)、③チャイコフスキー「ピアノ協奏曲 第1番」(P:亀井聖矢)で、指揮は坂入健司郎です

ヴァイオリン独奏の前田妃奈は2022年ヴィエニャフスキ国際コンクールで優勝した俊英です チェロ独奏の鳥羽咲音はウィーン生まれの若手アーティスト、ピアノ独奏の亀井聖矢は2022年ロン=ティボー国際コンクールで優勝の期待の新星です

「三大交響曲」公演は8月26日(土)14時開演 東京芸術劇場、プログラムは①シューベルト「交響曲第7番”未完成”」、②ベートーヴェン「交響曲第5番”運命”」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」で、指揮は坂入健司郎です

「それにしても、したたかだな」と思うのは読響の大衆路線戦略です  常に若手有望株に目を光らせ、世界的なコンクールで優勝するやすぐに「三大協奏曲」や「三大交響曲」に起用し、多くの集客を狙います これはバックに付いている世界一の発行部数を誇る読売新聞社の、大衆路線を受け継ぐ”読売DNA”かもしれません

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3018日目を迎え、米ニューヨークで中国政府の「警察署」の運営に関わったとして、米司法当局は17日、無届けで中国政府の代理人として活動した疑いと、中国政府公安部との通信を削除して捜査を妨害した疑いで2人の男を逮捕したが、米司法省のオルセン司法次官補は声明で「中国は反体制派や自国に批判的な人たちを監視、脅迫するため、ニューヨークに秘密拠点を設けた。国家として許容される行動の限度を超えている」と批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国の領土は俺のもの 米国の領土も俺のもの と言わんばかりの やりたい放題だな

 

         

 

昨日、夕食に「茄子の煮浸し」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」を作り、鯵のタタキと一緒にいただきました 「茄子の~」は麵つゆを使ったので簡単に出来ました

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でアレックス・ガーランド監督による2022年製作イギリス映画「MEN  同じ顔の男たち」(100分)を観ました

夫の死を目の前で目撃してしまったハーパー(ジェシー・バックリー)は、心の傷を癒すためイギリスの田舎街を訪れる そこで待っていたのは豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリー(ロリー・キニア)だった。ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、警察官など出会う男たちが管理人のジェフリーと同じ顔であることに気づく 街に住む同じ顔の男たち、廃トンネルからついてくる謎の影、全裸で接近する浮浪者の男、木から大量に落ちるりんご、そしてフラッシュバックする夫の死 不穏な出来事が連鎖し、得体のしれない恐怖が徐々に正体を現し始める

 

     

 

ハーパーが廃トンネルに行って、大声で「アーッ」と呼びかけると、その声がトンネルの壁に反響してこだまが輪廻のように繰り返されるシーンは、まるでフーガのようで美しかったのですが、それから恐怖の世界に一直線です 終盤の、全裸の浮浪者の身体から男たちが次々と生まれ出てくるシーンはおぞましく、浮浪者こそハーパーの夫のメタファーだったのか、と思わせます

さて、音楽です ハーパーが部屋に備え付けのピアノを弾くシーンがありますが、彼女が弾いていたのはショパン「ノクターン 嬰ハ短調 遺作」でした また、エンドロールではアルヴォ・ぺルトのミサ曲がおぞましい世界を浄化するかのように流れていました

 

     

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「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」のオーケストラ セット券(全12公演)を取る ~ 人気公演は先行発売段階で売り切れもあり得る。早めに手配を!

2023年04月18日 05時55分04秒 | 日記

18日(火)。わが家に来てから今日で3017日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は16日、モスクワを訪れた中国の李尚福国務委員兼国防相と会談し、両国の関係が包括的に発展していると評価し、特に軍事分野は極東と欧州で合同軍事演習が活発に行われ、「ロ中関係の極めて信頼性の高い、戦略的な性格を強化する一つの重要な分野だ」と述べ、軍事協力の拡大に期待を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン・ロシアと習近平・中国は 人権無視の専制主義国家同士で気が合うんだな

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました わが家のビーフはカレーでもシチューでも牛バラ肉を使っています。ビーフシチューにはワインですね

 

     

     

         

 

昨日は「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」の友の会セット券先行発売日だったので、WEBサイトからオーケストラセット券(全12公演)を取りました

すぐにつながったので、1階Cブロック左通路側席が確保できました

 

     

 

セット券の内容は次の通りですが、今年は山形交響楽団と日本センチュリー交響楽団が初参加となります 一方、在京のパシフィックフィルハーモニア東京(旧・東京ニューシティ管弦楽団)は不参加です

①7月22日(土)15時開演 東京交響楽団  オープニングコンサート(指揮=ジョナサン・ノット)

②7月26日(水)15時開演 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(指揮=高関健)

③7月28日(金)19時開演 東京都交響楽団(指揮=大野和士)

④7月29日(土)16時開演 NHK交響楽団(指揮=キンボー・イシイ)

⑤7月30日(日)15時開演 山形交響楽団(指揮=鈴木秀美)

⑥8月 1日(火)19時開演 読売日本交響楽団(指揮=セバスティアン・ヴァイグレ)

⑦8月 2日(水)15時開演 東京フィルハーモニック交響楽団(指揮=出口大地)

⑧8月 6日(日)16時開演 新日本フィルハーモニック交響楽団(指揮=井上道義)

⑨8月 8日(火)19時開演 日本センチュリー交響楽団(指揮=秋山和慶)

⑩8月 9日(水)15時開演 日本フィルハーモニー交響楽団(指揮=カーチュン・ウォン)

⑪8月10日(木)19時開演 神奈川フィルハーモニー管弦楽団(指揮=沼尻竜典)

⑫8月11日(金)15時開演 東京交響楽団  フィナーレコンサート(指揮=原田慶太楼)

上記に見る通り、今年の大きな特徴は、参加11楽団の半数以上が音楽監督、常任指揮者、首席指揮者といった楽団を代表する指揮者を登場させていることです 東響のジョナサン・ノット、シティ・フィルの高関健、都響の大野和士、読響のセバスティアン・ヴァイグレ、日フィルのカーチュン・ウォン(次期首席)、神奈川フィルの沼尻竜典といった面々です   いかに各楽団がこのフェスティバルに力を入れているかが窺えます 東京首都圏で定期演奏会を開催する各オーケストラは、このフェスティバルを定期会員獲得の大きなチャンスと考えているようです

いくつかのコンサートで「協奏曲」が組まれていますが、個人的に面白そうな公演を選んでみると次の通りです

①NHK交響楽団(7月29日)ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」=ピアノ独奏のマルティン・ガルシア・ガルシアは2021年に開催された第18回ショパン国際ピアノコンクール第3位の俊英です 予想としては4月27日の一般発売日の前にチケットは売り切れていると思います

②山形交響楽団(7月30日)ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」=ヴァイオリン独奏の石上真由子は医師の免許を持つ異色の人材です 高校2年生で第77回日本音楽コンクール第2位、第7回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽部門第1位などを受賞 この人の素晴らしいところは自主企画公演を精力的に開催しているところです

③日本センチュリー交響楽団(8月8日)ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」=ヴァイオリン独奏のHIMARI(吉村妃鞠)は2011年生まれの12歳 7歳から欧州等のコンクールに挑戦し続け8歳までに39のコンクールで第1位を獲得、各賞の史上最年少優勝記録を更新し続けている逸材です アメリカの名門カーティス音楽院に最年少(当時10歳)で入学、研鑽を積んでいます

④神奈川フィル(8月10日)ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第2番」=ピアノ独奏の辻井伸行は先日、佐渡裕指揮新日本フィルとラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏し好評を博したばかりです この公演も先行発売の時点でチケットが売り切れる可能性が大です

⑤東京交響楽団フィナーレコンサート(8月11日)ラヴェル「ピアノ協奏曲」=ピアノ独奏の清塚信也は日テレ「リバーサルオーケストラ」の音楽全般を担当したピアニストです

上記のほか、ピアニストでは横山幸雄(シティ・フィル)、久末航(都響)、清水和音(東京フィル)が、サクソフォンでは須川展也(日本フィル)が出演します

 

     

     

     

 

次は19日(水)に①洗足学園音楽大学のバレエ公演(7月25日)と②真夏のバッハ Ⅷ(8月5日)のチケットを取る予定です 洗足学園のバレエ公演は毎回楽しみにしていますが、今年はベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」他が秋山和慶指揮洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団、谷桃子バレエ団、東京シティ・バレエ団、牧阿佐美バレエ団などによって上演されます これがS席1800円、A席1000円ですから、これほどコスパの高い公演もありません 私は例年、バレエの全体像が見えるように2階センターブロックの席を取っています

 

     

     

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パーヴォ・ヤルヴィ ✕ NHK交響楽団でリヒャルト・シュトラウス「ヨセフの伝説」から交響的断章、「アルプス交響曲」を聴く ~ N響4月定期Aプロ2日目公演:絵画的描写音楽を考える

2023年04月17日 05時25分21秒 | 日記

17日(月)。わが家に来てから今日で3016日目を迎え、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を率いるブリゴジン氏は14日に声明を発表し、「ロシアはウクライナの重要地域を占拠しクリミア半島への陸路も確保するなど十分な『戦果』を挙げた」と主張し、「特別軍事作戦を終了させることが理想的な選択肢だ」と言及、今年2月24日時点の前線が、アメリカがロシアに譲歩できる内容だと指摘した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     特別軍事作戦を終了させることには賛成する  ロシア軍が完全撤退することが条件

 

         

 

昨日、NHKホールでN響4月定期Aプログラム2日目公演を聴きました プログラムは①リヒャルト・シュトラウス「ヨセフの伝説」から交響的断章、②同「アルプス交響曲 作品64」です 指揮はパーヴォ・ヤルヴィです

あらためてご紹介するまでもありませんが、パーヴォ・ヤルヴィはエストニア出身の指揮者ネーメ・ヤルヴィを父に持つ名門一家の出です hr交響楽団、パリ管弦楽団、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団などで要職を歴任し、2004年からドイツ・カンマーフィルの芸術監督を務めています N響では2015年から昨シーズンまで首席指揮者を務め、2022年9月に名誉指揮者に就任しています コロナ禍の影響でN響との定期公演が中止されていたため、久しぶりの登場です

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び 舞台下手にはピアノ、チェレスタ、オルガンが配置されます。コンマスはN響特別コンサートマスターの篠崎史紀、サブはN響ゲスト・コンマスの郷古廉です

1曲目はR・シュトラウス「ヨセフの伝説」から交響的断章です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1813年から翌14年にかけて作曲した全1幕のバレエ作品です ディアギレフ率いるロシア・バレエ団の委嘱によるもので、シナリオは旧約聖書のエピソードに基づきます 裕福な商人ポティファルの妻から誘惑されたヨセフ少年は、それを断ったために監禁されるが、夢の中に現れた天使によって解放されるという物語です

ヤルヴィが指揮台に上り、演奏に入ります。冒頭から官能的な音楽がN響のゴージャスなサウンドで響き渡り、「サロメ」か はたまた「ばらの騎士」か と思いました 間違いなくこれらのオペラの絢爛豪華な音楽を受け継いでいます   しかし、オーケストラは良く鳴るものの、後々まで印象に残るフレーズはほとんどなく、ひたすら音楽が流れていきます 同じくフーゴー・フォン・ホフマンスタールとの共作である「エレクトラ」「ばらの騎士」「ナクソス島のアリアドネ」とは異なり、ひたすらゴージャスな響きだけが魅力の作品のように聴こえました

 

     

 

プログラム後半はリヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲 作品64」です この曲は第一次世界大戦の最中の1911年から15年にかけて作曲、1915年に作曲者自身の指揮でベルリンで初演されました アルプスの登山から下山までを22の標題で描写しています この作品は、シュトラウス自身の10代の頃の経験に基づいていると言われています シュトラウスはツークシュピッツェの麓にあるガルミッシュに豪華な別荘を持っており、そこの裏山からもう登山道になっていて、彼自身も山登りが大好きだったそうです 音楽評論家・江藤光紀のプログラム・ノートによると、「ここで描かれるのは、ドイツ帝国の大ブルジョワの楽しい夏のバカンスの1日」です 夜 ~ 日の出 ~ 登り道 ~ 森に入る ~ 小川のほとりのさすらい ~ 滝 ~ 虹(幻影) ~ 花咲く牧場で ~ 山の牧場で ~ 林の中で道に迷う ~ 氷河で ~ 危険な瞬間 ~ 山の頂で ~ 幻影 ~ 霧がはい昇る ~ 日がかげる ~ エレジー ~ 嵐の前の静けさ ~ 雷鳴と嵐、下り坂 ~ 日没 ~ 余韻 ~ 夜 という構成になっています

ヤルヴィは相変わらず、明快なタクト捌きによりN響からクリアで豊かなサウンドを引き出していました オーボエの吉村結実をはじめ木管楽器群が良く歌い、今井仁志率いるホルンセクション8人(4人はワーグナーチューバ)が豊潤な演奏でオケに厚みを与えていました よく見ると東京フィル首席の高橋臣宣が客演しています。良い音がするはずです

ところで、音量のクライマックスは第19曲「雷雨と嵐、下り坂」です このタイトルを見ると、ベートーヴェンの「交響曲第6番”田園”」(1807~08年作曲)の第4楽章「雷雨と嵐:アレグロ」を思い出します 楽器編成でみると、ベートーヴェンの「田園」は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット(以上2管編成)、ピッコロ、ティンパニ、弦楽五部となっているのに対し、リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」は、管楽器が4管編成に拡大し、テューバ、大太鼓、小太鼓、サスペンデッド・シンバル、タムタム、トライアングル、ウィンドマシーン、グロッケンシュピール、サンダーシート、カウベルなど様々な楽器が加わり、総勢100名を超える演奏者によって「雷鳴と嵐」がド派手に演奏されるのです 耳をつんざく大音量の迫力たるや、100数年前のベートーヴェンの「田園」はとても太刀打ちできません しかし、ここで立ち止まってよく考えてみると、ベートーヴェンの「田園」は全曲と各楽章に描写的な標題が付けられているものの、ベートーヴェン自身が語っているように「絵画的描写ではなく、感情の表出」です これに対し「アルプス交響曲」は明らかに「絵画的描写」音楽です 現代の聴衆は、こういう点にも思いを馳せながら音楽に耳を傾けなければなりません

N響でもカーテンコール時の撮影が許可されているので、記念に写メしてきました

 

     

     

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ウルバンスキ ✕ シャトゥロヴァ ✕ ロンベルガー ✕ 与那城敬 ✕ 東響コーラス ✕ 東京交響楽団でプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」より、シマノフスキ「スターバト・マーテル」他を聴く

2023年04月16日 10時00分51秒 | 日記

16日(日)その2。住吉での東京シティ・フィルのコンサートが17時06分に終わり、地下鉄でサントリーホールに向かいましたが、ホールの自席に着いたのは開演時間5分前の17時55分でした 何とか間に合って良かったのですが、背中は汗びっしょりです

ということで、昨日18時からサントリーホールで東京交響楽団「第709回定期演奏会」を聴きました プログラムは①プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」より12曲、②コネッソン「Heiterkeit(合唱とオーケストラのためのカンタータ)」(日本初演)、③シマノフスキ「スターバト・マーテル 作品53」です  演奏は②③の合唱=東響コーラス、③のソプラノ独唱=シモーナ・シャトウロヴァ、メゾソプラノ独唱=ゲルヒルト・ロンベルガー、バリトン独唱=与那城敬、指揮=クシシュトフ・ウルバンスキです

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び   下手にはピアノ、ハープ、チェレスタが、上手にはグロッケンがスタンバイします。コンマスは小林壱成です

1曲目はプロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」よりウルバンスキが選曲した12曲です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1935年から翌36年にかけて作曲した4幕10場からなるバレエ作品の組曲です 組曲は第1組曲(全7曲)、第2組曲(全7曲)、第3組曲(全6曲)の3つありますが、この日演奏されるのは「ウルバンスキ・セレクション」です ①モンターギュ家とキャピュレット家、②情景、③朝の踊り、④少女ジュリエット、⑤仮面、⑥ロメオとジュリエット、⑦踊り、⑧タイボルトの死、⑨朝のセレナーデ、⑩百合の花を手にした娘たちの踊り、⑪ジュリエットの墓前のロメオ、⑫ジュリエットの死の全12曲です

ウルバンスキでいつも驚くのは全て暗譜で指揮をすることです この日の3演目も全て暗譜でした 東京交響楽団とは2009年11月に初めて共演しましたが、リハーサルから暗譜で指揮をとり、楽員が度肝を抜かれたというのは有名なエピソードです 1982年ポーランド生まれで、インディアナポリス交響楽団音楽監督、ノルウェー・トロンハイム交響楽団名誉客演指揮者、NDRエルプフィル首席客演指揮者を経て、22年11月からイタリア交響楽団の首席客演指揮者を務めています

ウルバンスキの指揮で演奏に入りますが、長身でスマートな体型で、軽快なステップを踏みながら華麗なタクト捌きを見せます まるでバレエダンサーが指揮台を舞台に踊りながら指揮をしているように見えます 楽員はウルバンスキ・マジックにかかったかのようにメリハリのあるきびきびとした演奏を展開します ウルバンスキは「ロメオとジュリエット」の物語性を前面に押し出し、ドラマティックな音楽表現を楽員から引き出しました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はコネッソン「Heiterkeit(晴れやかさ『静寂』) 」の日本初演です この曲はインディアナポリス交響楽団からの委嘱作品として、フリードリヒ・ヘンダーリン(1770-1843)の4つの詩をもとに作曲された 合唱とオーケストラのためのカンタータで、ウルバンスキに献呈されました

P席に東響コーラスの約100名の男女混成合唱が市松模様でスタンバイします ウルバンスキの指揮で演奏に入りますが、全体的には瞑想的で穏やかな曲想で、東響コーラスが暗譜で美しい歌を歌い上げました

最後の曲はシマノフスキ「スターバト・マーテル 作品53」です この曲はカロル・シマノフスキ(1882-1937)が1925年から翌26年にかけて作曲、1929年1月11日にワルシャワで初演されました 全体は6つの章から構成されており、ポーランド語で歌われます

3人のソリストが登場し、指揮者の脇にスタンバイします ソプラノ独唱のシモーナ・シャトウロヴァはスロヴァキアのブラチスラヴァ生まれ。ザルツブルク音楽祭やタングルウッド音楽祭などで活躍しています メゾソプラノ独唱のゲルヒルト・ロンベルガーはドイツのエムスラント生まれ。白井光子に師事しました。幅広いレパートリーで世界の歌劇場で活躍しています バリトン独唱の与那城敬は新国立オペラ研修所を修了。文化庁在外研修員として渡伊。新国立オペラや二期会の公演で活躍しています

ウルバンスキの指揮で演奏に入りますが、とても美しい曲だと思いました とくに第1章でシモーナ・シャトウロヴァのソプラノ独唱により歌われる部分は抑制の効いた美しさが際立っていました テノールの与那城は第2章と第5章の独唱で訴求力が発揮されました メゾソプラノのゲルヒルト・ロンベルガーは第3曲を中心に深みのある歌唱が印象的でした 大健闘だったのはこの曲でも暗譜で通して歌った東響コーラスの皆さんです 透明感のある美しい合唱で、シマノフスキの「スターバト・マーテル=悲しみに暮れる聖母」の素晴らしさがダイレクトに伝わってくるコーラスでした

会場いっぱいの拍手にカーテンコールが繰り返されますが、東響もカーテンコール時の写メが許されていることに後で気がついて、慌ててスマホのスイッチを入れて写メしました

 

     

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高関健 ✕ MINAMI ✕ 東京シティ・フィルでシューベルト「交響曲第6番」、ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」、メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」を聴く

2023年04月16日 00時20分16秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で3015日目を迎え、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は13日、ロシア軍がウクライナ南部へルソンに「拷問センター」を設け、8か月ほど民間人への拷問や虐待を繰り返していたとする報告を公表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トップが極悪非道のプーチンのロシアは  兵士がどんな残虐な事やっても 驚かない

 

         

 

昨日、午後3時からティアラこうとうで東京シティ・フィル「第73回 ティアラこうとう定期演奏会」を、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団「第709回定期演奏会」を聴きました ここでは小雨振るなか出かけた 東京シティ・フィルのコンサートについて書きます

プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」、②ブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77」、③シューベルト「交響曲第6番 ハ長調 D.589」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=MINAMI(吉田南)、指揮=高関健です

 

     

 

ティアラこうとう定期演奏会の会員として初めて聴くコンサートで、しかも新年度第1回目の公演です 自席はセンターブロックかなり前方の右から2つ目です。前過ぎたか と一瞬 後悔しましたが、オケがステージの後方に配置されているので客席と適度な距離があり、不安が解消されました

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はメンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が、1829年にスコットランドのヘブリディーズ諸島へ旅行した際に、スタッファ島にあるフィンガルの洞窟を見た印象をもとに1830年に作曲、1832年5月にロンドンで作曲者自身の指揮で初演されました なお、序曲といっても これはオペラの序曲ではなく、単独で演奏される演奏会用序曲です どうでもいいことですが、20歳そこそこの青年が一人でスコットランド旅行できたのは、親が資産家だったからです 彼は幼少時から学校には行かず、あらゆる学問を家庭教師から習っていました もともと芸術の才能があったとは言え、作曲家として最も恵まれた境遇にあったと言えます しかし、良いことばかりとはいきませんでした 彼は38歳の若さで天国に召されています。モーツアルトは35歳だったし、シューベルトは31歳でした 天才は早死にします

高関健の指揮で演奏に入ります 序盤におけるチェロとコントラバスの低弦の重厚な演奏が「洞窟」の奥行きを暗示しているように響きます 弦楽合奏による渾身の演奏と管楽器による色彩感のある演奏により荒々しい海や洞窟の荒涼感が描かれました

2曲目はブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が名ヴァイオリニスト、ヨアヒムの助言を得ながら1878年に作曲、1879年1月1日にライプツィヒでヨアヒムの独奏、ブラームスの指揮により初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ、マ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります プレトークで高関氏は「学生時代、この曲が演奏したくてヴァイオリニストになろうと思い、一度だけ第1楽章だけオケをバックに演奏しましたが、あまりの難しさにヴァイオリニストになるのは諦めました」と語っていましたが、現在の指揮者としての活躍を見ると、諦めて良かったと思います

ヴァイオリン独奏のMINAMI(吉田南)は奈良県出身。2014年に日本音楽コンクール第1位及び5つの特別賞を受賞。2015年にはシベリウス国際ヴァイオリン・コンクール入賞、2016年にはモントリオール国際音楽コンクール第3位など数々の入賞歴があります 現在、米国ニューイングランド音楽院にフル・スカラシップを得て留学中で、東京音楽大学アーティストディプロマコースにも特別特待奨学生として在学中です

MINAMIがローズレッド系のファッショナブルな衣装で登場、ステージ中央にスタンバイします 高関の指揮で第1楽章に入る時、彼女はニコッと笑みを浮かべました 「余裕だな 素晴らしい演奏になるに違いない」と確信しました オケが第1主題を演奏し、独奏ヴァイオリンが入ってきます MINAMIのヴァイオリンは特に高音部のヴィブラートが美しく響きます 何より彼女の集中力が半端ない 高関 ✕ シティ・フィルの引き締まった演奏が良い流れを維持します 終盤におけるカデンツァはヨアヒムではなく、MINAMIの作曲によるものです 本人のツイッターによると、「実際に演奏してみたら、あまりにも難しくてビックラこいた」そうです   かなり超絶技巧曲で聴きごたえがあり、彼女の作曲家としての才能を感じました

第1楽章の末尾が全曲の終わりのごとく堂々と鳴り響くと、フライングの拍手が起こりました    ここで、MINAMIはニヤリとします    彼女は 多分「いいんです。良いと思ったら拍手をしてくれても」と言いたかったのかもしれません 第2楽章冒頭は本多啓佑の良く歌うオーボエに導かれて、MINAMIのヴァイオリンが入ってきます ニュアンスに富んだナイーブな演奏で、ここでも美しいヴィブラートが会場に響き渡りました 第3楽章は一転、愉悦感に満ちた演奏が繰り広げられます 独奏ヴァイオリンとオケとの丁々発止のやり取りが見事で、圧倒的なフィナーレを飾りました

カーテンコールが繰り返されます 何度目かにMINAMIは、アンコールを演奏すべきか、一旦 舞台袖に引き上げて出直すべきか、一瞬立ち尽くして悩んだ様子を見せましたが、結局その場でアンコールの演奏に移りました こういう”天然”なところが彼女の魅力でもあります MINAMIは、ヨハン・パウロ・フォン・ヴェストホフ「無伴奏ヴァイオリンのための組曲第6番」から「Allemande、Courante」を、いとも鮮やかに演奏し、再び会場いっぱいの拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「交響曲第6番 ハ長調 D.589」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1817年から翌18年にかけて作曲、1828年11月にウィーンで初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「スケルツォ:プレスト ~ ピウ・レント」、第4楽章「アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

高関の指揮で第1楽章に入りますが、重々しい序奏部から軽快なアレグロに移ります 曲想としては「清く 明るく 美しく」のハイドンの交響曲を思い浮かべます    第2楽章もハイドンの影響をもろに受けているように感じます    第3楽章は一転、ベートーヴェンの初期の交響曲を想起させる曲想で、力強さを感じます    第4楽章に入って初めてシューベルトらしい軽快で楽し気なメロディーが登場します    それだけでなく、いつ終わるのか・・・と呆れるほど、同じメロディーが繰り返され、さすがはシューベルトだなぁと苦笑します    この作品は「交響曲第8番”ザ・グレイト”」と同じハ長調で書かれているところから、「小ハ長調」と呼ばれることもありますが、同じメロディーの執拗な繰り返しの点でも共通しています でも「破綻調」でなく「ハ長調」で良かったです

高関 ✕ シティ・フィルは、若きシューベルトの意欲を十全に引き出す演奏を展開しました

 

     

 

終演は17時06分でした 高関氏が舞台袖に引き上げると同時に退席し、雨の中を地下鉄住吉駅に向かいました どうやらコンサートのハシゴは私だけでなく、10数人いたようで、それぞれ雨の中、急ぎ足で駅に向かいました 住吉駅から半蔵門線で永田町まで行き、南北線に乗り換えて六本木一丁目に向かいました 途中、大手町駅で乗り換えた人たちは渋谷のNHKホールでのN響定期公演とのハシゴ組でしょう さて私は、18時からサントリーホールでの東響定期公演に間に合うのでしょうか? ・・・ 「その2」に続きます

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佐渡裕 ✕ 辻井伸行 ✕ 新日本フィルでラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」、レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲、ドヴォルザーク「交響曲第9番」を聴く

2023年04月15日 00時01分38秒 | 日記

15日(土)。わが家に来てから今日で3014日目を迎え、トランプ前米大統領は13日、東部ニューヨーク州の検察当局で、親族企業「トランプ・オーガニゼーション」の不正会計疑惑をめぐる民事訴訟に関連した尋問を約7時間にわたり受けた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     刑事訴訟の次は民事訴訟と これほど忙しい被告人は滅多にいない  いよっ元大統領!

 

         

 

昨日、夕食に「舌平目のムニエル」「ミニトマトとアボカドのサラダ」を作り、カツオの刺身、カツオの酒盗と一緒にいただきました 和食はいいですね

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「クラシックへの扉」第14回定期演奏会を聴きました プログラムは①レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲、②ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95"新世界より”」です 演奏は②のピアノ独奏=辻井伸行、指揮=佐渡裕です

 

     

     

この日のコンサートは佐渡裕氏の新日本フィル第5代音楽監督就任第1回目の「扉シリーズ」公演ということもあり、開演前からロビーが賑わっています どうやらチケットは完売のようで何よりです

佐渡裕は京都芸術大学卒。1989年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝 現在、ウィーンのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督を務め、国内では兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウィンド・オーケストラ首席指揮者、サントリー「1万人の第九」総監督を務めています

演奏に先立って佐渡氏がマイクを持って登場、音楽監督就任の挨拶、2日間の完売御礼と、この日取り上げる曲目について簡単に説明しました どうやら演奏前5分間の「プレトーク」が佐渡氏のルーティーンのようです

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び コンマスは崔文洙、サブは伝田正秀というダブルコンマス態勢を敷きます

1曲目はレスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲です この曲はアカデミアの図書館で見つけた古いイタリアの音楽をもとに、オットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1931年に作曲した弦楽合奏のための作品です 第1曲「イタリアーナ」、第2曲「宮廷のアリア」、第3曲「シチリアーナ」、第4曲「パッサカリア」の4曲から成ります

身長187センチの巨人・佐渡裕が指揮台に上り、第1曲の演奏に入ります どこまでも繊細で優雅な演奏が繰り広げられます 第2曲ではヴィオラ・セクションの豊かな響きが印象的です 第3曲は優しく穏やかな曲で、NHK-FMのクラシック音楽番組のテーマミュージックとして使われていたように記憶しています 第4曲は特に第1ヴァイオリンとヴィオラの美しいアンサンブルが素晴らしいと思いました

 

     

     

2曲目はラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)がパガニーニの「24の奇想曲」の第24曲(イ短調)をテーマとして1934年に作曲、同年ボルティモアで初演されました 主題と24の変奏曲により構成されています

ピアノ独奏の辻井伸行は2009年米国の第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人として初めて優勝して以来、国内外で活躍しています

オケは14型に拡大します 目が不自由な辻井が佐渡と腕を組んで登場、ピアノに対峙します 佐渡の指揮で演奏に入ります プレトークで佐渡氏が「辻井君とは長年にわたり共演しているが、テレパシーで通じているように感じる われわれ二人のコンビは最強だと思う リハーサルも楽しく出来た」と語っていましたが、その言葉の通り、辻井のソロと佐渡の率いるオケの息がピッタリ合っていました 実質的には辻井に自由に演奏させて、佐渡が合わせているのだと思いますが、そんなことを感じさせない見事な演奏でした とくに速いパッセージの変奏における辻井のピアノ独奏が鮮やかでした この曲では、一番有名な第18変奏が好きですが、辻井の演奏は過度にロマンティックに陥ることなく 自然体で弾いていたところに 好感が持てました

満場の拍手に辻井は、ラフマニノフ「前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2 ”鐘”」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95"新世界より”」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)がニューヨークの私立ナショナル音楽院の院長として招かれた米国滞在中の1893年に作曲、同年ニューヨークで初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラールゴ」、第3楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

佐渡の指揮で第1楽章に入ります。アレグロ・モルトに移ってからのスピード感溢れる演奏が印象的で、佐渡は楽員を煽り立てアグレッシブな演奏を引き出します 第2楽章はイグリッシュホルンの「森明子・オン・ステージ」です どんなにフルートの野津雄太が頑張っても、オーボエの岡北斗が踏ん張っても、「遠き 空に 陽は落ちて」のメロディーを吹くイングリッシュホルンの哀愁を帯びたメロディーには敵いません 佐渡氏の解説によると「新世界より」は世界中で一番多く演奏されている曲とのことで、私も様々なオケで何度も聴いてきましたが、第2楽章「ラールゴ」のイングリッシュホルンに関しては森明子さんの演奏が一番好きです 私がこの曲を初めて聴いたのは、小学校5、6年生の時のボーイスカウトの野営キャンプの時でした もっとも、その頃はドヴォルザークの名前さえも知りませんでしたが 第3楽章では、弦楽器、管楽器、打楽器の総力により力強く集中力に満ちた演奏が展開しました 第4楽章の冒頭は、佐渡氏のプレトークにもあったように、ドヴォルザークが大好きだった蒸気機関車の発進場面を思い浮かべるような推進力に満ちた演奏が繰り広げられました また、終盤にかけては佐渡氏の体格のようにスケールの大きな演奏が展開しました 全楽章を通してオケが良く鳴っていましたが、特に最近は、弦楽器群の充実が素晴らしいと思います

満場の拍手に佐渡 ✕ 新日本フィルはアンコールにドヴォルザーク「スラブ舞曲 ト短調 作品46-8」を、これでもかという迫力で押し切り、会場の温度を上昇させました

カーテンコールを漠然と見ていて、写メをするのを忘れていることに気が付き、慌ててスマホのスイッチを入れて写メしましたが、何とか間に合いました

 

     

     

     

終演後、パトロネージュ部の登原さんとお話ししましたが、この日は1700人超えの入場者だったとのことで、明るい表情でした コロナ禍も「ウイズ・コロナ」の段階に移り、各地のコンサート会場にも聴衆が戻ってきたので、この流れが続くといいと思います 登原さんが「頑張ります」と言われたので「頑張ってください。応援しています」とエールを送りました 彼女には健康に留意して元気で頑張ってほしいと願っています

帰りがけに、定期会員特典CDをいただました 内容は2022年5月21日にすみだトリフォニーホールで演奏された佐渡裕指揮によるベートーヴェン「交響曲第7番 イ長調 作品92」のライブ録音です あとでゆっくり聴こうと思います

 

     

 

     

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佐渡裕 ✕ 新日本フィルの公開リハーサルを見学する / 大野和士 ✕ 東京都交響楽団でマーラー「交響曲第7番 ホ短調」を聴く ~ 都響第972回定期演奏会Bシリーズ

2023年04月14日 00時21分50秒 | 日記

14日(金)。わが家に来てから今日で3013日目を迎え、トランプ前米大統領は12日、元ポルノ女優への口止め料の支払いを肩代わりした重要人物とされる元顧問弁護士のマイケル・コーエン氏を相手取り、同士がトランプ氏に関する虚偽の情報を広めたとして5億ドル(約660臆円)を超える損害賠償を求める訴えをフロリダ州の連邦地裁に起こした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自分のために働いた人物を 容赦なく裁判に訴えるトランプは 友達を失くすだろう

 

 

         

 

昨日は昼と夜、新日本フィルの公開リハーサルと都響のB定期演奏会のハシゴだったため、午前中に夕食を作っておきました メニューは「トンテキ」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」です

 

     

     

         

 

昨日午後1時50分から すみだトリフォニーホールで、新日本フィル「クラシックへの扉  第14回定期演奏会」の公開リハーサルを見学しました 本番は今日と明日の2日間、トリフォニーホールで開かれます 本番のプログラムは①レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲、②ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95 ”新世界より”」です 演奏は②のピアノ独奏=辻井伸行、指揮=佐渡裕です この日は③のリハーサルが公開されました

 

     

 

どうやら今回のリハーサルは、賛助会員・維持会員のほか、墨田区からの案内で来場した聴衆が相当数含まれていたようで、1階の指定範囲内の座席は早いうちから埋まっていきました

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの編成    コンマスは崔文洙です

黒のジャケットにデニムのパンツというカジュアルな服装の佐渡氏が登場、マイクを持って挨拶をし、「新世界より」の曲目の解説に入ります そして第1楽章から順番に主要なテーマを演奏し、解説を加え、楽章全体を演奏し、次の楽章に移り・・・ということを繰り返しました 「公開リハーサル」というよりは「レクチャー・コンサート」と呼ぶのが相応しいと思います 佐渡氏の解説を聞きながら、彼の師匠レナード・バーンスタインを思い出しました バーンスタインは「ウエストサイド物語」の作曲家であり、ニューヨーク・フィルの音楽監督・指揮者であり、子どもたちに音楽の楽しさを伝える音楽教育プログラム「ヤング・ピープルズ・コンサート」の主宰者・進行役でもありました 今回のリハーサルは、主に新日本フィルの本拠地「墨田区」の住民を対象に、音楽の楽しさを伝えるために開かれた「すみだ区民のためのレクチャー・コンサート」の様相を呈していました 約1時間、解説+演奏が繰り広げられ、その後、佐渡氏への質疑応答の時間も設けられました その中に「佐渡さんが最も好きな曲は何ですか?」という質問がありました 佐渡氏は「難しい質問です ベートーヴェンの『第九』は好きというよりも、演奏することによって後世に受け継がなければならない特別な曲です」とし、「チャイコフスキーの『交響曲第5番』は大好きです。気がめいった時などは、この曲を聴くといいですよ。お薦めします ラフマニノフも良いですね」と答えていました。チャイコフスキーの『交響曲第5番』と言えば、日テレで放映された「リバーサルオーケストラ」のテーマ音楽ですよ、皆さん やっぱり、番組制作関係者が抜群のセンスの持ち主だったことが分かりますね

佐渡氏は質問への回答の流れで、「自分にとって、オーケストラが地域でどのような関りを持っていけるのか というのがテーマです クラシック音楽が地域に根差していけるように、オーケストラが地域の学校に出張して演奏することもあるし、いろいろな活動が考えられます   点が面に拡大して、音楽の輪が広がって行けるようにしたいと思っています」と語っていました 

欧米のオーケストラは”地元密着”が当たり前ですが、佐渡氏は日本でもそうした地域に根差したオーケストラを目指して、墨田区においても自分がその先頭に立つと決意していると思いました 佐渡氏は、墨田区の街を歩いて地域を理解することに務めたそうですが、新日本フィルは素晴らしい指揮者を音楽監督に迎えたのではないか、とつくづく思いました

なお、この日はNHKテレビの取材が入っていました いつかどこかで放映されると思います

     

         

 

昨日午後7時からサントリーホールで東京都交響楽団「第972回定期演奏会Bシリーズ 」を聴きました プログラムはマーラー「交響曲第7番 ホ短調」です  指揮は大野和士です

 

     

 

2023年度第1回公演ということで席替えしました センターブロック右から3つ目の席から3つ前の列の右通路側に移りました

マーラー「交響曲第7番ホ短調」はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1904年から1908年にかけて作曲、1908年9月19日にプラハでマーラーの指揮で初演されました   第1楽章「遅く~アレグロ・リゾルート、マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「夜曲:アレグロ・モデラート」、第3楽章「スケルツォ:影のように」、第4楽章「夜曲:アンダンテ・アモローソ(情緒豊かに)」、第5楽章「ロンド・フィナーレ:アレグロ・オルディナリオ」の5楽章から成ります

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び。コンマスは山本友重です ステージ下手にはハープが2台、指揮者の正面後方にはギターとマンドリン奏者がスタンバイします

 

     

 

大野の指揮で第1楽章が開始されますが、テナーホルンがステージ上手から聴こえてきてビックリしました 私はてっきりホルンとともに下手に配置されていると思っていたのです マーラーはこの響きを「自然が咆哮する」と言いましたが、不思議な響きです 第2楽章ではステージ下手からホルンが聴こえてきて、なるほどと思いました テナーホルンとホルンの位置を左右に離すことによる効果が鮮やかです 古川展生と伊東裕の二人が率いるチェロ・セクションが良く歌います 舞台裏から聴こえてくるカウベルのかすかな響きが効果的です 第3楽章では得体のしれない不気味な魑魅魍魎の世界が描かれ、ベルリオーズ「幻想交響曲」の第5楽章「魔女の夜宴の夢」を想起させます 第4楽章はギターとマンドリンが活躍するシーンですが、マンドリンは何とか聴こえるものの、ギターは全く聴こえません。100人規模のオーケストラの中でギター1本の音の存在感を高めるのは、アンプでも使用しない限り無理なのではないかと思います 「夜曲」なのでセレナーデ用のギターやマンドリンの登場は理解できますが、余りにも音が小さすぎます。マーラーの時代とは違うのだから、ギターとマンドリンにピンマイクを付けてもいいのではないか、と思うのですが、どうでしょう 第5楽章では一転、今までの恐ろしく不気味な夜の世界がなかったかのような”勝利の音楽”が展開します ここにきて私は、果たしてこれでいいのだろうか、と立ち止まってしまいます

私は本公演を聴くにあたり、オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団によるCDで予習してきましたが、この超スローテンポによる今にも止まりそうな演奏と比べると、大野和士 ✕ 都響の演奏は極めてテンポの速い(というか、普通の)演奏です それだけに、聴き終わった後の爽快感は半端ありません しかし、何かを見失って、いや聴き逃していないだろうか、と自問してしまいます マーラーの第7番は本当に分かりにくい曲です

 

     

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N響の2023/2024シーズン最終プログラム決まる / オリヴァー・ハーマナス監督「生きる LIVING」を観る ~ 黒澤明監督「生きる」をカズオ・イシグロの脚本でリメイクした英国映画

2023年04月13日 00時01分21秒 | 日記

13日(木)。NHk交響楽団から2023/2024シーズン定期公演(2023年~2024年6月)の案内が届きました A B C 各プログラムの内容は下の通りですが、2023年12月に第2000回を迎えることから、Aプロ12月公演はファン投票で選ばれた、ファビオ・ルイージ指揮によるマーラー「交響曲第8番”一千人の交響曲”」が演奏されます

 

     

 

Aプロ(NHKホール)では上記のほか、10月にはブロムシュテットがブルックナー「交響曲第5番」を、2月には井上道義がショスタコーヴィチ「交響曲第13番」他を、4月にはマレク・ヤノフスキがブラームス「交響曲第1番」を振るのが楽しみです

 

     

 

Bプロ(サントリーホール)では、9月にはトン・コープマンがモーツアルト「交響曲第29番・第39番」他を、11月にはユッカ・ペッカ・サラステがシベリウス「交響曲第1番」他を、5月にはファビオ・ルイージ指揮、ルドルフ・ブフビンダーのピアノでブラームス「ピアノ協奏曲第1番」他が演奏されるのが期待大です

 

     

 

Cプロ(NHKホール)では9月にはルイージの指揮でワーグナー(フリーベル編)「楽劇”ニーベルングの指環”」オーケストラ・アドヴェンチャーが、10月にはブロムシュテットの指揮でシベリウス「交響曲第2番」が、12月にはルイージの指揮でベルリオーズ「幻想交響曲」が、4月にはエッシェンバッハの指揮でブルックナー「交響曲第7番」が演奏されるのが魅力です

 

     

 

以上の通り、プログラムとしてはいずれも魅力的なのですが、大きな問題が一つあります 言うまでもなく「料金改定」です 各プログラムにおける年間会費の現行料金と新シーズンの料金を比較すると次の通りとなります

①Aプロブラム(NHKホール)

S席(現行) 65,970円 ⇒ (新料金)69,300円 = +3,330円(+5.0%)

A席(  同  )56,610円 ⇒ ( 同 )58,050円 = +1,440円(+2.5%)

B席(  同  )44,010円 ⇒ ( 同 )45,090円 = +1,080円(+2.5%)

C席(  同  )35,730円 ⇒ ( 同 )36,720円 =        +990円(+2.8%)

D席(  同  )27,540円 ⇒ ( 同 )28,800円 = +1,260円(+4.6%)

②Bプログラム(サントリーホール)

S席(現行)65,970円 ⇒ (新料金)74,970円 = +9,000円(+13.6%)

A席(  同  )56,610円 ⇒ ( 同 )64,260円 = +7,650円(+13.5%)

B席(  同  )44,010円 ⇒ ( 同 )51,255円 = +7,245円(+16.5%)

C席(  同  )35,730円 ⇒ ( 同 )41,310円 = +5,580円(+15.6%)

D席(  同  )27,540円 ⇒ ( 同 )33,660円 = +6,120円(+22.2%)

③Cプログラム(NHKホール)

S席(現行)56,610円 ⇒ (新料金)57,780円 = +1,170円(+2.1%)

A席(  同  )49,725円 ⇒ ( 同 )50,760円 = +1,035円(+2.1%)

B席(  同  )39,780円 ⇒ ( 同 )40,500円 =   +720円(+1.8%)

C席(  同  )32,130円 ⇒ ( 同 )32,760円 =   +630円(+2.0%)

D席(  同  )24,480円 ⇒ ( 同 )25,020円 =  +540円(+2.2%)

上記の通り、AプロとCプロが1ケタ台の値上げ率なのに対し、Bプロは2ケタ台の値上げ率となっており、3つのプログラムの中でダントツに高い料金に改定されているのです 値上げ幅が大きい要因は2つあると思われます 一つは、Bプロの会場であるサントリーホールから同ホール使用料の値上げ要請が来ていることが考えられます もう一つは、Aプロ・Cプロと異なり、Bプロは毎回ソリストを迎えて「協奏曲」がプログラミングされているので、ソリストの人件費(出演料・滞在費・交通費等)が余分にかかるということです

私は現在AプロとBプロの定期会員ですが、新シーズンは両プログラムとも継続するか、Aプロだけにするか迷っています すでに他のオーケストラの定期演奏会の日程がビシバシ入っているので、その間隙を縫って予定を組み込む必要があります 幸いN響はA B C 各プロとも2日間公演があり 振り替えが可能なので、それを織り込んで日程を組みたいと思います 案内によると「更新案内」は5月中旬以降に送付するとしているので、それまでに方針を決めておきたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3012日目を迎え、台湾情勢に関して「欧州は米中の追随を避けるべきだ」との趣旨の発言をしたフランスのマクロン大統領に対し、各国から批判が相次いでいる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     発言はフレンチじゃなくハレンチだと見做されたね  マクロンはお先 真っ黒ん だな

 

         

 

昨日、夕食に「茄子と鶏肉の炒めもの」「生野菜サラダ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 「茄子~」は何度か作りましたが、今回も娘が「旨い!」「美味しい!」の連発でした

 

     

 

         

 

昨日、TOHOシネマズ新宿でオリヴァー・ハーマナス監督による2022年製作イギリス映画「生きる  LIVING」(103分)を観ました

物語の舞台は1953年、第二次世界大戦後のロンドン。毎日のルーティーンをこなすだけの日々を長年にわたって過ごしてきた役所の課長ウィリアムズ(ビル・ナイ)は、自分の人生を空虚で無意味なものと感じていた そんなある日、彼はガンに冒されているいることが分かり、医師から余命半年と宣告される 手遅れになる前に充実した人生を手に入れたいと考えたウィリアムズは、仕事を無断欠勤し、海辺のリゾート地で知り合った作家の男と酒場に繰り出し、酒を飲んで歌って過ごすが満たされない ロンドンへ帰った彼はかつての部下マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)と再会し、バイタリティ溢れる彼女と過ごす中で、自分も新しい一歩を踏み出すことを決意し、役所の中でたらい回しされていた児童公園の建設に着手する

 

     

 

この映画は、黒澤明監督の不朽の名作「生きる」を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本によりイギリスでリメイクしたヒューマンドラマです

黒澤明のオリジナル作品と大きく異なるストーリー展開はないものの、イギリスらしさを感じさせる映画に仕上がっています 黒澤作品で主人公を演じた志村喬の役を老俳優ビル・ナイが演じていますが、他に適役はいないと思わせるほどの”はまり役”です 若いマーガレットから、「生きているのに死んでいる」ような様子から”ミスター・ゾンビ”とあだ名をつけられたウィリアムズにピッタリです オリジナル作品で主人公が雪の中を「命短し 恋せよ 乙女」と「ゴンドラの唄」を歌いながらブランコを漕ぐシーンは本作でもありますが、ウィリアムズはアイルランド民謡「ナナカマドの木」を歌いながら漕いでいます

ウィリアムズは、家族でもない作家の男とマーガレットには、自分がガンで余命いくばくもないことを告白したのに、息子夫婦には言おうと努力はしたものの、結局 最後まで告白できないまま逝ってしまいます これについて息子は、「なぜ自分には真実を告げてくれなかったのか、知っていれば接し方も違っていたかもしれないのに」と悔やみます 息子の気持ちは痛いほど分かりますが、そういうことってあり得るのではないだろうか 家族には言えないけれど、赤の他人だから言えるということが

ところで、イギリスらしいモンティ・パイソン流のブラック・ユーモアを感じて思わずニヤリとしたシーンがあります ウィリアムズの死後、新しい課長と部下たちが「彼の意志を継いで、陳情を棚上げしたり たらい回しするのはやめて、すぐに行動に移して問題を解決しよう」と約束したのに、いざ陳情がくると新課長は従前と同じように陳情書を棚上げし、結局だれも反論しないでスルーするシーンです 「お役所仕事は時間と国境を超える」という真理を突いています

さて、音楽です 映画の冒頭ではドヴォルザーク「弦楽セレナーデ  ホ長調」の第2楽章の「メヌエット」が、劇中ではシベリウス「6つのバガテル」の第5曲「即興曲」が効果的に使用されていました イギリスにはエルガーとかディーリアスとか素晴らしい作曲家がいるのだから、クラシック音楽を使うのなら”国産”の音楽にすればいいのに と思いますが、監督の好みもあるのでしょうね

 

     

コメント
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