マチウ・リカール (編集), タニア・シンガー (編集), 辻村優英 (翻訳)
内容紹介
ケアする経済学、他者を思いやり、社会に幸福をもたらすことに基盤を置く経済倫理は、果たして成り立つのか。ダライ・ラマ14世と、脳科学、認知心理学、霊長類学、人類学、そして経済学と経営学など、今日の先端に立つ科学者たちが対話する。
グローバリゼーションのもと、格差の拡大とポピュリズムが浸透したこの世界に、コンパッション(他者が苦から離れようとする思い、共苦)に根をもつ行動原則と規範を打ち立てるために。脳の神経組織からマイクロファイナンスまで、競争原理を超える人間像と社会像を提示する。
内容(「BOOK」データベースより)
利他、慈悲、思いやりを行動原則とする、ケアする経済学。他者を思いやり、社会に幸福をもたらすことに基盤を置く経済倫理は、果たして成り立つのか。
ダライ・ラマ一四世と、脳科学、神経科学、霊長類学、人類学、そして経済学と経営学まで、今日の先端に立つ科学者たちが対話する。グローバリゼーションのもと、格差の拡大とポピュリズムが浸透したこの世界に、コンパッション(共苦)に根をもつ行動原理と規範を打ち立てるために。脳の神経組織からマイクロファイナンスまで、競争原理を超える人間像と社会像を提示する。
目次
序 思いやりの経済学に向けて
I 利他と向社会的行動に関する科学的研究
第1章 利己-利他論争
第2章 共感と内受容性皮質
第3章 コンパッションの神経基盤
第4章 利他に関する仏教的観点
第5章 生存のための生物学的要求
II 利他と向社会的行動に関する経済学的研究
第6章 社会的ジレンマ実験
第7章 仏教経済学事始め
第8章 幸福の経済学
第9章 なぜ人々は慈善活動をするのか
第10章 利他的懲罰と公共財の創出
III 経済システムへの向社会性の導入
第11章 目的のある利益
第12章 マイクロファイナンスは何を為し得るか?
第13章 ベアフット・カレッジ
第14章 コンパッションに満ちたリーダーシップ
結 語 コンパッションは贅沢品ではない
著者について
1980年奈良県生まれ. 京都大学博士(人間・環境学). 専門は宗教学. 総合地球環境学研究所技術補佐員, 京都大学人文科学研究所共同研究員, 京都大学こころの未来研究センター共同研究員, 立命館APU非常勤講師, 神戸大学経済経営研究所助教等を経て, 神戸大学経済経営研究所ジュニアリサーチフェロー, 高野山大学密教文化研究所受託研究員. 論文に「ダライ・ラマ14世における『最大多数の最大幸福』について」(『宗教と倫理』15 号, 2015年),“The Politics of `Compassion' of the Fourteenth Dalai Lama: Between `Religion' and `Secularism'", Journal of Buddhist Ethics, vol. 21, 2014など.