「保健医療2035推進本部」を設置、厚労省
アウトカム考慮の診療報酬体系など5項目が課題
m3.com 2015年8月7日(金) 配信 成相通子(m3.com編集部)
20年後を見据えた保健医療政策のビジョンについて、塩崎恭久厚生労働大臣の私的懇談会「保健医療2035策定懇談会」(座長:渋谷健司東京大学大学院教授)が6月に提言書を策定したのを受け、提言書に基づいた施策を厚労省内で推進する「保健医療2035推進本部」の第1回会合が8月6日、開催された(資料は厚労省のホームページに掲載)。
提言では、かかりつけ医の普及やアウトカムを考慮した診療報酬体系の設定など5項目を優先的に検討が必要な課題としており、推進本部は関係部局が連携して構成する検討チームを設置。実現に向けて具体的な検討を進めるとしている。
塩崎大臣は、会合の冒頭であいさつし、策定懇談会について「建設的かつ革新的な議論ができた」と評価。提言された施策120項目全てを吟味し、明確な成果を出すことを求めた。直ちに実現できる施策は、9月までに計画を取りまとめる予定。
推進本部は、厚生労働事務次官を本部長に据え、関係する部局の局長ら本部員とし、その下に課長クラスによる幹事会を設置した。特に短期的かつ集中的な検討が必要とされる5項目の優先事項についてはそれぞれ、複数の関係部局によるチームを立ち上げる。
5項目とは、(1)総合的な診療を行うかかりつけ医の普及・確立、(2)患者の価値やアウトカムを考慮した診療報酬体系・インセンティブの設定、(3)たばこフリーを進めるとともに、効果が実証されている予防、特に重症化予防の積極的推進、(4)情報基盤の整備と活用の推進(保健医療・介護の関連データの連結、NCD(National Clinical Database)の前疾患への対象化など)、(5)グローバル・ヘルスを担う人材の育成体制の整備と官民一体となって人材をプールする仕組みの創設――だ。
「保健医療2035策定懇談会」は、座長を務めた渋谷氏以下、若手の外部有識者や厚労省の職員で構成し、提言書をまとめた。目標となるビジョンとそれを実現するための120項目の提言を示している。
(提言書はhttp://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/)
PTSD、自衛官に自殺増加の恐れ
安全保障関連法案で、精神科医ら訴え
共同通信社 2015年8月7日(金) 配信
精神科の医師らでつくる「戦争ストレス調査研究ネットワーク」が6日、国会内で記者会見し、安全保障関連法案をめぐり「他国軍への後方支援拡大などによって、自衛隊員の心的外傷後ストレス障害(PTSD)や自殺が増える恐れがある」として反対を表明した。
ネットワークには現役医師31人と看護師ら57人が参加。猪野亜朗(いの・あろう)共同代表は「現代の戦争は、前線と後方の区別が明確でなく、法案によって戦闘に巻き込まれる危険性が高まる」と指摘し「戦争から帰還した米軍兵士がPTSDにどれだけ苦しんでいるか、認識すべきだ」と訴えた。
猪野代表らは、アフガン、イラク戦争の帰還米兵の約14%がPTSDを発症したとする、米国の調査データを紹介。PTSDの苦悩からアルコール、薬物依存に陥り、症状が悪化する患者も多いと解説した。
帰還米兵が起こした殺人事件が121件あったとの統計も示し、メンバーの1人は「戦場の光景がフラッシュバックして混乱し、家族を敵だと思って撃ってしまうこともある。その怖さが伝わっていない」と話した。
政府は、アフガン、イラク戦争に関連し、特別措置法に基づいてインド洋での給油活動やイラク復興支援活動に派遣された自衛隊員のうち、56人が在職中に自殺したとする答弁書を閣議決定している。ただ、派遣との因果関係を特定するのは困難とした。
アウトカム考慮の診療報酬体系など5項目が課題
m3.com 2015年8月7日(金) 配信 成相通子(m3.com編集部)
20年後を見据えた保健医療政策のビジョンについて、塩崎恭久厚生労働大臣の私的懇談会「保健医療2035策定懇談会」(座長:渋谷健司東京大学大学院教授)が6月に提言書を策定したのを受け、提言書に基づいた施策を厚労省内で推進する「保健医療2035推進本部」の第1回会合が8月6日、開催された(資料は厚労省のホームページに掲載)。
提言では、かかりつけ医の普及やアウトカムを考慮した診療報酬体系の設定など5項目を優先的に検討が必要な課題としており、推進本部は関係部局が連携して構成する検討チームを設置。実現に向けて具体的な検討を進めるとしている。
塩崎大臣は、会合の冒頭であいさつし、策定懇談会について「建設的かつ革新的な議論ができた」と評価。提言された施策120項目全てを吟味し、明確な成果を出すことを求めた。直ちに実現できる施策は、9月までに計画を取りまとめる予定。
推進本部は、厚生労働事務次官を本部長に据え、関係する部局の局長ら本部員とし、その下に課長クラスによる幹事会を設置した。特に短期的かつ集中的な検討が必要とされる5項目の優先事項についてはそれぞれ、複数の関係部局によるチームを立ち上げる。
5項目とは、(1)総合的な診療を行うかかりつけ医の普及・確立、(2)患者の価値やアウトカムを考慮した診療報酬体系・インセンティブの設定、(3)たばこフリーを進めるとともに、効果が実証されている予防、特に重症化予防の積極的推進、(4)情報基盤の整備と活用の推進(保健医療・介護の関連データの連結、NCD(National Clinical Database)の前疾患への対象化など)、(5)グローバル・ヘルスを担う人材の育成体制の整備と官民一体となって人材をプールする仕組みの創設――だ。
「保健医療2035策定懇談会」は、座長を務めた渋谷氏以下、若手の外部有識者や厚労省の職員で構成し、提言書をまとめた。目標となるビジョンとそれを実現するための120項目の提言を示している。
(提言書はhttp://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/)
PTSD、自衛官に自殺増加の恐れ
安全保障関連法案で、精神科医ら訴え
共同通信社 2015年8月7日(金) 配信
精神科の医師らでつくる「戦争ストレス調査研究ネットワーク」が6日、国会内で記者会見し、安全保障関連法案をめぐり「他国軍への後方支援拡大などによって、自衛隊員の心的外傷後ストレス障害(PTSD)や自殺が増える恐れがある」として反対を表明した。
ネットワークには現役医師31人と看護師ら57人が参加。猪野亜朗(いの・あろう)共同代表は「現代の戦争は、前線と後方の区別が明確でなく、法案によって戦闘に巻き込まれる危険性が高まる」と指摘し「戦争から帰還した米軍兵士がPTSDにどれだけ苦しんでいるか、認識すべきだ」と訴えた。
猪野代表らは、アフガン、イラク戦争の帰還米兵の約14%がPTSDを発症したとする、米国の調査データを紹介。PTSDの苦悩からアルコール、薬物依存に陥り、症状が悪化する患者も多いと解説した。
帰還米兵が起こした殺人事件が121件あったとの統計も示し、メンバーの1人は「戦場の光景がフラッシュバックして混乱し、家族を敵だと思って撃ってしまうこともある。その怖さが伝わっていない」と話した。
政府は、アフガン、イラク戦争に関連し、特別措置法に基づいてインド洋での給油活動やイラク復興支援活動に派遣された自衛隊員のうち、56人が在職中に自殺したとする答弁書を閣議決定している。ただ、派遣との因果関係を特定するのは困難とした。
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