健康寿命延伸プラン
2019年に策定された「健康寿命延伸プラン」は、健康寿命の目標と、その目標を達成するための施策について定めたものです。2040年までに健康寿命を男女ともに2016年に比べて3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指しています。
2019年5月29日の「第2回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」において、「誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」のための3本柱の一つとして、「雇用・年金制度改革等」や「医療・福祉サービス改革プラン」とともに「健康寿命延伸プラン」[1][2]が発表されました【図】。健康寿命延伸プランでは、2016年は男性72.14歳、女性74.79歳だった健康寿命を、2040 年までに男女ともに3年以上延伸し(2016年比)、75歳以上とすることを目指しています(男性75.14歳以上、女性77.79歳以上)。
このプランを達成するため、①健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進と、②地域・保険者間の格差の解消、に向け 「自然に健康になれる環境づくり」や「行動変容を促す仕掛け」など「新たな手法」も活用し、「次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成」「疾病予防・重症化予防」「介護予防・フレイル対策、認知症予防」の3分野を中心に取り組みを推進することとしています。
各分野の具体的な内容は次のとおりです(2019年5月29日「第2回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」においてとりまとめたプランを一部改定[3])。
I 次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成等
- 東京栄養サミットを契機とした食環境づくり
- 産学官連携プロジェクト本部の設置、食塩摂取量の減少(8g以下)
- ナッジ*1等を活用した自然に健康になれる環境づくり
- 2022年度までに健康づくりに取り組む企業・団体を7,000に
- 子育て世代包括支援センター設置促進
- 2020年度末までに全国展開
- 妊娠前・妊産婦の健康づくり
- 長期的に増加・横ばい傾向の全出生数中の低出生体重児の割合の減少
- PHR*2の活用促進
- 検討会を設置し、2020年度早期に本人に提供する情報の範囲や形式について方向性を整理
- 女性の健康づくり支援の包括的実施
- 2019年度厚生労働科学研究で健康支援教育プログラムを開発済 等
*1 ナッジ:「ひじで軽くつつく」という意味。行動経済学上、対象者に選択の余地を残しながらも、より良い方向に誘導する手法
*2 PHR:personal health record(パーソナル・ヘルス・レコード)の略。個人の健康診断結果や服薬歴等の健康等情報を電子記録として本人や家族が正確に把握するための仕組み
II 疾病予防・重症化予防
- ナッジ等を活用した健診・検診受診勧奨
- がんの年齢調整死亡率低下、2023年度までに特定健診実施率70%以上等を目指す
- リキッドバイオプシー*3等のがん検査の研究・開発
- がんの早期発見による年齢調整死亡率低下を目指す
- 慢性腎臓病診療連携体制の全国展開
- 2028年度までに年間新規透析患者3.5万人以下
- 保険者インセンティブの強化
- 本年7月を目途に保険者努力支援制度の見直し案のとりまとめ
- 医学的管理と運動プログラム等の一体的提供
- 2019年度厚生労働科学研究で運動施設での標準的プログラムを開発済
- 生活保護受給者への健康管理支援事業
- 2021年1月までに全自治体において実施
- 歯周病等の対策の強化
- 60歳代における咀嚼良好者の割合を2022年度までに80%以上 等
*3 リキッドバイオプシー:がん組織ではなく、血液や尿などの体液に含まれる遺伝子を解析し、がんの診断や治療法の選択に役立てる技術
III 介護予防・フレイル対策、認知症予防
- 「通いの場」の更なる拡充
- 2020年度末までに介護予防に資する通いの場への参加率を6%に
- 高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施
- 2024年度までに全市区町村で展開
- 介護報酬上のインセンティブ措置の強化
- 2020年度中に介護給付費分科会で結論を得る
- 健康支援型配食サービスの推進等
- 2022年度までに25%の市区町村で展開等
- 「共生」・「予防」を柱とした認知症施策
- 2019年6月に認知症施策推進大綱をとりまとめ
- 認知症対策のための官民連携実証事業
- 認知機能低下抑制のための技術等の評価指標の確立 等
(最終更新日:2022年01月11日)
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