女子中学生2人殺害の過去 繰り返された性犯罪

2019年04月20日 20時22分52秒 | 社会・文化・政治・経済

女児への「強制わいせつ致傷」で逮捕の男

社会週刊新潮 2019年3月7日号掲載
性犯罪常習男が面会室で語った「司法の敗北」
 さる猥褻事件で懲役7年の判決を受けた被告人と、拘置施設で面会した。寺本隆志、66歳。小柄で痩身、気弱そうな外見からは想像もつかないが、過去に女子中学生2人を殺めた性犯罪の常習者である。歪んだ衝動と欲望に支配された男が発するメッセージとは。
2月下旬、長崎拘置支所。刑務官にともなわれた寺本隆志が、何度も頭を下げながら面会室に入ってきた。
 背中を丸めているからか、157センチとされた身長がさらに小さく見える。

66という年齢にもかかわらず髪は黒々としており、身に着けているのは千鳥格子柄のジャケットにベージュのセーター、こげ茶のズボン。一見、長年の会社勤めを終えた人のようだ。東京から来たことを告げると、
「わざわざありがとうございます。遠かったでしょう。私も東京に住んでいたので分かります」
 と物腰は柔らかい。しかし寺本は、2月21日、長崎地裁で懲役7年の判決を受けた被告人。彼の犯行は昨年6月。長崎市内の路上で小学生の女児(当時7歳)に背後から近づくと、路上に転倒した彼女の、
〈下着をつかんで膝付近まで引きずり下ろすなどして同人の臀部等を露出させ、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、その際、同人に全治約10日間を要する見込みの腰臀部打撲挫傷の傷害を負わせた〉(判決文より)
 ほかにも、同時期に別の女児の下着や運動靴などを盗んだため、強制わいせつ致傷と窃盗の罪に問われていたのだ。面会室の寺本は、
「個人的に、悪いことが色々と重なってしまった」
 そのストレスゆえ犯行に及んだという。詳しい話に触れる前に、彼の犯歴ファイルを紹介しておきたい。
2件の女子中学生殺害寺本隆志

不利益変更の禁止
 ここまでが寺本の犯歴の概要となる。ファイルの内容を一言で表せば“性犯罪常習男”であろう。そんな彼は、女子中学生2人殺害の判決確定までに控訴と上告を繰り返していた。彼自身は東京の17年、長崎の15年ともに判決が軽いと“極刑を希望”していたのだが、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士によると、
「刑事訴訟法に“不利益変更の禁止”の規定があります。被告人側がいくら極刑を望んで上訴しても、すでに出ている判決より重い判決は下せないのです。反省の態度が顕著と判断してもらい、刑の軽減を狙っていたのかもしれません」
 寺本の思惑はともかく、2人も殺しておいて、本人ですら望んだ極刑にならないとはどういうことか。その点を、元裁判官の森炎(もりほのお)弁護士はこのように見ている。
「たしかに、今回の被告人が過去に起こした殺害事件は、市民感覚として“こんなことがあっていいのか”との見方があるのは当然です。ただし、東京の事件で一審の審理が終わるのとほぼ同時に被告人の手紙が送られています。長崎県警は被告人が手紙に嘘を書いた可能性を検証したり、手紙をもとに捜査し、立件できるかを判断する時間が必要だったはず。わずかでも極刑の可能性があった併合審理にならなかったのはやむをえないでしょう」
 制度の隙間をつくケースといえよう。そしてそれが、結果として性犯罪常習者の再犯にもつながっていった。

女子中学生2人を殺害、出所後4ヶ月で女児への強制わいせつ事件で逮捕された寺本隆志の犯歴

判決文などによりますと、寺本被告は去年6月、長崎市内の路上で下校中の女の子のスカートをめくるなどしてけがをさせたほか、別の女児の下着を盗んだ罪などに問われていました。
出典
7歳女児に強制わいせつの男、懲役7年 長崎地裁(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース
最初は「スカートめくりと下着ドロボー?」かと思ったら、とんでもない事件でした。気に入り詳細を見る検察は懲役8年を求刑し、弁護側は懲役3年6か月が妥当だと主張していました。

2件の殺人、そして強制わいせつの前科がありましたが、、、
検察側は「常習性があり、過去の犯罪と共通性がある」と主張。
弁護側は、服役を終えていて「二重に処罰すべきではない」としていました。

一般的には、性犯罪を繰り返すのは悪質という感覚ですが、弁護側としては、前回の服役で罪の償いは済んでいるという主張なんですね。
法的にはそうなのかもしれませんが、難しいところです、
長崎地方裁判所は、「殺人などの前科が2件あり、直近の前科でも強制わいせつなどにより懲役4年に処せられている。その刑の執行終了からわずか4か月余りで今回の犯行に及んでいて非難の程度は大きい」として、懲役7年の判決を言い渡しました。

2人を殺害していれば、最近の裁判では死刑か無期懲役という量刑が妥当ですが、、、それぞれの事件が個別に裁かれたため、有期刑で済んでいたようです。
2件の殺人の詳細

年表(週刊新潮2019/3/7より)
二人目の殺人は、当初は自殺として処理されていたようです
なぜこのような残忍な男が死刑にならなかったのか。
それは、事件が特殊な経緯をたどったためです。
寺本は一件目の東京での殺人後、発覚する前に実家のある長崎に逃亡します。
そこで目にした中学生にいたずら目的で近づいたものの失敗、発覚をおそれて、マンションの14階から突き落として殺してしまったのです。
この二件目の殺人は自殺として処理されてしまいましたが、東京の事件で逮捕され、懲役17年の判決を受けた寺本が二件目の殺人を自白。
この二件目の事件では懲役15年の判決を受けますが、当時は有期懲役の上限が20年だったため、2012年には出所できたのでした。
もし、一件目の殺人の判決が出る前に自白されていれば、もしくは、最初から殺人事件として捜査されていれば二つの事件が併合審理となり、死刑か無期懲役になる可能性があったのですが、、、
刑務所内では、性犯罪再犯防止プログラムを受けていた。
少女が犠牲になった殺人などで20年以上服役し、受刑中に性犯罪を繰り返さないためのプログラムを受けていた被告。
今回の事件は、再犯を防ぐ難しさと、更生に向けた課題を浮かび上がらせた。

性犯罪、出所4ヵ月の犯行 66歳男に懲役7年 長崎地裁判決|【西日本新聞】
法務省によると、プログラムは18年3月までに延べ5548人が受講、現在は毎年約500人が受けている。ただ、12年のまとめでは、受講者の性犯罪の再犯率(12・8%)は未受講者を2・6ポイント下回っただけだった。
同省は性犯罪を厳罰化する17年の改正刑法を受け、昨年から再犯防止対策の拡充を念頭に、改めてプログラムの効果について調査に乗り出している。

性犯罪の再発防止プログラムだけでは、更生につながっていない実態がある。
元受刑者は出所後に生活基盤を確立できず、戸惑うことが多い。関係機関のスタッフが継続的に会い、元受刑者が出した「赤信号」に気付ける態勢づくりが求められている。

近畿大法学部の辻本典央教授(刑事訴訟法)の話
出所後に、また再犯の恐れが、、、?
最後に小松本卓裁判長は「社会復帰した時は2度とこのようなことがないように」と諭しましたが、寺本被告はだまってうつむいたままで返事はありませんでした。

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿