「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

このごろは 2008・04・05

2008-04-05 08:15:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、北原白秋(1885-1942)の「このごろは」と題した詩。

  このごろはくつろぎにけり。歌よめばよくもあしくも、
  墨磨れば濃けれうすけれ、うれしくも恍れて書きけり、
  かなしくも恍れて書きけり、ただ楽しみて。

  歌ふらくおのれ楽しむものならし楽しみてあらむひとりこもりて
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2008・04・04

2008-04-04 08:35:00 | Weblog
今日の「お気に入り」。

  はるさめや谷の古葉(ふるば)も流出(ながれい)づ (黒柳召波) 
  
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2008・04・03

2008-04-03 09:00:00 | Weblog
今日の「お気に入り」。


  毀(こわ)す家に手合(あわ)す童(わらべ)木の芽雨

  百年の煤(すす)に掌(てのひら)荒るる春 (塩原 傳)
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2008・04・02

2008-04-02 08:55:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、辻征夫さん(1939-2000)の「春の問題」と題した詩一篇。

  また春になってしまった
  これが何回めの春であるのか
  ぼくにはわからない
  人類出現前の春もまた
  春だったのだろうか
  原始時代には ひとは
  これが春だなんて知らずに
  (ただ要するにいまなのだと思って)
  そこらにやたらに咲く春の花を
  ぼんやり 原始的な眼つきで
  眺めていたりしたのだろうか
  微風にひらひら舞い落ちるちいさな花
  あるいはドサッと頭上に落下する巨大な花
  ああこの花々が主食だったらくらしはどんなにらくだろう
  どだいおれに恐竜なんかが
  殺せるわけがないじゃないか ちきしょう
  などと原始語でつぶやき
  石斧(おの)や 棍棒(こんぼう)などにちらと眼をやり
  膝をかかえてかんがえこむ
  そんな男もいただろうか
  でもしかたがないやがんばらなくちゃと
  かれがまた洞窟(どうくつ)の外の花々に眼をもどすと……
  おどろくべし!
  そのちょっとした瞬間に
  日はすでにどっぷりと暮れ
  鼻先まで ぶあつい闇と
  亡霊のマンモスなどが
  鬼気迫るように
  迫っていたのだ
  髯(ひげ)や鬚(ひげ)の
  原始時代の
  原始人よ
  不安や
  いろんな種類の
  おっかなさに
  よくぞ耐えてこんにちまで
  生きてきたなと誉(ほ)めてやりたいが
  きみは
  すなわちぼくで
  ぼくはきみなので
  自画自賛はつつしみたい
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五月 2008・04・01

2008-04-01 08:00:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は萩原朔太郎(1886-1942)の詩「五月」。

  私の大好きな五月
  その五月が来ないうちに
  もしかして死んでしまったら
  ほんの気まぐれの心から
  河へでも身を投げたら
  もう死んでしまったらどうしよう
  私の好きな五月の来ないうちに
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