
今日の「お気に入り」は、加島祥造さん(1923- )の「『タオ――老子』第七十六章」から。
生まれたときは
みずみずしく柔らかだ。
死ぬ時は、こわばって
つっぱってしまう。
人ばかりか
あらゆる生きものや草や木も
生きているときは
しなやかで柔らかだ。
死ぬと、
しぼんで、乾き上がってしまう。
だから、固くこわばったものは
死の仲間と言っていいだろう。
一方、みずみずしく、柔らかく
弱くて繊細なものは
まさに命の仲間なのだ。
剣も、ただ固く鍛えたものは、折れやすい。
木も、堅くつっ立ったものは、風で折れる。
もともと強くて、こわばったものは、
下にいて、根の役をすべきなんだ。
しなやかで、柔らかで、弱くて
繊細なものこそ、
上の位置を占めて、
花を咲かせるべきなんだ。