高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

うちの畑にようこそ 2月10日記

2017-02-24 07:30:00 | 生産者からのメッセージ
香美市 わたなべ農園の渡邉志津江です。

顔の見える関係は大事と言うけれど、その関係を築くのはけっこう難しい。
お互いに出かけていって歩み寄らなければ、顔は見えない。
イメージとしては、長い大きな太鼓橋で、お互いに同じ橋の端っこから中央に向かって歩き始める感じだ。
求める気持ちが強いと歩む足の速度は増す。
どちらの気持ちが強いかで出合う場所は違ってくる。
どちらかに歩む気持ちがなくなれば、当然たどりつけない。
日常のいろんなところに橋は架かっている。
『ご縁』は目に見えないが橋のようなものだと感じている。

《土といのち》は総会や試食会、生産者交流会、各種学習会、イベント等、
生産者と会員さんとを繋ぐためにいろんな橋を架けてくれる。
顔が見える関係は心が通じあうというかなんとも温かく居心地が良い。
一方でお取り引きのあるスーパーや小売店の直接お会いする機会の無いお客さまに
どのようにして『橋』を架ければいいか試行錯誤を繰り返している。
生産者として顔写真を載せていただいたり、栽培法を書いた小さなタグをつけたり、
ポップを立てたりして、野菜の顔を見せる工夫をしてきた。
そうすることで、こちらからは顔の見えないお客さまに精一杯自分の顔を見せているつもりだ。
食べていただければ当然こちらの力量はわかっていただくことが出来ると思う。

問題はその前の段階なのだ。
手に取ってお買い物かごに入れてもらうまでには様々なストーリーが必要である。
値段はその重要な要素のひとつだが、安けりゃどれでも売れるという訳ではない。
(注:いくらいい物でも高すぎたら売りにくい!ということは承知している)
大学生の一人暮らし、高齢世帯、子どもの教育費や仕送りにお金がかかる世代、独居世帯と暮らし方も様々だ。
だから、小ロットで価格も安くの値段設定も大いに需要があるのだ。
地元のスーパー「土佐山田ショッピングセンターバリュー」の生産者コーナーで
6年の間にことの顛末を見せていただいた。

最近、『カオノミエナイオキャクサマ』に教えていただくことが多い。
私にとっては価値観においてA品もB品も一緒なのだが、それではいけないことは痛いほどわかっているつもりだ。
だから、このところB品をパックするときは楽しい。
安くして当然な訳だが、どんな子同士をいっしょにするか考えるのが楽しいのだ。
穴あきチャンやら割れた子ちゃんはもらってもらえるように少し多めに詰める。
いかにも美味しそうな小さい子も余分に詰める。
主婦は(主夫も)お得にはめっぽう弱い。
ってわたしもそうだから心理はわかる。
気に入っていただけるものから売れていく。
そして、気に入っていただけないものは残る。
売れ残っているものから学ぶことは多い。

時代は多種多様なのだ。
求めるばかりでは空回りすることになりかねない。
くらしのものさしも伸ばしたり縮めたり柔軟性がある方がどうも良さそうだ。

※ この記事は、NPO法人土といのち『お便り・お知らせ』2017年3月号より転載しました。
コメント
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