お米作りの名人と言われた 故 田所宏方さんの詩を紹介します。
コ メ つ く り の 詩
コ メ つ く り の 詩
田所 宏方(南国市)
畦ばたの稲はよく稔る。
そこだけが、何でこうなるの。
尺角植に思いきって植えたら、葉が剣のように立った。
触れれば手が切れそうだ。
しめたと穂肥をはりこむ。
わかっちゃいるけど、その後がいけない。
あんなところでしめたと思っちゃいけねえんだったよ。
欲ばっちゃならねえんだ。
百姓はぐっと我慢だ 辛抱だ。
イネは自分の姿に見合って 茎を出し 穂を立てるんよ。
チッソ肥料で甘やかすと根は伸びるのを怠ける。
穂の方もおんなじだ。
疎植は甘やかす必要がないわけだ。
畦ばたのイネと同じなんだ。
お天とうさまに イネが相談づくで 仕上げてくれる。
照りつづいても どんな雨でも
イネはちゃんと お天気に合わして 育つもんだ。
病気になるのは 甘やかした報いなんよ。
イネを信じ イネの力を信頼してやれというけれど
その力とは 能力とは 何だろう。
どこまでわかっているんかな。
未熟の証拠には 得意になったり熱中していて足が地につかず
やがて 「ああそうか」とおもうようになりそして年を重ねる。
この天気では イネはどう変わるだろうと考える。
そこまでになるには まだまだ辛い思いと 月謝がいるわ。
どんな苗がいいか どんな日に田植えをしようかとこころを砕き
活着をよくするには 苗の力と水しかないんだと知り、
根をつよくするには 肥料をひかえた方がよいと悟る。
イネの喜ぶ追肥の方法を イネに教えられ
その一つ一つを 肌で感じ からだで覚えてゆくのが
イネつくりのお百姓の生きるみちなんだ。
何も判っちゃいないが わかってしまってもこまるもんね。
照ってよし 降ってよし お天とうさまはついてまわるもんね。
気らくなもんさ、イネつくり、又来年のイネつくり
太陽と水は只じゃもの、
ムダな肥料使ったり からだ使うよりは 「頭を使え」と天の声。
土を肥やす土つくりは貯金と思う、毎年10俵の利子がつく。
馬鹿の一つ覚えのうたうたい
粒々辛苦のコメつくり
足音きかせりゃ 穂に穂の花が咲く
ほんに「足跡は肥になる」
古老の言った その言葉が生きてくる。
目がとどいていて 手が届いていて 心がとどけば
うんとらくだよ コメつくり。
そこだけが、何でこうなるの。
尺角植に思いきって植えたら、葉が剣のように立った。
触れれば手が切れそうだ。
しめたと穂肥をはりこむ。
わかっちゃいるけど、その後がいけない。
あんなところでしめたと思っちゃいけねえんだったよ。
欲ばっちゃならねえんだ。
百姓はぐっと我慢だ 辛抱だ。
イネは自分の姿に見合って 茎を出し 穂を立てるんよ。
チッソ肥料で甘やかすと根は伸びるのを怠ける。
穂の方もおんなじだ。
疎植は甘やかす必要がないわけだ。
畦ばたのイネと同じなんだ。
お天とうさまに イネが相談づくで 仕上げてくれる。
照りつづいても どんな雨でも
イネはちゃんと お天気に合わして 育つもんだ。
病気になるのは 甘やかした報いなんよ。
イネを信じ イネの力を信頼してやれというけれど
その力とは 能力とは 何だろう。
どこまでわかっているんかな。
未熟の証拠には 得意になったり熱中していて足が地につかず
やがて 「ああそうか」とおもうようになりそして年を重ねる。
この天気では イネはどう変わるだろうと考える。
そこまでになるには まだまだ辛い思いと 月謝がいるわ。
どんな苗がいいか どんな日に田植えをしようかとこころを砕き
活着をよくするには 苗の力と水しかないんだと知り、
根をつよくするには 肥料をひかえた方がよいと悟る。
イネの喜ぶ追肥の方法を イネに教えられ
その一つ一つを 肌で感じ からだで覚えてゆくのが
イネつくりのお百姓の生きるみちなんだ。
何も判っちゃいないが わかってしまってもこまるもんね。
照ってよし 降ってよし お天とうさまはついてまわるもんね。
気らくなもんさ、イネつくり、又来年のイネつくり
太陽と水は只じゃもの、
ムダな肥料使ったり からだ使うよりは 「頭を使え」と天の声。
土を肥やす土つくりは貯金と思う、毎年10俵の利子がつく。
馬鹿の一つ覚えのうたうたい
粒々辛苦のコメつくり
足音きかせりゃ 穂に穂の花が咲く
ほんに「足跡は肥になる」
古老の言った その言葉が生きてくる。
目がとどいていて 手が届いていて 心がとどけば
うんとらくだよ コメつくり。
―高知土と生命を守る会 「土と生命」創刊号(1986年)よりー