『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む──日本の大学生は何を感じたのか』(ヨーラン・スバネリッド/鈴木賢志+明治大学国際日本学部鈴木ゼミ編訳、新評論、2016年12月)を読みました。
学ぶことがとても多く、私なりに学んだことを数回に分けて書いていこうと思います。
■若者の政治への関心の高さ──日本とスウェーデンでは、日本の方が高いという事実
スウェーデンでは、投票率85.8%、30歳未満の若者でも81.3%です。なんで、こんなに投票率が高いのだろうか、学校の教科書には何が書かれているのだろうかというのがこの本の基本的コンセプトです。
内閣府が2013年に実施した「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」は、13歳〜29歳を対象に行われたものですがここにひとつの特徴が現れています。
「あなたは、今の自国の政治にどのくらい関心がありますか」という問い。
(「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」より)
「非常に関心がある」「どちらかといえば関心がある」を足し合わせた割合では、スウェーデンが46.4%%に対して日本は50.1%と日本の方が上回っています。他の諸外国は日本よりも高い水準となっていますが、スウェーデンより日本は高いのです。
■スウェーデンの若者は自分たちが政府の決定に影響を与えると思っている
一方で、「私個人の力では政府の決定に影響を与えられない」という項目ではどうでしょうか。
(「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」より)
「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」(=影響力があると思っている人)を足し合わせると、スウェーデンが48.9%に対して日本は半分の24.3%です。
訳者である鈴木教授は次のように分析しています。
このような意識の差は、目先の政治対する関心などというレベルではなく、政治とは何か、社会とは何か、それは自分とどのようなかかわりをもつかという、より根本的なレベルの認識が、日本とスウェーデンでは大きく異なることを示しています。端的に言ってしまえば、スウェーデンでは、とくに政治に関心をもっていなくても選挙には行くということです。(『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む──日本の大学生は何を感じたのか』、ⅳページ。以下、特に記述がなくページ数だけ記したものは同書)
さらに、現地で学生同士が交流した際に「スウェーデンでは、なぜ若者は選挙に行くの?」と質問したら「え、政策や法律が変わったら、将来にわたってその影響を一番長く受けるのは若者じゃないか。むしろ、なんで日本の若者は選挙にいかないの?」と逆に質問されたことがあるというのです。(ⅳページ)
内閣府の調査には「子どもや若者が対象となる政策や制度については子どもや若者の意見を聴くようにすべき」という項目があり、結果は次のようになっています。
(「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」より)
スウェーデンでは、実際に子どもたちの意見表明権が保障されていますが、日本では子どもや若者の意見表明権という点では大きな課題があると言わざるを得ません。
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