前回は、実はスウェーデンの若者よりも日本の若者の方が政治に関心があるということを書きました。
この本の構成は、次のようになっています。
第1章 社会
第2章 メディア
第3章 個人と集団
第4章 経済
第5章 政治
第6章 法律と権利
教科書の訳が掲載され、その後大学生が意見交換をするという構成となっています。
第1章の社会は、「イントロダクション」として、「社会とは何か」「社会は何で構成されているのか」「社会にはどのような問題があるか」を提起し、それについてどのように考えていけば良いかという総論です。。
教科書は「社会とは何かということを、あなたは深く考えたことがあるでしょうか」という書き出しで始まり、目に見えないものと、見えるもので記述されています。
見えないものは、法律、男女の役割、男女平等、民主制、そして税金などが例示され、見えるものは、学校や病院、道路、家、車、牢屋などが書かれています。
さらに教科書で「私たちは、法律、規則、規範に従います」と書かれた直後に「法律や規則は変わる」と記されいるのも特徴だと感じました。そしてその具体的な学び方について、次のように書かれています。
原因は何か
その問題が起こった原因について、じっくりと考えて見ましょう。もっともありふれた方法は、「なぜなのか?」という質問を立てることです。その原因を、すべて「推測」によって突き止めることもよくあります。 (11ページ)
原因を入り口にして、比較し、別の方法を考え、解決策を提案し、またそれを検証していくというプロセスを「交通事故」を例にして考えていきます。
これに続いて出てくる大学生の感想は「日本の教科書では『正しい』とされる答えが決まっていて、それを暗記するだけだったけど、スウェーデンの教科書では、それが正しいかどうかを考えさせるという感じがするね」というものです。
さらに、200年前のスウェーデンと比較し、歴史の中でいまの自分たちの置かれている位置を見ていきます。ここでは「社会は変わる」ということを、過去と現在を比較することで検証しています。
前回も紹介した、内閣府が2013年に実施した「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」では、「一般的・基礎的知識を身に付ける」という設問があります
その結果を見ると、日本は「意義がある」と答えた割合が75.2%であるのに対して、スウェーデンは91.4%となっています。
鈴木教授は、「訳者による総括」で「スウェーデンの教科書は、『覚えよう』ではなく『考えよう』という学習スタイルが取られていることが分かります」とし、どう考えたかよりも何を覚えたかが優先されている日本の現状を指摘しています。
そして、次のように「総括」を結んでいます。
政治や社会の問題には、しばしば絶対的な答えがありません。常に正答が与えられるテスト対策を優先する日本の教育においては、生じている問題の解決策を探る能力を高めることはできません。自ら問題を分析し、その解決方法を導く能力を身につけさせるという教育を行っているスウェーデンでは、より自信をもって、積極的に政治や社会に参加する若者が育っているようです。(24ページ)
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