9月11日のワールド・トレード・センターでの出来事を
描いた映画、「ワールド・トレード・センター」が
今月9日に全米で公開され、公開初日に駆けつけた
一人の日本人のレビューを読む事が出来ました。
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「中枢同時テロが起き、旅客機がビルに突っ込む映像が
繰り返し流されると、日本で映像を見ていた一部の
人々から、『まるでハリウッド映画の破壊シーンを
見ているようだ。』という意見が出された。
ハリウッドで模擬的な破壊スペクタクルを作り続け、
世界中で金を儲け続けてきたアメリカを代表するビルの
一つが、現実のテロにより映画と同じ様に破壊される。
気の利いた物書きなら、確かにちょっと言及したく
なるだろう。(あの日私はマンハッタンにいて、テレビでは
なく肉眼で事件を目撃してしまったせいか、『ハリウッド
映画云々』とは全く思わなかった。
とうとうハリウッドは、『ハリウッド映画を見て
いるようだ。』と評された事件まで、わずか5年ほどで
『ハリウッド映画』にしてしまった。
一体、これをどう考えればいいのだろう。
映画『ワールド・トレード・センター』は観客を感動させる。
宣伝されている通り、『勇気とサバイバルの真実の物語』
だった。
しかし中枢テロは映画ではなく現実であったはずである。
あれがあったから、アフガン戦争があり、(実際には関係
なかったようだが)イラク戦争が始まり、今も人が死んでいる
わけだ。
この映画は観客を感動させる。私も泣き通した。
でも私は映画館を出た時、『だからなんだ。現実は何も
変わっていない。』と思う事にした。」
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近年のハリウッド映画の宣伝から、あくまで個人的にですが、
「迫力の追求」のために音声や視覚的刺激が多用されすぎて
鑑賞していてあまり落ち着かない作品が多い事、役者の演技力、
表現力に疑問を感じる事が少なくない事、また「感動」にせよ
「思想」にせよ周到に計算されつくした感じを受け、どこか
押し付けがましく感じてしまう印象を受けています。
この「ワールド・トレード・センター」という映画について、
監督自身は「これは実はWTCについての映画ではなく、
生命の危機に直面した人間が、生き残るためにいかに頑張るかを
扱った映画なんだ。」と語っていたそうです。
テーマそのものは非常に重いものですが、それでもやはりわたくし
の場合、特に足を運びたいとは思えずにおります…。