今回の議会には、昨年成立した「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法の一部を改正する法律」の施行に伴い、教育職員の業務量を適切に管理していくための基準等を設けるための条例案が提案されました。しかし、これは今後「1年単位の変形労働時間制」を学校現場へ導入可能としていくもので、条例案そのもにも問題があります。
日本共産党は、2018年11月に「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を・学校をよりよい教育の場に」という提案を発表し、現場の声を大切にしながら教師の多忙化解決に取り組んできました。今必要なことは、授業数に対して2割も少ない教員定数で、以前よりも多い業務をこなしているという異常な状態を一刻も早く改善することです。そのためには、自治体として政府に抜本的な教員増を求めるとともに、自治体独自にも教職員の増員を図っていくこと、合わせて今学校現場に押し付けられている不要不急の業務を廃止させていくことが必要です。
そういう立場で、問題点を指摘し、討論を行いました。
【討論の内容】
議第37号「熊本市職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正について」に対し、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
この議案は、昨年成立した「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法の一部を改正する法律」の施行に伴い、教育職員の業務量を適切に管理していくための基準等を設けていこうとするものです。
第1に、2019年12月に成立した「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法の一部を改正する法律」は、公立学校の教員に、「1年単位の変形労働時間制」を導入可能とする法律です。「1年単位の変形労働時間制」とは、労働基準法32条の4で定められた働き方で、「1日8時間労働」の原則を崩し、繁忙期と閑散期を設定した上で、繁忙期の所定労働時間を伸ばし、閑散期の所定労働時間をその分短くするというものです。労働者の健康と生活に問題が多いと考えられ、労使協定なしには導入ができないこと、「恒常的な残業がないことが導入の前提」とされています。公務員は適用除外とされていましたが、今回の法改正によって、教育職員に限って適用可能とされました。改正法の第7条が在校時間の上限を定めるもので、第5条が「変形労働時間制の活用」となっています。「変形労働時間制」は、繁忙期に過酷な労働条件が押し付けられるために、現場では「過労死が増える」「教員を続けられなくなる」などの不安と強い反対の声があります。
今回の条例改正は、第7条に関係するもので、国の指針等に基づいて、在校時間の上限を定めるものですが、国が示している改正給特法の施行に向けたスケジュールでは、第7条を先行しつつも、第5条「1年単位の変形労働時間制」についても、1年遅れて2021年度から施行していくことが示されており、今回の条例改正は、「変形労働時間制」導入の前提条件をつくり、「変形労働時間制」に道を開いていくものであり、重大な問題ありと指摘しなければなりません。
第2に、条例案そのものは、改正法第7条に規定する指針に基づき、在校時間の上限を定めるもので、条例と合わせ定められる規則に、具体的な上限時間やその運用などが定められます。そういう意味では、本市が定める規則の内容を審査することなく、条例案の可否を決めることはなりません。しかし、条例案が審議された教育市民委員会で、本市が定める規則の案を提出していただくことを求めたにもかかわらず、委員会に出されたのは、国が示している例示のみで、市がそれに沿って、どのような内容にするのかは不明なままでした。条例に則って行われていく業務の詳細を示すことなく、条例の可否を議会に問うというのは、議会の審議をおろそかにするもので、到底認められるものではありません。条例案を提出するにあたっては、その具体的内容となる規則ないし規則案を示して、充分な説明を行い、議会の賛否を問うべきであります。この点でも、今回の条例案は問題です。
第3に、内容の点でも、国が示している規則案の例示には、基本的な上限の時間を1カ月45時間、1年で360時間と定めているものの、別の項では、「通常予見できない業務量の大幅な増加等に伴い一時的または突発的に所定の勤務時間外に業務を行わざるを得ない場合には、1カ月100時間未満、1年間では720時間、4カ月以上の期間の平均で80時間」という定めがあります。これは、まさに過労死ラインと言われる時間数に匹敵するもので、やむを得ない理由があれば、条例が合法的に過労死ラインを認めてしまうということになります。しかも、委員会では、それがどういう場合に適用されるのかがあいまいなこと、教育委員会や学校が協議して適用を判断するとしていますが、一時的・突発的という突然の事情の時にきちんとした判断がなされるのかも曖昧で、ともすれば、通常の基準を超えて、一時的・突発的な場合というのが多用されかねません。期間外勤務の上限を定めて教職員の長時間労働を是正していくと言いながら、実際には、合法的に長時間勤務を認めることにつながるような今回の条例案の内容には賛同できません。
第4に、委員会の席上では、規則案を示さずに、国が示す通りの規則を定めていく旨の説明がありましたが、この点も問題です。今回の給特法改正案について、各自治体が条例案をどのように検討していくのか、先々の「変形労働時間制」導入の実施判断も含めて、条例の改正は自治体の判断にゆだねられています。しかし、本市の場合は、スケジュールも内容も、すべてを国の示す通りとなっており、本市の実情を踏まえた検討がなされているのか、疑問です。このような状態で、国言いなりともいうべきすすめ方で行けば、今後いよいよ第5条関係で、「変形労働時間制」導入についての検討が迫られた時にも、何ら現場の声を反映せずに、国の敷いたレールに乗って、過酷な長時間労働を強いる「変形労働時間制」を安易に導入することにもつながりかねません。国言いなりでは、教職員の長時間労働は改善しない点も指摘しておきます。
私ども日本共産党は、2018年11月に「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を・学校をよりよい教育の場に」という提案を発表し、現場の声を大切にしながら教師の多忙化解決に取り組んできました。今必要なことは、授業数に対して2割も少ない教員定数で、以前よりも多い業務をこなしているという異常な状態を一刻も早く改善することです。そのためには、自治体として政府に抜本的な教員増を求めるとともに、自治体独自にも教職員の増員を図っていくこと、合わせて今学校現場に押し付けられている不要不急の業務を廃止させていくことが必要です。本市においても、教育現場の声を丁寧に聞き取り、それに応えられるような教育現場の改革・改善をすすめていただくことをお願いして、討論といたします。
日本共産党は、2018年11月に「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を・学校をよりよい教育の場に」という提案を発表し、現場の声を大切にしながら教師の多忙化解決に取り組んできました。今必要なことは、授業数に対して2割も少ない教員定数で、以前よりも多い業務をこなしているという異常な状態を一刻も早く改善することです。そのためには、自治体として政府に抜本的な教員増を求めるとともに、自治体独自にも教職員の増員を図っていくこと、合わせて今学校現場に押し付けられている不要不急の業務を廃止させていくことが必要です。
そういう立場で、問題点を指摘し、討論を行いました。
【討論の内容】
議第37号「熊本市職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正について」に対し、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
この議案は、昨年成立した「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法の一部を改正する法律」の施行に伴い、教育職員の業務量を適切に管理していくための基準等を設けていこうとするものです。
第1に、2019年12月に成立した「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法の一部を改正する法律」は、公立学校の教員に、「1年単位の変形労働時間制」を導入可能とする法律です。「1年単位の変形労働時間制」とは、労働基準法32条の4で定められた働き方で、「1日8時間労働」の原則を崩し、繁忙期と閑散期を設定した上で、繁忙期の所定労働時間を伸ばし、閑散期の所定労働時間をその分短くするというものです。労働者の健康と生活に問題が多いと考えられ、労使協定なしには導入ができないこと、「恒常的な残業がないことが導入の前提」とされています。公務員は適用除外とされていましたが、今回の法改正によって、教育職員に限って適用可能とされました。改正法の第7条が在校時間の上限を定めるもので、第5条が「変形労働時間制の活用」となっています。「変形労働時間制」は、繁忙期に過酷な労働条件が押し付けられるために、現場では「過労死が増える」「教員を続けられなくなる」などの不安と強い反対の声があります。
今回の条例改正は、第7条に関係するもので、国の指針等に基づいて、在校時間の上限を定めるものですが、国が示している改正給特法の施行に向けたスケジュールでは、第7条を先行しつつも、第5条「1年単位の変形労働時間制」についても、1年遅れて2021年度から施行していくことが示されており、今回の条例改正は、「変形労働時間制」導入の前提条件をつくり、「変形労働時間制」に道を開いていくものであり、重大な問題ありと指摘しなければなりません。
第2に、条例案そのものは、改正法第7条に規定する指針に基づき、在校時間の上限を定めるもので、条例と合わせ定められる規則に、具体的な上限時間やその運用などが定められます。そういう意味では、本市が定める規則の内容を審査することなく、条例案の可否を決めることはなりません。しかし、条例案が審議された教育市民委員会で、本市が定める規則の案を提出していただくことを求めたにもかかわらず、委員会に出されたのは、国が示している例示のみで、市がそれに沿って、どのような内容にするのかは不明なままでした。条例に則って行われていく業務の詳細を示すことなく、条例の可否を議会に問うというのは、議会の審議をおろそかにするもので、到底認められるものではありません。条例案を提出するにあたっては、その具体的内容となる規則ないし規則案を示して、充分な説明を行い、議会の賛否を問うべきであります。この点でも、今回の条例案は問題です。
第3に、内容の点でも、国が示している規則案の例示には、基本的な上限の時間を1カ月45時間、1年で360時間と定めているものの、別の項では、「通常予見できない業務量の大幅な増加等に伴い一時的または突発的に所定の勤務時間外に業務を行わざるを得ない場合には、1カ月100時間未満、1年間では720時間、4カ月以上の期間の平均で80時間」という定めがあります。これは、まさに過労死ラインと言われる時間数に匹敵するもので、やむを得ない理由があれば、条例が合法的に過労死ラインを認めてしまうということになります。しかも、委員会では、それがどういう場合に適用されるのかがあいまいなこと、教育委員会や学校が協議して適用を判断するとしていますが、一時的・突発的という突然の事情の時にきちんとした判断がなされるのかも曖昧で、ともすれば、通常の基準を超えて、一時的・突発的な場合というのが多用されかねません。期間外勤務の上限を定めて教職員の長時間労働を是正していくと言いながら、実際には、合法的に長時間勤務を認めることにつながるような今回の条例案の内容には賛同できません。
第4に、委員会の席上では、規則案を示さずに、国が示す通りの規則を定めていく旨の説明がありましたが、この点も問題です。今回の給特法改正案について、各自治体が条例案をどのように検討していくのか、先々の「変形労働時間制」導入の実施判断も含めて、条例の改正は自治体の判断にゆだねられています。しかし、本市の場合は、スケジュールも内容も、すべてを国の示す通りとなっており、本市の実情を踏まえた検討がなされているのか、疑問です。このような状態で、国言いなりともいうべきすすめ方で行けば、今後いよいよ第5条関係で、「変形労働時間制」導入についての検討が迫られた時にも、何ら現場の声を反映せずに、国の敷いたレールに乗って、過酷な長時間労働を強いる「変形労働時間制」を安易に導入することにもつながりかねません。国言いなりでは、教職員の長時間労働は改善しない点も指摘しておきます。
私ども日本共産党は、2018年11月に「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を・学校をよりよい教育の場に」という提案を発表し、現場の声を大切にしながら教師の多忙化解決に取り組んできました。今必要なことは、授業数に対して2割も少ない教員定数で、以前よりも多い業務をこなしているという異常な状態を一刻も早く改善することです。そのためには、自治体として政府に抜本的な教員増を求めるとともに、自治体独自にも教職員の増員を図っていくこと、合わせて今学校現場に押し付けられている不要不急の業務を廃止させていくことが必要です。本市においても、教育現場の声を丁寧に聞き取り、それに応えられるような教育現場の改革・改善をすすめていただくことをお願いして、討論といたします。