上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

ワクチン・検査・補償の3つを一体として進めることを求めて討論・・・・臨時議会報告その5

2021-05-24 10:13:47 | 熊本市議会
5月20日の臨時議会では、質疑と合わせて、新型コロナ感染種の関係で提案された補正予算1件と専決処分4件について、賛成討論を行い、更なる対策と支援の充実を求めました。
討論内容は、以下のとおりです。

変異株の広がりで感染急拡大、新規感染者数は高止まり
ワクチン・検査・補償の3つを一体として進め、公の責任で「コロナ封じ込め」を

議第159号乃至162号専決処分の報告について、議題163号一般会計補正予算について、一括して賛成討論を行います。
 「第4波」を迎えた新型コロナ感染症は、変異種の広がりの中で、急速な患者の増加を招き、新規感染者数は高止まりの状況です。5月16日から6月13日までの「まん延防止等重点措置」適用により、時短要請の対象区域も市内中心部から市内全域へと広がっています。感染者の内訳も、20代から30代の若い方々への感染が最も多くなっており、変異種の感染力が強く、幅広い世代へ急速に広がっていることが窺えます。医療現場の状況も、病床使用率は9割、重症用病床使用率も8割以上となっています。深刻な感染拡大をどのように抑えていくのか、まさに今が正念場です。第一にワクチンの安全・迅速な接種に責任を負うこと、第二は大規模検査を実行し感染を封じ込めること、第三は十分な補償と生活支援を行うこと、これらワクチン・検査・補償の3つを一体として進め、公の責任で「コロナ封じ込め」をはかる、これがいま強く求められています。
 今議会に報告されている専決処分は、6月定例会を待つことなく、速やかに提案実施されている点は評価しつつも、改善点を指摘しなければなりません。
ワクチンの安全・迅速な接種については、市の不手際から大きな混乱でスタートすることになりました。専決処分の高齢者の移動支援としてのタクシー券支給は、ワクチン接種を効果的にすすめるものと言えます。しかし、第1回目の接種に間に合わせるよう急いだこともあり、どうやって届くのか、どんな内容なのか、どのようにして使うのかなどなど、当事者に情報提供がないままのスタートとなり、私どもにも問い合わせが殺到しました。数十万人規模が対象となるワクチン接種については、市民への適切な情報提供なしには、適切な事業実施ができないことが、浮き彫りになりました。あらためて、保健所体制はじめ、新型コロナにかかわる分野の業務について、正確・迅速な業務の遂行ができるよう、体制確保が急務と思われますので、全庁的な規模で区役所等も含め、対応を検討していただくようお願いしておきます。
今朝の新聞には、委託業者の不手際に由来するワクチン配送ミスの問題が報道されていましたが、新型コロナに関わるさまざまな事業は、ほとんどが新たに発生するもので、公が責任を持ち実施すべき事業でありながら、その多くが民間委託の手法によって行われています。民間事業者もまた急な人材確保に苦労しながら事業を実施しています。今後も続く委託によるコロナ対応の中で、ミスが発生しないように市がしっかりと業務の遂行を見守るような仕組みも必要ではないでしょうか。また、保健所他、市の体制確保につきましては、重ねて特段措置を講じていただくようお願いしておきます。
 今回報告されているモニタリング検査では、県境を越えた移動者等に対する無料キット配布が行われたことは一歩前進と考えます。しかし、質疑で指摘しましたように、この事業は目的を移動による感染の拡大防止としていますので、検査キット配布から検査結果が届くまでに数日かかる今のやり方では効果的とは言えません。質疑で答弁されたように、今後実施を検討されている抗原検査等も含め、広くスピーディな検査の実施をお願いしておきます。
本市においては、医療機関・高齢者施設等従業員に対する一斉検査や中心市街地の飲食店における検査等も実施されてきましたが、変異株の割合が高まり感染が急拡大する中では、より一層PCR検査を拡充し、その中で変異株検査の割合を引き上げていくことが重要であるとの専門家の指摘もあり、政府対策本部の対応にも変異株対策の強化、無症状者のモニタリング検査や高齢者施設などでの集中的・定期的検査の強化が盛り込まれています。しかし、医療機関の治療目的の検査と保健所等が行う濃厚接触者等への検査、2つの公費で行う検査は患者発生後の「後追い検査」で、患者が増えれば検査も増えるが、患者が減ると検査も減ってしまうということを繰り返してきました。市中感染が広がり、感染経路不明者の割合が6割を超えた今、後追い検査だけでなく、感染源となりやすいところへの面的検査、リスクの高い方々への社会的検査に加え、無症状者を対象にした検査の拡充が重要な局面になっています。ワクチン同様、世界的にも遅れてきた日本の検査の実情を再認識し、今回の駅やバスターミナルでの検査にとどまらず、「いつでも、だれでも、何度でも」受けられる広島県のような無料PCR検査に取り組むべきです。この検査は、広島市が今年1月に行った8,000人対象の大規模検査試行実施の成果と分析を踏まえ全県へと発展させられたものです。この取り組みでは、大規模検査の意義についても、住民へわかりやすく解説・広報されており、是非学んでほしいと思います。本市においても、無症状者へのモニタリング検査に取り組んでいる今、少なくとも、保健所等の行っている行政検査については対象を狭めることなく、濃厚接触者に加え、希望する接触者については速やかに実施するよう改めていただくことを要望しておきます。
「補償」という点では、今回の専決や補正にも種々の経済支援策が提案されています。コロナの長期化は、中小零細企業を直撃し、事業継続の多くの事業者が経営継続の危機に直面しています。民間のリサーチ会社の調査では、新型コロナに起因する経営破綻は、現在1,400件を超え、時短営業などの打撃を受けた飲食店を中心にした「息切れ倒産」が増加していると指摘しています。同じく、昨年度の個人消費は6%落ち込み、飲食業に関わる他の業種にも波及しています。加えて、移動の減少による減収もあり、コロナの影響により、広範囲に事業者が困難な状況に陥っています。市の支援は時短等に協力した事業者とその関連にとどまり、地域全体の事業者の実態を見据え、対応したものとなっていません。感染のまん延防止には、一定の制限もあることは否定できませんが、それは補償と一体となって効果あるものとなります。感染源となりやすい飲食店に時短等を求め、そのための一定の補償をすることは当然ですが、地域経済は、様々な業種の活発な経済活動によって成り立っていることを考えるならば、コロナ禍を乗り切り、コロナ後の経済をすみやかに活性化させるためにも、新型コロナの影響によって事業が落ち込んでいる事業者の実態を幅広く調査し、事業継続のために必要な支援を実施していくべきです。また、第1波の時に比べ、長期化で経営状況は一層悪化しているにもかかわらず、支援が拡充されずに第4波の対応がなされていることは、実態に合っていない点を厳しく指摘し、支援の充実を強く要望しておきます。
緊急対策・第15弾では、収束後の経済対策として、プレミアム商品券とGOTOトラベルに5・5億円の専決処分が行われました。今回の専決処分や補正予算の中では、国が実施するひとり親世帯支援特別給付金12億7000千万円に次ぐ予算額です。しかし、緊急対策第15弾が打ち出された4月28日は、「第4波」の到来で感染の急拡大が始まった時でした。その前日、4月27日には、奈良県で4月26日から始まった「Go Toイート」の食事券追加販売に批判が集中し、販売の一時停止が決められ、謝罪会見がテレビに流れました。私どものもとにも、「なぜ今緊急対策がアフターコロナですか、アフターコロナまで事業が続けられるかわからないのが現状。感染が急拡大し、収束が見えない今、アフターよりも今の逼迫した状況にこそ支援してほしい。市長はどこを見ているのか。」との厳しい意見が寄せられました。これが現実ではないでしょうか。
 いろいろと述べてまいりましたが、変異株拡大の中でのコロナ封じ込めに、ワクチン・検査・補償という3つの観点から、対応と支援を抜本的に拡充していただくようお願いして、討論と致します。
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