東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

賃貸人の承諾ある転貸借は賃貸人が転借人に明渡を請求したときに終了する

2006年11月01日 | 最高裁と判例集
判例紹介

 賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に終了するとされた事例(最高裁平成9年2月25日判決。判例時報1599号69頁)

 (事案の概要)
 X(転貸人)は、A(所有者で賃借人)から建物を賃借し、これをAの承諾のもとにY(転借人)に転貸していたが、Aに対する賃料の支払を怠ったため、Aは昭和62年1月に賃貸借契約を解除し、同年2月、XYを被告として建物明渡請求訴訟を提起し、勝訴判決得て、平成3年11月、強制執行により建物明渡しを受けた。その後、Xは、Yが昭和63年12月以降Xに転借料を支払っていなかったので、Yに対して、昭和63年12月から明渡まで未払転借料の支払を求めた。第1審及び第2審はXの請求を認めたが、Yはこれを不服として上告した。

 (判決の概要)
 本判決は、「賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借人が目的の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権限(転借権)を有することが重要であり転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させることを怠るものにほかならない。そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合において、賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、遅くとも右返還請求を受けた時点から返還義務を履行するまでの間の使用収益について、不法行為による損害賠償義務又は不当利得返還義務を免れないこととなる。他方、賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして、転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは、もはや期待し得ないものというほかなく、転貸人の転借人に対する債務は、社会通念及び取引通念に照らして履行不能というべきである。したがって、賃貸借契約が転貸人の債務履行を理由とする解除により終了した場合は、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である」と判示し、昭和63年12月の時点では転貸借契約は終了していたとしてXの請求は棄却した。

 (寸評)
 賃貸借契約が転貸人の債務履行で解除された場合、賃貸人の承諾のある転貸借契約がどうなるかについては、判例もあいまいであったが、本判決は賃貸人が転借人に明渡を請求したときに終了すると明確な判断を下したもので、今後の指針となるものである。

                 (弁護士 堀 敏明) 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民生活センターが消費者契約法施行後5年間の消費生活相談時件数発表

2006年11月01日 | 消費者トラブルと消費者契約法
 国民生活センターは、消費者契約法施行5年の消費生活相談の件数と裁判の状況について10月に発表しました。
 各地の消費生活センターで受付けた消費者契約法に関連するこの5年間の相談件数は合計8776件で、そのうち第4条(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)関連の相談が7541件(85・9%)で、第8条から10条関連の相談が1179件(13・4%)となっています。第4条関連の相談を項目では、「不実告知」が4729件と最も多く、次いで「監禁」(退去妨害)1297件となっています。また第8条から10条関連として、アパート等の契約書で問題が多いとされています。消費者契約法に関連する裁判の概況では、同センターで収集した消費者契約法に関連した訴訟のうち判決があったものは平成18年8月末現在で92件、とくに敷金返還請求に関する判決が4件あり、原状回復に関する特約を消費者契約法第10条により無効とする内容で、敷金の返還が認められる傾向にあると指摘されています。

借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094

11月1日から、組合の相談は 土・祝日を除く毎日相談に応じます。

 組合への入会も歓迎  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする