東京多摩借地借家人組合

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競売の買受人が突然現われ建物の即時明渡請求を迫る

2006年11月20日 | 借地借家の法律知識
川越市の金沢さんは2001年12月から旧い一戸建ての建物を家賃5万3000円で借りている。期間満了は本年11月30日である。
 4月中旬に突然、競売物件を専門に扱う不動産会社の社員が来訪し、建物を競売で買受けたので5月31日までに立退きを完了して貰いたい。この条件が呑めるのであれば5月分の家賃の支払は猶予する。それに加えて立退料20万円を支払う。それ以上、立退きが延びるのであれば立退料は一切支払わない。
 金沢さんは現在、失業中で雇用保険だけで生活している。11月には雇用保険も打切られる。すぐ引越し出来ない理由を縷々説明した。居座りは認めないの一点張りで、10日間だけ回答を猶予すると言って社員は帰っていった。
 翌日、市の消費者相談室へ相談すると担当者がインターネットで検索して東借連を紹介した。巡って台東借組への電話相談となった。 組合は、競売になったのであるから当然、建物に抵当権が設定されていた筈である。建物の抵当権設定登記の日付と、不動産会社に所有権移転登記が終了しているのか法務局へ行って登記簿の閲覧をするように説明した。金沢さんから再び電話があり、建物の移転登記は未だ完了していないが、建物に抵当権が1997年5月に設定されているという。抵当権設定後に賃貸借契約を結んでいる所謂短期賃貸借であり、新家主に対抗出来る。2004年4月1日に短期賃貸借保護制度は廃止された。だが経過措置で、短期賃貸借の保護制度は適用される。しかし居住権が保護されるのは契約期間満了日のまでの約7か月間であること、家賃は二重払いの危険があるので1か月程様子を見ること、敷金は新家主から返還されることを説明した。


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