東京多摩借地借家人組合

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借地上の建物を登記しないでいたら、地主が土地を転売したら

2006年11月12日 | 借地借家の法律知識
(Q)借地をして建物を建てましたが、建物の登記をしないでいましたら、地主が土地を他人に売ってしまいました。新地主は建物の保存登記がないことをいいことにして、敷地の明渡しを請求してきました。

(A)地上建物の登記がない場合(たとえ新地主が所有権を取得する際に借地権のあることを知っていても)、借地人は新地主に借地権のあることを主張し得るかどうかが問題です。
 一般には、新地主が悪意(借地権の存在を知っている)であってもこれに対抗できません。保存登記は借地人が自分でできるのにしなかったのだから自業自得だともいえるわけです。
 しかしこれでは事件の性質からいってもあまりに酷だという場合もでてきます。新地主の明渡し請求が、借地人に地上建物の登記がないことにつけこんで、なされていると認められるとともに、その他の事情が借地人に明渡しを請求するのは行き過ぎだと思われる場合は、借地人は新地主の権利濫用を主張して対抗することです(最高裁・昭和42・9・3判決)。
 借地借家法第10条1項では「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」とされています。借地権の対抗力である建物の登記をすることは、第三者に借地権があることを証明する重要な手段ですので、忘れないで建物の保存登記を必ずしておきましょう。

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賃借人に無断で建物に侵入し鍵を取り替えた行為が違法

2006年11月12日 | 最高裁と判例集
家賃の滞納があったときは建物に立ち入ることができると定めた契約条項に基づいて賃借人に無断で建物に侵入し鍵を取り替えた行為が違法であるとして、賃貸管理業者の損害賠償責任が認めれた事例。(札幌地方裁判所平成11年12月24日判決 判例時報1725号)

  この事件で問題となったのは、マンションの賃貸借契約に入っていた「賃借人が賃料の支払いを7日以上怠ったときは、賃貸人は直ちに賃貸物件の施錠することができる。また、その後7日以上経過したときは、賃貸物件内にある不動産を賃借人の費用負担において賃貸人が自由に処分しても、賃借人は異議の申し立てをしないものとする」という条項である。

 賃借人は入居後に雨漏りがするためカビが発生したことについて、管理会社に苦情をのべたところ、同社はカビによる被害の弁償には応じられないと答えた。そこで賃借人は賃料の支払いを停止したところ、管理会社は賃料を督促し、期日までに支払いなき場合にはドアをロックし、マンション内の立ち入りを禁止すると通告してきた。賃借人は督促に応じなかったところ、管理会社はマンション内に立ち入り、鍵を取り替えた。

 判決では、問題の契約条項について「賃貸人側が自己の権利を実現するため、法的手続きによらずに通常の権利行使の範囲を超えて、賃借人の平穏に生活する権利を侵害することを内容とするものということができるところ、このよう手段による権利の実現は、┅┅緊急やむを得ない特別の事情が存する場合を除くほか、原則として許されないものというほかなく、そのような特別の事情がない場合に適用される限りにおいて、公序良俗に反し、無効である」として、マンション管理会社に対し10万円の損害賠償の支払いを認めた。 国民生活センター「暮らしの判例集」より

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