東京多摩借地借家人組合

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貸主が依頼した宅建業者の更新手続に際し報酬支払義務があるのか

2006年11月15日 | 賃貸借契約
(問)賃貸借契約を更新する際、貸主に委託された不動産業者の仲介で契約の更新手続が行われた。その際の更新手数料(家賃の半月分)を不動産業者から請求された。支払わなければならないのか。

(答)賃貸借契約の期間満了した場合、合意で契約を更新する。その際に不動産業者(宅建業者)が賃貸人と賃借人の間に入って契約の更新手続を行うことが日常的になっている。この場合、宅建業者は更新手続の依頼者に報酬を請求出来るのは勿論であるが、直接依頼していない者に対しても報酬の請求が出来るのか。
 「宅地建物取引業者は商法543条にいう他人間の商行為の媒介を業とする者ではないから、商事仲立人ではなく、民事仲立人である」(最判1969年6月26日)と言われている。民事仲立人とは、他人間の商行為以外の法律行為の成立に向けて尽力する事実行為であり、他人間の商行為の成立を目的とする商事仲立と区別される。民事仲立については明文の規定がなく学説・判例は一般に民事仲立を準委任と解している。従って宅建業者の行う媒介行為は民法上の準委任関係になる。宅建業者が当事者に報酬を請求出来るのは媒介に際して委任を受けた当事者に限られる。
 しかし宅建業者は営業として媒介を行うので商法上の商人に該当する。商人がその営業の範囲内において他人のために一定の行為をしたときは相当の報酬を請求することが出来る(商法512条商人の報酬請求権)。だが宅建業者が委任を受けない相手に対して商法512条に基づく報酬請求権を取得するためには「客観的にみて、該当業者が相手方当事者のためにする意思をもって媒介行為をしたものと認められることが必要である。単に委託者のためにする意思を持ってした媒介行為によって契約が成立し、その媒介行為の反射的利益が相手方当事者にも及ぶというだけでは足りない」(最判1975年12月26日)としている。
 従って宅建業者が契約更新に際して報酬請求が出来るのは依頼者である貸主に限られ、依頼していない相談者には報酬を請求出来ない。相談者に更新手数料を請求するのは不当である。
 なお宅建業者が依頼者である貸主に対して報酬請求出来る上限は賃料の1ヶ月相当額+消費税である。

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