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八神純子 1979年4月5日発売
大ヒット曲「みずいろの雨」が収録されていますが、これを買った目当てはB面4曲目の「渚」です。
この曲は昔、ラジオに流れていたのをテープにエアチェックしました。伊藤強さん(音楽評論家)のDJのあと、2曲連続で放送された後の方で、1曲目は町田義人さんの「白いサンゴ礁'79」でした。
のですが、実はそのテープ、後から上書きしてしまい、前奏と、ギターソロの始まる後奏部分だけ残して、消えてしまいました。ちなみに上書きした録音は奥村チヨ「終着駅」(部分。そのあと交通情報)です。なんなんだそれ。
なので実は、後から何の曲かわからなくなっていたのです(テープには曲の前に伊藤強さんのナレーションで「なぎさ。」という紹介が入っていたのですが、曲名とは気がつかずにいました)。さらに言えば、八神さんの曲だともわかっていませんでした。
曲名が分かったのは、今年9月のある土曜日の午後のことです。
車の中で「ラジオマンジャックショー」を聴いていたら、あの非常に印象的なギターソロが聞こえてきました。
ちょうど駐車場に車をとめるところだったので、早速スマホを取りだしてシャザりました。
ら、八神純子「渚」だとわかった。
んだったのかあ。
調べたら、この曲がシングルカットされたということもないみたいですね。その時のラジオマンジャックのお題が何だったか忘れたけど、ずいぶんマイナーなタイトルを選んだものです。
御蔭で数十年来わからなかった曲のタイトルがわかって、すっきり。
感謝です。
テープに入っていた「白いサンゴ礁'79」の、オリジナルは'69年に発表された、ズーニーブーというグループの曲(町田義人氏はそのメンバーだった)ですが、こちらは時代を映しているのかやや重めのアレンジでした。
'79バージョンは対して非常に軽快な印象を受けます。間奏、後奏のサックスも、自由で気持ちよさそうに流れていく。
「渚」も同様で、ひじょうに軽いタッチの仕上がりとなっています。伊藤強さんは、その辺の共通項を感じて、ラジオで続けて流したのかもしれません。
言ってみればトロピカル・ムードなのですが、これはこの時期、時代の基調として、流行っていたのではないかな。今思うと。
時代をさかのぼると、これより少し前はもう少し重め、暗めの色調の曲が出ていました。一時期の研ナオコさんとか、桜田淳子さんとか。やっぱり中島みゆきさんとか、受けてましたから。
当時新しく出た人でも、渡辺真知子さんとかは、ちょっと重いですよね。
その基調もしばらく続くのですが、一方で竹内まりやさんとか、杏里(は最初はしんみりしてたけど)さんとかも出てきて、少しずつ変わってきた。久保田早紀異邦人とか、ちょっとエスニックなものも出てきた。
自分達くらいの世代は、当時その辺はよくわからないまま、受け止めていた気がします。ただ、このふわあっとした、軽い感じは、いまどきの若い子たちはどう思うのかしら。
このあと、更に時代が進むと今度は、暗いものが否定されていくんですよね。松田聖子さんが「性格は 明るいはずよ・・」と歌ったり、イリアちゃんが「あれ? 私って 暗い性格なのかな?」と歌うとか。
八神さんの曲は当時もその後も、ひじょうに熱心に聴いていた訳ではありません。ただ、一世を風靡しましたから、それなりに聴いてはいる。いま聴き返すと、やはり大したものだと思います。
世代のずれ感によって受け止め方が違うと思いますが、僕から見ればすごい大人の女性で、なんだかお金持ちのお嬢さんで、もし目の前にいたら、自分が野暮ったく思えて恥ずかしくなるような感じ・・あくまで歌から来る印象ですよ。本人と会ったことないし、インタビューとか聞いたわけでもない。
ちょっと不愛想な第一印象だけど、実は良い人、みたいな。
そういうのが、音楽を聴いて伝わるのはすごいことです。。レコード(絵画も映画もそうですね)って不思議で、時代、世代が超越するんですよね。フランソワーズ・アルディもすごく女性っぽいし、ジェーン・フォンダもいい。
八神さんにもどってこのアルバム、既にちょっとラテン風なリズム感が全体的に感じられますが、それが品よく収まっている感も同時にします。どこかに日本の清潔感が感じられる。
ちょっと飛躍するけど、島耕作みたいな、とてもスマートなんだけど日本人、みたいなものを感じるんですね。。
車で言うとトヨタって、CMで西洋人がハンドル握っててもなんか日本、だけど、(一時期の)ホンダなんかはまんまアメリカ、みたいな。トヨタは日本人の感覚で完全に消化されている。だからというか、ニューヨークでもバンコクでもカブールでもモスクワでも、あ、トヨタ車、ってすぐわかりますよね。。
というようなことを、音楽聴きながらつらつら考えてみたりします。。