うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

あとは永遠の平安・・

2016年07月10日 | 日記・エッセイ・コラム

映画「ヒトラー最後の12日間」で、1か所だけ、ヒトラーが笑うシーンがある。

アルベルト・シュペーアが、総統地下壕を訪ね、暇乞いをしたとき、ヒトラーは自殺することについて語った。

死ぬのは簡単だ、一瞬のことで苦痛も感じない、という。

そして、「あとは永遠の平安…。」 と言いながら、満足そうに笑う。 シュペーアは、もう何ヶ月もヒトラーの出した破壊指令(ネロ指令のこと)を実行せず、むしろ逆のことをしました、と打ち明ける。聞いたヒトラーは憮然とする。

短いシーンだが、最晩年のヒトラーの心境と置かれた状況が、見事に表現されている、と思う。

総統地下壕に潜り込み、東はソ連、西は連合国の進撃を許し、ベルリン陥落まであと数日ではないか、と言われてきた頃のことだ。軍の退却、降伏、総統自身のベルリン脱出も拒否している。

ヒトラーへの信任は、もうずいぶん前から損なわれてきていたはずであり、前年7月20日には大がかりな暗殺未遂事件も起きている。むしろここまで総統の地位にとどまり続けていたという事実の方が、不思議に思えるくらいだ。

既にイタリアではムッソリーニが、公衆の面前で死体を晒し者にされている。ヒトラーがいちばん気にしたのはただ、自分の死後、遺体を敵に引き渡されたくない、ということであった。側近はもちろん、ドイツ国民が戦後をどう生きるかなど、全く念頭になかった。むしろ、自分と一緒に消えてしまえばいいとすら、考えていた。

死ねば永遠の平安が訪れる。

開戦以来6年間に数千万人の人々を死に追いやった男は、本当に自分に平安がもたらされると考えていたのであろうか。

たぶんではあるが、本気でそう思っていたのだろう。これほどの権力者ではなくても、あらゆることを自分本位に歪曲して解釈できる人は世間にはたくさんいる。というより、自分を客観的に公平に観察できる人の方が少ないかもしれない。

ヒトラーの場合、解釈の歪曲具合があまりにも極端であり、かつ彼なりに整合のとれた世界観に基づいたものであったこと、そして、その彼だけの世界に多くの人が招き入れられ、そしてすっかり魅了させられてしまったというところが、ふつうの人とは違っていたのだろう。

先月読んだ「帰ってきたヒトラー」文庫版の解説で、マライ・メントライン氏が同様のことを述べておられた。この解説はとても見事なもので、それに付け加えるべきことはないと思う。物事をゆがんだ世界でとらえる。それも、あらゆる物事を同じ視点から、等しいゆがみ方で捉えるというのは、誰にでもできることではないのかも知れない。

しかし、ゆがんだ世界観というのは必ず破綻するものだ。40代半ば、首相になったばかりの頃のヒトラーなら、その破綻を目立たぬように見えないところに追いやるとか、一件問題ないように見せることができていたはずだ。最晩年のヒトラーは、その柔軟性やごまかしができなくなっただけで、破綻した世界観そのものは昔からそう変わっていなかったのだと思う。

まあ、あえて言うならば、彼はそうした化け物的な破綻をきちんと見せて、この世を去ってくれたと言うことにもなるのかな。

 

話は飛ぶけど、村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の「私」は、自我を守ろうとする傾向が非常に顕著な人、とされている。そして、自分の心の奥底に「世界の終わり」という物語世界を作り上げている。小説ではこうした能力は、誰にでも与えられているものではなく、「私」以外の多くの人は混沌し矛盾した物語世界しか築き得ない、のだという。

平行して語られる「世界の終わり」のなかでは、「街」の住人は「心」を失っており、それ故に平安な生活を享受している、とされている。「僕」の隣人である大佐は言う。

「あるいは君はこの街のなりたちのいくつかのものが不自然に映るかもしれん。しかし我々にとってはこれが自然のことなのだ。自然で、純粋で、安らかだ。君にもいつかそれがわかるだろうし、わかって欲しいと私は思う。・・心を捨てれば安らぎがやってくる。これまでに君が味わったことのないほどの深い安らぎだ。そのことだけは忘れんようにしなさい。」

この、一見完璧に見える世界が、実は矛盾のしわ寄せを掻い出して完璧なように見せている世界なのだ、ということに、「僕」は次第に気づいていくという物語なのだが・・。

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はんぶん

2016年07月09日 | 日記・エッセイ・コラム

相変わらず忙しい日々が続いていますが、とりあえずここで折り返し点。

けさ出かけるときはずいぶん強くあめが降っていましたが、それも午後遅くにはやんできた。

連日遅くまで仕事されている方たちは、それなりに慣れて日々きちんと暮らしておられるのだろうけど、こちらは残業初心者なもので、疲れもするが、食生活が乱れて弱った。

遅くかえってその辺のものをつまむとか、コンビニでてきとうなものを買ってきて、仕事中につまんでいるとか、食生活がしゃびいなものになってしまって、こまる。

まあ、この間でも人と会ったときに、立派なクイック・ランチとかごちそうになったりしているんですけどね。

今日は6時過ぎに、久し振りに外食。まだ明るいうち、お店も空いている時間にゆっくり食事をするのはなんともぜいたく。。

プレートの料理なのだけど、どういうわけかきょうは、べつの皿に目玉焼きがついてきた。。

頼んだわけではない。しばらく来ないうちにメニュー内容が変わったのだろうか。それとも、お店の心遣いで一品つけてくれたのだろうか。。

そうだとしたら、ひとことお礼を言わないといけないよな。。

などとあれこれ考えながら、別皿の目玉焼きを食べてしまう。

コーヒーを飲み終え、テーブルに置かれた伝票を取り上げてレジに向かう。

伝票を裏返して見ると、目玉焼き 50円 としっかり書かれていた。

もしかしたら、ほぼ同じ時間に店に来た人が色々注文していたので、その人と間違えたのかも知れない。

その人も別に、「注文した料理が来ない」と言ってはいなかったけど。

いずれにしても、「メニューかわりましたか?」とか、「目玉焼きありがとう」などと声を掛けなくて良かった・・。

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遅い日が続きます

2016年07月07日 | 日記・エッセイ・コラム

毎日仕事というわけでもないのですが、ほかの予定も含めてなかなか時間がとれません。

ので、ちょっと記事が書けなくなってます。いや、全然時間がないわけでもないけど、間があくとちょっとリズムが狂ってきて、書きだせなくなったり。

途中まで書いて中断すると、勢いがそがれて書き続けにくくなったりする。

 

記事の間があいてくると、1本あたりの文章量が長くなる傾向も生まれてきますね。やはりリズムが大事。

日々を無事に過ごせていることに感謝しながら。。

季節の変わり目で、体調も今ひとつ。今朝はちょっと限界を感じたので、急用ということにして、少し遅く出社(内緒ですよ)。そのぶん、帰りがまた遅くなって。。

 

 

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困ったこと

2016年07月01日 | 日記・エッセイ・コラム

6月が押し詰まり、ちょっと精神的ににつまった。

しごとも妙に忙しかったり、いろいろあったが、日常生活でもなんやかやと困ったことが増えた。たとえば;

1 インコのコラージュ写真

Facebookの非公開グループで、小鳥関係のものに加入している。いつもは参加者たちが投稿する、可愛らしい小鳥たちの写真に癒やされているのだが・・。

今週に入って妙な流行が、疫病のようにひろがった。画像を加工して、インコにかつら(ロングヘアの女性とか)をかぶせたり、目を人間の(横長の)目になったり、果てはくちばしが人間の唇になって、歯を見せたりガムを噛んだりする(もと絵は静止画だが、動画になる)、というコラージュだ。

次々といろいろな人達が、自分たちのインコをコラージュして「ブームに乗ってみました」「私もやってみました」と追随する。人の好みは様々だが、特にくちばしが唇になって動く、なんてのは相当に気味が悪い、と思うんだけど。。一度見るとトラウマになって残りそう。。

最初は1枚ずつ非表示にしていたが、そのうちなぜか非表示が選べなくなったので、人ごとに一時的にブロックしている。普通の投稿はできれば見続けたいので。。

普通にかわいいでいいじゃないですかね。。

 

2 いぎりす。

こないだ民主主義発祥の地でうんぬん、と持ち上げたつもりだったのに・・。直接民主主義の限界ですかねえ。

いっそ、EU域内全体で賛否を問うたら…。あまり意味ないな。

3 迷惑メール。

いくつか持っているアドレス全体で、月末にかけて猛烈に増えた。いわゆる標的型と言うやつだと思う。英文のビジネス文書風で、Documents forwarded とか、Financial reports みたいなタイトルが今回は多かった。発信元はハックされた一般の人なのだろうけど、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリアあたりのものが多い。職場のアドレスと、それを転送している自分のアドレスに多く届く。ということは、リークもとは職場ではないかと疑ってはいる。あとはSNSか。このアドレスは長年迷惑メールが一切届かなかったのだが、2年ほど前にそれが破られてしまった。

べつのアドレスでは日本語形式のものもあり、「駐車場代 請求」だったかのタイトルがついていた。

これらのアドレスは、特定の目的でしか使わないので、峻別はしやすい。特定のアドレスで受信拒否してもきりがないので、題名でフィルターしているのだが、一件失敗したことがある。知人とランチの約束をしていて、先方が返事をしたのに、それが届かなかったのだ(フィルターされてしまったらしい)。

知人は、X日にしましょう、と書いて出したのに、それに対する僕の返事はなかった(届いてないので)。

ので、不審には思ったが、当日現地まで行って、店の前で待っていたそうだ。とうぜん待ちぼうけだ。

キーワードで受信拒否するのは、十分に注意が必要だ。幸い、その後FBで連絡がついたが、こちらは平謝りだ。

この種のメールは一定の期間に集中的に送られ、それが過ぎるとぱたりと止まってしまうのが特徴だ。今回も、6月末を過ぎたらその後は来なくなっている。

4 Ever Note

Ever Noteは便利に使っている。無料のコースだが、PC、タブレット、スマホに入れてある。普通のクラウドは、全体の容量に制限があるが、Evernoteは一月の転送容量が一定範囲内なら無料、というスタイルだ。

ウェブを見て気になったページを、プラグインのEvernoteでクリップする、という使い方が多い。それと、テキストノートとして、文字通りノート代わりに使うこともかなりしている。昨年あたりから、昼休みにスタバで、本を読んでは気になったことをEvernoteに書き込む、ということをしていて、その集積はかなりのものになる。類似のサービス、Dropboxとかone noteなどもあるが、Evernoteがいちばん使いやすいと思って使っていた。

そのEvernoteから通知が来て、この夏から無料コースの人は試用できる端末を2台に制限するのだという。有料コースは月400円ぐらいからあるらしい。

2台というのは痛い。自宅のPCとオフィスのPC、または自宅PCとスマホ、とかにせざるを得ないが、利便性は大きく落ちる。たとえば、オフィスで仕事中気になったニュースなりサイトなりをいったんEvernoteにクリップして、自宅で見直すとか、出先でタブレットで見る、みたいなことがしにくくなる。そうなるとEvernote自体をだんだん使わなくなるということになるかもしれない。まあ、ただより高いものはないわけで、お金を払えば引き続き使えるのだが、長年無料でやってきたので、やはり考えてしまう。。

とりあえず、テキストメモはOne DriveやGoogleのマイドライブで使えないかと試してるが、今のところタブレットで作ったワードファイルが、PCで読めないというトラブルに直面している。。

 

・・まあ、実務的にはEvernote問題が喫緊の課題かも知れません。どれもそんなに深刻な話ではないですけどね。

温故知新というか、昔の職場近くに寄ったので、蒸し暑い中ちょっと歩いてみました。

 当時はあまり意識してなかったけど、なんとなく時間がゆったりと流れているような感じ。

 まあ、お店とかはずいぶんと変わってしまっているけどね。

 

 

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