『美味しんぼ』の“魯山人のご飯”を再現!
出典元
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/blog-entry-489.html
「本ばないならブログをお読み」
本日再現する漫画料理は、
『美味しんぼ』にて山岡さんたちが大原社主らに
食の大本に気づいてもらう為にご馳走した“魯山人のご飯”です!
もともとこのご飯を最初に再現したのは、
山岡さんの知人でもあり実在する料理店「京味」の店主・西さん。
この方が以前、富山県の礪波村に行かれた際に魯山人から
このご飯をご馳走された方のお話を詳しく聞いたことがきっかけでとにかく
それを食べたくなり、
東京に帰った朝にすぐ作ってみたとの事でした。
作り方はというと、はさみで細切りにした一メートル弱分の利尻昆布を、
かきたてのかつお節でとったお出汁で何回かに
分けながら加えてとろとろになるまでよく混ぜ、
最後に濃い口醤油で味付けした物を
土鍋で炊いた炊き立てご飯の上へかければ完成です。
一見単純な料理に見えますが、
これらは全て最高の材料と最大限の手間をかけるが為に
輝きの放つ一品となるのだそうです。
山岡さんいわく「このご飯は日本の美味の原点にして極致」で、
あの頑固な大原社主をして
「この味は何と表現すればいいのだ!」
とまで感動させ、最終的に究極のメニューの
本来の趣旨を思い出してもらうことに成功します。
今の私の資金力と腕ではどこまで真に迫った
再現が出来るかわかりませんし、
中には「こんな物、実物と違う」と
ご不快になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それでも大体どんな味なのか非常に気になりましたので、
出来る限り全力を尽くしてレシピを忠実に再現してみます。
という事で、レッツ再現調理!
まずは、かつお出汁の準備。本来なら削りたてのかつお節がいいのですが、
削り器が周辺で見つからなかったので、
やむなく手に入る限りいい品質のかつお節を買いました
(私が使用したのは、「かつおかれぶし削り」という、かつお節の伝統製法の全工程をきちんと守って作られたかつお節です)。
このかつお節で濃い出汁を取って漉しておきます。
次は、昆布の用意。
利尻昆布を一メートル分はかり、
その分だけキッチンハサミで細く切ります。
この時、昆布は濡れ布巾で湿らせてから
切った方がキレイに切りやすいです。
昆布を全て切り終えたら、大鉢の中へ入れておきます。
そこへ、先程とっておいたかつお出汁をお玉で三杯投入し、お箸でよくかき混ぜます。
泡立ってきたらさらにお玉で二杯かつお出汁を加えて混ぜ、
また泡立ってきたらさっきと同じようにお出汁を二杯入れ、
ひたすらかき混ぜます(この時、手早くしないとくどくなるそうですので注意)。
最後らへんになると、
すり鉢の中は昆布とお出汁でとろんとろんになってブクブクと
泡立ちすごい状態になりますので、
ここで初めて濃い口醤油で味を整えて混ぜておきます。
これで、昆布の方は準備完了です。
混ぜている間、前の記事“至高のメニューの主菜”の時
と同様に近くの精米機で当日朝に精米しておいた
お米を土鍋で炊いておきます。
実は、土鍋でご飯を炊くのは今回が最初だったので緊張しましたが、
何とか失敗せずに炊けたのでほっとしました(^^*)。
この炊き立てご飯をご飯茶碗によそい、
お玉一杯分気持ち多めに昆布と出汁を注いだら、
“魯山人のご飯”の完成です!
ちょっと昆布を乗せすぎたかもしれません(^^;)。
昆布好きなので、ついこうしちゃいました。
ただ、香りは鼻がとろけそうなくらい素晴らしかったです。
それでは、いざ実食!いただきます!
これぞ至高の味。
知らなくて損していたってくらいおいしいです。
昆布から出て来た濃厚な出汁、ねっとりとしたとろみ、
複雑かつ繊細な旨味が、
ふっくらしてほのかに甘い炊きたてご飯の一粒一粒へと
まんべんなくまとわりついており、
これらを一気にすすりながら口へかきこむと、
何とも言えない程美味で思わず絶句します。
いつもはほとんど脇役である事が多い昆布ですが、
今回は主役そのもので、
奥深く上品でありながら底力のある旨さを見事に発揮していました。
作中で部長は「清澄で豊かで優しいが、芯に鮮烈な味がりんとしてたっている!」
と表現していましたが、まさしくそんな感じです。
また、かつお出汁のふくよかな風味も相当に強くて全体と調和しており、
このご飯の味わいをかなり高めるのに役立っていました。
舌触りは卵かけご飯やめかぶかけご飯
と大変似ているのですが、
それらよりもずっと生臭くなくて旨味成分が凝縮されています。
昆布のコリコリした食感もいいですし、
絶対また再現したいと思う究極の一品でした。
正直、完璧な材料で作られていなくてもこの味なのなら、
本気で作った
“魯山人のご飯”はどれだけおいしいのだろうと俄然興味が湧いてきました。
こうなったらコツコツ貯金して鰹節削り器
を買ってみようと思います(職人物を買おうと思うと、えらく高値なのですorz)!
◎追記(2014.9.2)
…と書いて早四年経ちますが、
残念ながら鰹節削り器の購入も、
リベンジもできずに淡々と齢を重ねてまいりましたorz。
しかし、最近本格的な醤油を親戚から頂いて
「これで“魯山人のご飯”を作ってみたい!」と感じたのと、
今まで再現した漫画料理の中で五本の指に入る
あの美味しさをまた体感したいと思ったという
二つの理由で、また再現してみる事にしました。
作り方は上記のレシピとほぼ同じですので目新しい所はありませんが;、
ご興味をお持ちの方に少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
という事で、レッツ再現調理!
まずは、昆布の下準備。
北海道産の利尻昆布を一メートル分用意し、
キッチンハサミで細く切ってすり鉢の中へ入れます。
一方、別の鍋で本枯れ鰹節から取っておいた
お出汁を布で漉し、ボウルに移してすぐに使えるように準備しておきます。
次は、混ぜ作業。
先程の昆布が入ったすり鉢へ、
鰹出汁をお玉三杯分投入してお箸で手早くよくかき混ぜ、
段々泡立ってきたら鰹出汁をまた二杯入れてガーッと混ぜます。
またブクブク泡が出て汁全体にとろみが出てきたら、
再度鰹出汁をお玉二杯分注ぎ、
何度も何度もかき混ぜます
(この時、短時間で混ぜ切らないとくどくなりますので要注意です)。
やがて、すり鉢の中が昆布とお出汁でとろんとろんの
ブクブクになってきたら、
ここで初めて濃い口醤油を加えて味を整え、再びよく混ぜ合わせます。
これで、ご飯にかける昆布つゆは出来上がりです。
※今回使った醤油は、蒸した粒選りの大豆と炒った小麦に
麹菌を加え発酵させ、
塩水とともに吉野杉の木樽で3年
という長い熟成期間を経て作り上げた、
本醸造手造り醤油・「醤露(ひしおづゆ)」という商品です。
塩気よりもまろやかな旨味が先に立つ奥深い醤油で、
最初ひとなめした時は衝撃を受けました
(ちなみに、和歌山県の秋幸醸造さんの商品です)。
その間、土鍋で精米したてのお米を炊き、
底からさっくりと混ぜて少し蒸らしておきます。
炊き立てのご飯をお茶碗へやや少なめによそい、
その上へさっき出来たばかりの昆布のおつゆを
たっぷりかければ“魯山人のご飯”の完成です!
昆布と鰹のこゆ~い香りがガツンと鼻腔を突き抜ける感じは、
最初に再現した四年前と全く同じで、何だか懐かしい気持ちになります。
今回も昆布を景気よく入れたかったんですが、
作中の絵を確認した所むしろ昆布は控え目でしたので、
泣く泣くちょっと飾る程度に留めました(←出し殻の昆布と鰹節は、四年前と同じく佃煮にリサイクルして朝食のお供にしました)。
一見、卵かけご飯
に見えなくもないので戸惑いますが;、
早速食べてみようと思います!
それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
いただきます!
さて、二度目の感想ですが…相変わらず、
得も言われぬ美味さ。
正直、これに匹敵する料理はそうそうありません。
まるで極上の昆布醤油を何倍にも濃縮して熟成させたような、
贅沢な濃口の出汁醤油味で、
めかぶよりも数段上をいくコシのあるとろみに驚かされます。
前にも書きましたが、独特の生臭さと卵黄のコクがない事を除けば、
見た目も味も舌触りも卵かけご飯にかなり似ている為、
卵が食べられない方に「昆布風味の精進料理風卵かけご飯」
としてお出しする事も可能では…と感じました。
品質のいい昆布のみが持つ、
高貴としかいいようのない圧倒的な旨さに舌が震えます。
濃ゆいとんこつスープを飲んだ後、
脂が唇にまとわりついてヌルヌルとくっつく事がままありますが、
これは脂の代わりに高密度の昆布出汁だけが持つ驚愕の粘りが、
唇どころか口中をご飯と共にねっとりと絡む感じで、
恍惚としました(←こんなに濃密なのに、一応植物性なので後味が爽やかなのが素晴らしいです)。
特に今回は、三年寝かせたおかげで全く塩辛くなく大豆の旨味が強い
手作り本醸造醤油を使った分、
完成度は四年前よりも上回っていましたので、
ちょっとした感動を味わいました。
昆布の滋養をたっぷり堪能できる贅沢なご飯ですので、
また時間がある時に作りたいな~と思いました。
●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全て
こちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
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ありがとうございました。