そのベーカリーカフェは、
昼時はお子さま連れのママさまグループと、
お一人さまの女性客が9割を占める人気店だった。
店舗はすっきりとしてかっこよく、
パンもコーヒーも品質がよく、
スタッフはお客に挨拶を欠かさない。
まず申し分ないお店なのだ。
しかし、もやもやとした気持ちが生まれて仕方ないので、
一応書き留めておくことにする。
このお店はセルフサービスだ。
ご存知の方も多いかもしれないが、
抜群にかっこよくデキるサービスマンたちに囲まれて育ったわたしは、
ブッフェ、ドリンクバー、セルフサービスの業態に点が辛い。
とはいえスターバックスやドトール、スープストックトーキョーはヘビーユースだし、
セルフ業態が嫌いなわけではない。
メリットも大きいことは充分理解している。
セルフサービスのメリットは
→サービス人件費を下げられる(ひいては客単価を下げられる)
→客席にサービスマンが行かないことで、会話をしたくないお客にとっては
わずらわしさがなく、自由な雰囲気になる
だと思うのだが、
→このお店の昼客単価は1000円をやや超えたあたり
→サービススタッフの人数が多く、談笑している
のを見ると、
下げ膳ぐらいしたほうがいいのではないか?
と思ってしまう。
忙しいほうが、いいでしょ?
することがないスタッフさんたちは、
このセルフサービスのしくみを「維持する努力」に
時間を費やすことになり、すなわちお客に指示することが任務になっている。
レジで「あちらでコーヒーを受け取ってください」
パンを運んできた際には「お帰りの際はあの台に下げてください」
子ども客が間違った場所に並ぶと「あっちに並んでください」
これじゃあ、楽しい会話も生まれない。
配膳と下げ膳のちょっとしたタイミングがないことで、
お客と楽しく会話するというサービスマンにとって最大のチャンスが失われている。
もうひとつは、
一人客が下げ膳をするときに荷物を席に置いて
(思えば入店時の席取りでもそうだ)、
両手でトレイを運んでいくのを黙って見ていることだ。
外国育ちが長い方がセルフサービスの店に行くと、
日本人が荷物やスマホを席においたままレジに行くのを見て、
無防備さにあきれるといっていたが、
日本だって置き引きの危険はある。
最近ではセルフサービス店でも
「そのままで置いておいてください」と言って厨房から飛び出してくる
こともあるぐらいだから、
このお店もつるんと澄ました表情ではきっといられまいと思うのだが。
まあ、余計なお世話といえばそれまでだが、、、、。