在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

9月になって

2007-09-03 23:16:05 | もろもろ、つれづれ
9月に入って、イタリアはやっと平常通りに戻りつつあります。
車の渋滞も、まだ本格的ではないとは言え、戻ってきました。
でも、多くの学校はまだ始まらず、全てが普通に動き出すのは9月も半ばになってからでしょう。
本当に、イタリアの8月は、カレンダーからすぽっと抜けてしまったような、7月からすっ飛んで9月になる感じです。
さて、9月に入って、レストラン記事を書き始めました。どのガイドブックでも紹介されているありきたりなレストランではなく、田舎の素朴なレストラン、良い素材を使ったレストラン(個人的に思い出多いところが多いですが)をできるだけ紹介したいと思います。日本にお住まいの方、車がない方には行くのが難しく、申し訳ありませんが。。。

”ラ・カヴェヤ” ピエトラヴァイラーノ -カンパーニア

2007-09-03 05:15:19 | レストラン
"La Caveja" Pietravairano -Campania
食通の愛読レストラン年鑑に、ガンベロ・ロッソの「リストランティ・ディタリアristoranti d'italia」があり、毎年年末に翌年号が発行される。
評価は、100点満点の点数制(点に合わせてフォークの数が最高3つまで付く)をとっているが、上位に食い込んでいるのは、必ずと言っていいほど創作系新イタリア料理のレストランである。そして、ワインバー、トラットリアとなると、比較のしようがないというところから、点数なしの紹介だけにとどまっていた。しかし、うまく考えたもので、ここ数年、ワインバーとトラットリアを、点数なし、「フォーク」ならぬ「エビ」で評価することとし、非常に受けている。エビの最高数は3つ。2007年は全国に星の数ほどあるワインバー、トラットリアの中で15店が選ばれた。しかし、欲を言うと、ワインバーとトラットリアが同じ線上に並ぶのにも無理があると思うので、いずれは、評価を分けて欲しいものだ。
「カヴェヤ」はエビ2つ。ナポリの北、カセルタ県にあり、高速から道が良いので、近くでお昼になった時には結構使えると思う。
以外に結構広い。造りは素朴な田舎風。壁にはびっしりワインの棚があり、部屋は広いのだが、ちょっと暗い。しかし、いくつかのアーチ型の大きな窓の外は、南イタリアの明るさ。部屋に入ると一瞬、眩しい光とほの暗さのコントラストに目が眩む。
ここは、野菜が美味しい。野菜をふんだんに使った前菜、そして、豆、野菜の素朴なスープがとてもお腹に優しい。それでは足りないという人は、セコンドに、シンプルに調理されたお肉を食べよう。物足りなさは必ずや吹っ飛んでいく。
最初に行った時は、全体にやや塩辛過ぎる感じだったが、次に行った時はそうでもなかった。まあ、南イタリアのトラットリアでは、塩をぐっと控えた料理にはそうめったに会えないから、仕方ない。強いくらいの塩味が、体に刺激と活力を与えてくれるかのようである。
デザートも素朴で美味しい。ワインは、まずまず。でも、こういう場所では、気取った高級ワインではなく、ハウスワインで充分である。
お腹が一杯になって外に出ると、気持ちの良い庭園スペース。そして、アグリ風に宿泊もできるようになっている。


”イル・パパヴェロ” エボリ -カンパーニア 

2007-09-03 02:53:34 | レストラン
"Il Papavero" Eboli -Campania
カルロ・レヴィの著名な作品のタイトルになっているエボリの町。キリストは、エボリより南には来なかった、という南部イタリアの貧しさを描いたものだが、この小説のおかげでエボリを知らないイタリア人はいないだろう。
エボリは、ナポリより南のサレルノを、さらに南に行ったところにあり、南イタリアのどこにでもあるようなごく普通の田舎町である。
その町の噴水-というかまるで金魚の水槽のようでもある-と、のんびりできるいくつかのベンチのある小さな広場に面してこのレストランはある。
テーブル数は7つか8つ程度で、規模は非常に小さい。店内はシンプルモダン。このレストランは好きで、2度行った。場所が場所だけに、値段が安い。
料理は、南イタリアのシンプルな素材を丁寧に料理した新イタリア料理。しかし、創作に傾き過ぎていない。また、南イタリアを良く意識しているのにとても好感が持てる。そう、ここは南イタリアの田舎町。ミラノやローマ、ナポリなどの都会とは全く違う空気が通り過ぎる。メニューデグスタツィオーネ(お勧めセット)もあるが、アラカルトで頼んでも懐が全然痛まないのも嬉しい。味は全体に優しく、主張し過ぎず、厳選されたカンパーニャ州のワインにとても良く合う。パンも全て手作りで、焼きあがる度に(4-5回)違うものを持ってきてくれる。これがまた美味しく、ついつい食べ過ぎてしまう。満足・満腹状態で、ワインも入れて一人40ユーロちょっと。本当に嬉しいレストランである。場所が辺鄙で、将来がやや不安ではあるが、ぜひぜひ、末長く続いて欲しい。