在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”ソーヴィニオン・ラ・フォア 2006” コルテレンツィオ

2007-09-07 06:24:20 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
“Sauvignon La Foa 2006” Colterenzio -Alto Adige
注意:ラベルの写真は、カベルネ・ソーヴィニオン(赤)のもの。
一度見たら忘れられないド派手なラベル。古くからアルト・アディジェでも最も良いワイナリーの一つの地位を築き上げているコルテレンツィオの「ラ・フォア」シリーズである。赤のカベルネ・ソーヴィニオンと白のソーヴィニオンの2種がある。
ワインの方もかなり華やかだが、ラベルほどド派手ではない。しかし、エレガントで、パワーも持ち、大変パフォーマンスの良いワインである。
色は当然濃い目。
ソーヴィニオンと言えば猫のおしっこ臭、と言っていたのはちょっと昔のことで、今ではあまりソーヴィニオン=かなりくさい香り、とは言わない。
しかし、ソーヴィニオン独特の匂いはあり、私は、米ぬかのような香りのような気がしている。イタリア人に米ぬか、と言ってもまずわからないが、梅干や紫蘇などと共に日本人特有の香りの一つのように思う。そして、ちょっとくさいわけではないが、独特の香りは、サンブーカ(ニワトコ)の香りに共通しているところがあるかも知れないと思う。
香りは、他に、柑橘系、グレープフルーツの香りが強い。ミネラル臭もある。そして、香草、スパイスなど。香りは強く、複雑性は申し分ない。
味は、とにかく、白なのにどーんとボディがあり、ほろ苦さが広がる。そしてすぐにまろやかさがほろ苦さを包むように広がり、一口で印象的。インパクトがある。オレンジの香りが広がり、酸はあるが、まろやかさに隠れる。味の強さ良く、持続性は当然あり、とても長い。
本当に華やかなワインである。
ヴィンテージは2006。リストには2004とあったが、来たのを見たら、どう見ても2006だった。間違いのような気もするが、見間違いではない。


頭にくること

2007-09-06 07:31:39 | 行ってはいけない
イタリアに住んでいると、頭にくることは星の数ほどある。
それが、個人的範囲である場合には良いのだが、言葉もわからない観光客が騙されたり、嫌な思いをすることがあっては残念である。
そこで、思いっきり頭にきた今日、「行ってはいけない」コラムを立ち上げることにした。
クレームがついても嫌なので、場所の正確な名前は出さないが、ちょっと調べたり、考えたりすれば、わかるように書くつもりである。
ローマに旅行をしよう、と思っている方の参考になれば幸いである。

ローマ、ピンチャーナ門を出てすぐのJホテル

2007-09-06 07:25:18 | 行ってはいけない
ローマの北、ボルゲーゼ公園の隣、ピンチャーナ門を出てすぐの場所に近代的な有名チェーンホテル、J・V・ベネトホテルがある。
夜、お客様が到着し、チェックインをした。
5分後に下りていらした時、喫煙のお客様が、禁煙室になっているのでできれば変えて欲しい、と言う。荷物も開けず、そのままになっている。事情を話し、しかし、予定が遅れて急いでいたので、部屋番号を記したメモを残し、そこに何かあった場合(喫煙室がないなど)に備えて、私の携帯の番号を書き加えた。
そうしたら、後で気が付いたのだが、食事中に、「君はなんて魅力的なんだ」という実にくだらない携帯メッセージが届いていた。仕事が終わって家に帰る真夜中の時間にもまた、「おやすみ」のメッセージが届いた。そして、それだけで終わらず、翌日、「返事の一つくれたっていいじゃない」と来た。
もう、アホらしくて言葉がないが、さすがに、次にホテルに行った時に、誰か知らないけどいいかげんにして、とホテルにクレームをした。
公私混同の、こんないいかげんな行動をするのが働いているなんて(それも、これが初めてではないだろう)ホテルのレベルの低さがミエミエだ。
それに、お客様の禁煙室→喫煙室の変更もやっていなかったし、最終的には、禁煙室でもいいです、とお客様が諦めた。最低である。
こういうホテルに行ってはいけない!

”カミネット・ドーロ”ボローニャ -エミリア・ロマーニャ

2007-09-05 07:50:27 | レストラン
”Caminetto d’Oro” Bologna –Emilia Romagna
ボローニャは、食通の町である。というより、エミリア・ロマーニャ州全体が食通の地域と言っても良いかも知れない。生ハムで有名な、食い倒れの町と言っても過言でないパルマも同じ州にある。
ボローニャは、多少雨が降っていても傘があまりいらない町である。ポルティコと呼ばれる、2階が張り出した造りが多いので、下はオープンなアーケード街のようになり、雨の時も、また、暑い夏も日よけになって嬉しい。
ボローニャに夜に着いて、簡単に食べられるところは、と言うことで探したので、もう少しトラットリア風、つまりカジュアルな感じかと思ったら、とてもおしゃれなレストランだった。シンプルモダンで、清潔で雰囲気はとても良い。
メニューもボローニャ伝統料理と言うより、創作系が多く、しかし、肉の美味しい地域らしく、ポルペッテ(肉団子)をはじめ、どれもが美味しかった。おしゃれ、シンプル、良い素材、一工夫、が合言葉のよう。中でも、タルタルにマスタードの粒が出てきて、これをゴリゴリすってかける。マスタードと言っても粒だから、特に辛い訳でもなく、ほのかにピリッと感じる程度、香り付け程度である。しかし、ほんのりマスタードの香りというのが良く、ローマに帰ってすぐに、食料品店でマスタードの粒を買った。以来、家で、サラダや肉料理などにゴリゴリやっていて、他にももっと工夫したいと思っている。

”ラ・ロカンダ・ディ・アリア” カストロヴィッラリ -カラブリア

2007-09-04 01:10:33 | レストラン
 "La Locanda di Alia" Castrovillari -Calabria
カラブリアの一番北の方、コセンツァ県のカストロヴィッラリという小さな町のはずれにある。
サレルノ-レッジョの高速からそう離れていないので、行こうと思えば行けなくはないが、それより以前にカラブリアまでいくのが大変である。しかし、カラブリアでは最も良いレストランであることは間違いがないし、イタリアの全レストランを網羅した(とまでいうと言い過ぎか。。)ランキング”チヴィルタ・デル・ベーレCivilta' del bere”でも、2007年、堂々107位に位置している。
いくつかのワインのところでも書いたが、ピヌッチョ氏とガエターノ氏兄弟の経営で、敷地内に小さなプールがあり、奥の離れは宿泊施設になっている。田舎風の、こじんまりとしたシンプルデザインだが、アクセントに適度に壁画が描かれていてかわいい。
レストランの方は、ゆったりした造りで、客席はそう多くはない。場所が場所だしで、そうかしこまる必要がないのが嬉しい。メニューは創作系新イタリア料理だが、素材が非常に良い。そして、カラブリアという土地を意識し、土地の素材を十二分に使っている。これが食べたいんだけど、と言っても、既にピヌッチョ氏の頭の中では、一つの流れがあり、それもいいけど、これなんかどうか、と言われているうちに、いつの間にかその流れの上に乗っていることになる。
ワインも、カラブリアにしては(と言ったら失礼だが)、とても良い品揃え。美味しい料理、ゆったりした空間(夏は外で食べられる)、美味しいワイン、楽しい会話、ここではそれらが一通り揃う。なお、地元の伝統的食後酒のバラ水他、何種類もあるカラフルな色の手造り食後酒も甘いが美味しい。

9月になって

2007-09-03 23:16:05 | もろもろ、つれづれ
9月に入って、イタリアはやっと平常通りに戻りつつあります。
車の渋滞も、まだ本格的ではないとは言え、戻ってきました。
でも、多くの学校はまだ始まらず、全てが普通に動き出すのは9月も半ばになってからでしょう。
本当に、イタリアの8月は、カレンダーからすぽっと抜けてしまったような、7月からすっ飛んで9月になる感じです。
さて、9月に入って、レストラン記事を書き始めました。どのガイドブックでも紹介されているありきたりなレストランではなく、田舎の素朴なレストラン、良い素材を使ったレストラン(個人的に思い出多いところが多いですが)をできるだけ紹介したいと思います。日本にお住まいの方、車がない方には行くのが難しく、申し訳ありませんが。。。

”ラ・カヴェヤ” ピエトラヴァイラーノ -カンパーニア

2007-09-03 05:15:19 | レストラン
"La Caveja" Pietravairano -Campania
食通の愛読レストラン年鑑に、ガンベロ・ロッソの「リストランティ・ディタリアristoranti d'italia」があり、毎年年末に翌年号が発行される。
評価は、100点満点の点数制(点に合わせてフォークの数が最高3つまで付く)をとっているが、上位に食い込んでいるのは、必ずと言っていいほど創作系新イタリア料理のレストランである。そして、ワインバー、トラットリアとなると、比較のしようがないというところから、点数なしの紹介だけにとどまっていた。しかし、うまく考えたもので、ここ数年、ワインバーとトラットリアを、点数なし、「フォーク」ならぬ「エビ」で評価することとし、非常に受けている。エビの最高数は3つ。2007年は全国に星の数ほどあるワインバー、トラットリアの中で15店が選ばれた。しかし、欲を言うと、ワインバーとトラットリアが同じ線上に並ぶのにも無理があると思うので、いずれは、評価を分けて欲しいものだ。
「カヴェヤ」はエビ2つ。ナポリの北、カセルタ県にあり、高速から道が良いので、近くでお昼になった時には結構使えると思う。
以外に結構広い。造りは素朴な田舎風。壁にはびっしりワインの棚があり、部屋は広いのだが、ちょっと暗い。しかし、いくつかのアーチ型の大きな窓の外は、南イタリアの明るさ。部屋に入ると一瞬、眩しい光とほの暗さのコントラストに目が眩む。
ここは、野菜が美味しい。野菜をふんだんに使った前菜、そして、豆、野菜の素朴なスープがとてもお腹に優しい。それでは足りないという人は、セコンドに、シンプルに調理されたお肉を食べよう。物足りなさは必ずや吹っ飛んでいく。
最初に行った時は、全体にやや塩辛過ぎる感じだったが、次に行った時はそうでもなかった。まあ、南イタリアのトラットリアでは、塩をぐっと控えた料理にはそうめったに会えないから、仕方ない。強いくらいの塩味が、体に刺激と活力を与えてくれるかのようである。
デザートも素朴で美味しい。ワインは、まずまず。でも、こういう場所では、気取った高級ワインではなく、ハウスワインで充分である。
お腹が一杯になって外に出ると、気持ちの良い庭園スペース。そして、アグリ風に宿泊もできるようになっている。


”イル・パパヴェロ” エボリ -カンパーニア 

2007-09-03 02:53:34 | レストラン
"Il Papavero" Eboli -Campania
カルロ・レヴィの著名な作品のタイトルになっているエボリの町。キリストは、エボリより南には来なかった、という南部イタリアの貧しさを描いたものだが、この小説のおかげでエボリを知らないイタリア人はいないだろう。
エボリは、ナポリより南のサレルノを、さらに南に行ったところにあり、南イタリアのどこにでもあるようなごく普通の田舎町である。
その町の噴水-というかまるで金魚の水槽のようでもある-と、のんびりできるいくつかのベンチのある小さな広場に面してこのレストランはある。
テーブル数は7つか8つ程度で、規模は非常に小さい。店内はシンプルモダン。このレストランは好きで、2度行った。場所が場所だけに、値段が安い。
料理は、南イタリアのシンプルな素材を丁寧に料理した新イタリア料理。しかし、創作に傾き過ぎていない。また、南イタリアを良く意識しているのにとても好感が持てる。そう、ここは南イタリアの田舎町。ミラノやローマ、ナポリなどの都会とは全く違う空気が通り過ぎる。メニューデグスタツィオーネ(お勧めセット)もあるが、アラカルトで頼んでも懐が全然痛まないのも嬉しい。味は全体に優しく、主張し過ぎず、厳選されたカンパーニャ州のワインにとても良く合う。パンも全て手作りで、焼きあがる度に(4-5回)違うものを持ってきてくれる。これがまた美味しく、ついつい食べ過ぎてしまう。満足・満腹状態で、ワインも入れて一人40ユーロちょっと。本当に嬉しいレストランである。場所が辺鄙で、将来がやや不安ではあるが、ぜひぜひ、末長く続いて欲しい。