在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”バルバレスコ・ラバヤ 2006” ジュゼッペ・コルテーゼ

2009-06-06 14:55:23 | Piemonte ピエモンテ
“Barbaresco Rabaja 2006” Giuseppe Cortese –Piemonte(点数8.5+)
バローロとバルバレルコの、毎年恒例で開かれている試飲会がある。
ベネト通りの終りのホテルの屋上で開かれ、会場の外に一歩出ると、素晴らしい眺望が開けている。
さて、今年は、なぜか立て続けに同じような試飲会がイタリア・ソムリエ協会で開かれたためか、いつもより人の入りが少ない。
しかし、どんなに多くても、なかなか良い軽食も出るし、しばらくすると、軽食を求めてみんな外に出てしまうから、たいてい、ワインの並んでいるホールはがらーんとしてしまう。
ワイン好きにとってはうれしい限りだ。(食べ損ねる可能性はあるが…)
クネオ市の商工会議所主催の試飲会なので、一応招待状がないと入れない。
招待状をもらうのは、関係者ということになるはずだが、なんだか、いつも、食事目当てに来ている普通の人が非常に多いような気がする。(普通の人かそうでないかは基本的にグラスの持ち方でわかる。)

バローロとバルバレスコと言っても、全てのワイナリーのワインが出ている訳ではない。
ガヤや、たとえばマスカレッロ、カペッラーノなどは出ていない。
そして、各社1種のみとなっているので、ベースを持ってくるところ、何種かのクリュのうちの1種を持ってくるところ、いろいろバラバラである。
共通しているのは、ヴィンテージ。
今年のバローロは2005年、バルバレスコは2006年であった。

時間に限りがあったし、ちょうど来ていた、有能若手ワインジャーナリストのアルマンドに注目ワイナリーを聞いた。
もちろん、有名どころ、知っているところもあったが、全く聞いたことのないところ、飲んだことのないワイナリーもあった。
このワイナリーは、そのうちの一つである。

なかなか地味、というか渋いラベルである。
かなりきれいにほんのりとアニマル臭が出ていて、エレガント。
アニマル臭というと、エレガントからは遠ざかってもおかしくないわけだが、逆。
葉巻たばこなどのスパイス、ドライのスミレとバラ、フルーツは小さな森の木の実、熟したフレッシュなのもにコンフィが混じるくらいで、奥行きがある。
酸味が優しく広がり、タンニンがきれいで、程良い渋みがある。タンニンの質はもちろん良い。
持続性もよく、フルーツの後味がとても心地よい。なかなやるねー、という感じであった。

迷宮の町 モノポリ(プーリア)

2009-06-05 07:47:27 | もろもろ、つれづれ
車でプーリアへ行った。
お昼のレストランに、モノポリにあるガンベロ・ロッソ「エビ2」のレストラン、正確にはトラットリアに行くことにした。
電話で予約をする。OK。
住所はマッツィーニ通り。非常にありふれた名前で、明らかに市の中心だとわかる。
そして、マッツィーニ通りはビットリオ・エマヌエレ2世広場から出ているとの記述が本にある。
イタリア統一の王様の名前が付いている広場は、市の中心、おそらく銅像の1つは立っている大きな広場だと推測できる。
これでバッチリ!迷うことなんてないよね、と思った。

モノポリの町の近くまで着く。市内へ入る。ちょっと行くと、大きな広場に出た。
直感で、これだよね、と思うが、名前が書いていない。

イタリアの道路、広場の名前は、決してわかりやすいとは言えないが、適当な角にある大理石の看板に書いてある。
広場はかなり大きいし、彫刻らしきものも立っているし、これが目指す広場のようだが、きっと違うのではないと思い、さらに中心らしきところを目指す。
だって、町の中心のビットリオ・エマヌエレ2世広場なら、名前が書いていない訳がない。

しかし、どうもおかしい。
迷ったかも?と思ったので、町の人に聞いてみる。
しかし、マッツィーニ通りは知らない、ビットリオ広場も、なんだかよくわからないというような答えである。いかにも住民なのになんか変?
やっと、マッツィーニ通りは知らないが、広場はそこだよ、と教えてくれる人に出会った。そして、いざ。広場へ出ると、案の定、一番最初の広場だった。やっぱり!

とにかく、マッツィーニ通りはここから出発しているのだから、8本くらいある通りの角を一つ一つ見ていけば、すぐに見つかる。
ところが、広場の看板も、通りの看板も全くない。
看板がなければ、名前がわからないのだが…

そこで、しかたなく、レストランに電話を入れた。
すると、そこで待ってろ、と。
しばらくすると、やってきた。エプロンをして、走っているからすぐにわかった。
話をすると、モノポリの町には、通りの名前を示す看板がほとんどないらしい。
だから、初めての客は迎えに行くことになるから、気にしないで、と言われた。
そーだったのか…モノポリは迷宮の町なのであった。

カッシーノから列車(?)で帰る

2009-06-04 05:17:49 | もろもろ、つれづれ
ローマとナポリのほぼ中間に位置するカッシーノというところから、列車でローマへ帰ることになった。
ポンテ、つまり「橋」をかけた連休(4日間)の最後の日である。
まあまあ大きな駅ではあるが、ユーロスターなどの特急は停まらない。
連休最後のせいで、ホームには100人程度の人が列車の到着を待っている。

あと5分で列車が入るという時になって、アナウンスが入った。
「カンポバッソから来てローマ・テルミニへ行く列車は、バスに振替になりました。前の広場から出発します」
あと5分もすれば列車が来るはずなのに、これはいったい何事?遅れているわけでもないし、ちゃんと表示はあるし。???
アナウンスを聞いて、さっさとホームを離れる人がいたので、これはバスに乗り乗り損ねては大変と、私も出口へ向かうことにする。

駅前の広場には、バスが一台。運転手はいない。
ぞろぞろと集まってきた人が25人くらい。
列車に乗る予定の人はもっといたのに、意外と少ないのにびっくりした。
で、周りの人たちの会話に耳を傾ける。そして、事が分かってきた。
つまり、列車がキャンセルになったわけではなく、列車自体の振替輸送というのでもなく、カンポバッソを出発して、すでに超満員になっている列車に乗る人を振り分けようというのであったのである。
私たちが、駅前広場でバスの運転手を待っているうちに、列車は駅に到着し、出発したらしい。
ローマまで行かない人は、当然列車に乗ったわけだし、ローマへ行く人でも、事情がわかっていて、超満員でも座れなくてもいいという人は乗ったようである。(列車の方がバスより速い)
なるほど。
イタリアに、ほとんど四半世紀いても、まだまだ学ぶことがあるのだと感心した。
バスは、列車の到着予定より少し遅れてローマに到着したが、快適に座れたのでよしとしよう。

ところで、バスの運転手はイタリア国鉄からの依頼でただローマへ行くだけである。
そこで、バスに乗る時も、車中でも、降りる時も、誰も切符をコントロールしなかった。
つまり、タダ乗りをしようと思えばできたということである。
信じられない!

”テルラネル 2006” カンティーナ・テルラーノ

2009-06-03 17:39:38 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
“Terlaner 2006” Cantina Terlano (Cantina Terlan) –Alto Adige(点数7.5)

本当に信頼できるワイナリーである。
アルト・アディジェ州は個人経営のワイナリーに対して、組合経営のワイナリーが多く、組合経営というと、一般には(他州では)品質が良くないにもかかわらず、非常にこうレベルを保っている。組合員一人一人が自覚を持ち、できるだけ良い物を造りたいという意識がしっかりしているのだろう。
すぐ隣がスイス(つまりドイツ系民族)だからできるのだろうか?
これが南なら、ちょっとくらいできの悪いブドウを混ぜたって、バレないさ、へへへ、となるかもしれない…(南の方、スミマセン)

そして、アルト・アディジェのワインの特徴の一つに「値段が安い」ということがある。
もちろん、個人経営ワイナリーのはそう顕著でもないが、組合経営のものは概して大変お得な値段である。
イタリアの白というと、フリウリもカンパーニャもよいが、値段と品質のバランスを考えたら、やはりアルト・アディジェがダントツのような気がする。

それから、アルト・アディジェのワインの特徴として、造っているワインの数がめちゃくちゃ多いということも挙げられるかも。
このワイナリーも、モノ、ブレンドを合わせて、15種以上は造っている。

さて、アルト・アディジェの組合系ワイナリーを代表する一つである、テルラーノ。
しかし、ドイツ語では、テルランとなる。
さて、ベースと上級ものとに分けている中の、ベースのベース、そして、ブレンドものである。
品種は、ピノ・ビアンコ60%、シャルドネ30%、ソーヴィニオン・ブラン10%。
色も程よく濃い目、かおりがとても良く、アルコールが13%とは思えない。白い花、黄色い花、ジャスミン、桃の花など、花の香りがとてもきれいで、さらに桃、リンゴ、そして、緑の香りとミネラル臭がベースにあり、香全体を引き締めている感じ。
北のワインらしいほどよい酸味と、イタリアのワインらしいボディと、塩味、心地よい後味。10ユーロ程度で、この味は本当にうれしい。
もちろん、香りが大きく変化するわけでもないし、かなりダイレクトであり、後味が極端に長いというのではないが、とにかく、飲んでいて気分が良くなワインである。
また、食べ物を良く引き立ててくれるのがうれしい。