乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

大阪松竹座二月花形歌舞伎 全体を通して  平成21年2月1日(日)~25日(水)

2009-02-23 | 歌舞伎

       

       

       

       

 

 大阪松竹座二月花形歌舞伎

 平成21年2月1日(日)~25日(水)

 

     昼の部

一、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき) 

 粂寺弾正  獅 童            

 小野春道  愛之助            

 秦秀太郎  勘太郎             

 錦の前  壱太郎            

 八剣玄蕃  薪 車            

 小野春風  亀 鶴             

 秦民部  男女蔵           

 小原万兵衛  亀 蔵            

 腰元巻絹  亀治郎

 

二、鷺娘(さぎむすめ)             

 鷺の精  七之助

 

三、女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)          

 河内屋与兵衛  愛之助         

 豊嶋屋七左衛門  獅 童            

 小栗八弥  勘太郎            

 芸者小菊  七之助            

 妹おかち  壱太郎            

 父徳兵衛  橘三郎            

 兄太兵衛  亀 鶴          

 叔父森右衛門  男女蔵            

 母おさわ  竹三郎            

 女房お吉  亀治郎

 

 二月 十◎日。

 家族と子どもの三人で、大阪松竹座二月花形歌舞伎に行く。

 前日、三人みんなが行くのがじゃまくさくなり、全員が夜中の三時頃まで起きていた。

 困ったものだ。

 

 歌舞伎を見終わって、やはり悶々とした気分が残る。

 その中で 感情移入されたブロウを上回る舞台仕立ての『鷺娘』は見事だった。

 今回はこれで決まり!であった。

 この演目で救われた感が強い。

 

 会場はいつもになく人が多く、年齢層も若かった。

 中でもおしゃれな化粧や服装に身を包んだ女の子が、隣で獅童さんなどに食い入るように見ておられる。

 金色の髪の毛がまばゆい。

 こういったいつもの歌舞伎とは違った観客の若者たちが多くこられることは、歌舞伎界にとっても躍動的であり、好ましいと思われる。

 歌舞伎が庶民の楽しめる舞台になるのは良いことだ。

 だが、反面、役者には頑張ってもらいたい。

 誰とは言わないが、『主役あいつとめ申せし候』の役者が十◎日にもなって台詞を覚えきれないのは首を傾げる。

 また、違う殺し芝居で二度もチャチャを入れ、最後の最後まで笑いが止まらないという事態。舞台をつぶし切った役者には腹が立つ。

「料金を返せ!」

と、叫びたい。

 人気に奢れることなく、芝居とは何かを根本的に考え直し、日々演技磨きに精進して欲しいものである。

 

 馬鹿野郎だ!!

 

 役者全体を見渡して、まとめ役がいなかったのは決定的にまずかった。

 全体興行は大ベテランの竹三郎丈や橘三郎丈。『油地獄』は二人に加えて愛之助丈(主役)にまとめ役を 松竹側がゆだねるべきだ。

 これでは悪い意味でのお家芸であり、猿芝居の域を越えない。

 集客力だけに目を向ける茶番は、伝統芸能としての役目をはたさない。

 

 こんなそんなの状態で、わたしは今回 感想を書く気にならなかった。

 今回は 全演目を一緒くたにするとややこしいので、演目毎に感想を続けたいと思う。

 いろいろな意味で、今回は三演目とも言いたいことがいっぱいだ!

 おっと・・・。

 七之助丈の『鷺娘』は上にも書いたように良かった。

 また、『油地獄』の橘三郎丈の父徳兵衛と 竹三郎竹丈の母おさわの涙の場も、感動して涙が流れた。

 たいへん良かったことをここに付け加えておく。

 

 

 筋書き (歌舞伎美人より)

一、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)

 小野春道の屋敷では、家宝である小野小町の短冊が盗み出された上、姫君錦の前は、髪の毛が逆立つという奇病にかかり、婚約者文屋豊秀との婚礼が先延ばしになっていました。そこへ文屋豊秀の家臣粂寺弾正が来訪します。ひとりでに動く毛抜から事の真相を突き止めた弾正は、悪人から小町の短冊も取り戻し、悠々と屋敷を後にするのでした。
 歌舞伎十八番の一つであるこの作品で、獅童が豪快な荒事の演技の中にもおおらかさを持った主人公を演じます。


二、鷺娘(さぎむすめ)

 冬枯れた川辺に娘が一人立ちつくしています。舞い落ちる雪に濡れたこの娘は人間の恋に迷い悩む白鷺の精の姿でした。白無垢の孤独な姿から、愛らしい町娘に姿を変え、恋に夢中な乙女ごころを切々と舞い、華やかな踊りを繰り広げます。いつしか白鷺の姿となり、感情の高まりとともに踊りも速くなり、力尽きて息絶え絶えとなります。
 長唄の名曲に乗せて、美しい娘の様々な姿を満喫できる舞踊の傑作で、引き抜きやぶっ返りにより効果的に心情を表します。
 女方の美しさを極めたこの作品を七之助の初役でご覧いただきます。


三、女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)

 油を商う河内屋の次男・与兵衛は、放蕩三昧で喧嘩沙汰ばかり起こしています。また、借金の返済に困り親から金を巻き上げようとしますが、とうとう家を追い出されてしまいます。そこで与兵衛は、同業の豊嶋屋の女房、お吉に頼ろうと店を訪れたところ、偶然お吉を訪れていた自分の両親の慈愛あふれる心を知ります。もう親に迷惑はかけられないと思った与兵衛は、お吉に不義になって金を貸して欲しいと迫りますが、断られてしまい・・・。
 近松門左衛門が描く、現代にも通じる若者の心理や親の情、殺しの場面など見どころの多い世話物の名作で、愛之助が与兵衛を、お吉を亀治郎が勤める舞台です。

 

 本日、松竹の映画『おくりびと』が受賞した。

 いいものをつくれば、株価も上がると 何処ぞのニュースキャスターが言っている。

 松竹も映画のように、歌舞伎や舞台にも本腰を入れてもらいたいものだ。

 

 最後に・・・

 わたしは歌舞伎鑑賞の 超初心者です。

 今回出演の歌舞伎役者さんたちのご贔屓さんやファンの方々に失礼があれば心苦しいです。

 歌舞伎のことは何も知りませんので、不愉快な記述がありますれば お許し下さいませ!!!

 ご意見がありますれば、承りたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

                  合掌

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

29: 『差別の民俗学』  赤松啓介 著  筑摩学芸文庫

2009-02-23 | 民俗学、柳田國男、赤松啓介、宮田登、折口信夫

 

      

       

      

(写真はイランのベヒストゥン。

砂地の山道をかなり歩いていく。すると所々、写真のような空間が現れる。写真一枚目も住居跡とのこと。

 家族は何日間か、ここの有名遺跡の写真を撮ったりいろいろして、仕事をしていた。

 わたしはこの土地も二年続けで複数回きているので、夫から離れて冒険。

 写真の老人は、この土地の人。ガイド役を務めて下さった。

 イラン人大学生二人とわたしの三人は 親切な老人二連れられて、ここの土地の小さな遺跡を案内していただいた。

 

 いっしょに連れ立った大学生の一人に、茶色の可愛らしいショルダーバックを頂いた。

「プレゼント フォー ユー^^」

 イラン人男性は若くても小粋である。

 息子にもこういった子じゃれた行為を、少しは見習わせたい!)

 

 

記録だけ  

 

2009年度 29冊目  

 

 『差別の民俗学』

 

  

 赤松 啓介 著

 2005年7月10日第1版

 2006年8月25日第4版

 株 筑摩書房

 筑摩学芸文庫

 241ページ 1000円+ 税

 

 本日『差別の民俗学』を楽しむ。

 赤松啓介 著の 『夜這いの民俗学 夜這いの性愛論』についで二冊目。

 この本は考えさせられる部分も多く、興味を持って一気に楽しめた。

 

『スジ』という点を詳しく説明。

 職業なども、今まだ考えも及ばなかった業種まで並べられていた。

 その中に、油屋があった。

 わたしはかねがね、歌舞伎の『女殺油地獄』に出てくる茶屋で 女が着物を縫う場面に疑問を抱いていた。

 茶屋で男女は何処までいきかけたか・・・である。

 殺しの前の、油屋において、

「なんぼ、主人に疑われたことか・・・。はよ、いんで(行って)下さい。

という女の台詞や、

「いっそ関係を持って、金を貸して下さい。」

といった男が女に言い寄る場面から、二人は潔白であったことはわかる。

 が、茶屋での子が赤子をあやす場面や

「いっそ関係を持って、金を貸して下さい。」

の台詞の後の、女が一瞬神をなでつける仕草にて、赤松啓介氏が書かれた内容が昔から合ったことが理解できる。

 夜這いが日常化していた日本。

 茶屋、油屋、その他条件が整ったところに、夫が戻ってきたと言うことであった。

 なるほど・・・深い。

 殺しにまで発展したのは五月五日の女の家。また、金。加えて、いろいろな感情的条件がととなっていたのだ。

 ちなみに、夜這いが日常化していた日本の習慣を禁止した日本政府の思惑は、性をケガレとし、また性を商業科させ、税を集めようとした点にあるとのこと。

 

 考えもしなかった大峰山の行の後も、いろいろな試みがあったとのこと・・・。

 山伏のことなども書かれていた。

 そう考えると、もしかしたら役行者なども・・・。

 少々わらけて来るではないか・・・。

 

『釣り合わぬは不縁の因』として、『白滝姫』『鶴女房』『魚女房』『信田の森の葛の葉』『狐女房』『三輪山神話』『もぐらの嫁探し』などあげられていた。

 こういった『鶴女房』などの内容は 以前ざっと目を通しただけだが、折口信夫氏も書かれている。

 

「村落社会の民俗と差別   3 調査の階属性」 (P.118~)の柳田國男氏における問題点を、『夜這いの民俗学 夜這いの性愛論』の時よりも寄り具体的に記述されていて、イメージがつかみやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 内容から言っても、五穀豊穣と子孫繁栄を兼ね合わせていると思うのは、私だけであろうか・・・。

 となれば、問答、五穀豊穣、子孫繁栄から考えて、これは二人だけの問題ではなく、神に言い聞かせていると考えられるのではないだろうかと感じる。

 また柿の木は果実(実もの)と言うだけではなく、『柿』の文字の「木偏」を「女偏」に変化させると、『姉』という字となる。

 本書に書かれた『柿の木問答』の台詞を変え、『姉の気問答』とすると話が通じると思えるのは私だけか・・・。

 

 全体を通して、未知の世界が具体的に書かれ、興味深く一気に読むことのできる秀作といえる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする