記録だけ
2010年度 63冊目
『季語の誕生』
宮坂静生著
岩波新書 1214
2009年10月20日 第1刷
208ページ 735円
昨日から読み始めた『季語の誕生』を、読了。
『季語の誕生』は季語を民俗学、民族学、考古学、人類学、歴史学、言語学といった多角的立場からひもといた押さえておきたい一冊。
たいへん楽しく読んだ。
現在人にも興味深いといえる桜や月などをいろいろな立場から説明する著者の幅の広さには驚く。
季語の誕生に始まり、平安時代の美意識からひもとかれた本書。
いろいろな文献を並べたパッチワークではなく、自分の考えもしっかりと示す著者は見事としか言いようがない。
著者は歳時記において流動的性格と認識することは重要とのべる。
京都や東京中心の時雨や霞(一例)だけではなく、各地域の特徴が明解に示された歳時記がつくられなければいけないと力説(175)
果ては季語再考といった考えをはっきりと示されている興味深い秀作。
たいへん勉強になった。