そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

堀田季何さんの自選五十句

2024年04月07日 | 日めくり帖
2024/04/07
「日曜日ルーチンこなしテレビ見て温度高くて半ズボンにと
 [ズボンを脱いでも寒くない][]」
「四月にとなって撰者の変わりたり夏井いつきは降壇となる[][]」
「登校か聞けば前撮り入学の[ぺタンクの日に出会う。季語:入学][]」
「堀田季何NHKの新撰者なんでもありの天才なるか[][]」
「『人類の午後』なる自選五十句をフォーカスをして堪能せんか
 [『人類の午後』自選五十句/堀田季何
 /水晶の夜映写機は砕けたか
 /息白く唄ふガス室までの距離
 /戦争と戦争の間の朧かな
 /鳥渡るなり戦場のあかるさへ
 /少年少女焚火す銃を組立てつつ
 /自爆せし直前仔猫撫でてゐし
 /雪女郎融けたる水や犬舐むる
 /満月や皆殺されて祀らるる
 /迷彩の馬駆けめぐる桜かな
 /花の樹を抱くどちらが先に死ぬ
 /宝舟船頭をらず常(とは)に海
 /懇ろにウラン運び来宝船
 /エレベーター昇る真中に蝶浮ける
 /紋白蝶重し病者の鼻梁には
 /白蝶の己が軌跡をなぞるとき
 /歪みつつしやぼん玉デモ隊の上
 /しやぼん玉水面にとまる円きまま
 /斑蝶斑蛾斑蝶斑
 /うち揚げられし魚へ夏蝶とめどなし
 /法案可決蠅追つてゐるあひだ
 /吾よりも高きに蠅や五六億七千万年(ころな)後も
 /霧のなか霧にならねば息できず
 /みな聖樹に吊られてをりぬ羽持てど
 /正方形の聖菓四ツ切正方形
 /ぐわんじつの防弾ガラスよくはじく
 /双六に勝つ夭折のごとく勝つ
 /とりあへず踏む何の絵かわからねど/
 /汝が夢をはる吾が春の夢のなか
 /囀れりわが宍(しし)を喰ひちらかして
 /地球儀のどこも継目や鶴帰る
 /こどもの日ガラスケースに並ぶ肉
 /噴水や生前生後死前死後
 /白百合やわが遺伝子のやがて屑
 /かき氷青白赤(トリコロール)や混ぜれば黎(くろ)
 /星涼し聖母の顔は画家の妻
 /万緑を疾走す血の乾くまで
 /張りぼてを蹴つて西日に突きあたる
 /向日葵や人撃つときは後ろから
 /箱庭は橋落ちてをり岸に人
 /猫転がり人寝転がる原爆忌
 /人糞も化石にならむ敗戦日
 /人間を乗り継いでゆく神の旅
 /神還るいたるところに人柱
 /石段のはては祭壇冬銀河
 /首振つて白鳥闇を受容れぬ
 /寒林を出づ樹にされてしまふ前
 /撃たれ吊され剥かれ剖(ひら)かれ兎われ
 /日の本の中心や色変へぬ松
 /泳ぐなり水没都市の青空を
 /タイムマシン着くどこまでも夏の海
 ][]」
コメント
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