今日は、珍しく音楽の話題。
マニアックな話もあるのでご存知ない方には申し訳ありません・・・
私が主に勉強しているドイツ歌曲の世界で、
偉大な功績を残したバリトン歌手、フィッシャー・ディースカウが亡くなりました。
86歳だったそうです。
1992年に早々と歌手生活から引退をして、
その後は後進の指導をしていたようです。
たしか、NHKでも彼のレッスンを放送していたような気がします。
ドイツ歌曲に詳しくない人でも、
ディースカウの名前はおそらく知っていると思います。
膨大な数のドイツ歌曲の録音をしていますので、
参考に聴いたこともしばしばですが、
バリトンで声の種類も違いますし、
なんだかきっちりし過ぎている印象があり、
それほど傾倒はしていませんでした~ナマイキでしたね・・・
でも、一度は生で聴いておこうと、
来日公演を聴きに出かけました。
1987年のことです。
当時、勉強し始めてとても興味を持っていた
フーゴー・ヴォルフの歌曲ばかりのリサイタルでした。
ピアニストは、売り出し中のハルトムート・ヘル。
白井光子さんのご主人です。
あ、こんなに背が高い人だったんだというのが第一印象。
ちょっと横を向きながらの演奏スタイルは独特でしたが、
つややかな声と、とてもはっきりと聴こえるドイツ語。
どんどんひきこまれていきました。
アンコールがまた粋で(全てヴォルフです)、
よく知られた曲を6曲も歌ってくれたのですが、
最後の曲を歌い始めた時、
会場から笑いとどよめきが起こりました。
まだまだドイツ語が理解できていない私は???という感じでしたが、
アンコールの曲目を見てナットク・・・
私はもうこれ以上歌えない(Nicht länger kann ich singen)という歌でした・・・
25年経っていますが、とても印象に残るリサイタルでした。
もっともっと思い出がある方がたくさんいらっしゃることと思いますが、
私はこんな唯一の思い出。
どうか安らかに・・・