阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

平和構築キャリア構築セミナーでの講演

2010年10月21日 18時36分46秒 | 政治
 昨夜は、「平和構築人材育成事業」の一環であるキャリア構築セミナーで講演をしました。

 国連が暫定統治していた当時のカンボジアで、電気も水道もない山岳少数民族の村で選挙実施のための地域責任者を務めていた経験をお話しし、さらに日本の外交課題を提示した上で、その中で平和構築がどのように位置付けられているのか、また、平和構築に現場で携わった経験が国会活動を行う上でどのように活かされているのか、お話しました。

 日本の外交方針は、岡田克也外務大臣から前原誠司外務大臣に変わって変化があったように思います。グローバリゼーションの負の側面に影響を受けている方々への配慮を前面に出し、ミャンマーやアフガニスタン問題を重視、気候変動や核軍縮に積極的に取り組んだ岡田大臣は地球益、経済外交の進化や安全保障体制の強化を掲げる前原大臣は国益追求型と言えるでしょう。ただ私自身は二人の考えの本質には大きな違いはないと思っており、地球益(人類益)、国益を長期的に両立させようと努力する姿勢は共通していると思っています。また、現場重視、民間重視の姿勢も共通しています。昨日の外務部門会議では「民主党政権になった最大の変化はNGO重視シフトになったことです」と、外務省の課長がおっしゃっていたほどです。

 日本にNGOが定着しその役割が増大することは、草の根レベルで活動が「見える」ことに加え、政府や国連が行う事業の非効率性の改善し、経済力や軍事力と同様に重要な、国力としての「成熟した市民社会」を構築する大きな意義があると思っています。パレスチナやスリランカ和平、さらにクラスター爆弾禁止条約をまとめたノルウェーや、アハティサーリ元大統領を中心にインドネシアのアチェやナミビア,コソボ,北アイルランドなどの紛争解決に成果を挙げ、ノーベル平和賞受賞につなげたフィンランドなどは、平和構築に民間レベルで携わる市民社会の成熟があるからこそ、「紛争解決の仲介」という大きな成果を外交レベルで実現できたのだと思います。

 こんな国会議員としての視点を基盤にして、「平和構築」に若い方々が関わっていく意義についてお話ししました。

 このフォーラムは、外務省に委託されJICAと広島平和構築人材育成センターが共催した事業です。将来国際機関を中心として平和構築分野で活躍することを目指す方々を対象に、平和構築の現場で求められる能力や日本人の国際機関でのキャリア構築に詳しい専門家の方々を招いて開催しているものです。非常に嬉しく思ったのは、その後で行われたパネル・ディスカッションにゲスト参加した方々の多くが紛争後の平和構築活動における現場での活動仲間だったことです。今回私を招待して下さった広島大学准教授の篠田英朗氏(広島平和構築人材育成センター 事務局長)や司会を務めた上杉勇司氏(同センター プログラム・オフィサー)、横山和子氏(東洋学園大学教授)、さらに、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)では私の上司だった長谷川祐弘氏(法政大学教授)。カンボジアが縁で出会い、平和構築の分野で第一人者として活躍していらっしゃる方々を前に現場での活躍を目指す受講生にお話しするのは、大変心躍るひとときでした。是非、今後も、このような対話の時間を作っていきたいものです。