博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『ニューギニア高地人』

2006年10月11日 | 世界史書籍
本多勝一『ニューギニア高地人』(朝日文庫、1981年)

この著者の本は政治性が強そうだという先入観があり、今まで敬遠してきたのですが、故あって読んでみることに…… 内容はニューギニア島西部(すなわちインドネシア領)の山岳地帯で石器時代同様のくらしを送っている「ニューギニア高地人」たちの民族誌です。

この本の中で特に興味深かったのは、彼らが貨幣がわりに使っている宝貝(子安貝)に関する話です。同じ宝貝といってもいくつかの等級があり、古い時代に取れた貝ほど価値があるとされ、逆に昨日今日海岸で拾ってきたような貝にはほとんど価値がないとのことです。だから豚一頭を買うにも等級が高い貝だと4個か5個支払ってすむのが、等級の低いものだと数え切れないほど支払わないといけないということになります。

また、戦時中にニューギニア島に進駐した日本軍が現地人と食糧を取引するためにあらかじめ宝貝を大量に用意していたものの、現地人は日本軍の持つ宝貝を価値のあるものとは見なさず、ほとんど取引にならなかったというような話も紹介されています。

なんで宝貝に関する話に注目したかというと、現在西周金文に見える貝について論文を用意しているからなんですね(^^;) 西周期の中国では宝貝が貨幣的な使われ方もされる一方で、何らかの由来のある宝貝が特別視されていたようで、このあたりニューギニアでの話が参考になりそうです。
コメント (7)
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