博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『知の分類史』

2007年02月13日 | 世界史書籍
久我勝利『知の分類史』(中公新書ラクレ、2007年1月)

古代ギリシア・ローマから現代に至るまでの古今東西の百科全書や叢書の目録を羅列した本で、『太平御覧』や『四庫全書』など、東洋の類書や叢書などもかなり取り上げられています。正直著者による解説自体は大した内容ではありませんが、とにかく手元に置いておくと便利そうな本です。

本書の最後で「ネット世界では、調べものをするのに分類など必要としない」なんて書いてありますが、ネットサーフィンをするのにもお気に入りに追加したサイトをどのフォルダに入れるかという作業をやるわけですし、こうやってブログを作るのにもどういうカテゴリを作って、完成したコメントをどのカテゴリに入れるか考える必要があるわけで、(私はそれでいつも頭を痛めています……)ネット世界でもやはり分類という作業は着いて回るものだと思います。このあたりの切り込みが浅いのが残念です。
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『墨攻』

2007年02月12日 | 映画
今日は宣和堂さん主催の『墨攻』鑑賞オフに行ってました。

趙国に攻められようとしている小国梁を救うために、墨家の革離が単身梁城に赴き、梁の人々とともに国を守ろうとするという大筋は小説版・漫画版と変わらないのですが、范冰冰演じる女将軍・逸悦らオリジナルキャラが登場したりと、細かい部分は原作とだいぶ異なっております。

一番のキモとなる攻城戦はまあまあ見応えがあったものの、それ以外の部分がどうも納得しかねる所の多い作品でした。以下、この作品のツッコミ所を挙げておきます。

○革離が梁城に到着した数分後に趙軍も到着

趙軍が迫るまで革離が梁の民衆に訓練を施すシーンとかがあるのかと思いきや、そんな暇も与えられず、すぐさま趙軍がやって来てしまいます。あまりのタイミングの良さに思わず笑ってしまいそうになりました。このあたり、展開がちと早すぎやしないでしょうか……

○女将軍・逸悦が革離に迫るシーン

逸悦は革離に好意を抱いているという設定なのですが、范冰冰が演じている割には色っぽい所が無いなあと思っていたら、城内の小屋の中で革離と逸悦が二人っきりになったところで、「墨家は何かというとすぐ兼愛と言うけれど、あなたは本当の愛を知らないわ」とか言いながらいきなり服を一枚ずつ脱ぎ始め、革離に迫っていきます。

で、彼女が上着の下に着ていた服が『プライド 小魚児与花無欠』や『封神榜』で彼女がしていたような肩出しルックなのですが、この作品でも必然性もなくそんな格好をさせられるとは(^^;) 范冰冰が古装篇に出演したら必ず肩出しルックをしなければならないという決まりでもあるんでしょうか……

○自分の人生に思い悩む革離

革離が狭い小屋の中で一人三角座りをしながら自分の生き方に思い悩むシーンがあるのですが、戦が始まって散々犠牲者も出たところで今更悩まれても……

○気球に乗って城内に侵入する趙軍

衣装とか兵器とかそれなりに時代考証にこだわってるはずなんですが、何でまた気球とか突飛なものを出してきますか(^^;)

○オチ

ラストの展開は小説版とも漫画版の梁城編とも異なっているのですが、最も納得がいきかねるのが映画版のオチでした(-_-;)

あと、BGMが無駄に格好いいなあと思ったら、川井憲次氏が音楽を担当していました。『セブンソード』からこのかた、中国のアクション作品では引っ張りだこですね。
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『碧血剣』その5

2007年02月09日 | 武侠ドラマ
『碧血剣』第19~25話まで見ました。

今回は五毒教編です。青青の父である金蛇郎君と五毒教とは深い因縁があり、そのため青青は五毒教によって攫われてしまいます。一方、宮廷では皇族の恵親王による皇位簒奪計画が密かに進められており、五毒教もそれに関わっていたことから、物語の舞台は紫禁城へと移ります。

五毒教教主の何鉄手は蕭淑慎という台湾の女優さんが演じてますが、このドラマ、黄聖依といい孫菲菲といいヒロインは容赦なく綺麗どころを揃えてますなあ(^^;) 今回は宮廷が舞台とあって明朝最後の皇帝・崇禎帝の出番が多いのですが、崇禎帝を演じているのは張紀中製作の金庸ドラマでおなじみの高虎です。『天龍八部』での純朴な虚竹役のイメージが強い役者さんですが、こちらも意外と悪くありません。少なくとも『神雕侠侶』でのクドゥ役よりはずっとハマっています(^^;)

原作では恵親王(誠親王)の謀反に加担して崇禎帝に刃を向けた安剣清ですが、ドラマ版では崇禎帝に忠義を尽くし、袁承志や阿九とともに崇禎帝を守ろうとしますが、紫禁城に乱入した玉真子によって瀕死の重傷を追わされてしまいます。そして謀反を阻止した後、袁承志の計らいによって別れた妻の安大娘や娘の小慧に見守られながら息を引き取ります。何か最後まで哀愁に満ちた格好いいキャラでしたね(T_T)
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NHK-BS2放映『グリーンデスティニー』

2007年02月08日 | 映画
昨晩はNHK-BS2で放映されていた『グリーンデスティニー』を見てました。

劇場公開版では邦題にもなっている宝剣グリーンデスティニーは「碧銘剣」という珍妙な訳になってましたが、こちらではきっちり「青冥剣」と訳されてましたね。どうも今回の放映にあたって字幕を作り直したようです。

同じく「ウーダン」と中国語カタカナ読みになっていた武当山・武当派もきっちり漢字に変換されてました。人名は残念ながら中国語カタカナ読みのままでしたが、章子怡の演じていた玉嬌龍は、劇場版では「イエン」という何の発音から取ったのかわからない名前になっていましたが、こちらでは「シャオロン」(小龍?)という名前になっていました。
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『封神榜』下部

2007年02月06日 | 中国古典小説ドラマ
YesAsiaでも『封神榜』下部の取り扱いを開始しましたので、早速注文しました。

バリー・ウォンのドラマ版『雪山飛狐』も予約受付が開始されていますが、こちらはどうも食指が動きません(^^;) 『雪山飛狐』も『飛狐外伝』も元々さほど好きな作品ではないうえに、予告編を見る限りアクションはそれなりに凝ってそうですが、バリー・ウォンらしいおちゃらけ要素が無さそうなのがマイナスポイントです。唯一気になるのはラストシーンをどう処理しているのか(あるいは原作の展開のまま処理していないのか)ですね。
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『楊貴妃になりたかった男たち』

2007年02月06日 | 中国学書籍
武田雅哉『楊貴妃になりたかった男たち』(講談社選書メチエ、2007年1月)

病気の父親に替わって男装して出征した花木蘭の話や、やはり男装して男ばかりの塾で勉学に励み、学友と恋に落ちる梁山伯と祝英台の物語など、中国には女性が正体を隠すために男性に変装するという物語が結構たくさんあります。それとは逆に、男性が諸々の事情で女性に変装するという話も割と目に付きます。中国で語られているこういう異性装の話を集めてみたら面白いだろうなあと思っていたら、武田雅哉氏が本当にそれをやってしまいました(^^;) 

ただし本書では花木蘭の話のようなフィクションだけではなく、武田氏お得意の『点石斎画報』も引用して実際にあったと思われる異性装が絡んだ事件や、はたまた変装を通り越して女性が男性に、男性が女性に変わってしまったという奇怪な性転換の話も紹介されており、更には現代の中国で異性装の文化がきっちり受け継がれていることにも注目しています。

さながら性倒錯の中国史といった内容ですが、武田氏の目の付け所に脱帽です(^^;)
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『大漢風』第18話

2007年02月04日 | ドラマ『大漢風』
このドラマのエンディングテーマが2種類あることに今頃気がつきました……

秦の章邯は項羽に降伏を申し出るが、章邯を叔父の仇として目の敵にしている項羽は降伏を許さず、あくまで章邯を討ち取る心づもりである。一方、劉邦の陣営では酔っぱらった劉邦が虞姫を手籠めにしようと襲いかかり、間違ってその侍女の君児に手を付けてしまい、大騒ぎに。項羽陣営に対して劉邦一党のこの緊張感の無さは一体何なんでしょうか……

虞姫と君児はこっそり劉邦の陣営から逃亡しますが、呂雉は恐ろしことに審食其に命じて虞姫主従を捜索させ、二人を亡き者にしてしまおうとします。劉邦の命を受けた盧綰に邪魔だてされ、審食其は捜索をあきらめて本陣に引き揚げますが、虞姫主従は結局秦兵に捕らえられてしまいます。

たぶん次回は虞姫主従が章邯に助けられ、それがきっかけで章邯の降伏が許されるという展開になると思われ。
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【新出金文】[犬臣犬]器 その2

2007年02月04日 | 学術
今回は上海崇源芸術拍売公司と誠源文化芸術公司が購入した青銅器のうち、[犭臣犬]簋を取り上げる。参考資料は前回の「その1」と同じく、呉鎮烽「[犭臣犬]器銘文考釈」(『考古与文物』2006年第6期)である。[犭臣犬]器の年代などのあらましについても「その1」を参照のこと。なお、この[犭臣犬]簋は今回購入された物とは別に台湾にも同銘の簋が存在すると言う。

【銘文】

唯十又一月既望丁亥王各
于康大室[犭臣犬]曰朕光尹周
師右告[犭臣犬]于王王或(=又)賜[犭臣犬]佩〓
巿朱亢曰用事[犭臣犬]拜稽首對
揚王休用作朕文考甲公寶
尊簋其日夙夕用厥茜香享
祀于厥百神孫孫子子其萬
年永寶用茲王休其日引勿替

【訓読】

唯れ十又一月既望丁亥、王、康大室に各(格)る。[犭臣犬]曰はく、「朕が光尹周師、右けて[犭臣犬]を王に告ぐ。王、又た[犭臣犬]に佩・〓巿・朱亢を賜ふ。曰はく、『用て事へよ』」と。[犭臣犬]拜稽首し、王の休に對揚す。用て朕が文考甲公の寶尊簋を乍(作)る。其れ日に夙夕に、厥の茜香を用て厥の百神に享祀せむ。孫孫子子、其れ萬年、永く茲の王休を寶用し、其れ日に引きて替する勿かれ。

【解説】

文章の形式は「その1」で紹介した[犭臣犬]盤・[犭臣犬]盉と似たり寄ったりで、やはり冊命儀礼を受命者である[犭臣犬]の述懐という形で記述したものであると思われる。

ただ、こちらでは「王、又た[犭臣犬]に佩・〓巿・朱亢を賜ふ」とあることから、[犭臣犬]盤・[犭臣犬]盉に次ぐ二回目の冊命であったことがわかる。「或」字が「又」字と通用することは王引之『経伝釈詞』に指摘がある。儀礼が行われた「康大室」は康宮の大室の略称である。康宮大室は儀礼の場として君夫簋蓋(集成4178)に見られる。
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『碧血剣』その4

2007年02月02日 | 武侠ドラマ
『碧血剣』第16~18話まで見ました。袁承志一党が西洋人が明朝のために運んできた大砲を奪取し、更に袁承志が清の宮廷に忍び込んでホンタイジ暗殺を謀るあたりまでの話です。

ピーターとレイモンド、ジャクリーヌは原作ではポルトガル人という設定でしたが、ドラマ版ではイギリス人ということになってます。ポルトガル語を話せる俳優さんが見つからなかったのでしょうか(^^;) この3人が英語を話しているシーンでも字幕の方は中文で表示されていましたが、英語の中文訳を見るのもなかなか新鮮です。「Oh,My God!」は「上帝」という訳になるとか、色々勉強になります(笑)

清の宮廷ではコソ泥の胡桂南に玉真子が衣服を奪われ、上半身裸で走り回るというシーンがきっちり再現されてました。このシーンは飛ばされてるかもしれんなあと思っていたので、非常に嬉しいです(^^;) 

また清朝二代目のホンタイジの弟で後に摂政王となるドルゴンは、ジェベ師匠や金輪国師役などでおなじみの巴音さんが演じています。ホンタイジの留守の間に彼の寵姫といちゃつき、(ドラマではぼかされてますが、)ホンタイジに現場を目撃されると一思いに彼を殺してしまうという役柄です。

『大清風雲』の張豊毅演じるドルゴンは結局ワルになりきれずにいつも大玉児にしてやられるという実に情けないキャラクターでしたが、このドラマの巴音さん演じるドルゴンはほんまもんのワルです。ただ、ドルゴンの出番はたぶんここまでで、出番が少ないのが惜しまれます。巴音さんは胡歌主演の新版『射英雄伝』でチンギス・ハンを演じるということなので、(ジェベから大ハンに出世です。)そちらに期待しておきましょう。
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【新出金文】[犬臣犬]器 その1

2007年02月02日 | 学術
[犭臣犬]諸器は、呉鎮烽「[犭臣犬]器銘文考釈」(『考古与文物』2006年第6期)によれば、上海崇源芸術拍売公司と誠源文化芸術公司が2005年に海外から購入した殷周青銅器の一部であり、そのうち、[犭臣犬]の作器であると思われるものは計8件にのぼるとのこと。呉鎮烽によると、これら[犭臣犬]器の形制や紋様は穆王の前後の器と類似しており、穆王前期の制作とするのが適切であると言う。

今回は[犭臣犬]器のうち、[犭臣犬]盤・[犭臣犬]盉を取り上げる。(盤・盉にはそれぞれ同じ銘文が記されている。)

【銘文】

唯四月初吉丁亥王各于
師爯父宮[犭臣犬]曰朕光
尹周師右告[犭臣犬]于王
王賜[犭臣犬]佩〓巿絲亢金
車金曰用夙夕事
[犭臣犬]拜稽首對揚王休
用作朕文祖戊公盤
盉孫孫子子其萬年永寶
用茲王休其日引勿替

【訓読】

唯れ四月初吉丁亥、王、師爯父の宮に各る。[犭臣犬]曰はく、「朕が光尹周師、右けて[犭臣犬]を王に告ぐ。王、[犭臣犬]に佩・〓巿・絲亢・金車・金を賜ふ。曰はく、『用て夙夕に事へよ』」と。[犭臣犬]拜稽首し、王の休に對揚す。用て朕が文祖戊公の盤盉を作る。孫孫子子、其れ萬年、永く茲の王休を寶用し、其れ日に引きて替する勿かれ。

【解説】

いわゆる冊命儀礼を受命者である[犭臣犬]の述懐という形で記述したものである。周師という人物が臣下もしくは部下の[犭臣犬]の介添えとなり、王に[犭臣犬]を紹介した。王はそれに対して、銘文中では記述は無いが、おそらくは[犭臣犬]に何某かの官職を授け、官職の象徴として佩などの物品を賜わり、よく職務につとめるよう申し渡したという内容になると思われる。

「右けて[犭臣犬]を王に告ぐ」は、呉鎮烽は周師が[犭臣犬]の介添えとなり、[犭臣犬]の冊命の準備が整ったことを王に報告したというような解釈を採っているが、あるいは周師が王に[犭臣犬]を引き合わせ、紹介したとする方が良いのではないかと思われる。同様の表現が次回紹介予定の[犭臣犬]簋と、以前紹介した倗伯簋に見られる。また周師は官名なのか人名なのか判断しがたいが、この銘と[犭臣犬]簋のほか、やはり西周中期の銘である守宮盤(集成10168)と免簋(集成4240)にも見られる。

この銘と[犭臣犬]簋は初期の冊命儀礼の儀節と右者(介添え役)の役割を探るうえでの重要な資料である。
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