博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『碧血剣』その4

2007年02月02日 | 武侠ドラマ
『碧血剣』第16~18話まで見ました。袁承志一党が西洋人が明朝のために運んできた大砲を奪取し、更に袁承志が清の宮廷に忍び込んでホンタイジ暗殺を謀るあたりまでの話です。

ピーターとレイモンド、ジャクリーヌは原作ではポルトガル人という設定でしたが、ドラマ版ではイギリス人ということになってます。ポルトガル語を話せる俳優さんが見つからなかったのでしょうか(^^;) この3人が英語を話しているシーンでも字幕の方は中文で表示されていましたが、英語の中文訳を見るのもなかなか新鮮です。「Oh,My God!」は「上帝」という訳になるとか、色々勉強になります(笑)

清の宮廷ではコソ泥の胡桂南に玉真子が衣服を奪われ、上半身裸で走り回るというシーンがきっちり再現されてました。このシーンは飛ばされてるかもしれんなあと思っていたので、非常に嬉しいです(^^;) 

また清朝二代目のホンタイジの弟で後に摂政王となるドルゴンは、ジェベ師匠や金輪国師役などでおなじみの巴音さんが演じています。ホンタイジの留守の間に彼の寵姫といちゃつき、(ドラマではぼかされてますが、)ホンタイジに現場を目撃されると一思いに彼を殺してしまうという役柄です。

『大清風雲』の張豊毅演じるドルゴンは結局ワルになりきれずにいつも大玉児にしてやられるという実に情けないキャラクターでしたが、このドラマの巴音さん演じるドルゴンはほんまもんのワルです。ただ、ドルゴンの出番はたぶんここまでで、出番が少ないのが惜しまれます。巴音さんは胡歌主演の新版『射英雄伝』でチンギス・ハンを演じるということなので、(ジェベから大ハンに出世です。)そちらに期待しておきましょう。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【新出金文】[犬臣犬]器 その1

2007年02月02日 | 学術
[犭臣犬]諸器は、呉鎮烽「[犭臣犬]器銘文考釈」(『考古与文物』2006年第6期)によれば、上海崇源芸術拍売公司と誠源文化芸術公司が2005年に海外から購入した殷周青銅器の一部であり、そのうち、[犭臣犬]の作器であると思われるものは計8件にのぼるとのこと。呉鎮烽によると、これら[犭臣犬]器の形制や紋様は穆王の前後の器と類似しており、穆王前期の制作とするのが適切であると言う。

今回は[犭臣犬]器のうち、[犭臣犬]盤・[犭臣犬]盉を取り上げる。(盤・盉にはそれぞれ同じ銘文が記されている。)

【銘文】

唯四月初吉丁亥王各于
師爯父宮[犭臣犬]曰朕光
尹周師右告[犭臣犬]于王
王賜[犭臣犬]佩〓巿絲亢金
車金曰用夙夕事
[犭臣犬]拜稽首對揚王休
用作朕文祖戊公盤
盉孫孫子子其萬年永寶
用茲王休其日引勿替

【訓読】

唯れ四月初吉丁亥、王、師爯父の宮に各る。[犭臣犬]曰はく、「朕が光尹周師、右けて[犭臣犬]を王に告ぐ。王、[犭臣犬]に佩・〓巿・絲亢・金車・金を賜ふ。曰はく、『用て夙夕に事へよ』」と。[犭臣犬]拜稽首し、王の休に對揚す。用て朕が文祖戊公の盤盉を作る。孫孫子子、其れ萬年、永く茲の王休を寶用し、其れ日に引きて替する勿かれ。

【解説】

いわゆる冊命儀礼を受命者である[犭臣犬]の述懐という形で記述したものである。周師という人物が臣下もしくは部下の[犭臣犬]の介添えとなり、王に[犭臣犬]を紹介した。王はそれに対して、銘文中では記述は無いが、おそらくは[犭臣犬]に何某かの官職を授け、官職の象徴として佩などの物品を賜わり、よく職務につとめるよう申し渡したという内容になると思われる。

「右けて[犭臣犬]を王に告ぐ」は、呉鎮烽は周師が[犭臣犬]の介添えとなり、[犭臣犬]の冊命の準備が整ったことを王に報告したというような解釈を採っているが、あるいは周師が王に[犭臣犬]を引き合わせ、紹介したとする方が良いのではないかと思われる。同様の表現が次回紹介予定の[犭臣犬]簋と、以前紹介した倗伯簋に見られる。また周師は官名なのか人名なのか判断しがたいが、この銘と[犭臣犬]簋のほか、やはり西周中期の銘である守宮盤(集成10168)と免簋(集成4240)にも見られる。

この銘と[犭臣犬]簋は初期の冊命儀礼の儀節と右者(介添え役)の役割を探るうえでの重要な資料である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする