タイトルは「パパラギ」
副題に「はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」とある。
岡崎照男さんという人が訳してる本。
1920年に初版で世に出たとても古い本だ。
ヨーロッパ文明は自分達に光を与えるものじゃなく、
闇に引きずり込んでしまうと気づき、
そのことを仲間に伝えるためのサモアの酋長の演説を
それに共感したドイツ人がドイツ語に訳したものが始まりらしい。
お金のことを「丸い金属と重たい紙」と称したりしててなかなか面白い。
この南国はまさにジョンが「イマジン」でイメージした世界なんだろう。
モノがたっぷりあればヒトは争うことはないんだろうなって感じさせる。
常夏で四季もなく、何の苦労もなくいつでも食べ物がとれていれば、たしかに争う必要はないもんね。
現代のスローライフにも通ずる考え方だと思う。
ただ残念なことに世界はすべて常夏でいつでも食べ物が豊富なわけじゃないんだよね。
1年のうちに必ず冬が来て食べ物が取れなくなる時期が来る。
そのときにどうするかってことで文明が発達した側面もあるからね。
でも、まあ、こうやってヨーロッパの経済文明に違う光を当てるのもたしかにおもしろい。
僕らがもともと持ち得なかった南国ならではのノンビリした世界観が楽しめる。
「パパラギ」というのは「ヨーロッパ人」を軽蔑する呼び方らしい。
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熟せば ヤシは葉も実も落とす
パパラギの生き方は まるで
未熟なヤシの木が 葉も実もしっかりと
かかえてるようなもの
「それはオレのだ!
持って行っちゃいけない
食べちゃいけない!」
それじゃ どうして 新しい実がなる?
ヤシの木のほうが
パパラギよりも ずっとかしこい
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これは作者あとがきの後に書かれてた印象深いことば。
機会があると読んでみるといいかも。