この岳に生きる

「この岳に生きる」とは僕の所属する山岳救助隊の記念誌の題名です。 北アルプス飛騨側で山と共に生きている僕の見た風景です。

2010-07-28 19:53:49

2010年07月28日 | 子育て

P1050230_2 目指す剣ヶ峰が見える。

今日は息子の学校の3.4年生の乗鞍岳登山が行われた。僕も親として学級委員として救助隊員としてサポートで一緒に登ってきた。

朝、よく晴れているが雷雲がでる予報である。

バスで畳平に到着し開始式を行い皆で3026mの山頂を目指そう。

P1050232 先生の話をよく聴きましょう。

子供たちはとても元気で今にも走り出しそうだがいきなり標高2700mまで車で上がっているので体が慣れていないはずなのでここはゆっくりと歩き始めた。

とにかく迷うところも無く危ない箇所無くも天気も悪くないので順調に登ってあっという間に剣が峰に着いた。しかし、すでにガスが湧いて辺りは真っ白。記念写真を撮ってまさにトンボ帰りである。

2010072810210000 山頂でピース。

肩の小屋まで一目散に降りて昼食とした。日差しが無くなり風も強く寒くなってきたが子供たちはまだまだ元気一杯。

お弁当いただきまーす!

ごちそうさまでした!

さらに畳平まで下り初めて今が盛りのお花畑を散策した。

2010072810290000 ふざけてばかりの息子(右)

昨年、焼岳に登ったときもそうだったが、息子は上りも下りもよく喋る。

バスの中でもほとんど一人で大きな声で喋っていて、他の父兄さんもいて僕はなんだか恥ずかしかった。

娘は1.2年生で上高地へ行っていた。朝荷物が重そうだったので心配したが余計な心配だったようでこちらも元気一杯だったようだ。

P1050246 コマクサも今が盛り。

良い思いでになったかな。

おわり。


写真の続き

2010年07月24日 | 山行記録

奥穂~西穂の写真の続きを載せます。こんな縦走路が続きます。丸印や矢印がありますが、ルートファインディングに気をつけましょう。何でも無さそうな箇所でも落ちれば痛いので気を抜かないように頑張りましょう。途中、水場はありません。僕たちは炎天下の日2㍑の飲み物を持ちましたが西穂山荘までで飲み干しました。天狗のコルからエスケープで岳沢に逃げる事も出来ます。体力に自信がなくなったり、雷が酷い時には逃げる事もできます。

西穂山荘でソフトクリームを食べました。500円です。暑かったので美味しかったです。抹茶や、ブルーベリー、バニラ味があります。

とにかく頑張って縦走しきれば達成感もひとしおです。僕は過去に2度このルート日帰りをしましたがやはり1泊していると時間に余裕があるので安心です。

多くの登山者は西穂山荘に泊まって奥穂を目指します。僕たちはある意味逆ルートです。西穂からのほうが上り勾配です。

みなさん是非挑戦してみてください。あくまでも自己責任で。

P1050053 穂高岳山荘の朝。

P1050110 間ノ岳北面。

P1050113 天狗岳の下り。南側。逆層スラブ。

P1050116 間ノ岳手前の登山者。

P1050114_2 間ノ岳への登り。


パトロール2日目

2010年07月23日 | 山行記録

P1050079 ジャンダルムの威容。てっぺんに人がいる。

パトロール2日目。この日が今回のメインの行程である。穂高UJ君や常駐隊員に別れを告げ6時半山荘発。今日も良い天気だが朝の拭きぬける風は冷たくて気持ち良い。3000mの稜線は下界じゃ考えられないくらい涼しい。H畑さんもかなり気合が入って行く気満々である。険しいルートを行くにはやはりこうでなくてはならない。西穂、奥穂間は一般ルートととして日本で最難関と言われているが最近は中高年の登山者も多く通過しているのでパトロールの必要性は高いはずである。30分で奥穂山頂着。登山者約10名。15名ほどの韓国人パーティーはすでに岳沢方面へ行ってしまっていた。

P1050082 トラバース中。

さあ行きますか!ジャンダルムが目の前に見える。まずはあの頂に立ってみよう。細いウマノセを降りてロバの耳の基部を通過しジャンダルムの登りに差し掛かった。しかし、体が堅く荷物も重くてスイスイ登れない。垂れ下がっていたシュリンゲに足を架けて登ってしまった。情けないが人工登攀である。しかしジャンダルムからの眺めは素晴らしい。H畑さんも感無量のようである。このルート初のH畑さんだが難しい岩稜も難無くこなしていた。やはりこの人は只者ではない。

P1050087 ジャンの登り。落ちたらまっさかさま。

ジャンからは天狗のコルまで下りが続く。この辺りまでで登山者は約6名ほど。お気をつけてと声を掛けながら抜いていく。このルートはずっと岩稜帯なので陽を遮るものがない。天気がよいのでずっとあぶられっ放しでかなり暑くなってきた。

P1050092 ジャン東面。画面真ん中辺りに人がいる。右上のピークは奥穂。

天狗岳を超え、間ノ岳を超え西穂がようやく近づいてきた。西穂ピークの一つ手前のP1で穂高岳山荘のほう葉寿司の弁当で昼食とした。

西穂の山頂を過ぎるとあとはいつも歩きなれた稜線でホットした。

P1050103通過してきたルートを俯瞰する。左右がスッパリ切れている岩稜帯。

西穂からはグっと登山者が増え西穂山荘までの間に約40名ほど。

あとはとにかく下るだけ。3時頃登山指導センター着。

初日こそ事故があったが2日目は何事も無くてよかった。充実感の大きい2間であった。H畑さんお疲れ様でした。また行きましょう。

P1050097 目指す西穂は遠い。


1泊2日奥穂~西穂山岳パトロール

2010年07月22日 | 山行記録

P1050046_4 白出沢渡渉点の雪の様子 

昨日から1泊2日で奥穂~西穂山岳パトへ同じ救助隊員のH畑さんと行ってきた。2日間とも天気はよく暑さとの闘いでもあったがとても充実した2日間であった。昨日は朝、8時半過ぎに白出登山口を出発。すでに日は高く暑くなってきたが、渡渉点に出ると残雪が多く吹き抜ける風は冷たく一気に冷やされ気持ちが良い。岩切道と呼ばれる狭い道を登りきり鉱石沢へ出て沢の冷たい水で喉を潤した。

P1050050 荷継沢上部。ここから雪がベッタリ。

樹林帯を抜け白出沢に出ると雪渓が多い。斜度も増してくるのでここでアイゼンを装着してさらに登り続ける。ここでは最近2日連続で雪渓上で下山者がスリップしてヘリでレスキューされた所である。気を抜かずH畑さんと気合を入れながら登った。モクモクと登ったので、12時40分穂高岳山荘に着いた。涸れ沢方面を見下ろすとやはりここも雪が多い。長野では行方不明者や怪我人が続出して大変そうだった。山荘には警備隊の常駐隊員が温かく迎えてくれてありがたかった。また支配人の穂高UJ君にも久しぶりに会う。ことができた。

P1050057 今朝の朝日。

ヤレヤレ、今日は暑かったと休んでいると、疲れた足が冷えたのか腿がつってしまった。しばらく痛みに耐えてアミノ酸と摂ったら収まった。これは休まなければとH畑さんと部屋でさあ休もうと話していたら、なんと涸沢槍付近で高山病で行動不能となった登山者居るという連絡が入った。つった足が治ったばかりで少々不安もあったが常駐隊員と僕とH畑さんとの三人で現場へ救助に向かった。歩き始めたら足はなんともなったのでホットした。現場に着くとすぐにレスキューハーネスを遭難者に着け、たまたま鍋のヘリポートで待機していたヘリがすぐに飛んできてくれてスムーズに救助する事ができた。

レスキューはそれで終わったのだが、いろいろあって山荘周辺を走りまわっていた。さすがに僕もH畑さんもクタクタになってしまった。P1050061

山荘の屋根と遠くに槍ヶ岳。

疲れすぎて寝つきが悪かったが知らん間に寝てまっとった。1日目終わり。おやすみなさい。P1050072 2日目に続く。

ウマノセ通過中。

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2010-07-19 17:08:43

2010年07月19日 | 日記・エッセイ・コラム

常連のお客さん夫婦の息子さんが、プロ野球のある球団のピッチャーで今日の試合で初先発で登板されるそうである。

一昨日から2泊されて今朝の新聞をウチで見て、登板することを知ったようで今朝からご両親は興奮されていた。自分の息子がプロ野球で初先発となれば興奮するのも当然である。

その球団は僕がファンである球団でもある。直接本人とは会った事も見たことも無いが、なんだか僕までかなり楽しみになってきた。

好投をみせるか、プロの洗礼を受けるか分からないがとにかく見てみよう。

今夜のナイター中継が楽しみである。


たまには勉強会

2010年07月16日 | 日記・エッセイ・コラム

2010071612360000 本日のランチ飛騨牛100㌫ハンバーグ。

昨夜は、NPO野あそび倶楽部が主催する、ある講演会へ行ってきた。

講師は僕が師と仰ぐT根氏である。T根氏は日本山岳協会の上級コーチであり過去にヒマラヤのK2など8000m峰にいくつも登っていて僕もアイスクライミングなど一緒に行ってご指導していただいたことがる。

時間は1時間半と短いが、内容はうまく、まとまられており初心者を対象としたものだったがとても勉強になった。

どのようにしたら登山に適した体作りができるか、モチベーションをアップできるか、筋肉の使い方、乳酸をためない歩き方、などなど豊かな経験や実体験を交えながらの講演は素晴らしかった。

たまには日本を代表する指導者の話を聞く事は刺激になるし視野が広まって為になるものである。


これで最後

2010年07月10日 | 山岳救助

2010071013340000 オオサクラソウ

6月初めから探している行方不明者の捜索に今日も行ってきた。

これで6回目だ。

いつものように1時間のウォーミングアップで山荘に到着。

山荘を基地にして今日の検索範囲をそれぞれ捜し出す。

「今日こそは、今日こそは。」という言葉が何度も頭の中を駆け巡る。

しかし、今日も何の手がかりも無い。これだけ探していると、もう何所を探していいか分からなくなってくる。

2010071013410000 シナノキンバイ

何度も見た所だがもう一度。もしかしたら見落としているかもしれない。

ひょっとしてあそこに。みんないろんな事を考える。ちょっとした物でいい。何か手掛かりが欲しい。

むなしく時間が過ぎていくだけだった。

考えられる事は全てやり尽くした。これでこの遭難事故の捜索は打ち切りである。

2010071013370000 キヌガサソウ

6月初めに捜し始めた時はまだ雪に辺りは埋まっていたが1ヶ月半ほどたち雪はほとんど溶け、夏の高山植物たちも咲き始めた。

これだけ出動し続けた事も珍しい。

僕と、班長のN畠君は計8日間の出動であった。彼も忙しかっただろうが、班長として頑張ったと思う。また僕の出動を支えてくれていたカミさんにも感謝である。いつも弁当ありやと。

来週16日からは夏山警備体制が始まる。登山指導センター、山岳パトロール、また事故があったら出動しなければならないかもしれない。

僕の本業もシーズンに入り忙しい日が続くが、何事にも精一杯取り組んでいくしかない。


2010-07-07 12:09:16

2010年07月07日 | 山岳救助

日曜日に行ったレスキューの遭難者の関係者の方からこのブログにコメントが届いた。

病院での診断の結果などを教えていただき、重傷ではあるようだが笑顔が見られるようで少し安心した。

また、感謝までしていただき、頑張って本当に良かったと報われた気持ちになった。

自分が関わった救助活動はやはりその後が気になる。僕たちの仕事は山から一刻も早く救い出し救急車や病院に引き継ぐ事である。早ければ早いほど社会復帰への道も近くなるはずである。

怪我をされた方には早く回復される事を願い、またここの山に登りに来て欲しい。


2010-07-05 08:55:15

2010年07月05日 | 山岳救助

連日の救助隊活動で今日は体が少し痛い。

しかし、昨日は久しぶりに充実感のあるレスキューだった。捜索を繰り返しても発見に至らないと虚しくなるばかりである。

昨日の夜は、今年四月で退任した前救助隊長の送別会が開かれた。あらゆる関係者が60人ほど集まり大宴会だった。

前隊長の38年間の救助隊人生はいろんなことがあっただろう。隊長になってからの数年間は全隊員の命を守らなければならない責任は相当なものだっただろう。

 僕も沢山のことを教えていただきました。

大変お世話になりました。ありごとうございました。そしてお疲れ様でした。

新しい隊長の下でこれからもこの山岳救助隊は続いていく。


びしょ濡れの救助活動

2010年07月04日 | 山岳救助

2010070413300001 戦い終えて。

今日の救助活動は本当に大変だったが素晴らしい仲間たちの頑張りで無事遭難者を救助する事が出来た。

前夜からの雨は降り続いているが怪我をして一晩救助を待っている遭難者を救い出さなければならない。天気が好ければヘリであっという間にピックアップできるが、今日はガスが濃く飛べない。

内容は詳しく書かないが北アルプス三大急登の一つの現場はかなり厳しいものであった。しかもずっと雨が降り続いている。

みんなの力を合わせればすごいパワーが生まれることを、改めて知った日だった。皆も今日得たものは大きいであろう。登山口に運び終えてレスキューを終えたときは感動ものだった。

クタクタになったが今晩は、前救助隊長の送別会である。ビール1杯でコロコロになりそうだ。