この岳に生きる

「この岳に生きる」とは僕の所属する山岳救助隊の記念誌の題名です。 北アルプス飛騨側で山と共に生きている僕の見た風景です。

これからの課題

2010年08月27日 | 日記・エッセイ・コラム

P8240024錫杖岳前衛壁を見上げる。

右よりの影になっている顕著な切れ込みが3ルンゼ。

錫杖は僕の家からすぐ近くの本格的なロッククライミングの山である。これほど錫杖までのアプローチが近い人間は居ないくらいである。

3ルンゼは以前から自分の中の課題の一つであった。いくつもあるルートの中でまだ僕は3つほどしかトレースしていない。

これからの課題としては、1ルンゼ、注文の多い料理店、である。もっともっと修行を重ねてこれらのルートもいつかはいってみたい。

何か目標を定めてそれに向かって精進することで自分の人生も豊かになるはずである。

20100824140400012 この人も熱い人。


3ルンゼの続き

2010年08月25日 | 山行記録

Shakujou4_2 O森君から写真が送られてきた。僕が登る。

昨日は疲れ果てて寝てしまったので続きを書きます。

今朝は心地よい疲労感があり、気持ちは充実している。O森君も同じだろう。

2ピッチ目。O森君リード。左のカンテを順調に登るってから右に若干トラバース。

Shakujou3 5ピッチ目の僕。このルートの核心の一つ。

トポでの3.4ピッチを一気に僕がリ-ドした形となった。

ここからが本当に大変だった。5ピッチ目。チョックストーンのある狭いルンゼ。

右壁から上がるのがトポ通りだったが、見た感じ悪そうと感じてしまって、O森君左のフェースから登りにかかる。しかし、このフェースもムズイ。しかし、O森君頑張る。彼の頑張りは凄い。約1時間O森君頑張ってくれるが35mほど登った地点から諦めのコール。ロワーダウンして降りてきた。ウーン。厳しいです。

それなら今度は僕が。何とか左から右へ移ってチョックストーンの上に出たい。

しかし、やはりO森君と同じ方に行ってしまって、合えなく撃沈。僕もロワーダウン。ここですでに1時間半は時間を食ってしまった。二人に諦めて敗退の雰囲気が漂う。

しかし、最期にもう一回だけ右のランペに挑戦してみよう。これでダメだったら潔く敗退することにした。僕がリードする。さあ、力を振り絞ってA0でランペに体を引き上る。ここも厳しい。しかし、ピンもあり何とか抜けられそう。体が終始投げ出されている感じで怖いがチョックストーンの上に出る事ができた。

さすがに嬉しかった。

Shakujou2 上に出た。

さあ!次はラストピッチ。O森君に頑張ってもらいましょう。右壁から一旦取り付くがランナウト。再度左壁からチャレンジ。ここもかなり厳しい場所。

O森君粘り強い登りで奮闘してくれ登り切った。なんだか感動ものだった。

続いて僕がフォローしたがここは本当に厳しくテンションかけてしまった。O森君で無ければ登れなかっただろう。

最期、草付をザイルを外してコルまで。一気に素晴らしい景色が広がっていた。これだけの達成感のある山登りは本当に久しぶりである。

頑張ってよかった。あの時諦めなくて力を振り絞って登ってよかった。

P1050300

コルからの槍、穂高

懸垂を何回か繰り返し、同ルート下降。すでに体はクタクタ。途中またもやハプニングが発生したが、ここもO森君の頑張りでなんとかクリア。彼は本当に凄い男である。

P1050293

コルから抜戸方面。

かなり時間を食ってしまった。夕闇迫る中急いで下り、中尾口に大方7時着。

12時間行動の厳しかったが素晴らしい1日であった。

O森君ありがと。


錫杖岳 3ルンゼ

2010年08月24日 | 山行記録

P1050284_2 2ピッチ目のO森君

クタクタになって帰ってきた。

以前からの課題であった錫杖岳3ルンゼにいつものO森君と登ってきた。

二人とも初めてのルートで厳しい場面もあったがコルまで登り切り、充実感、達成感、そして安堵感。いろんな気持ちの交じり合うクライミングであった。

これは12時間に及ぶ男二人の壮絶なドラマである。(大げさかな)

朝6時半中尾口にO森君と待ち合わせ。ちょっとしたハプニングもあったが出発。3ルンゼの取り付きまで二人とも行ったこともなかったので、藪漕ぎとなってしまった。2時間登ってなんとか取り付きを見つけたがすでに汗だく。暑くなってきた。

P1050288 3ピッチ目をフォローする。O森君

1ピッチ目僕がトップで登り出す。久々のクライミングで緊張するし早速厳しい場面に出くわすが50m一杯に伸ばした。かなり稼げたはずである。

P1050302 コレが3ルンゼ。取り付きから見上げたところ。

続きは明日か今夜中には。


2010-08-21 21:31:03

2010年08月21日 | 映画

昨晩、少しだけ夜更かしをして30年ほど前の「はだしのゲン」という映画を見た。

小学生の時に学校で見た覚えがあり、原爆が落ちてからのシーンは強烈に記憶に残っていた。昨日も何十年かぶりにその場面を見たがやはり、正視できない位、悲惨な場面であった。

子供の頃は戦争について漠然と怖いと言うことしか考えていなかったが、最近になって、8月は終戦記念日や原爆が投下された月ということもあって、テレビなどで戦争についての情報を見て、本当に平和のありがたさを感じている。

映画の中にもあったが自分の子供が戦争に行くことになって、誰が喜んで送り出す事ができるだろうか。

戦争をしていた時代を少しでも知って、今の時代のありがたさに感謝。

Imgp2359_2

いつまでも平和が続きますように。常念岳からの日の出(horiさん撮影)


2010-08-20 21:15:33

2010年08月20日 | 日記・エッセイ・コラム

2010082013240000_2 こんな風景が続く。

今日、昼休み軽トラで山ノ村へ用事に行ってきた。

山ノ村とは神岡町の、ある地区でいろいろなが集まった場所の通称である。

はとてつもない豪雪地帯だが今の時期は高原の空気に包まれてなんとも爽やかな場所である。

標高は1000mくらいで初めて訪れた時は普段の生活とは時間の流れ方がゆっくり流れているようでまるで別世界の気がして驚いた。

2010082013230000 蒲の穂もたくさんある。

この時期、奥飛騨は観光客の車でゴッタ換えしてなんだか騒がしいが、山の村はほとんど地元の人の車しか走っていなく今日も本当に別世界であった。

気温も町の温度計は34度を示していたがここはなんと27度。湿度も低く風もあってきもちがよかった。

2010082013290000 道の脇には岩清水が沢山あります。

日本のほとんどの場所は開発が進んでいるが、ここは観光地化されず旅館も無く(1軒あるが)訪れる人も少ない。

冬になれば大規模林道は除雪されないので行くのにさらに厳しくなる。

しかし、ここはそれでいいと思う。(生活している方は大変だけど)いつまでも静かでこのままの山ノ村であって欲しい。

2010082013280001 水は冷たかった。


2010-08-16 16:13:52

2010年08月16日 | 日記・エッセイ・コラム

Imgp2370 奥穂山頂間近の僕(horiさん撮影)

相変わらず忙しい日が続いているがようやく今日一つ仕事が片付いて肩の荷が降りた。

ある山岳雑誌社から原稿の以来を受けていて、昨日やっとで出来上がり早速送って今日OKをもらった。これでグッスリ眠れる。毎日爆睡してたけど。

仕事も毎日忙しいから夜な夜な無い頭を搾り出し考えて書いた。いろんな人にも読んでもらってアドバイスをいただきました。ありがとうございました。9月に発売されるのでまた紹介しますので本屋で立ち読みしてください。うそです買ってください。


2010-08-14 08:11:59

2010年08月14日 | 日記・エッセイ・コラム

P1050279 只今、使い方勉強中。

ついに欲しかった山のアイテムを手に入れた。

GPSハンディである。まともに買えばとんでもなく高くとても手が出そうではないのだが、今回horiさんがネットで格安の新品を見つけてくれ。三分の一ほどの値段で買う事ができた。

しかもhoriさんに25,000/1の地図まで頂いて本当にありがたかった。

英語版なので使うのに難しいかも知れないが一回覚えてしまえば何てことないだろう。

しっかりと地形図を読図できる事が基本であるが、山スキーのときなど、道無き道を行く時は心強いお守りとなることは間違いない。

また、パソコンにトラックを載せてブログにアップできたりもするので山から帰ってきても楽しみが増えそうである。

しばらくは使い方を勉強するのも楽しそう。


2010-08-10 20:22:53

2010年08月10日 | 山岳救助

昼飯前の仕事中、救助隊長からレスキューの出動要請の電話がありバナナ1本食べて、ヘリポートに向かった。

瞬時に装備を装着し一息も入れるまもなく、ベテラン隊員と二人でヘリで現場に向かった。場所は「鳥もかよわぬ」と昔言われていた、かなり険しい場所。

雪渓の高さはまだ7mもあった。

詳細はヘヴィーなので書かないが大変だった。1時間後3人の隊員が応援にヘリで来てくれた。

当事者はギリギリピックアップできたが僕らは雨が酷くなってきたので土砂降りの中徒歩で下山。

忙しいこの時期、家族にも迷惑を掛けたがカミさんが僕の仕込みをかなりやってくれていたので助かった。

やれやれ。


2010-08-09 21:01:18

2010年08月09日 | 日記・エッセイ・コラム

2010080905290001デレッキを持ってゴミ拾い。

今朝は5時に起きて新穂高の湯の掃除当番だったので息子を連れて行ってきた。

まだ眠そうだったが前の晩から行きたいと言っていたので無理に起した。

朝早くからの掃除はなんだか健康的だ。約30分ほど掃除をしてから帰って息子はラジオ体操に行った。

2010080608090000 丸く太ったクールジェット。

Kaorikoさんがフランスから送って頂いたクールジェットの種が順調に育ち、今収穫の最盛を迎えている。

1日4~5本づつ採れるのでありがたい。うっかり見落として採り損ねると恐ろしい位でかくなってしまうので気をつけよう。

炒めたり、煮込んだりして美味しくいただいて。お客さんにも出せるのでありがたい。

2010080716150000 ゴーヤも育てているがまだまだ小さい。ゴーヤ大好きなので早く食べたいです。

トウモロコシは今年は失敗してしまった。悲しいです。


2010-08-04 20:58:26

2010年08月04日 | 日記・エッセイ・コラム

2010080311070000_2 山頂直下の頑張りどころ。

夏休み真っ只中。連日忙しい日が続いている。明日からはさらに忙しくなるが、なんとかこなしていかなければならない。

僕の夏山警備計画はとりあえず済んだが、いつ遭難が発生し行かなければならない時がくるのか分からないので、隊長から電話が掛かってくるたびにドキドキである。まあ救助隊員の仲間はたくさんいるので僕もかなり忙しい時は皆に任せることにしよう。

山の雑誌の原稿も書かなければならないのでこの時期を無事乗り切れるか、なんだか不安になってくるが子供たちも夏休みの宿題を叱られながら頑張ってやっているから僕もがんばろうっと。