はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

ヨキ 刃沓の編み方

2017年05月07日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 ヨキの刃をカバーする「刃沓(はぐつ)」。

 このブログで、何度か編み方を紹介していますが、改めて、編み方を紹介したいと思います。

 編み方は色々あるのかもしれませんが、奈良県の吉野にいた頃、師匠に教えていただいた方法です。

 その後、和歌山県に戻ってきたら、現場の大先輩(70~80代)の方が、僕の刃沓を見て、「編む人も少なくなったな~」と言っていましたので、これも後生に継ぎたい林業技術の1つだと思っています。

 

 用意するものは、直径4ミリのナイロンロープ1本と直径3ミリのナイロンロープ1本です。

 今回は、直径4ミリの方は、長さ100cm程度、直径3ミリの方は、長さ120cm程度にして、編みました。

 ヨキのサイズにもよると思いますので、長さは余分に調整してもいいと思います。

 途中で足りなくなると、継ぎ足さないといけないので、出来具合が悪くなります。

 

 ①始点を決めて、4ミリロープを写真のように結びます。

 

4ミリロープが交差する部分を3ミリロープで固定します。

 外れたり、ズレたりしなければいいので、自由に(適当に・・・)結んでいます。

4ミリロープに3ミリロープを写真のように編みます。

 3ミリロープは、ほどほどに固く締め上げます。

 ただし、固く締めすぎると、刃が入りにくくなりますので、ほどほどの力で。

 逆に、締める力が弱いと、スカスカの刃靴になっちゃいます。

 

反対方向も同じ要領で、編みます。

 

これを左右、繰り返します。

 繰り返し編んでいくと、写真右上のようになります。

 裏返すと透き間が出来ており、ここに刃を収めます。

 

⑦完成

 なるべく丁寧に編んだ方が、出来上がりも美しくなります。

 この刃沓の出来具合・・・実はイマイチです。

 余った3ミリロープを繋ぎ合わせて、作ったものなので。。

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コシアブラ 施業

2017年05月05日 | 山菜・キノコなど食を楽しむお話

 「山菜の女王」と呼ばれているコシアブラ。(ちなみに王様はタラノキ。)

 伐採跡地や日当たりの良い場所に生えるタラノキは、よく見かけますが、林内に生えているコシアブラは、そう簡単には見つからないので、中々、口にする機会は少ないかと思います。

 以前(平成17~20年)、奈良県の吉野地方で山林に関わる仕事をしていた時、自生していたコシアブラを安定的かつ、大量に毎年、採取していたので、その経験をここでご紹介したいと思います。

←先日(H29.4)採取したもの。

 施業を行っていないので、10年前より採れる量が減少しました・・・。

 当時(H17~20)は、この2~3倍は採取でき、両手いっぱいのコシアブラを3家族にあげて、さらに自分も楽しめる分が手元に残っていましたので・・・。

 コシアブラは、新芽をいただきますが、

←これくらいが最適!

←もう少し待ちたいところですが、これでも十分!

 

 

 今回は、コシアブラを植栽して増殖する方法ではなく、自生するコシアブラから安定的に採取するための施業についてのご紹介です。

 

 1.採り方

 コシアブラを見つけたら、嬉しさのあまり、全て採りたくなりますが、来年、再来年も採るためには、全ての木の芽を採らないことが鉄則です。(もちろん、タラノキなども同様です。)

 

 僕は、採取する際、写真のように先端の芽を採り、青い矢印で示した芽を残します。

 この残した芽が、先端部となり代わり、コシアブラは枯れずに、生き残ります。

 

2.剪定

 芽を採取した枝は、当然、光合成が出来ないので、採取した部分の枝は枯れてしまいます。

 芽を残した枝は、光合成が行えるので、そのまま成長を続けます。

 この枯れた枝から、腐朽菌が発生する可能性があるので、芽を採取した際、剪定を行います。

 剪定は、下の写真のように行います。

 枝をじっくり観察すると、小さい芽がある場合もあるので、それも残すようにします。

 この小さい芽は、採取した芽に代わって、すくすくと成長する芽なので、侮ってはいけません。

 すでに水分を吸い上げ、木の芽を展開している時期なので、剪定時期としては、よろしくないかもしれません。

 もしかしたら、休眠期になる11月以降あたりに、もう1度、足を運び、剪定すべきなのかもしれません。

 

3.除伐

 残した芽がすくすくと成長しても、上層木に被圧されると、その成長に影響が出てきます。

 コシアブラは、タラノキのように強い陽当たりを好む樹木ではないので、上層木の強度な伐採よりも上層木の枝を刈り払う方が望ましいと思います。

 コシアブラと接触する枝はもちろん、コシアブラの日影になっている枝も除去します。

 場合によっては、日陰となっている上層木そのものを伐採することになりますが、コシアブラに光が当たればいいので、日陰になっている全ての上層木を伐採する必要はありません。

 例えば、コシアブラを中心に日陰となる上層木が、東西南北の四方に生えていたといます。

 日が良く当たる南もしくは東の上層木を伐採し、後は、コシアブラの枝に掛かっていないか、伸長成長の妨げになっていないか、将来的に伸長成長の妨げになると思われるものはないか、観察したうえで、上層木の枝はを刈り払います。

 また、ウルシなどコシアブラより成長の早い下層木は、早めに除去する必要があります。

 除伐を行い、周囲を開けると、コシアブラの種子が発芽する可能性もありますが、強度に伐採すると、カラスザンショウやアカメガシワなどの樹種を呼び込む可能性もありますので、「伐採し過ぎない」がポイントになります。

 僕は、毎春に採取するので、除伐は一気に行わず、コシアブラの稚樹の発生具合を見ながら、少しずつ行いました。 

 

 個人的な考えとして、コシアブラの施業は・・・

 コシアブラから美味しい木の芽をいただいたお礼に、コシアブラがすくすくと成長できるよう、コシアブラのストレスになるような要因を取り除くこと。

 だと思っています。

 ・ここの木の芽を採ったら、コシアブラは、次にどのように成長するのか。

 ・コシアブラの成長に妨げとなる/妨げになっている上層木や下層木はどれか。

 コシアブラを観察し、コシアブラの周辺環境を観察するしながら、施業を行うことが、ポイントかと思います。

 繰り返しますが、自生していたコシアブラに対する施業ですので、人工的に植え付けた場合や休耕田を利用した場合は、同じことが言えるのか、自信はありません。

 

 昔は、この山で、こうした施業を行っていたので、「両手いっぱいのコシアブラ×3、+余り」が採取できましたが、現在は施業できる立場ではないため、放置状態になっています。

 久しぶりに、コシアブラをいただきに、お邪魔させていただいたわけですが、やはり、昔のような樹勢はなく、上層木の被圧で枯れているコシアブラもありました。

 

 山の資源を安定的にいただくためには、植生遷移をある程度コントロールする必要があります。

 「自然のままがいい」という想いからすると、コントロールするという行為は、ものすごく悪いように感じますが、遷移をコントロールしないと、消失する植物があることも事実です。

 そして、消失した植物に依存していた虫などの小動物も、同じように消失します。

 人が関わることで消失するものがある一方で、人が関わることで生き残るものもあると思います。

 とはいえ、コシアブラのためにと、伐採や枝払いした上層木には申し訳ない・・という気持ちを持ちつつ、やはり、森林からいただいた資源を味わう楽しみはやめられません。

コメント (1)
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