はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

チェーンソーカービング × おにぎり

2020年02月26日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 チェーンソーを使って、丸太を彫刻するチェーンソーカービング(チェーンソーアート)。

 チェーンソーカービングに使用するチェーンソーは、通常、使用されているチェーンソーと変わりないんですが、「カービングバー」という先端が細いガイドバーを使用します。

 ちなみに、間伐など林業の伐採作業で使われているガイドバーは、スプロケットやハードノーズだと思います。

 僕も、伐採作業の時はスプロケット、カービングの時はカービングバーと、使い分けしています。

 なお、カービングバーは、キックバックが起こりにくいという特徴があるので、枝払いなどの作業に適しています。

 枝払い中、ガイドバーの先端が死角の枝に当たって、キックバックが起こり、足を負傷するという事故が起こりにくくなると思います。

 

 

 さて、チェーンソーカービングでは、丸太から動物を彫ることが多いんですが、最近は、食べ物にハマってます♬

 

 今回はおにぎり🍙。

 今回使用した樹種はスギ。直径は約55cm、長さ50cm。

 丸太を横に寝かして、樹皮を海苔に見立て、樹皮を残す様に彫りました。

 

 彫った後、しばらく乾燥させてから、磨いて完成。

 この作品は、おにぎりに関するイベントで使用しました。

 イベントに来られた参加者が、おにぎりの前で写真を撮影をしたり、おにぎりを担いで写真を撮影したり、「インスタゾーン」的な感じに。

 小さい子ども達は、おにぎりの上に乗ったり(^_^)、気に入ってもらえて、良かったです~

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森林資源フル活用セミナーでのお話

2020年02月09日 | 樹木医・森林インストなどの活動のお話

 2020年2月4日、北海道池田町様からのご依頼により森林資源フル活用セミナーに、「森林資源の持続的利用と森林管理~樹木と森林の基礎知識で森林管理の視野を広げましょう~」という演題で、登壇させていただきました。

 和歌山県育ちの人間が北海道という大きく環境が異なる北国で、林業家さん達の前でお話しさせていただく、大変貴重な体験をさせていただきました。

 少しでも、現場の皆さんのお役に立つことが出来れば、嬉しい限りです。

 と言うわけで、セミナーの時にさせていただいたお話の内容を、少しですが、このブログでご紹介したいと思います。

 

 樹木の基本的な知識として、「立木密度と樹木の成長」のお話ですが、これは下記をご覧下さい。

 立木密度が高い、つまり、一定の面積における立木の本数が多いほど、胸高直径は小さくなるし、枝下高(地上から生きた枝までの高さ)が高くなるなど、立木密度が樹木の成長にどのような影響を与えるのかというお話です。

 ここでのポイントは、立木密度に関係なく、樹高成長は同じであること。

 つまり、間伐をしないと、胸高直径は小さいし、枝下高は高くなるし、だけど、樹高は普通に伸びていくので、結果的に、ひょろ長い木になるよということです。

 

 木材生産の観点で言えば、「うらごけ」よりも「完満」の方が良い。

 しかし、風に対する抵抗力で言えば、「完満」よりも「うらごけ」の方が良い。

 風が吹いたとき、先端が細い「うらごけ」では、先端部が大きく揺れ、根元への負荷が抑えられます。

 10mまで伸びるポールが2本あったとします。

 1本目は、「元の直径が10cm、伸ばしきった先端の直径が7cm」

 2本目は、「元の直径が10cm、伸ばしきった先端の直径が1cm」

 どちらの方が、支えやすいのか?、と想像して下さい。

 支えやすいのは、2本目のポールですよね。

 樹高を測定する測桿(そっかん)を使ったことがある方は、容易に想像が付くと思います。

 木も同じ原理です。

 先端が細くなる「うらごけ」の方が、完満よりも風に対する抵抗が強いと言えます。

 つまり、完満材を生産すると言うことは、風に対する抵抗力が弱い素性の木を育てるという風にお考え下さい。

 でも、木材生産の観点で言えば、完満材の方が優れています。

 なので、風に対する抵抗力を備えた完満材を育てることが重要です。

 どういう木、かというと、枝下高が低い完満材です。

 

 枝下高が低い完満材は、樹冠の重心が低くなります。

 枝下高が高い完満材は、樹冠の重心が高くなります。

 音楽で使うメトロノームを想像して下さい。

 メトロノームの揺れ幅は、重心が高くなると大きくなります。

 木も同じ理屈です。

 つまり、枝下高が高く、重心が高い完満材は、より大きく揺れ、根元への負荷も大きくなります。

 根元への負荷をなるべく抑えるためには、枝下高を低くし、重心を低くする必要があります。

 そのためにどうすれば、良いのか。

 先ほどの「立木密度と樹木の成長」をご覧いただければ、そこに答えがあります。

 だから、間伐という作業が重要になります。

 おそらくですが、多くの人工林は、枝下高が高い、脆弱な立木が密集していると思います。

 緑に覆われる人工林も、林内に入れば、ほとんどの立木が上の写真の様な状態だと思います。

 強風や台風が、こんな人工林とぶち当たれば・・・・

 倒れますよね・・・倒木は立木という名の資産・資源の損失を意味します。

 さらに、防護柵を壊してしまうと・・・

 再投資した資産の損失を招きますし、隣接山林所有者の資産価値を損なうという責任問題にも・・・。

 

 間伐という作業は重要です。

 だけど、適切な時期を逃せば、手遅れになります。

 間伐が遅れた森林を間伐しても、遅れた分を取り戻すことは出来ません。

 もし、間に合ったなら、それは「まだ間に合う森林」だったと言うことです。

 そして、間伐が遅れた森林を間伐すると、下手すれば、風通しが良くなり、倒木を招く要因になるかもしれません。

 こういう森林では、森林を観察しながら、抑え気味の伐採率で間伐を行う方がいいかもしれません。

 もしくは、皆伐や択伐を行い、樹種転換や再造林(リセット)の方が望ましいかもしれません。

 

 それと藤森隆郎先生が提唱する林分の発達段階のお話も。

 林分の発達段階も樹木の成長に応じた考え方なので、適切な間伐・施業を行う時期は、樹木の成長が旺盛な「若齢段階」の前半になります。

 成長が緩やかになり始める若齢段階の後半では、おそらく手遅れになる可能性が高いと思います。

 林齢で言えば20~30年生かなー、なんですが、植栽密度(立木密度)も関係してくるので、やはり、森林を観察し、適切な実施時期を見極める必要があります。

 あと、上の図が示す林分の発達段階と機能の関係性。

 少し古いデータ(2018年度)になりますが、齢級構成で言えば、これから公益的機能が高まる成熟段階に入る森林が多い、、、と言うことになります。

 適切な間伐が行われていなければ、公益的機能の発揮に疑問が生じます。

 ですが、樹木の成長が緩やかになり、林冠が閉じるスピードも遅くなるため、複層林が成立しやすい状況になるという点を考えると、針広混交林へ誘導するという選択肢もアリだと考えられます。

 皆伐して再造林するのか、択伐して複層林や針広混交林にするのか、長伐期にするのか、ある意味、色々な選択肢を選べる状況にあると言えるんじゃないでしょうか?

 木材として利用期を迎えたとしても、森林としての発達は、まだまだこれからです。

 

 次に、斜面において針葉樹と広葉樹の生え方に、なぜ、違いがあるのか。

 それは、↓ ご覧のとおり ↓ 。

 針葉樹の根と広葉樹の根の違いを理解していれば、作業道における影響も異なる、という事にも気づけます。

 あくまで、一般論なので、しっかりと観察して、根系の発達を見抜いて下さい。

 樹木は環境に応じて成長するので、下に根を伸ばせない針葉樹は上に根を伸ばしますし、上に根を伸ばせない広葉樹は下に根を伸ばします。

 針葉樹は、広葉樹と違い、真っ直ぐで素直に成長するので、じっくり観察することで、重要な情報を得ることも出来ます。

 積雪もない環境で、一定の場所で根元が若干曲がっている場合、過去に地表面が動いた可能性があると予想できます。

 木が若い頃、地表面が動いたため、木が傾き、その傾きを修正した名残が、根元の曲がりとして現れたという可能性も考えられます。

 これも1つのリスクとして捉え、森林管理のリスクマネジメント・リスクヘッジと考えると、作業道を設けない、深根性の広葉樹に樹種転換するといった選択肢も考えられます。

 

 そして、最後に、僕から参加された皆さんにお伝えしたこと。

 健康な樹木を、たくさん育てましょう。ということ。

 健康な樹木は成長も良い。ということは、資源量も増えるし、再生力も高いし、根がしっかりと張っていれば木も安定します。

 

 そして、僕の持論になりますが、森林整備の目的は、

1.樹木が生き生きと成長できる環境を整備すること。

 これは、適切な時期に間伐を行い、林内に光を入れ、林内木の樹冠(着葉量・葉面積)を充実させましょうということです。

 葉は光合成に必要な器官なので、葉が少なければ少ないほど、樹木の健康は低下します。

 その結果、幹は太らないし、根も発達しない・・・不健康な木が多い森林を健康な森林とは言えないので。

 

2.林内で安全に働くことができる環境を整備すること。

 僕は森林整備の1番の目的が、これだと思っています。

 間伐が遅れた人工林で間伐を行うとき、「どこに倒しても、掛かり木になる」と、悩んだことありませんか?

 林業の重大災害が最も多い作業は、伐採作業や掛かり木処理です。

 掛かり木が発生する人工林の環境は、林業従事者の働く環境としては悪いと言うことになります。

 つる切りをせず、つる絡みが多い人工林も同様です。

 低コスト造林という名目の下、地拵えをしない現場も同様です。

 地拵えは植栽だけでなく、その後の下刈り作業にも影響します。

 育林コストの縮減という名目の下、隔年下刈りも同様です。

 背丈以上灌木が生えた現場で行う下刈りって、安全な環境と言えるのでしょうか?

 森林整備が遅れたり、森林整備を怠ることで、危険因子が潜む現場になりうると言えます。

 そうした現場に、林業大学校を出た新人を放り込んでいいのでしょうか?

 

 以上が、セミナーでお話した内容です。

 これが、全てというわけでは、ありませんが、少しでもお話した内容が伝われば幸いです。

 また、参加いただいた皆さんの復習に役立てれば幸いです。

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植栽地におけるシカ被害対策 防護筒

2020年02月08日 | 狩猟・獣害のお話

 林業におけるシカ被害が大きく取り上げられるようになったのは、1990年代がスタートだったと思います。
 1960~70年代は、ノネズミやノウサギの被害が多く、シカの被害はほとんど無かったと言われており、1980年代から、少しずつシカの被害が報告されるようになり、1990年代から被害が目立ち、被害対策が進められるようになりました。
 僕自身、林業業界に関わったのは2000年からなんですが、当時のベテランの方は、「昔は、シカなんて、ほとんど見ないし、珍しかった。」と言ってました。
 
 そして、現在。

 シカ被害は、非常に深刻な状況です。
 
 植栽した木が食べられ、

 なんとか、食害から免れた木も、皮を剥がされ・・・

 そして、収穫目前で、剥がされてしまったり・・・

  林業で生産される木材は、長期間、シカの被害を受ける環境に置かれているので、シカ被害対策は本当に深刻です。
 
 さて、植栽地におけるシカ被害対策は、大きく分けて2種類。


 1つ目は「防護柵(防護ネット)」。

 2つ目は「単筒(防護筒)」。

 
 前回(といっても、だいぶ前ですが、、、)防護柵に続き、今回は防護筒について、お話しします。

 ちなみに、ここでは防護筒と表現していますが、単筒とか他の表現もあります。

 また、上の写真と異なり、下の写真の様にネットタイプもあるなど、種類はそこそこ多彩です。

 

 なお、ここでは、植栽木を1本ずつ守る対策を一括りにして、防護筒と表現させていただきます。

 

 ぶっちゃけ、防護筒の効果は、防護柵よりも賛否両論ではないでしょうか?

 僕自身、いくつかの現場を拝見させていただき、成長促進と被害防除のダブル効果現れた現場もあります。

 例えば、植栽2年目のウバメガシが想定以上に成長した現場。

 斜面上方からシカの食害を受けてしまってますが、全体的に見れば、被害は軽微なもので、ほとんどのウバメガシが防護筒を超えて、順調に成長していました。

 一方で、筒内部で、ヒノキの先端部が中に入り込んでしまい、上方へ伸びず、クルッと一回転し、奇形になってしまうものもあります。

 

 また、下の写真のような隙間に口を入れ、苗を引っ張り出し、食害する知恵が回るシカもいたり・・・

 

 風が強いところでは、一斉に倒れてしまったり・・・。

 

 他にも蒸れが原因?で、枯れることも・・・。

 でも、素材がネット的なものだと、そういうこともないと思います。

 

 成長阻害があることも否めませんが、だからといって、防護筒がダメ!と言うわけではありません。

 防護柵も破壊されるという欠点がある様に、防護筒にも欠点があります。

 ただし、防護柵では期待できない成長促進という効果があるという点で、防護筒は被害防止とのダブル効果という魅力もあります。

 ただし、植栽した樹種や環境によって、効果がプラスに働いたり、マイナスに働いたりすると思います。

 そもそも、そこの環境に適していない樹種を植えたことによって、防護筒がマイナスに働いたという可能性も考えられます。

 逆に、防護筒のおかげで、環境面でのマイナス要因が除去されて、成長したと言う可能性もあると思います。

 独断と偏見による個人的な考えになりますが、これまで現場や植栽木の状況などを見た経験を踏まえると、情報や研究不足なんじゃないのかなーと。

 被害対策技術の確立よりも、基礎研究的な防護筒の効果に関する細かな情報や成果の方が、現場には必要というか、ありがたいんじゃないのかな~、と僕は思います。 

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