はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

森林インストラクターのネタ集め

2019年06月30日 | 樹木医・森林インストなどの活動のお話

 森林インストラクター(兼樹木医)として、樹木のことや森林のこと、林業や木材のこと、獣害対策や生き物に関することなど、色々な講義の依頼を引き受けています。

 講師として、僕自身のセールスポイントは、「都合さえ合えば、突然言われてもすぐに対応できる。」というところです。

 例えば、「今から1時間ほど、何か山の話をして。」とか全然大丈夫です。

 あと、場所と時間が決まっているなら、「明日、観察会の講師をして。」も大丈夫です。

 依頼者や主催者側が観察コースを熟知し、危険予測が出来ているなら、事前の下見や打ち合わせは不要ですし、当日の流れを説明していただき、「ここからここまでの時間をお願いします。」って感じで、放置してもらって大丈夫です。

 

 僕が森林インストラクターになったのは、平成14年(2002年)で、当時21歳。

 あの頃は、知識が豊富な先輩森林インストラクターの中に、自分が食い込んでいくためには、先輩方が出来ないこと、先輩方と違う話をすることを常に意識していました。

 そして、森林観察や講義の依頼があるとき、「森林インストラクターなら誰でもいい。」ではなく、僕を指名してくれるようにならなければ、という考えに行き着き、今に至っています。

 リピーターを確保するためにも、ネタや知識の引き出しが多い方が有利ですし、話し方も楽しい・明るい・面白いは必須の技術。

 商売でも同じだと思いますが、「あなたのところで買いたい。」、「あなたの商品が欲しい。」と買い手に思わせたいですよね。

 という感じで、軌道に乗って、自信がついて、天狗になり始めた頃、師匠から「現場で働く人間が、お前の話を聞きたいと思ってもらえるようにならないと意味がない。」と言う激励をいただき、先生と呼ばれ、天狗になっている自分のことを恥ずかしいと思うようになりました・・・・。

 

 という訳で、普段、僕が山や森、公園林を歩くとき、無意識で話のネタを集めたり、学術的なことと結びつくネタを集めています。

 ネタ集めとして、どんな視点で、森や樹木を見て、どんなネタを思いついているのか、を少し紹介したいと思います。

 

 以下の写真は、見た瞬間に、「ネタやぁ!」と思ったものを撮影したものです。

 

 公園に植えられたセンダン。主幹が切られていました。

 これは植物ホルモン、「オーキシンとサイトカイニンの関係」でお話しできるネタですね。

 

 植栽地に設置された獣害防止ネットのロープを食い込んだタラノキ。

 これも植物ホルモン、「サイトカイニンとエチレンの関係」でお話しできます。

 

 アカマツに絡まるサルトリイバラ。

 育林施業である「下刈り」や「つる切り」に関するお話、つるの違いに関するお話ができますね。

 

 ヒノキ人工林内に残された切り株。その株の上に芽生えるスギやヒノキなどの稚樹。

 天然更新の1つ”倒木更新”のお話、林業では直接播種ではなく植栽する理由のお話に使えますね。

 

 ヒノキ人工林の中にある枯れたアカマツ。

 これは攪乱、遷移、天然更新、針広混交林などのお話に使えます。

 

 タムシバの若木。

 新葉が赤いので、アントシアンのお話が出来ます。

 

 崩壊し、スギが倒れた現場。

 これは根系や人工林と崩壊や水害関係のお話に。

 

 スギの幹に絡みついたツタ。

 これも育林施業「つる切り」に関するお話、つるの違いについてお話できますね。

 

 最後にモミの稚樹。

 葉の付き方から、陽葉と陰葉のお話が出来ます。

 

 という感じで、「おっ!」とネタになると思ったものは、カメラで撮影し、このブログや講義用スライドに使ったりしています。

 書籍や論文に書かれていることと結び付くものもあれば写真に収めます。

 難しい文章だけでは伝えきれない。

 「それはね、こういうのだよ。」とビジュアル的な要素を加えて、伝えれば一層、分かり易くなるし、現場経験と学問の知識が上手くフィットするので。

 知って理解するだけじゃなく、「腑に落ちる」事が大切で、それが次のステップ「行動」に繋がる。

 

 自然観察や講義用資料に使うネタ集めで観察すると、森林づくりにおける観察にも応用できます。

 森林は樹木や様々な生き物の集合体ですが、実際に施業するときは、1本の木と向き合うので、樹木を観察する事は普段からとても大事なことだと、ぼくは思っています。


ヘビとダニ

2019年06月28日 | 爬虫類・両生類のお話

 ヘビと出逢う機会が増える季節になりました。

 我が家では、ニワトリを飼っているので、この季節になるとニワトリ小屋にアオダイショウが侵入してきます。

 卵ほしさに出没するのは良いんだけど、呑みきれないのにニワトリそのものを襲うのはやめてほしいな~

 アオダイショウの命の糧にならず、ただただ絞め殺されるニワトリがかわいそう・・・・。

 

 というわけで、アオダイショウをよく捕まえるんだけど、捕まえたアオダイショウをじっくり観察すると・・・

 マダニが喰いついている・・・

 鱗と鱗の隙間にガッチリと。

 これまで捕まえたアオダイショウの中には、3匹くらい喰いつかれている子も。

 マダニに食いつかれたヘビに咬まれると、SFTSを発症するのかな?と気になるところです。

 アオダイショウは無毒ですが、ヘビの口内は雑菌が多く、咬まれることでショック症状を起こし、最悪、死に至る可能性もあるらしいです。

 これは、人の体質によるもので、発症も稀みたいですが、無毒・有毒にかかわらず、ヘビを扱う場合は、咬まれないように注意する必要があります。

 モルモットに咬まれて、アナフィラキシーショックを起こし、亡くなられたという報告もあります。

 

 

 ところで、先日、小学4年生50名程度を対象に、林業と木材利用をテーマにした林業教室をしたとき、スペシャルゲストとしてアオダイショウを同行。

 触りたい!首に巻きたい!と大人気。

 さらに、授業参観もあったらしく、保護者の方(母親)も、見たい、触りたい、首に巻きたいと・・・。

 首に巻いて、写真を撮ってました。

 授業中も森林のこと、木のこと、生き物のこと、子供たちの反応は大きく、積極的でしたが、保護者の方も好奇心が強いから、そういうところの影響もあるのかなーと思いました。

 先生も熱いし、良き学校でした♪。

 ちなみに、アオダイショウの口は、僕がしっかりと押さえ、肛門も手で覆い、糞尿を出した場合、なるべく飛び散らないよう配慮しました。

 

 まぁ、アオダイショウの立場としては、多くの人間に囲まれ、触られ、無理矢理首に巻かされ、超ストレスを感じてたと思うけど・・・。

 ゴメンね。。。

 


ニガイチゴ

2019年06月19日 | 樹木・草花のお話

 見た目は美味しそうだけど、食べると苦い、悲しい野いちご「ニガイチゴ」。

 そして、葉っぱもかじると苦いです。

 

 でも、食べられなくはない。

 ほんのりと苦いだけなので、「美味しい!」と言って食べる人もいます。

 

 こんなにいっぱいできていると、苦いとわかっていても食べてしまう。

 

 

 そういえば、コーヒーはブラックが美味しい!と感じるのに、なぜ、ニガイチゴは苦いと感じるんやろう?

 

 葉っぱも苦いニガイチゴ。

 トゲもあるから、シカは食べないだろうと思うけど、ちゃっかり食べてます。

 地域によっては、むしゃぶりつくように食べてます。

 

 きっと、ニガイチゴが美味しい、それが味覚の標準になってるんでしょうね・・・・。


鳥害 カワウ

2019年06月01日 | 狩猟・獣害のお話

 森林や林業における代表的な鳥害と言えば「カワウ」。

 カワウは樹上で巣を作り、そこで糞をするので、枝葉に糞が付着し、全体的に樹木が真っ白になり、光合成が阻害され、結果、樹木が衰弱し、枯れてしまいます。

 滋賀県のカワウ被害が一番有名じゃないのかな?

 以前、滋賀県内で働いていたとき、80年生のヒノキ林にカワウが営巣し、無惨な姿に・・・。

 滋賀県に勤務してたのは、平成14~16年頃なので、まだヒノキの木材価格が良かった時代です・・・(たしか平均すると30,000円/m3くらいやったかな~)。

 

 カワウ被害に遭うと、ホント、真っ白になります。こんな感じに。

 河川沿いに生える樹木に営巣し、樹下のコンクリが真っ白に・・・

 さて、カワウ被害は森林や林業だけでない。

 むしろ漁業被害の方が深刻です!

 鮎が大量に食われてしまう!

 

 対策としては、捕獲も重要ですが、川沿いの樹木や森林に営巣するカワウの追い払いも重要です。

 高い樹木が並び立つと、追い払い作業が大変になります。

 なので、低木に仕立てて、カワウを追い払いやすい森林に整備するという工夫が必要だそうです。

 漁業の鳥獣害と言う視点から森林を見るのも大事なことだなーと思いました。

 

 「でも、それは漁業の問題では?」と、産業別・分野別に切り離して考えるのではなく、目の前の森林や地域の森林が、林業と関係なくても、その地域や産業が抱える問題とその森林の関係に着目し、問題解決につながる森林整備を考えていく必要もあるなと思います。

 カワウ被害は、そんな分かり易い事例の1つではないのかな~

 

 ちなみに、カワウ被害を意識した森林整備を行う場合は、事前に漁業関係者や行政、専門家の相談をした方が良いとのこと。

 効果的に進めるため、カワウの生態や被害に精通した方達の声は大事です。