はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

オーダーメイド森林講座 樹木医学 × 森林管理 × 森林生態 × 樹木生理

2022年07月30日 | 株式会社はぐくみ幸房のお仕事

 「樹木の名前を覚えたいし、森林の管理方法を学びたいし、森林整備をしながら森林環境教育もやりたいけど、どうすればいいかなー」というご依頼から、ヒアリングしながら森の中を歩いてきました。

 弊社では、クライアント自身に行きたい場所や解説して欲しい場所を指定していただき、お互いの日程を調整し、基本的には、森の中でヒアリングしながら解説するという感じの講座を行っています。

 オーダーメイド森林講座というのは、クライアント自身の中にある答えをヒアリングで引き出し、その答えに適合した講座を、当日、作り出すというものです。

 

1.ヒアリング編

 ヒアリングは、クライアントがしたいことやクライアント自身が求めていることは何なのかを明確にするために行います。

 つまり、「目的を明確にする」ためのヒアリングですね。

 目的が明確に決まれば、目標が定まるので、具体的な目標設定に繋げていきます。

 ここまでできると、「問題」と「課題」が見えてくるので、具体的な行動に移すことが出来ます。

 

 実は、結構、現状を問題に置きかえてしまっている方が多いです・・・。

 そこで、明確な目的と具体的な目標を定めることで、自分自身がやりたいことの問題点が浮かび上がってきます。

 あと、明確な目的と具体的な目標が定まっていないと、手段が目的になるパターンに陥ったりします

 

 林業業界で言われている「材価が安い」や「再造林が進まない」といった問題も、実は、問題であるパターンと現状であるパターンが混在してて、現状なのに問題として扱ってしまっている場合が結構多いです。

 色々と話を進めていくと、「それが目的なのであれば、材価が安いことは問題ではなくて、現状だよね。本当の問題は、○○だよね」って、なることが多いし、中には、「材価が安いって、問題じゃ無かったね」というパターンもあります。

 

 今回は、樹木の名前も覚えたい、森林管理の方法も学びたい、整備も教育とかもやりたい、と多様な要望が多かったので、まずは、方向性を整理した上で、何をしたいのか、目的の明確化を促しながら、森の中を解説していきました。

 

 2.解説編

 今回の解説現場は、三重県の「赤目四十八滝」。夏だし、オオサンショウウオに会えたら良いねってことで。

 まず、樹木の名前を覚えたいと言うことで、目に付いた樹木の特徴や覚え方を伝授。

 ケヤキ、ホソバタブ、シラキ、ヤブツバキ、イロハモミジ、ホオノキなど材の用途も含めて解説。

 

 樹木の解説をしながら・・・、

 ホオノキの落ち葉。右と左の違いは何か、そこから読み取れる動物の話と森林生態について。

 

 またまたホオノキ。今度は倒木。

 このホオノキに何が起こって、どうなったのか。そして、将来、どうなるのか。

 これは、植物ホルモンを中心に樹木生理の目線から解説。

 

 フサザクラ。これは、森林管理の上で、重要は指標植物です。

 土地が不安定な場所に群生するフサザクラは、落石や崩土の発生リスクが高いことを示してくれています。

 

 樹木だけでは面白くないので、赤目のもう1つの魅力。

 それは・・・山菜が多い!

 ウワバミソウ。

 ギボウシ(ウルイ)。

 イワタバコ。

 といった、食べられる植物が目につきます。

 食べられる「山菜」を入り口にする方法もありですよと。

 

 森林管理で、質問攻めした場面がこちら。

 自分が山主ならどうする?どうしたい?

 山主から依頼を受けたら、どうする?どう提案する?

 山主がお金に換えたいという依頼なら、どうする?どう提案する?

 お金よりも環境を優先?。クライアントである山主に環境を説得することに違和感を感じる?感じない?

 これが、他業界だったら?

 なんで、林業だとそういう行動に移るの?

 経費をどうする?お金をどう区面する?

 材価が安い?資金を集める方法は材価の売上げだけ?  とか、色々。

 話の流れで、「材価が安い」という言葉は、便利な魔法の言葉なので、使わないようにと解説。

 

 こういう場面でも語り合います。

 対岸は絶壁。樹木が生えてるけど、一部分だけ、樹木が生えていない。

 それはなぜ?

 倒木があった?・・・・倒木の痕跡はある?

 流された?・・・・何もかも全部?

 ここだけ、何故、倒木したと判断したのか?

 再生すべき?それともこのまま放置?

 どうやって、再生する?  など、色々。

 

 あと、川に堆積した落ち葉のメリットとデメリットは?、的な語り合い・・・。

 

 そんな中、出会った生き物の観察も。

 ツチガエル、ニホンイモリ。

 ヤマカガシとニホンマムシもいたので、対処と予防のお話も。

 

 フタスジヒトリという蛾の幼虫。毛虫ですね。毒ないから触れます。

 

 運良く、ツチアケビにも出会えました。腐正植物です。

 

 という感じで終日過ごし、帰りの下山では、樹木の名前を振り返り。

 下山するスピードを落とさず、立ち止まること無く、歩きながら、目に付いた樹木を指でさしながら、名前を言う。

 「えー」とか、「あー」とか、言う間はありません(^_^;)。

 

 3.まとめ。

 ヒアリングで行った目的と目標を再確認。

 何のために学ぼうと思ったのか。そこはブレないように振り返り。

 あと、詰め込んだ内容は、同じ場所でも良いし、違う場所でも良いので、思い出すように繰り返し作業をすること。

 忘れてしまったり、アレ何だったっけ?と言うのがあれば、LINEとかで連絡下さいと、とにかく続けないと。

 

 頭はパンパンだけど、目的と目標が定まったので、スッキリして、喜んでいただけて、何よりです。

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紀州備長炭を使ったBBQ

2022年07月21日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 和歌山県の特産品「紀州備長炭」。

 熱量が高く、火保ちが良い、非常に高品質な白炭。

 ただし、着火させるのが難しく、BBQには不向きと言われています。

 特にBBQで、女性にカッコいいところを見せたい男性は、備長炭をBBQの炭に選んではいけません。

 それくらい、難しいです。

 しかも、途中で「パンっ!」って爆ぜます。

 

 そんな紀州備長炭を着火させる方法のお話です。

 これまで試した中で、一番、効率良く着火できた方法なので、絶対的な一番ではないこと、その点はご理解を・・・。

 

 まず、BBQコンロに着火剤となる「スギの落ち葉」、乾燥した「木っ端」や「落ち枝」を敷き、その上に、紀州備長炭を置きます。

 紀州備長炭を覆うように、「スギの落ち葉」、「木っ端」、「落ち枝」、「小さめの薪」の順に積み上げて、火を付けます。

 

 こんな感じに、思いっ切り、火を焚きます。

 ときどき、うちわで扇ぎながら、火を焚きつけていきます。

 

 やがて、薪を以外の燃料が燃えつき、火が穏やかになります。

 引き続き、うちわで扇ぎます。

 

 完了です。

 

 一番のポイントは、「紀州備長炭に湿気を含ませない」ことです。

 紀州備長炭は、乾燥剤と一緒に袋で保存するなど、湿気を吸収させないように保存することが重要です。

 次に、中途半端な火力だと爆ぜるので、最初から高火力で着火させると、ほとんど爆ぜません。

 

 以前、燃えさかる薪ストーブの中に、紀州備長炭を放り込んだら、爆ぜずに着火したので、それをBBQで試したら、ほとんど爆ぜず、簡単に着火できました。

 

 身の回りに、スギの落ち葉とか、着火剤になる自然素材がたくさんあるので、この方法で、紀州備長炭を着火してますが、市販の着火剤を使うと、どうなるか、試したことがないので・・・、すみませんが、わかりません。m(_ _)m

 

 でも、紀州備長炭で食材を焼くと、美味しいことは間違いないです。

 そもそも、紀州備長炭と市販の炭では、ニオイが全く違います。

 紀州備長炭は、ニオイがしない(臭くない)ので、どんな食材も美味しくいただけます。

 これは、間違いありません。

 しかも、高火力で火保ちがイイので、炭を追加する必要はほとんどありません。

 むしろ、最後に、余ります。(実際、余るくらいが、ちょうど良いです。)

 

 さて、今年も、紀州備長炭で遊ぶ季節がやってきました♪

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アカメガシワの樹皮

2022年07月14日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 アカメガシワの樹皮は、「ベルゲニン」という苦味物質が含まれ、樹皮を煎じて飲むと胃腸薬になるそうです。

 生薬として登録もされており、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多症に効果があるとされています。

 道路の法面や耕作放棄地など陽当りの良い場所に繁茂し、非常によく見かけるアカメガシワですが、僕の身の回りでは、生薬として利用されることは意外と知られていません。

 

 さて、アカメガシワの樹皮ですが、もう1つ有用な使われ方があります。

 それは「籠(かご)」。

 アカメガシワの樹皮は、結構丈夫で、その特性を活かして、籠を作っている方がいます。

 樹皮を採取する時期は、水の吸い上げが盛んな6〜7月。

 お盆を過ぎると、剥きにくくなると思います。

 樹皮を剥いて、細く割いて、カゴを編むそうです。

 樹皮利用の大変なところは、樹皮を採取するときに、チェーンソーが使えないこと。

 伐採時にチェーンオイルを飛ばしてしまうので、オイルが付いた樹皮で生薬はマズイですよね。。。

 カゴも人の肌に触れるものなので、オイルがつくことは気持ちいいものではありません。。。

 

 今回、アカメガシワの樹皮が欲しいという方がいたので、採取しました。

 

 ちなみに、伐倒は手ノコ、枝払いはナタを使いました。

 チェーンオイルは植物性を使用していますが、やっぱり樹皮にオイルがつかない方がいいなと思うんですよね。

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林業用運搬型ドローン「ITAKISO NOAH」

2022年07月13日 | 株式会社はぐくみ幸房のお仕事

 弊社で取り扱っている林業用運搬型ドローン「ITAKISO NOAH」の紹介動画を作成しました。

 

 動画作成は専門外なので、決して高いクオリティではございませんが(^_^;)、ご覧下さい。

 

 ちなみに、動画のBGMは、友人のミュージシャンに作っていただきました(^o^)。

 

 You Tubeでご覧になりたい方はこちらです ⇒ https://youtu.be/R2kx7cyPyWA

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ゲンジホタル

2022年07月11日 | 昆虫類+αのお話

 日本固有種のホタル「ゲンジボタル」。

 

 最初の2秒間、画面左下でゲンジボタルが飛来してます。。。チラッとで、見にくいけど・・・(^_^;)。

 

 ゲンジボタルは、5~6月頃、曲線的な動きで光りながら飛来します。

 オスは飛来しながら、メスは草木の上に止まりながら光ります。

 オスとメスがお互いに光りながらコミュニケーションをとるって、素敵だなー。

 

 

 ゲンジボタルは、川岸にある石に生えたコケの中に産卵し、約1ヵ月で卵が孵化します。

 幼虫は肉食でカワニナという巻き貝を食べ、成虫は水だけ補給します。

 

 幼虫は、川の中で過ごし、そのまま越冬し、春になって大きく成長した幼虫は、川岸に上陸し、川岸の柔らかい土に潜り込んで蛹になります。

 ゲンジボタルの幼虫は成虫に育つまで、カワニナを50匹以上食べるそうです。

 そのため、ゲンジボタルが生息するためには、エサとなるカワニナが大量に生息できる水がきれいな環境が必要になるというわけです。

 加えて、蛹になるためには、川岸が土でないとダメなので、コンクリートで固められてしまうと、幼虫が蛹になることが出来ず、結果、ゲンジボタルが生息できなくなります。

 

 カワニナが生息できるよう水汚染に気をつけないといけませんが、コンクリートによる護岸工事もゲンジボタルを減らす要因なので、このような工事も配慮する必要があります。

 

 ゲンジボタルが光る期間は10日~2週間程度ですが、寿命は1年です。

 光らなくなっても、ひっそりと、どこかで生息しています。

 

 ゲンジボタルは、体が平たく、全体的に黒色ですが、胸の部分だけ赤色で、十字形のような黒い模様があるところが一番の特徴です。

 ちなみに、ヘイケホタルは、赤い胸の部分の黒い模様は十字形ではありません。太い線形?って感じです。

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アカメガシワ

2022年07月06日 | 樹木・草花のお話

新芽が赤いという特徴を持ち、非常に良く見かける樹木「アカメガシワ」。

 新芽が紅色で、大きい葉に食物を盛る「カシワ」と同じ使い方をしたことから「アカメガシワ」が名前の由来だそうです。

 ちなみに、漢字で書くと「赤芽柏」。

 実は、「ゴサイバ」、「サイモリバ」という別名もあり、漢字にすると「後菜葉」、「菜盛葉」と書くそうです。       

 

 アカメガシワは、本州(秋田県以南)、四国、九州、南西諸島に分布し、河原や海岸、伐採跡地などの日当たりの良い場所に生える「パイオニア(先駆性樹種)」です。

 ちなみに、本来は熱帯系の樹木で、温帯に進出するために落葉性を身につけた・・と思われているそうです。

 

 アカメガシワの葉は互い違いに生える「互生」で、葉先は深くor浅く尖裂or3裂します。って、文章で書いたら何が何やらですね(^_^;)。

 葉の基部には、蜜腺(みっせん)があり、アリが吸蜜しにくるので、葉柄から葉の基部にかけて、ウロウロしているアリを見かけると思います。

              

 アカメガシワは、雌雄異株で、5~6月に黄色い花を咲かせます。

 これが雌株(雌花)。

 次に雄株(雄花)。

 

 秋になると実を付けます。

 アカメガシワの種の表面には油脂があり、休眠性が高いという能力が備わっています。

 そして、上層木が無くなり、太陽の光が地面に直接あたり、高温環境になると発芽率がグッと上がります。

 薄暗い森の中に落下した種子は、地面の中で長期間休眠し、伐採や火災などによって、林内に光があたり、その温度変化に反応して芽生えるという戦略を持っていて、これが「パイオニア(先駆性樹種)」と呼ばれる樹木の特徴の1つですね。

 なお、幹にはタンニンなどの蓄積量が少ないため、材としては腐りやすく、樹木そのものも短命です。

 長生きしない樹木なので、早々に種子を作り、散布された種子が、地面の中で長期休眠し、伐採などで林冠が開く瞬間を、今か今かと、じっと待っている。という訳ですね。

 なお、材質は軟材なので、下駄や薪炭などに使われます。

 

 アカメガシワの樹皮です。

 この樹皮には、「ベルゲニン」という苦味物質が含まれ、胃腸薬に利用されるそうです。

 生薬として登録もされており、樹皮を煎じたものは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多症に効果があるとされています。

 僕は、ストレスで胃潰瘍とか十二指腸潰瘍になりやすいので、これは有り難い情報ですネ。今はストレスがないので、当面、お世話になる予定はありません(^o^)。

 

 最近は、アカメガシワの樹皮が丈夫な特性を活かして、樹皮で篭を作られる方もいらっしゃいます。

 耕作放棄地も増え、森林伐採も進むので、あちこちで、アカメガシワを見かけます。

 樹皮を活かすとなると、幹も一定の太さが必要になりますが、成長が早いので、耕作放棄地に繁茂するアカメガシワを上手に活かして、生薬や篭の素材が取れる体制を整えるのも、面白いかなーと思います(^_^)。

 

 最後に冬芽。

 アカメガシワの冬芽は「裸芽(らが)」といって、よ~く見ると、小さい葉っぱがキュッて、固まっています。

 写真のように何も覆われていない冬芽なので「裸芽(らが)」。

 冬になったら、じっくり観察してみて下さい。

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