「樹木の名前を覚えたいし、森林の管理方法を学びたいし、森林整備をしながら森林環境教育もやりたいけど、どうすればいいかなー」というご依頼から、ヒアリングしながら森の中を歩いてきました。
弊社では、クライアント自身に行きたい場所や解説して欲しい場所を指定していただき、お互いの日程を調整し、基本的には、森の中でヒアリングしながら解説するという感じの講座を行っています。
オーダーメイド森林講座というのは、クライアント自身の中にある答えをヒアリングで引き出し、その答えに適合した講座を、当日、作り出すというものです。
1.ヒアリング編
ヒアリングは、クライアントがしたいことやクライアント自身が求めていることは何なのかを明確にするために行います。
つまり、「目的を明確にする」ためのヒアリングですね。
目的が明確に決まれば、目標が定まるので、具体的な目標設定に繋げていきます。
ここまでできると、「問題」と「課題」が見えてくるので、具体的な行動に移すことが出来ます。
実は、結構、現状を問題に置きかえてしまっている方が多いです・・・。
そこで、明確な目的と具体的な目標を定めることで、自分自身がやりたいことの問題点が浮かび上がってきます。
あと、明確な目的と具体的な目標が定まっていないと、手段が目的になるパターンに陥ったりします。
林業業界で言われている「材価が安い」や「再造林が進まない」といった問題も、実は、問題であるパターンと現状であるパターンが混在してて、現状なのに問題として扱ってしまっている場合が結構多いです。
色々と話を進めていくと、「それが目的なのであれば、材価が安いことは問題ではなくて、現状だよね。本当の問題は、○○だよね」って、なることが多いし、中には、「材価が安いって、問題じゃ無かったね」というパターンもあります。
今回は、樹木の名前も覚えたい、森林管理の方法も学びたい、整備も教育とかもやりたい、と多様な要望が多かったので、まずは、方向性を整理した上で、何をしたいのか、目的の明確化を促しながら、森の中を解説していきました。
2.解説編
今回の解説現場は、三重県の「赤目四十八滝」。夏だし、オオサンショウウオに会えたら良いねってことで。
まず、樹木の名前を覚えたいと言うことで、目に付いた樹木の特徴や覚え方を伝授。
ケヤキ、ホソバタブ、シラキ、ヤブツバキ、イロハモミジ、ホオノキなど材の用途も含めて解説。
樹木の解説をしながら・・・、
ホオノキの落ち葉。右と左の違いは何か、そこから読み取れる動物の話と森林生態について。
またまたホオノキ。今度は倒木。
このホオノキに何が起こって、どうなったのか。そして、将来、どうなるのか。
これは、植物ホルモンを中心に樹木生理の目線から解説。
フサザクラ。これは、森林管理の上で、重要は指標植物です。
土地が不安定な場所に群生するフサザクラは、落石や崩土の発生リスクが高いことを示してくれています。
樹木だけでは面白くないので、赤目のもう1つの魅力。
それは・・・山菜が多い!
ウワバミソウ。
ギボウシ(ウルイ)。
イワタバコ。
といった、食べられる植物が目につきます。
食べられる「山菜」を入り口にする方法もありですよと。
森林管理で、質問攻めした場面がこちら。
自分が山主ならどうする?どうしたい?
山主から依頼を受けたら、どうする?どう提案する?
山主がお金に換えたいという依頼なら、どうする?どう提案する?
お金よりも環境を優先?。クライアントである山主に環境を説得することに違和感を感じる?感じない?
これが、他業界だったら?
なんで、林業だとそういう行動に移るの?
経費をどうする?お金をどう区面する?
材価が安い?資金を集める方法は材価の売上げだけ? とか、色々。
話の流れで、「材価が安い」という言葉は、便利な魔法の言葉なので、使わないようにと解説。
こういう場面でも語り合います。
対岸は絶壁。樹木が生えてるけど、一部分だけ、樹木が生えていない。
それはなぜ?
倒木があった?・・・・倒木の痕跡はある?
流された?・・・・何もかも全部?
ここだけ、何故、倒木したと判断したのか?
再生すべき?それともこのまま放置?
どうやって、再生する? など、色々。
あと、川に堆積した落ち葉のメリットとデメリットは?、的な語り合い・・・。
そんな中、出会った生き物の観察も。
ツチガエル、ニホンイモリ。
ヤマカガシとニホンマムシもいたので、対処と予防のお話も。
フタスジヒトリという蛾の幼虫。毛虫ですね。毒ないから触れます。
運良く、ツチアケビにも出会えました。腐正植物です。
という感じで終日過ごし、帰りの下山では、樹木の名前を振り返り。
下山するスピードを落とさず、立ち止まること無く、歩きながら、目に付いた樹木を指でさしながら、名前を言う。
「えー」とか、「あー」とか、言う間はありません(^_^;)。
3.まとめ。
ヒアリングで行った目的と目標を再確認。
何のために学ぼうと思ったのか。そこはブレないように振り返り。
あと、詰め込んだ内容は、同じ場所でも良いし、違う場所でも良いので、思い出すように繰り返し作業をすること。
忘れてしまったり、アレ何だったっけ?と言うのがあれば、LINEとかで連絡下さいと、とにかく続けないと。
頭はパンパンだけど、目的と目標が定まったので、スッキリして、喜んでいただけて、何よりです。