山の中を歩くとき、歩道があると、とても歩きやすいですよね。
これは、登山だけでなく、林業という労働でも同じ事が言えます。
皆さんなら、次の作業をするとき、「歩道がある」と「歩道がない」、どちらの環境がいいですか?
植栽の時に、苗を背負って運ぶ。
植栽作業の現地までの通勤。
防護柵の資材を運ぶ。
下刈り作業の現地までの通勤。
保育間伐の作業現地までの通勤。
林内の巡視。
立木の調査(踏査)。
検査の立ち会い。
現地の案内。
歩道の存在は、あらゆる作業に影響を与えるため、コスト縮減の効果も十分に期待できます。
歩道新設の当初に費用を投資する必要はありますが、歩道もインフラ整備の1つです。
長期的に使用し、関わる全ての作業の安全性と効率性が向上することで、コスト縮減と言う形で、投資した費用が回収できると考えられます。
僕が林業に関わり始めた頃、作業に従事する方達は、歩道をとても大切にしていました。
補強や修繕が必要な箇所があれば、仕事の合間に行っていました。
保育間伐の時、伐倒木が歩道を塞がないようにしました。
時には、伐倒木を利用して、歩道際の補強に活用していました。
そういう作業を見てきたので、こういう現場に出会うと、悲しい気持ちになります。
伐倒木の下をくぐらないと歩けない歩道。
チェーンソーや資材を持っていると、とても歩きにくいです。
伐倒木によって塞がれた歩道。
迂回しないと歩けない歩道。
もしくは、枝条の中を突っ切らないと歩けない歩道。
もはや、歩道としての機能は無いに等しいですね。
自分がケガをしたとき、歩道があると、どうですか?
同僚がケガをしたとき、歩道があると、どうですか?
この現場で、次に主伐するとなったら、このような伐倒木は、踏査や作業の手間というか邪魔じゃないですか?
ちょっとした手間の積み重ねが、コストと安全に影響を与えると思いませんか?
この現場に、二度と来ないつもりで作業をすると、いずれ、仕事が回ってこない、仕事を頼まれないと言うことに繋がるんですけどね・・・・。
歩道の幅員は0.4~0.6m程度。
林内にある伐倒木や立木を利用して歩道を作設します。
林業は50年、60年と長い年月、森林と付き合う産業です。
当年コストだけでなく、管理という長期的なコストも視野に入れて、歩道整備や歩道新設という作業を取り入れることは、非常に重要なことではないでしょうか。