シカ被害から回復し、再び、成長してきた・・・・と思われるスギ植林地のご紹介です。
場所は尾根筋なので、土地的にはスギよりもヒノキの方が適していますが、山主さんが「スギの方がシカに食べられにくいから。」ということで、スギを植えたそうです。
この判断が、実に正解。
和歌山県の場合、シカはスギよりもヒノキを好みます。(他所でも同じやと思います。きっと。)
同じようにスギとヒノキを植栽しても、両方、食べますが、ヒノキはしゃぶりつくすようにして枝葉を平らげます。
一方、スギは新葉をはみはみする程度で、刈り込んだようにまん丸い樹形になっています。
5年くらい前、この植林地付近で、シカ捕獲が行われたそうです。
伐採地や植栽地といったシカが好む環境が豊富なので、おそらく頭数も多かったと思います。
加えて、立派な林道も整備されているので、捕獲もやりやすかったと考えられます。
結果、この植栽地付近のシカ生息密度が低下し、植林したスギが少しずつ回復した・・・と考えられます。
こうしたシカ捕獲と「少しでもシカ害を免れるよう植栽樹種はスギ。」という山主の判断が、今回のような好結果に繋がったと思います。
高品質な木材を望むことは難しいですが、今の木材利用・需要から考えると、シカ害が問題になる中、ここまで回復した植林地は評価されるべきだと思います。
それと、幹元から出ている枝葉が、将来的にシカの剥皮を防ぐ効果も期待できるかも・・・。
このスギが主伐される時代の木材利用や木材需要が、どのようになっているか、全く分かりませんが、シカ害が問題となっているこの状況下で、まず、スギ林が回復し、成林し始めたことは喜ばしいことだと思います。
少なくとも、次世代に資源を繋ぐことができたわけですから。
今後は、このスギ林をどのように投資(育林)していくのか、悩ましいところ。
見た感じ、そこそこの低密度でスギ林が残っているので、初回間伐は30~40年生とかでも大丈夫かも?
幸い、つる性植物やつる性木本もないので、つる切りなどの施業は要らなさそう。
案外、40年生時に間伐、60年生時で主伐とかできるかも!?
いやいや、スギの成長次第では、間伐なしで主伐もできるかも!?
その時の材価や利用方法によるかもしれませんが、道も整備されているし、意外と利益出たりするかも!?
と、植林地がここまで回復すれば、次の一手を考えられます。
やはり、シカ害を免れないと、その一手を考えることはできません。
回復したスギ林を見て、改めて思いました(確信しました)。
やはり、シカ捕獲は避けては通れない課題です。
今回も、良い現場に出会えました
こういう現場に出会えると、また、モチベーションが上がります