はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

間伐と森林の水流出量

2020年06月29日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 一般的に、森林に降り注いだ雨は、樹冠を通過したり、樹幹を流れて、地面に辿り着き、ゆっくりと土壌に浸透し、やがて河川や地下水となって、森林から流出していきます。

 森林に降った雨は、河川や地下水として流出する以外に、樹木の葉や枝(樹冠)に付着した雨水の蒸発や樹木の蒸散によって、気体として大気に流出する水もあります。

 ザックリですが、これが森林における水循環です。

 樹冠を通過した降雨量を「樹冠通過降雨量」、樹幹を流れた降雨量を「樹幹流下量」といい、この2つを合わせて「林内雨量」と言います。

 そして、降雨量(林外雨量)から林内雨量を差し引いたものが、「樹冠遮断量」(樹冠が遮断した降雨量)です。

 樹冠遮断量が多いほど、森林から流出する水量の減少を意味し、河川水量の減少にも繋がると言われています。

 

 簡単かつ短絡的に言えば、「間伐が遅れて、樹冠が閉鎖された森林では、樹冠遮断量が多くなって、森林から流出する水量が減少するよ。」ということです。

 と言うことは、「間伐によって樹冠が開く(疎開する)と、林内に雨が降り注ぎやすくなって、土壌に浸透する水量が増えるから、森林から流出する水量も増えるよ。」となります。

 

 中央にポッカリ空いた穴の左側が間伐林分、右側が無間伐林分。

 林冠の空き具合の違い、お分かりいただけるでしょうか・・・(>_<)。

 

 さらに、間伐によって、成立本数が減少すれば、樹木の蒸散によって大気に放出される水量も抑制されるので、森林全体の蒸散量も減少します。

※木の数だけ蒸散する

※減った分、蒸散も減る。

 間伐を行うことで立木の数が減少した結果、森林全体から発生する樹木の蒸散量が抑えられることによって、森林から流出する水量の損失が抑えられます。

 

 しかし、実際のところ、そんな単純な話ではありません(^_^;)

 

 間伐をしないと林内が暗くなり、下層植生(林床植生)が減少し、やがて無くなってしまいます。

 すると、スギやヒノキが生えるだけの森林になり、落ち葉の種類もスギやヒノキだけになってしまいます。

 下層植生がなくなると地表面(表層土壌)における根系が欠如し、土壌の保水力や緊縛力の低下に繋がります。

 さらに、スギとヒノキを比較すると、ヒノキは落ち葉が細片化しやすい・・・

 スギ人工林の過密林分とヒノキ人工林の過密林分におけるリター(落葉枝)と土壌の流亡を比較すると、スギ林はヒノキ林の1/2~1/10と言われており、スギ林よりも「ヒノキ林の方が崩壊しやすいんじゃない?」と想像できるかと思います。

 

 実際、現場を見ても、スギの過密林よりもヒノキ過密林の方が、むき出し土壌になっている事が多いですよね。

 ヒノキ林は、落ち葉が細かくなるし、枯れ枝も落ちにくいので、地表面むき出しのヒノキ林を良く見かけます。

 一方、スギの落ち葉は細かくならないし、枯れ枝も落ちるので、地表面が流出したスギ林はヒノキ林よりも少ないと思います。

 

 木材価格が良かった頃は、材質向上など森林所有者の利益になるので、間伐を進めていました。

 しかし、現在の間伐は、材価低迷を受け、森林所有者の利益に繋がりにくくなり、むしろ、間伐をしないことで生じる不利益とその不利益を受けてしまう人々への影響を抑えるために、間伐が進められていると思います。

 こうした背景から、間伐による下層植生の変化や土砂流出などに関する研究成果や論文はホントに多い!

 読んでみると、面白いんだけど、検索するとキリが無く、検索地獄に陥ります。(T_T)

 

 こうした成果を超々簡単にまとまると、(全然、読み足りていないんですが(恥)・・・・。)

 例えば、間伐林と無間伐林を比較した場合、

 下層植生の種数や植被率は間伐林が多い

 そして、間伐直後から下層植生に変化がある間伐率が高いと下層植生の繁茂量が増加するといった報告があります。

 次に、土砂流出量を比較した場合、無間伐林の方が多い

 だけど、林床植生と落葉枝を除去した間伐林と無間伐林の土砂流出量は同じ間伐林も無間伐林も同じ間伐林の方が土砂流出量が少ない原因は伐倒木による抑制効果ではないか、などといった報告や考察があります。

 土砂流出量は間伐の有無よりも、下層植生の有無や伐倒木処理の影響の方があると言えそうです。

 

 伐倒木処理の影響もありますが、ここでは、土砂流出量を抑えるポイントは「下層植生」として考えたいと思います。

 下層植生が存在することで、林内に降った雨が、直接、土壌を叩きつけることが防げます。

 つまり、下層植生の存在が、雨滴によって土壌が硬くなることを防いでくれるということです。

 さらに、下層植生の根系が表層土壌に広がることで、表層土壌が堅く結びつけられ、表面を流れる水から表層土壌を守ってくれます。

 これは、伐採跡地でも言えることですが、林地残材や下層植生の存在が雨滴から土壌を守ってくれるので、土壌の硬化防止に繋がります。

 雨が直接、土壌を叩きつけると、土壌が硬くなって隙間がなくなり、土壌に浸透しない水の量が増えてしまいます。 

 

 さて、間伐をすることで、下層植生が増えることもあれば、変化しないこともあります。

 というのは、間伐によって増加した下層植生は、埋土種子(地下で休眠している種子)よりも、外部から供給された種子の方が多いという報告があります。(そもそも、下層植生が生えるって事は、種がないといけないので、その種は、元々土の中にあるのか、他所から運ばれてきたのかに限られると思います。)

 これを基本において考えると、下層植生の種子の供給源が近くにないと、間伐後の変化は期待できない可能性があります。

 森林一帯がスギ・ヒノキの人工林が密集している様な環境では、間伐だけで下層植生を増やすことは難しいと考えるべきで、間伐すれば、下層植生が増えると容易に考えるべきではないと思います。

 

 実際にそういう現場があります。

 間伐後、2~3年経過し、林床に光が届く様な環境でも、下層植生が生えた形跡がありません。(もちろん、獣害の影響も無視できませんが。)

 そして、ここの現場は、林内に水が流れる道が出来ており、崩壊リスクを抱えています。

 

 水が流れる道が、もし、間伐前にあったなら・・・・

 間伐後、林内雨量が増加し、この道を拡大してしまった可能性があります。

 

 もし、間伐前になかったなら・・・・

 間伐後、林内雨量が増加し、この道を作ってしまった可能性があります。

 あくまで、可能性の話ですが、無視できることではないと、個人的に思います。

 

 このことを踏まえた上で、前述した「間伐をしないことで生じる不利益とその不利益を受けてしまう人々への影響を抑えるために間伐を進める。」のであれば・・・

 このような現場は、マイナスになっているとも考えられます。

 じゃあ、どうすればいいのか。と言うことも考えないといけない。

 間伐前に水の流れる道があったなら、伐倒木の処理や置き方を工夫できたかもしれない。

 間伐後に水の流れる道が出来たなら、表土移動を抑える工法や植栽を導入できたかもしれない。

 いずれにしろ、森林の公益的機能を発揮する目的で間伐するのであれば、間伐後の変化、特に下層植生の変化を追跡調査する必要があるのではないのかなと、思います。

 

 木材価格が良かった時代の間伐は、木を太らせ、森林所有者の利益になる品質向上が目的だったと思います。

 木材価格が下がった今の時代の間伐は、崩壊などの不利益を防ぎ、地域住民への悪影響を抑制することが目的になっていると思います。

 同じ間伐でも、昔と今で、間伐をする目的や間伐を進める目的が変わったのであれば、間伐の方法や評価も変えないといけないし、それを検討・検証するための情報や根拠が、試験研究の成果です。

 我々の血税で試験研究された成果を生かさないといけません。

 

 話が大きく逸れてしまいましたが、今回、お伝えしたかったことは・・・

1.間伐によって森林から流出する水量が増えるので、河川の水量が増える。

 ・樹冠が遮断する雨水が減ることで、林内の降雨量が増え、地面に辿り着く水の量が増えるから。

 ・樹木の本数が減少した分、森林全体から出る樹木の蒸散量が減少するから。

2.間伐によって下層植生は増加する。

 ・下層植生が生え、これらの根系が広がることで、流れる雨水から表層土壌を守ってくれる。

 ・間伐によって生えた下層植生は、外部から供給された種子が多いので、供給源の存在が重要。

 

 間伐って、思っている以上に奥深く、科学的な話が盛り沢山です!

 僕の知識量もまだまだなので、上手くお伝えできなかった点も多々ありますが、これを機に、間伐による様々な効果を、面白いので、是非、調べてみて下さい。

 

 入門としてオススメする成果はこちら!

  →「森林と水の謎を解く(2) 間伐と水流出

 

 長ったらしい文章を最後までお読みいただき、誠にありがとうございますm(_ _)m。。。感謝です。

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ネムノキ

2020年06月28日 | 樹木・草花のお話

 ネムノキはマメ科の樹木で、先端が桃色でかわいらしい花が特徴的で、少し郊外の街中でも見られる一般的な樹木ではないかなと思います。

 花も特徴的ですが、オジギソウに似た葉も特徴的なので、覚えやすい樹木の1つではないでしょうか。

 ネムノキの葉は、羽状複葉で、葉の付き方は互生。

 面白い特徴は、日暮れとともに葉をとじ合わせて眠るところです。

 夕暮れになると葉を閉じて眠り、夜明けとともに葉を開いて目覚めるその姿が名前の由来となって「ネムノキ」。

 ネムノキを漢字で書くと「合歓木」で、この合歓(ごうかん)は、「夫婦の合歓」から来ており、夜になると葉と葉が閉じ合う姿を夫婦の合歓に見立て、幸福の意を込めて、付けられた名前だそうです

 

 葉の茎に付着している部分と小葉がそれぞれ付着している部分(葉柄)の基部が膨れていて、そこの細胞内の圧力が、昼と夜で変化するので、葉が開閉するそうです。

←小葉の基部

 この膨らみの部分を「葉沈(ようちん)」と言います。

 ちなみに、オジギソウの葉は、刺激を与えると小葉が閉じて、そして、葉全体が折り下がります。

 これは、虫や動物に捕食されないよう、葉を閉じて防ぐそうです。

 ネムノキも、葉を閉じるのは、夜中の”何か”から守っているのかもしれない・・・(^_^;)。


 花期は6~7月で、花は、葉が閉じる夕方に咲き、葉が開く夜明けとともにしぼみます。

 ネムノキは、花が咲くと葉は閉じ、葉が開くと花がしぼむ、という面白い一面を備えています。

 というものの、結構、正午なのにしぼんでいない花もありますけどね・・・(^_^;)。


 果期は9~10月で、実の形状は豆です。マメ科ですから。

 

 ネムノキの用途は色々あります。

 材は建築材、器具材などに使用され、昔は下駄の歯にも使われたそうです。

 ネムノキの葉は「抹香(まっこう)」の材料として有名で、乾燥させた葉を粉末状にして抹香として使われます。

 樹木そのものは緑化樹(庭木)としても使われます。

 また、ネムノキの樹皮は「合歓皮(ごうかんひ)」という生薬になります。

 夏~秋頃に採取した樹皮を日干しで乾燥させ、利尿、強壮、鎮痛、腰痛、手荒れ、打ち身、腫れ物、水虫、精神安定などの効果があるようです。

 こうした効果があるからなのか、江戸時代の儒学者である貝原益軒(かいばら えいけん)の「花譜・菜譜」(だったかな・・)にも、

 「この木を植えると人の怒りを取り除き、若葉を食べると五臓を安じ、気を和らげる」と書かれています。

 江戸時代も怒った人がいたら、

 「まぁまぁ、とりあえず、これ飲んで、落ちつきなさいなぁ。」と言って、合歓皮を飲ませていたんですかね。

 

 あと、万葉集でも、ネムノキをテーマに詠まれた詩も多く、僕自身、あまり詳しくないんですが、万葉集では「合勧木(ねぶ)」と詠われています。

 紀女郎(きのいらつめ)氏の「昼は咲き、夜は恋ひ寝る合歓ぶの花 君のみ見めや戯奴さへに見よ」が代表的・・・というか、知っている詩がこれくらいで、すみません、あんまり詳しくないです(^_^;)。。

 「昼間は美しく咲いて、夜は好きな人に抱かれるように眠るネムノキがうらやましい。」という意味だったと思います。

 

 身近な樹木の1つ「ネムノキ」。

 実は、万葉集でも詠まれ、江戸時代の学者にも紹介されるくらい、日本に馴染みなる樹木なんです。

 歴史を感じさせてくれる樹木だなー。と思いません?

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樹木医学 × 自然観察

2020年06月27日 | 樹木医・森林インストなどの活動のお話

 自然観察会のイベントや自然観察の指導者養成研修などの講師として、お呼びいただくことがあります。

 樹木の名前、見分け方、特徴、利用などのお話をさせていただくんですが、実は・・・個人的にそっち系の話を重要視していません。

 参加者や受講者の中には、樹木の同定や見分け方の方法を要望される方が多いのですが、やっぱり、観察そのものを楽しんで欲しいし、楽しみ方も知っていただきたいと思っています。

 なので、僕の自然観察は、「樹木医学 × 自然観察」をテーマに取り組んでいます。

 

 簡単に言うと、樹木診断を取り入れた自然観察です。

 樹木診断は、徹底的な樹木の観察なので、これを自然観察にも応用しただけで、樹木に限らず森林の観察にも活用できるし、森林づくりにも応用できます。

 もちろん、「樹木と森林の基礎知識」と「場数・経験」は必要ですが、コツを得れば、樹木の名前を覚えるより簡単ではないのかなと、僕は思っています。

 というのも、街路樹でも何でもいいので、身の回りにある樹木や道路の隙間に芽生えた小さな樹木などが定期的に観察できれば、山や森の中でなくても、学習することが出来ます。

 

 森林インストラクターなどの指導者が「教える」というスタンスで観察するよりも、「一緒に楽しむ」というスタンスの方が、自然観察は断然面白い!

 指導者も参加者も受講者も含めて、たくさんの目で、たくさんの視点で、自然に向き合った方が、色々なものが発見できます。

 そのためには、自然を観察しながら、参加者や受講者の観察力が高まるよう誘導しないといけません。

 そのためには、観察することの楽しさを実感してもらうこと。

 そして、主役は森林インストラクターなどの資格を持つ指導者ではなく、自然そのもの。

 「この樹木の名前は○○で、こういう使い方があって、万葉集ではこう歌われていて、葉っぱのここが特徴で、樹皮の特徴はあれこれで・・・」のようなお話よりも、樹木をじっくり観察して、「この樹木は、今、こういう悩みを抱えている。」とか、「この樹木とこの樹木は、いがみ合ってるなー」とか、擬人化した表現で観察した方が、人と樹木の距離が縮まるような気がしませんか?

 

 と言うわけで、一例ですが、これまで、森の中・山の中を歩いた中で、楽しく観察させていただいた樹木達をご紹介します。

 

 樹幹が割れたタブノキ。

 その割れ目の隙間に、クスノキが生えている!

 タブノキの樹幹内部は腐朽が進んで、イイ感じの湿気り具合に。

 そこに、鳥(たぶん)に種を落とされたクスノキが発芽し、根を広げ、成長し、今に至ったと思われます。

 身動きできない樹木は、発芽した場所で一生を過ごし、育たなければなりません。

 タブノキとクスノキの共生?

 タブノキに寄生したクスノキ? その解釈はお好みです。

 写真だけでは伝わりませんが、ジロジロ観察して、どうなっているのかなーと考え、この2種の将来や今後を想像するのも楽しいです。

 同時に、タブノキの幹が、なぜ、損傷したのか。その点を考えながら観察し、タブノキの過去の巡る(想像する)のも楽しいです。

 

 何かを嫌がるウバメガシ(笑)。

 右側の幹が左側の幹に寄りかかっています。

 写真では分かりにくいですが、幹が少しずつ結合しています。

 二又右側の幹。

 若い時に、元々の主幹が何かしらの損傷を受けて、二又の形になったのかも・・・。

 右端の雑木(何の樹種だったかな?)に梢端部を抑えられ、光が差し込む左側に逃げたのかも・・・、後ろにあるリョウブも同じような樹形だし。

 そもそも、なんで2又に分かれたのかな?

 もしかしたら、最初は右側の幹がメインだったけど、何かしらの損傷を受けて、左側の幹がメインに変わったのかも。

 そして、再び、右側の幹が主力になるべく、果敢に左側の幹に勝負を挑んでいるのかもしれない!!

 ・・・などなど、周囲の樹木と併せて観察し、このウバメガシが今に至った経緯を想像する。

 

 さっきのウバメガシと同じ森で出会った「ドーナツ型のウバメガシ」。

 さっきのウバメガシとは異なり、右と左の幹が仲良く、一体化している途中。

 これも、何かしらの理由で元々の主幹(梢端?)が損傷し、右と左に分かれた感じ。

 右側の幹は、左側の幹と比べ、圧倒的に小さいので、右側の幹は損傷した後に出てきたのかも。

 両者とも、そのまま素直に上に伸びているので、取り合いが必要な光環境では無かったのかも。

 いつか、真ん中の穴が無くなってしまうんでしょうね・・・・

 

 次はブナ。

 上に伸びる幹をよーく見ると2本の幹が重なった痕跡があります。

 元々の主幹は、右側のブナに抑制されたのか、それとも損傷したのか・・・

 無くなった主幹に変わって、成長した2本の幹が結合し、今に至った感じ・・・かな。

 もしかすると、右側のブナと同期(同じ年)で、主幹が損傷したことで、一時離脱・・・。

 遅れを取り戻そうと再生したけど、右側のブナには追いつけず・・・なんか、サラリーマンの業務実績に似ていて、切ない・・・。

 樹木をじっくり観察すると、人間生活に類似しているところがたくさんあります。

 樹木観察を擬人化してお話しすると、その木に共感を覚え、出会った木に感情移入したり、大切にしたいという想いが芽生える方もいらっしゃいます。

 

 モミの稚樹。

 なぜか、葉っぱが曲がっている・・・。

 樹木の葉は、日当たりの良い場所に適した陽葉と日陰に適した陰葉という2種類があります。

 日陰でひっそりと暮らしていたモミJr。

 ある日、上層の木々が伐採され、突如、日当たりの良い環境に変わる!

 突然、強い光を受け、驚くモミJr。

 その強い光を避けるように葉っぱを伸ばし、急変した環境に対応しようとしている。

 人で例えると、急遽、海外勤務を命じられ、日本と異なる環境に対応する・・・って感じですかね。

 

 ヒメシャラに何があったの?

 

 若いとき、主幹が途中で折れてしまったんでしょう。

 そして、傷付いた主幹に代わって、右側の幹が上へ伸びた。

 でも、折れた主幹も、残った枝が頑張って、再生し、主幹に代わって、上へ伸びた。

 残念ながら、元々の主幹は枯れてしまった・・・

 激しく折れたヒメシャラ。

 でも、諦めることなく、そこから再生しようと頑張った努力が伝わってきますね。

 

 樹種を忘れちゃったけど(^_^;)、この木も主幹が折れたけど、枯れずに再生!

 全体を撮影していなかったので、何がどうなっているのか(*_*;

 でも、2本とも幹が折れた部分が結合しているので、肥大成長していることは間違いないでしょう。

 なので、枯れていないことは確かですね。

 

 諦めず、何度も何度も、立ち上がろうとしたアカガシ

 岩の上で芽生え、成長していくアカガシ。

 でも、ある日、風なのか、原因は定かでは無いけど、倒れてしまう・・・。

 この時、主幹が損傷したのか、光環境が良くなかったのか、残った枝が、谷に向かって成長。

 そして、ある日、周りの木が倒れたのか、光環境が改善され、谷に向かって伸びていた幹が上方へ。

 おそらく、元々枝だった部分が、光環境の改善で優位になって、主幹に代わって、新たな主幹になったのかも。

 そして、左側の幹も光環境の改善で伸び出す!

 しかし、悲劇は続く・・・

 右側の主幹が再び、損傷(したと思われる)・・・。

 そこから3又に分かれて成長する右側の幹。

 一方、一度倒れて山みたいになっている真ん中の幹の陽当たりが良くなり、情報に向かって伸びる。

 と言う感じかなー。

 とにかく歴史を感じさせてくれるアカガシ。

 

 と言う風なお話をメインに、観察会では山や森の中を歩かせていただいています。

 樹木の姿を見て、過去を想像し、未来を想像するという観察をしていると、樹木の過去と未来が見えてきます。

 そして、この観察の一番良いところは、「正解がない」ということ(^o^)。

 ひたすら観察して、想像し、想像力を働かせ、みんなでワイワイ過去や未来を一緒に描くのが楽しいです。

 

 これが「樹木医学 × 自然観察」をテーマにした観察です。

 森の中には、本当に面白くている魅力的な樹木達がたくさん生育しています!

 

 さて、最後にヤマモモ。

 いったい何があったのでしょう(゚o゚;

 どんな過去が想像できますか?

 どんな未来が想像できますか?

 このヤマモモに何があったのか、気になりません? 

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ヘビの言い伝え

2020年06月25日 | 爬虫類・両生類のお話

 ヘビにまつわる言い伝えについて。

 

 ヘビは家の守り神

  (ネズミを追い払ってくれるから・・・かな?)

 

 ヘビにおしっこをかけると祟られる。

  (ミミズにおしっこをかけたら、アソコが腫れる。というのもあったなー)

 

 ヘビが右から左へ横切ると吉。その反対だと凶。

 

 財布にヘビの抜け殻を入れておくとお金が貯まる。

  (全然、貯まんなーい(T_T))

 

 ヘビ除けに線香を焚く

 

 マムシに咬まれたときは、すぐにそのマムシを殺すと助かる。

 

 死んだヘビを見つけたら、埋葬すると歯痛が治る。

 

 ヘビが山を下ると雨が降る。

 

 笛を吹くとヘビが出る。(夜、口笛を吹くとヘビが出る)。

  (吹いても、出てこない(T_T))

 

 藤を裂くとマムシが出る。

  (これは有名。裂いたけど出てこない(T_T)。なんか、コツがあるんかなー)

 

 マムシは口から子を産むので、その頃になると、人にかみついて、牙を折る。

  (実際には、口から産みません。身ごもると、気性が荒くなるので、要注意。)

 

 マムシ酒は万病に効く。

  (実際にそう思う。)

 

 乾燥させたマムシの粉を煎じて飲むと、熱が下がる。

  (実際にそう思う。)

 マムシ酒_ブランデーVer。

 体調悪いときに飲むと、次の日、元気になる(^o^)。

 

 以上、ヘビの言い伝えでした。

 言い伝えなので、そのまんま信じられるかは微妙です。

 だけど、実体験として納得するものもあるけど、まー、それは個人それぞれが思うままに。

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ツチアケビ

2020年06月23日 | 樹木・草花のお話

 赤いウィンナーの様な実を付ける植物「ツチアケビ」。(ちなみに実をつけるのは秋です(^_^;))。

 ツチアケビは、森林の中に生えるラン科の植物です。

 名前の由来は、ご覧のとおり「実がアケビに似ている」からです。

←アケビ

 日本固有種の植物で、北海道から九州まで幅広く分布しています。

 

 ツチアケビはギンリョウソウと同じく「葉緑素を持たない腐生植物」です。

 腐正植物は光合成を行わない植物なので、植物体には一切の緑色がありません。

 ちなみに、腐正植物は「菌従属栄養植物(きんじゅうぞくえいようしょくぶつ)」とも言われています。

 詳しくは知りませんが、最近は、後者で呼ぶ方が正しいのかな?

 

 ツチアケビは、光合成をしない代わりに、ラン菌根を作り、ナラタケと共生(寄生?)することで養分を得ています。

 光合成をしないと言うことは、光を必要としないので、森林内の日陰によく生えています。

 常緑広葉樹林やスギ・ヒノキの人工林の下にも生え、比較的、よく出会える植物です。

 

 6~7月頃に花が咲きます。

 開花する前は、黄金色のアスパラガスって、感じです。

 開花すると、こんな感じ。

 花茎は30~100cmと、結構、立派です。

 ツチアケビは、花よりも実の方が目立つし、有名なので、花は見落としやすいかも。

 

 10月頃、赤いウィンナーの様な実をつけます。

 ちなみに、食べられません。(^_^;)

 実は熟しても、アケビの様に裂けることはありません。

 アケビと言うより、バナナに似ている。と僕は思う。。

 中身はこんな感じ。

 

 秋の森林の中を歩いていると、遠目でも分かるくらい赤い実が目立つツチアケビ。

 食べられるわけでもないし、とりわけ美しいというわけでもないんですけど、見つけると、何か嬉しい気持ちになる植物です。

 個人的な所感ですけど・・・(^_^;)。

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アシナシトカゲ

2020年06月21日 | 爬虫類・両生類のお話

 とある動物園の爬虫類コーナーに「アシナシトカゲ」がいたぁぁ!

 意外とアシナシトカゲを飼育している動物園ってないので、テンション上がる(^o^)!!

 ヘビではなく、アシナシトカゲという種類のトカゲです。

 鱗もヘビの鱗と違い、トカゲの鱗です。

 

 顔もヘビではなく、完全にトカゲ顔。

 ヘビの眼には、”まぶた”がありませんが、トカゲには”まぶた”があります。

 ヘビは、”まぶた”がない代わりに眼鏡板(がんしょうばん)という鱗で眼を守っています。

 なので、ヘビの眼は、体から少し飛び出している様に見えるかなと思います。

 一方、トカゲの飛び出している様には見えないと思います。

 あと、ヘビは、体に耳の鼓膜の穴がなく、トカゲにはあります。

 アシナシトカゲは、トカゲなので鼓膜の穴があります(この写真は、ちょっと分かりにくいかなぁ(>_<))。

 

 久しぶりに出会えたアシナシトカゲ。

 ヘビとは違う可愛らしさがあるわぁー(^^)

 

 ヘビとトカゲの違いについてはこちら ↓ ↓ ↓

森の知識はぐくMOVIE「ヘビとトカゲ」

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ギンリョウソウ

2020年06月20日 | 樹木・草花のお話

 林内でひっそりと、ユーレイのように咲く植物「ギンリョウソウ」。

 ギンリョウソウは、ツツジ科ギンリョウソウ属の多年植物で、葉緑体を持たないという面白い植物です。

 葉緑体を持たないということは、葉緑素を持たないってことなので、ご覧の様に植物体は緑色でなく全体が真っ白です。

 ギンリョウソウは光合成を行わない代わりに、根に形成された菌根菌を通じて、宿主樹木の光合成産物を利用して成長するという、ちょっと、変わった植物です。

 ギンリョウソウの様な植物を「腐生植物(菌従属栄養植物とも)」と言います。

 

 ギンリョウソウは、他の樹木が生産した光合成産物を利用していますが、寄生関係ではなく共生関係にあります。

 菌根菌は、土壌中にある植物の根では吸収できない養分や水分を吸収する能力があります。

 ギンリョウソウの根が形成した菌根菌は、宿主樹木から光合成産物をいただく代わりに、宿主樹木の根では吸収できない養分や水分を吸収する手伝いをしています。

 つまり、「養分や水分をもっと細かく集める代わりに、光合成産物を分けてね。」ということです。

 

 ギンリョウソウは、山地のやや湿り気のあるところに生え、日本全土に生育しています。

 茎の先端に下向きの花をつける姿がユーレイに見えるので、ユウレイタケという別の名も(^_^;)。

 花期は5~8月と長期間にわたって開花します。

 湿り気のある山の中で開花する植物なので、よく目につく植物というわけではありません。

 だけど、珍しいのかと聞かれたら、それほど珍しいとは言えない。咲くところにはいっぱい咲くし。

 でも、山の中限定の植物なので、山へ足を運ぶ頻度が少ないと、珍しいと感じると思います。

 

 全身真っ白♪

 素敵な植物ですよね(^_^)。

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ムラサキカタバミ

2020年06月18日 | 樹木・草花のお話

 よく見かける紫色の花、「ムラサキカタバミ」。

 ムラサキカタバミは、カタバミ科カタバミ属の植物で、南アメリカ原産です。

 江戸時代の末期に観賞用として導入されたそうですが、現在は、環境省によって要注意外来生物に指定されています。

 

 ちなみに、ムラサキカタバミは食べられる野草です。

 葉、茎、花を茹でて、アクを抜けば食べることが出来ます。

 ただし、「シュウ酸」を含むので、食べ過ぎるとお腹がゆるくなるので、少々楽しむ程度に。

 

 子どもの頃は、ムラサキカタバミの花を根元から引き抜いて、その茎をかじりました。

 茎に含まれるシュウ酸が、イイ感じに酸っぱくて(^_^;)。

 ムラサキカタバミを見ていると、下校中に、友達と花の茎をガジガジした思い出が溢れます。

 

 食べる以外にも、10円玉をキレイに磨く。という遊びもしました。

 ムラサキカタバミの茎を潰して、10円玉を磨きます。

 茎に含まれるシュウ酸の影響で10円玉がキレイになります。

 

 試したことがない方は、一度、是非、試して下さい。

 10円玉を磨くついでに、茎も囓ってみて下さい。

 酸っぱいですよ(^o^)。 

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森の知識はぐくMOVIE「ヘビとトカゲ」

2020年06月14日 | 爬虫類・両生類のお話

 自然観察の方法や危険生物の紹介など森林インストラクターとして講師に招かれた時のネタを動画で公開しています。

 受講する時間が無かったり、個人的に楽しむために簡単に学びたい、という方のお役に立てればなと、You Tubeで動画配信を行っています。

 今回、ご紹介する動画は、「ヘビとトカゲの違い」です。

 

 講師業で使用しているスライドに音声収録した簡単な動画ですが、興味ある方は、是非ご覧下さい。

 

森の知識はぐくMOVIE「ヘビとトカゲ」

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リス 剥皮被害

2020年06月13日 | 狩猟・獣害のお話

 山の中で、樹皮が削り取られた様に剥皮された樹木を見たことがありませんか?

 

 これは、リスによる剥皮被害です。

 

 剥皮されて間もない。そして、この少し上に、

 古い傷跡。

 幹だけでなく、根元の樹皮も。

 

 これはタイワンリスによる剥皮。

 1匹が何度も剥皮したのか、複数のリスが剥皮したのか分かりませんが、いっぱい囓った後が・・・。

 

 横向きに樹皮が傷付いている幹を見かけたら、そこにリスがいることを感じてください!

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