はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

皮目が並ぶ樹皮 ヤマザクラ・シラカンバ

2017年03月12日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 今回は、サクラなどのように皮目が横に並ぶ樹皮について。

 その前に、「皮目」とは、簡単に言うと、枝や幹、表面がコルク化した根における空気の取り入れ口です。

 そこから病原菌などが侵入しないよう、コルクが特殊なフィルターの状態になっています。

 

 ヤマザクラやシラカンバなどは、初めの周皮は、長期間生き続けているため、肥大成長によって樹皮が接線方向に引っ張られても引き裂かれず、細胞数を増やしたり、接線方向に細胞を長く成長させたりして、横方向に繊維が発達したような樹皮となります。

 ←ヤマザクラ

 ←シラカンバ

 ←ミズメ

 簡単に言うと、横に引っ張られながらも樹皮は伸長している・・・ということです。

 

 林内を歩くと、時々、写真の様なサクラの枯れ木を見ることもあるかと思います。

 サクラ類の樹皮は、枯れた部分を囲むように残ります。

 

 ヤマザクラなどのサクラ類では、横方向に引っ張られるとともに、皮目も横並びに形成されるので、サクラ独特の樹皮となって、樺細工として利用されます。

 

 ケヤキも皮目を形成します。

 ケヤキも最初の周皮が長期間生き続けますが、ヤマザクラなどのように繊維が横方向に長く発達することはなく、少し、横方向に引っ張られたような状態になります。

 そして、壮齢木や傷がついた木、直射日光が直接幹に当たる部分などでは、コルク形成層の分裂が盛んになり、外側のコルクが鱗状に剥げ落ちて、滑らかな樹皮ではなくなります。

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樹皮が斑状に剥がれる樹種 サルスベリ・ヒメシャラ

2017年03月08日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 今回、樹皮が斑状に剥がれるサルスベリやヒメシャラなどの樹皮について。

←ヒメシャラ

←カリン

 このような樹皮における周皮のコルク組織は、ほとんど発達せず、コルク皮層で盛んに光合成が行われています。

 そして、数年が経過すると、組織が古くなって、皮層全体がコルク化します。

 コルク化すると柔軟性が損なわれ硬くなるため、幹の肥大成長についていけなくなり、やがて脱落していきます。

 この脱落した部分の内側には、すでに新しい周皮が作られています。

 なので、樹皮の古い組織が新しい組織に入れ替える・・・いわゆる新陳代謝が、幹全体で行われ、それが斑状にポロポロと剥がれているというわけです。

 ん~「脱皮」みたいなもんですかね。

 

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樹皮が厚い樹木 アベマキ クヌギ

2017年03月06日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 周皮は樹木の肥大成長に伴って、内側から次々に形成されるため、コルク層が外に追い出されます。

 そして、コルク層が落ちやすいと、樹皮が薄い樹木となり、落ちにくいと幾重にも重なり、樹皮が厚い樹木になります。

 ※詳細は前回の記事をご覧ください。

 

 一般的に、コルク形成層は幹全体に等しく形成されるものではありません。

 部分的に形成されますが、その場所も毎年のように変ります。

 しかし、クヌギやアベマキでは、コルク形成層が幹を一周するような形で繋がっており、コルク形成層が次々と入れ替わりながら、幹全体に厚いコルク層を形成します。

 

 外側のコルク層ほど、幹周りが小さいときに形成されたものなので、幹の肥大成長によって、少しずつ、谷間が出来ます。

※あくまでイメージです。

 成長が旺盛な部分の広がりにできた大きい谷間の底(下?)に新しい周皮が出来ています。

 

 実際のアベマキ。 

(アベマキ)

(クヌギ)

 

 実は・・・、この分厚いコルク層の存在が、カブトムシやクワガタムシなどが群がる樹液となる秘密が含まれています。

  そのお話については、下記をご参照ください。

 

※以下、関連記事です。

クヌギの樹液にカブトムシたちが群がる理由

樹皮 外樹皮と内樹皮

樹皮 周皮

 

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樹皮 周皮

2017年03月02日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 正直、僕も正しく理解できているのか、不安ですが、前回に続き、樹皮について、分かりやすくお話したいと思います。

 

 樹木の内部(木部)が肥大成長することで、それを覆っている内樹皮(師部)の外周が引き伸ばされ、軸方向に裂けてしまいます(接線方向の成長応力によって、内樹皮が軸方向に裂ける)。

※あくまでイメージです。

 裂けた部分では、柔細胞などが有する生命活動の機能が衰え、そこにコルク形成層が形成されます。

 コルク形成層の外側にコルク層、内側にコルク皮層が作られます。

 

 顕微鏡の世界・・・の話になりますが、コルク形成層・コルク層・コルク皮層について、簡単に。

 ・コルク形成層=薄い細胞壁を持っている1つ~多数の層の細胞列がある。細胞分裂機能をもつ。

 ・コルク層=全て死んだコルク細胞で構成。細胞膜より内側は空で、その中は空気で満たされ、細胞壁には蝋物質やリグニンが含まれ、水の浸透や蒸発の防止、病害虫の侵入を防止、直射日光による熱を遮断・・・という重要な役割をもつ。

 ・コルク皮層=複数の柔細胞で構成。細胞壁にはセルロースが豊富にある。

 

 これら3つをまとめて「周皮」といいます。

 前回、外樹皮と内樹皮のお話をしましたが、このコルク層によって、内樹皮から切り離された外側の部分を「外樹皮」といい、外界から樹木内部を守っています。

※これまでの話をまとめたイメージ。

 周皮は樹木の肥大成長に応じて、内側から新しいものを毎年形成するため、既存の周皮は、外側に押し出されます。

 そのため、一番外側のコルク層が常に脱落する(押し出される)樹種では、樹皮が薄くなり、脱落しない樹種では、コルク層が何重にも重なり、樹皮が厚くなります。

 次回からは、樹皮が厚い樹木、斑状に剥がれる樹皮・・・などに分けて、お話したいと思います。

 

※以下、関連記事です。

 樹皮 外樹皮と内樹皮

コメント (2)
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