ヒノキの人工林内を歩いていたら、幹折れしたヒノキを発見。
被害の原因は・・・?
周囲のヒノキには、もめなど風による外傷は見当たらず、この1本だけ。
そして、この1本は、周囲のヒノキよりも樹高が高い。
ので、「落雷」が原因ではないかと・・・。
ところで、「樹木医学研究(2008 Vol.12 No.1)」に”落雷によるヒノキ人工林の集団枯損被害”という報告があります。
簡単に要約すると・・・
・落雷の中心から周辺に分散した電流が、樹冠全体に流れると全枯れ被害が、一部の枝に流れると枝枯れ被害が起こる。
・落雷による集団被害が、時間の経過とともに周囲へ拡大することはない。
・ただし、時間の経過とともに半枯れ被害が全枯れ被害に、枝枯れ被害が全枯れ被害に移行することがある。
この場合は、半枯れ被害木や枝枯れ被害木がマスダクロホシタマムシなどの穿孔被害を受けて、枯損する場合もある。
とのこと。
さて、問題は落雷による集団枯損被害が受けた後・・・
落雷被害による枯損木や衰弱木が、マスダクロホシタマムシなどの穿孔性害虫を誘引し、それらが原因で枯損被害が拡大したり、材質劣化を招くおそれがあります。
なので、落雷被害木を放置しておくと、残存するヒノキを穿孔性害虫を受け、材質劣化を招く恐れもあります。
そこで、
・落雷被害後の材質劣化被害を防止するため、被害木の伐採搬出が有効である。
・伐採木の選定は、全枯れ被害木、全枯れ被害木に移行する可能性が高い半枯れ被害木を含むこと。
を対策として行う必要があります。
ある日、突然!
スギやヒノキの人工林で集団枯損被害が発生したら、落雷かもしれません。
もちろん、干害や穿孔性害虫の可能性、人的被害の可能性も否めませんが、落雷が及ぼす被害は単木のみではない場合もあります。