はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

落雷

2016年02月25日 | 樹木の病気・森林被害のお話

 ヒノキの人工林内を歩いていたら、幹折れしたヒノキを発見。

 被害の原因は・・・?

 周囲のヒノキには、もめなど風による外傷は見当たらず、この1本だけ。

 そして、この1本は、周囲のヒノキよりも樹高が高い。

 ので、「落雷」が原因ではないかと・・・。

 

 ところで、「樹木医学研究(2008 Vol.12 No.1)」に”落雷によるヒノキ人工林の集団枯損被害”という報告があります。

 簡単に要約すると・・・

 ・落雷の中心から周辺に分散した電流が、樹冠全体に流れると全枯れ被害が、一部の枝に流れると枝枯れ被害が起こる。

 ・落雷による集団被害が、時間の経過とともに周囲へ拡大することはない。

 ・ただし、時間の経過とともに半枯れ被害が全枯れ被害に、枝枯れ被害が全枯れ被害に移行することがある。

  この場合は、半枯れ被害木や枝枯れ被害木がマスダクロホシタマムシなどの穿孔被害を受けて、枯損する場合もある。

 とのこと。

 

 さて、問題は落雷による集団枯損被害が受けた後・・・

 落雷被害による枯損木や衰弱木が、マスダクロホシタマムシなどの穿孔性害虫を誘引し、それらが原因で枯損被害が拡大したり、材質劣化を招くおそれがあります。

 なので、落雷被害木を放置しておくと、残存するヒノキを穿孔性害虫を受け、材質劣化を招く恐れもあります。

 そこで、

 ・落雷被害後の材質劣化被害を防止するため、被害木の伐採搬出が有効である。

 ・伐採木の選定は、全枯れ被害木、全枯れ被害木に移行する可能性が高い半枯れ被害木を含むこと。

 を対策として行う必要があります。

 

 ある日、突然!

 スギやヒノキの人工林で集団枯損被害が発生したら、落雷かもしれません。

 もちろん、干害や穿孔性害虫の可能性、人的被害の可能性も否めませんが、落雷が及ぼす被害は単木のみではない場合もあります。

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シカの焼肉

2016年02月22日 | 資源利用(獣類・昆虫食)のお話

 時は遡りますが、以前、夕飯にシカの焼肉を作った(?)ので、レシピを(という程のものではないですが)。

 今回使用した部位は、貴重なシカの背身(セミ、背中の肉)。

 シカのももよりも軟らかく、人気の部位で、特に小鹿のセミが一番喜ばれます

 

 初めに、セミのスジ(白いヤツ)を取り除きます。

 肉とスジの間に包丁の刃先を入れて、包丁は固定したまま、刃先に当てながらスジを動かすと、ス~っと取り除けます。

 

 なかなか、言葉では表現しにくいですが、魚を捌ける人なら「皮を取り除くように」と言えば、お分かりいただけると思います。

 

 臭みを取るために、日本酒に30分ほど漬けます。

 血抜きが丁寧に出来ていれば、一応、この点は省略可です。

 今回のシカは、血抜きに自信がなかったので、一応、酒漬けにしました・・・

 血抜きが完璧でも、獣臭さが苦手な方は、酒漬けしてください。

 

 1口サイズに切ります。

 パッと見、ローストビーフに見えなくもないですが、生のままでは食べないで下さい。

 E型肝炎などのウイルスがあるかもしれないので、生食は厳禁です

 

 あとは、焼くだけ。

 焼いている途中で、水分が(酒分?)出てくるので、僕はキッチンペーパーなどで拭き取ってます。

 この時は塩コショウと自家製のタレで。

 タレは、みりん大さじ2杯、砂糖小さじ1杯(我が家は砂糖ではなく羅漢果を使用)をまず、軽く煮込んで、アルコール分を飛ばします。

 その後、醤油大さじ1杯、ショウガとニンニクを適量入れて、軽く煮込みます。

 

 長男と次男が全て平らげたので、僕の口にはほとんど入らず

 まぁ、満面の笑みで「美味しい」と食べてくれたら、それで満足

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カスミサンショウウオ

2016年02月20日 | 爬虫類・両生類のお話

 先週末に、長男と次男を引き連れて、カスミサンショウウオの観察会に参加。

 カスミサンショウウオは、止水性のサンショウウオで、平地や丘陵地にて水辺の近い森林に生息し、落ち葉の下や土の中に潜み、ミミズや小さい虫などを食べています。
 体長は70~125mm、体の色は暗褐色~褐色で、尾の上下に黄色の模様が入る個体もいます。

 

 産卵期は1月から3月、この時期に産卵するメリットは天敵が少ない。アカガエルも似たような時期に産卵します。)
 山際の湿地や水田、流れがない水路などに水草の茎や水底に堆積した枯れ枝に「卵のう」を産み付けます。
 卵のうは透明で、中に直径3ミリ程度の卵があり、卵の数は約50~140個。
 球形の卵が、幼生の形になると、いよいよ孵化。
 

 孵化した幼生は、袋を突き破り、外に飛び出します。
 動くものに反応して、喰いつくため、目の前を通り過ぎた幼生に喰いついて、共食いすることも。
 幼生には、エラがあるので、姿はウーパールーパーといった方がわかりやすいですね。

 (真ん中に幼生がいます)
 産卵期が終わると森林に戻りますが、そこで、どのような生活を送っているのかは、はっきりとわかっていないそうです。

 

 なお、カスミサンショウウオは、和歌山県では絶滅危惧Ⅱ類、環境省でも絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

 インフラ整備など、大きな環境の変化で産卵場所の減少やアメリカザリガニなどの外来種といった様々な要因で減少傾向にあるようです。

 

 イモリと一緒に並べてみました。

 左がイモリで、右がカスミサンショウウオ。

 ちなみに、イモリは、カスミサンショウウオの幼生を食べに集まります。

 モリアオガエルのオタマジャクシも食べに来るから、困ったヤツです・・・。

 

 両生類って、正面から見ると・・・

 ホント、愛らしい

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紀州備長炭の伝統技術 きかたげまた

2016年02月19日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 今回は、搬出した原木を運搬する技術について。

 又になった部分の木を割って、写真のように組み合わせます。

 

 これを「きかたげまた」というそうです。

 又の間に原木を入れ、肩に担ぎます。

 前後ろの脚を左右の腕で掴みます。

 かなりの量を肩に担ぐことができるとのこと。

 原木を荷降ろす時は、「きかたげまた」を担いだまま、荒っぽく降ろしますが、このとき、「ひかたげまた」の脚を握ったままにしないと、原木と一緒に放り投げてしまい、壊れてしまうので注意とのこと。

 現場にある資源を活用して、原木を搬出する。

 炭焼きさんの搬出技術は、非常にローコストで工夫されていました。

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紀州備長炭の伝統技術 野猿「つるべ」

2016年02月15日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 3回目になる今回は、備長炭原木の搬出技術「野猿(つるべ)」について。

 スギやヒノキの搬出で言う架線集材ですが、動力不要のシンプルな構造になっています。

 使用するワイヤーの直径は2ミリ程度で、主索が2本あり、その上に搬器がそれぞれ乗っており、2台の搬器は別のワイヤー(直径は1ミリ程度だったり、それぞれらしいです)で繋がっています。

  

 図にするとこんな感じ。(たぶん、合ってると思います・・・

 

 先柱は、鳥居のような櫓を組み立てて、ガイライン(控索)を設けています。

 ちなみに、真ん中のホイールに付いている棒がブレーキ。

 

 そして、何と言っても面白いのが元柱の仕組み。

 この板に搬器が当たると、搬器に乗せられた原木が自動的に落ちます。

 左下写真に注目。左端に「止め具」から突き出した金具が、上写真の板にあたると、右下写真のように「止め具」が解除され、原木が降ろされるという仕組みになっています。

 

 流れは、以下の通り。

 先柱から原木を乗せて、降ろします。

 元柱で搬器の止め具が解除され、原木が自動的に落とされます。

 一方の搬器を降ろすと、もう一方の搬器が昇ってきます。

 

 なので、下に降りたり、上に登ったり、人が行き来する必要はありません。

 また、原木も自動で落ちるので、荷降ろしの人もいりません。

 当然、これも択伐林で十分に活用できる搬出技術の1つです。

 

 と、文章で書いてもイメージが掴みにくいので、こちらも動画をご覧ください。

 見所は、「搬器が行き来する瞬間」と「原木が自動的に降ろされる瞬間」です。

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紀州備長炭の伝統技術 束落とし

2016年02月14日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 今回は、備長炭の原木を搬出する技術について。

 まず、伐採した備長炭の原木を下の写真のように束ねます。

 これを「束(そく)」というそうです。

 カズラで輪を作り、そこへ原木を次々と差し込んでいきます。

 周辺にカズラがなければ、ツバキやカマツカなどしなりの強い木で輪を作ります。

 1つの束が出来たら、その後ろに新たな束を作り、2~3つ連結することも。

 そして、そのまま下まで落とします。

 これを「束おとし」というそうです。

 スギやヒノキを扱う林業でいう「修羅(しゅら)」みたいなものですね。

 

 「束おとし」で出来た道を「さで」というそうです。

 ワイヤーで「束」を作ると、最後に原木をバラすときに大変だから、カズラなどを使うそうです。

 カズラだと、ヨキでスパッ、原木がバラバラっと。

 色々飛び交う炭焼きさんの専門用語に、頭の中は「?」ですが、効率的で面白い技術がたくさんあります。

 

 写真と言葉で説明するより「束おとし」の動画を見たほうが分かりやすいと思いますので、ご覧ください。

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紀州備長炭の伝統技術 択伐施業

2016年02月13日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 炭焼きさんの研修会に参加しました。

 ので、数回に分けて、簡単にご報告を。

 

 備長炭の原木と言えば、「ウバメガシ」ですが、「アラカシ」や「アカガシ」など他のカシ類も備長炭の原木として利用されています。

 ザックリ言うと、昔、原木伐採が進んだため、原木資源の枯渇を危惧し、択伐施業という技術が進められました。

 スギやヒノキの択伐とは少し異なります。

 どちらかというと、抜き伐りというか間伐に似ているかもしれません。

 これも簡単に説明すると、例えば、ウバメガシが5本株立ちしていたら、そのうち3本を伐って、2本を残すのが択伐施業。

 

 残された上層木が、株に養分を与えるので、勢い良く萌芽します。

 伐採で発生した枝条は、株元に積み上げます。

 これは、株の乾燥と土壌の乾燥を防ぐ効果があり、これを「ドヤ」というそうです。

 また、ツバキやネジキなども良質な炭ができるので、適宜、残します。

 それだけでなく、成長の早いシイの侵入を防ぐ役目も。

 皆伐の方が手間もかからず、効率的ですが、再生するスピードが違います。

 択伐施業だと15年くらいで、早いところだと10年で再生するそうです。

 

 ウバメガシの大径化が進むと萌芽更新が遅れたり、失敗するリスクも上がりますし、皆伐するとシカも集まりやすいので、食害という問題も発生します。

 そうして、ウバメガシ林に戻らずシイ林になったりすることも・・・

 もちろん、リセットすることも大切なので、皆伐を否定しているわけではありません。

 林況によっては、皆伐の方が望ましい現場もあります。

 

 しかし、ウバメガシなど原木資源の安定的な確保を可能とする択伐施業という技術は、備長炭の安定的な生産にも繋がるため、この技術は、次世代に、後世に残す・繋げていく必要があります。

 原木資源が枯渇すると備長炭は作れません。

 和歌山県にしか伝わっていないという択伐施業を主流に、他の地域と差別化を図ってほしいと思います。

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ジバチの巣、襲われる

2016年02月10日 | 昆虫類+αのお話

 昨年(2015年)の11月。

 山を歩いていたら、ジバチ(クロスズメバチ)の巣の上を気づくことなく、歩いてしまった

 羽音に反応して、振り向くと、穴からウジャウジャと・・・

 そんなヒヤリな体験をした場所に、再び、訪問

 一応、巣の印として、植栽ネットの足元周辺に倒木を置いといたので、簡単に再開することが出来ました

 日当たりの良い場所やし、今年は暖かいから、もしかしたら、「今もいるかも~」なんて、淡い期待を抱きながら、現場へ向かうと、何か様子がおかしい

 巣のあった場所が、何者かに掘られている

 

 

 中を覗くと、微かにスズメバチの巣の特有模様が残っています。

 クロスズメバチの巣が、何者かに襲撃され、食べられてしまったようです。

 犯人は・・・

 アナグマ・・かな。

 器用に、巣だけをピンポイントで掘り起こしてます。

 あぁ・・・カメラを仕掛けておけばよかった・・・

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ド根性ヒノキ!

2016年02月08日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 皆伐した伐採跡地に隣接するヒノキは、しばらくすると枯れる。なんてことは良くあります

 突然、日当たりが良くなったため、強い光にストレスを感じたり、土壌が乾燥したりと、環境の変化が原因で枯れているのだと思います。

 もちろん、林縁のヒノキ全てが枯れているというわけではありませんが・・・。

 

 ある日、植栽地とヒノキ林の境を歩いていると・・・

 樹皮が剥がれ、虫が穿孔した痕が多数あるヒノキに出会いました。

 

 かなり高い(約3m)ところから樹皮が剥がれており、獣による外傷でもなく、周囲の伐採で受けたわけでもなく、原因は分かりませんが、とにかく酷く剥皮していました

 完全に枯死していると思い、梢端部を見てみると・・・

 

 生きてた

 ここまで剥皮し、虫害に穿孔されても、まだ生きている

 この生命力に驚き

 さらに、枝が、光環境が悪い林内ではなく、光環境の良い林縁に向かって成長しているぅ。

 このヒノキの生命力にちょっと、感動

 

 このように樹皮が剥がれると、「養分が行き届かなくなるから枯れる」、「樹皮が剥がれ、形成層が死んだから枯れる。」という風に思われるかもしれませんが、剥皮によって枯れる原因は、「辺材が乾燥するから枯れる」です。

 辺材は水分を運ぶという役割を持っており、樹皮が剥がれることで、辺材が乾燥し、その役割を十分に発揮できなくなり、枯れてしまいます。

 なので、樹皮が剥がれても、辺材が乾燥しなければ、残された健全な樹皮(正確には形成層)が、剥がれた部分を修復しようとします。

 しかし、ここのヒノキは、植栽地に隣接し、日も当たる、のに、生きている

 ということは、あれだけの樹皮が剥がれても、わずかに生き残った辺材部分が水分を運んでいると・・・。

 実に、立派な生命力をもったヒノキです。

 挿し木したら、生命力の強いヒノキになるんかな?

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