登山によく使われる「杖」。
市販の物もいいですが、自分で作ると、さらに登山を楽しむことができます。
そこで、材料費ほぼ0で簡単に作れる「杖」の作り方を紹介します。
まず、直径2~3cm、長さ150~170cmの木を用意します。
木の種類は、なるべく軽くて丈夫なものが良いです。
僕は、主に以下の6種類で作ります。
①ヒメシャラ・・・見た目も丈夫さも最高。ただし、手に入れにくい。1番のオススメ。
②サカキ・・・見た目はイマイチだけど、丈夫でやや軽め。細工しやすい。
③ツバキ・・・白い樹皮がきれい。とても丈夫。やや重たい。堅いのでやや細工しにくい。
④クロモジ・・・和菓子の楊枝に使われる木。見た目も良くて軽い。少し丈夫さが足りない。作りやすい上、いい香りがするので、1番楽しんで制作できる。
⑤ヒノキ・・・皮が付いたままだと見た目が悪いので、皮を剥く必要がある。そのため作る時間がかかる。ただし、丈夫な上軽いので、使いやすい。作りながら香りも楽しめる。
⑥カシ類・・・強度は十分。しかし、堅いので作りにくい。感覚的にクッション性が乏しく、持つ感じがイマイチ。(あくまで個人的な所感です。)
あと、リョウブ、ネジキ、シャシャンボも丈夫なので杖に最適です。
では、作り方(というほどのものでもないですが・・・)
写真の木は3本ともサカキです。
使う道具は、ナタとノコギリ。
①木の中心を持って、元口を上(持ち手)、末口を下(接地部分)にします。
※反対にすると杖の下方が重たくなるので、結果、持ちにくい杖になります。
◇ポイントとして、少し曲がっている木を使うと、「杖!」っぽくなります。
ただし、持った時のバランス等を考える必要があります。
②持ち手の位置を決め、接地部分の木を切って、自分好みの長さに杖を調整します。一気に切らず、2回、3回と分けて切って、確実に調整していきます。
③今度は、持ち手の位置より上を調整します。やり方は②と同じです。(木の長さによって、この工程が省かれることもありますし、別に省いても良いです。)
④これで8割方完成です。残りは仕上げだけ。
持ち手と接地部分の木の縁をナタで軽く削ります。
削り加減はお任せ。本人好みということになります。
この工程は別にしなくてもいいんですが、した方が見た目がカッコイイからです。
特に、持ち手側の削り方は少し丸めにすると、キレイに見えます。
⑤あと、木に枝や節がある場合、いらなければ切り落とし、気にならないならそのままでもOKです。
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⑥最後の仕上げ。ここからがこだわりどころ!
といいながら、僕は上の写真のような杖で十分なので、あまりこれ以上の仕上げはしません。
持ち手の木にヒートンを付けます。
ヒートンに「ストラップ」を通したり、「鈴」を付けたりしてください。
ほかにも「防犯ブザー」や「小型のソーラー充電ライト」を付けたりしてもいいと思います。
ただし、いろいろ付け過ぎると、杖が重くなったり、木の枝に引っかかったりします。
ほかにも、杖の表面に「ビーズ」や「ビー玉」を埋め込んだりしても、楽しいと思います。
材料が木なので、加工しやすいですから、ドングリを埋め込んだりすることもできます。(下の写真左側)
⑦接地部分はそのままでも十分ですが、木ですから、使っていると割れたり、石で傷ついたりします。
気になる方は、接地部分の木の先をドリルで掘って、ボルトを埋め込み、キャップ型のナットを付けると、木は傷つきません。
ただし、先が金属になると、木よりも滑りやすい時があります。
それに、力の入れ方が、木の方が良いですし、突きながら「あっ、岩に当たった」とか、「ここの土軟らかい」といった感触が杖から感じることができます。
この辺は、売り物のステンレス製の杖にはない味わいかと思います。(これも、個人的な所感です。)
あと、手芸店に7cmくらいの温度計とか売っているので、それを杖に貼り付けるのも面白いと思います。
登りながら温度が分かる杖!いいですねぇ
これがオリジナル杖の作り方。
とってもシンプルなのにアイデア次第で、おもしろい杖ができます。
木は生き物です。
そして、まったく同じように成長することはありません。
なので、同じサイズ・同じ樹種を使っても、同じ杖は出来ません。
似たような杖は出来ても、いざ使ってみると、持ってみると、全然違います。
それが、この杖の魅力!そして木の魅力!!です!!!
それと、使用する道具はナイフでもいいです。ヤスリを使ってもいいです。
僕は、ナタの目立てをした後、切れ味加減を見るついでに、杖を作ることが多いので、いつもナタを使っています。
加えて、ナタをナイフのように使えるようになる技術も大切だと考えているからです。
師匠が「ナタ1本で1週間、山で生きることが出来たら上出来や。」と言っていたので。(まだまだ僕には無理ですが)
それに、ナタを使って木を細工していると、「この木は丈夫やな。」とか、「この木は堅いけど加工しやすい」とか分かるようになります。
すると、その木を見たときに、瞬時に「あっ、アレに使うのにちょうどいい」とか分かるので、その場で道具を作ったり、緊急時の道具を作ることもできます。
これが、師匠の言う「ナタ1本で山に1週間生きる」へと繋がる道だと実感しました。
昔は、そこにある木を使って、生活道具を作っていました。
それが生きる力に繋がっていました。
しかし、現代社会は、100円均一などで、安くて便利なものが買うことが出来ます。
ホームセンター、コンビニなど食べ物から道具まで本当に充実していますが、便利な故に、作る力・生きる力が喪失するのではないか・・・・と危惧しています。