はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

林業用運搬ドローン「ITAKISO NOAH」 御祈祷

2022年04月27日 | 株式会社はぐくみ幸房のお仕事

 林業用運搬ドローン「ITAKISO NOAH」の出荷・納品に向けて、和歌山県和歌山市にある伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)にて、納品する2台のドローンの御祈祷を行いました。

 

 弊社では、「ITAKISO NOAH」を納品する前に、伊太祁曽神社で御祈祷させて頂いています。

 ご察しのとおり、機体名の「ITAKISO NOAH」は、伊太祁曽神社からお名前を頂いております。

 

 伊太祁曽神社は、日本中に樹を植えて回った神様「五十猛命(いたけるのみこと)」を祀っています。

 僕の中で、山に植える苗木を運ぶドローンの姿と、日本中に木を植えて回った五十猛命のお姿が重なり、五十猛命を祀る伊太祁曽神社のお名前を頂戴し、「ITAKISO NOAH」と名付けました。

 

 五十猛命に御祈祷を捧げ、納品先での安全飛行を祈ります。

 苗木の種類や大きさにも寄りますが、林業の造林用苗木の規格(35cm上)であれば、1時間で苗木を1,500本運搬可能です。

 現場で働く方達の重労働が、「ITAKISO NOAH」によって、少しでも軽減に繋がると嬉しいです。


山林作業の基本姿勢③

2022年04月24日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 3回目になります山林作業の基本姿勢について、今回は、下刈り鎌と草刈機(刈払機)を扱うときの基本姿勢です。

 林業に限らず、農業や道路の草刈りにおいても使用される草刈機ですが、僕が目に付く限り、足の位置が正しくない方が多いです。

 ちなみに、「草刈機を持って、左足が前になる方」は、要注意です。(草刈り機を右側に持った場合です。左側に持つ方って、多分いないと思いますが(^_^;)。。。)

 1回目の鉈、2回目の鋸・チェーンソー同様、下刈り鎌と草刈機も振り払った刃先側の足は後ろ足なのですが、草刈機の場合、逆足になっている方が多い(僕が見る限り)と思います。

 

 下刈り鎌を使って、下刈りを行うとき、「右足が前・左足が後」の姿勢が基本です。

 1回目の鉈、2回目の鋸・チェーンソーでも説明したとおり、切れる刃の先にある足が後の位置になります。

 下刈り鎌を使う場合、自然と「右足が前・左足が後」になります。

 そもそも、「左足を前・右足を後」にすると、上手く鎌を扱うことが出来ないので・・・。

 

 そして、移動時も、常に「右足が前・左足が後」になるように足を運びます。

 左足が右足より前に出ることがありません。

 右足を出して、左足は右足のやや後方に運びます。

 実は、この足運びだと、体を安定させつつ、移動することが出来ます。

 

 空手やボクシング、剣道、柔道など格闘技を経験された方は分かると思います。(右利きの方は、先述した足の位置が真逆になりますが。)

 僕はボクシングをしていたので、リング上での足運びは「左足が前・右足が後」です(サウスポーの方は逆です。)。

 そして、試合中、決して「右足を左足の前に運ぶ」ことはありません(あるとしたら、クリンチの時くらいですね。)

 足の位置は逆ですが、理屈は同じです。

 逆に、サッカーやバスケットボール、野球などの球技経験者は、この足運びに違和感があると思います。

 

 山林作業は、急斜面な上、浮石や根株など転倒要因となる障害が多く、その上、草が茂って足下が見えにくいという不安定な環境において行われます。

 転倒しないためにも、常に安定した体姿勢を保ちつつ、作業することがポイントになります。

 そして、下刈り鎌は、「右上から左下へ」刈り払うので、刈り払った刃に近い左足が後になります。

 よって、下刈りの基本姿勢は「右足が前・左足が後」になります。

 

 さて、草刈り機を使用する際も、下刈り鎌と同様の姿勢と足運びが基本です。

 

 まず、草刈り機の刃は、右回転で回ります。

 

 草刈り機に限らず、角材を切る「丸鋸」や研磨に使う「グラインダー」も刃の部分が右回転で回ります。

 右回転で回る機械は、すべて、左上の部分で角材を切ったり、磨いたりします。

 それ以外の場所で切ったり、磨いたりすると、機械に変な振動を与え、それがキックバックに繋がります。

 

 

 

 

 これは、草刈り機も同様です。

 草刈り機の刃も、右回転で回るので、草や灌木を切る部分は、「左上」の部分になります。

 正確には、「左上1/3」の部分になります。

 右上の部分や右下の部分を使って、草や灌木を刈る方もいますが、機械への負担も大きく、キックバックが起こりやすい場所なので、この部分を使うのは、危険です。

 笹刈り刃など刃の種類や目立ての技術の差で、そのリスクを下げることも可能ですが、それを示す基準も論理的な説明資料もないので、新人や経験が浅い方に対する指導や見本としては、個人的にはどうかなーと思っています。

 

 対象物を「左上1/3」の部分で刈ると言うことは、刃の動きは「右から左」になります。

 ということは、刃に近い左足が後になります。

 下刈り鎌同様、「右足が前・左足が後」の姿勢になります。

 この姿勢を維持するため、足運びも「①右足を出す」、「②右足を進めた分、左足を出す」、「③右足より前に左足は出ない」になります。

 

 正しくない作業姿勢です。

 この時、手前の刈り残しがある灌木を刈ろうと、機械を手元に寄せて、刈ろうとして、キックバックを起こし、左足の指を切ってしまう事故が起こります。

 もし、「右足が前・左足が後」の姿勢であれば、このような事故は起こらなかったかもしれません。

 

 ちなみに、「左から右へ」戻すとき、草や灌木を刈らないように戻します。

 

 実際に、草刈り機を持って、この動きを試してみて下さい。

 今までと異なる体の使い方になるので、違和感がある・動きにくいなど、とにかく馴染まないと思います。

 だけど、不安定な場所や危険と感じる場所で作業する際、「右足が前・左足が後」を維持した姿勢で作業をしていると思います。

 意識されている方も無意識の方も、「不安定な場所では、この体勢が安全、やりやすい。」と感じているからだと思います。

 自分自身が「大丈夫。」と思っている場所では、この姿勢で作業をせず、「不安定だな」的なことを感じたら、この姿勢で作業をしていませんか?

 

 その違いを、新人の方や経験の浅い方が、確実に理解できるように伝えることが出来れば、自分自身の感覚を伝えれば良いと思いますが、実際の所、自分自身の感覚を言葉だけで他の方と共有することは非常に難しいです。

 さらに、自分が「大丈夫。」と判断する要素も、正しく相手に伝え、それを共有することも非常に難しいです。

 新人の方は何も分からないし、経験の浅い方も経験不足の所があります。

 まずは、「怪我をしないこと」を優先すべきだと思うので、指導の上で、基本姿勢を教えて、身につけさせることが大切だと思います。

 

 僕が駆け出しの頃、周りが草刈り機で下刈りする中、師匠に下刈り鎌を渡されました。

 下刈り鎌を使うと、必ず「右足が前・左足が後」の基本姿勢とその姿勢を維持する足運びになります。

 それを体に染みこませるため、下刈り鎌を渡されました。

 下刈り鎌の刃の動きも草刈り機の刃の動きも同じだから、この基本姿勢を身につけさせる師匠の指導方針は、今も感謝の気持ちしかありません(当時は、大変だったけど(-_-))。

 

 草刈り機は機械ですが、チェーンソー同様、刃物です。

 

 左足を刃に近い場所へ運ぶ姿勢は、正しくありません。

 

 「右足が前・左足が後」が基本姿勢です。

 その姿勢を維持するため、足運びも「右足を進め、右足を進めた分左足も進め」、左足が右足より前にならないようにします。 

 浮石や根株など転倒要因となる障害物や急斜面、草が茂って足下が見えにくいという環境の中で行う山林作業。

 まずは、「体の動きやすさ」を優先するよりも「体の安定さ」を優先すべきではないでしょうか。


天然絞り丸太 悲しいと感じた使われ方

2022年04月22日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 表面に凹凸が現れる丸太「天然絞り丸太」。

 通常、丸太の表面はツルツルなのですが、写真のように自然と表面に凹凸が現れる丸太を「天然絞り丸太」と言います。

 病気ではなく、奇形と言ったらいいのかな?

 凹凸の溝が浅いもの、深いものもあれば、ボコッと凸が大きいものもあります。

 なお、人工的に凹凸を作り出した丸太もあり、それは「人工絞り丸太」と言います。

 

 天然絞り丸太は、床柱などに使用され、非常に高価な木材として重宝されていました。

 この凹凸は、自然に出来るモノなので、挿し木や接ぎ木という方法でないと「天然絞り丸太」になる木を増殖することが出来ません。

 そのため、苗木代は高いし、枝打ちといったミスが許されない施業だったので、天然絞り丸太は特に高価な木材です。

 

 床柱に立派な天然絞り丸太が使われている家は、全体も立派な家が多かったです・・。

 現在は、住宅様式も変わり、和室がなくなったことで、床柱の利用も減少し、それに伴い、天然絞り丸太の利用も減少しました。

 時々、市場に通常の丸太の中に天然絞り丸太が混ざっている時があります。

 

 そんなある日、自動車で街中を走行していると、意外な場所で天然絞り丸太と出会いました。

 空き地の周囲を囲う木杭の中に天然絞り丸太が!

 近づいてみると、やはり表面が凹凸していて、天然絞り丸太だなぁーと、悲しい気持ちになりました。

 が、天然絞り丸太の存在をご存じない方にとっては、同じ丸太なんですよね。

 むしろ、表面の凹凸を嫌がる方もいるかも。

 

 天然絞り丸太を購入することで、ワクワクするとか、テンションが上がるとか、コレは買いたい!って思うような気持ちが湧く、気持ちが動く背景やストーリーがないと、買い手には、その良さが伝わりません。

 育てる苦労は、本当に大変ですが、それは、あまり買い手に、関係ありません。

 むしろ、育てる苦労を表に出されると、買い手に「大変なんだ。買ってあげないといけない。」という気持ちを与えてしまう可能性もあります。

 僕自身、天然絞り丸太を見ると、「おぉー」っと思いますが、買うことはありません(^_^;)。

 表面ツルツルの丸太の方が好きなので(^_^;)。

 良い物は売れると言いますが、それは、生産者から見た良い物ではなく、買い手から見た良い物です。

 そして、買い手は、良い物を買うのではなく、欲しいと思ったものを買います。

 どんなに苦労して生産しても、買い手が欲しいという気持ちにならなければ、買ってもらうことが出来ないんだなーと、空き地の周囲を囲う天然絞り丸太を見て、そう思いました(T_T)。

 


タンポポ

2022年04月18日 | 樹木・草花のお話

 身近な草花「タンポポ」。

 何気なく見かけるタンポポですが、外来種のタンポポと在来種のタンポポがあり、ほとんど入り混じっていると思います。

 在来種かな?、それとも外来種かな?という感じで、タンポポを観察するのも楽しいと思います。

 

 「外来種のタンポポ」と「在来種のタンポポ」の見分け方は、とても簡単です。

 

 花の裏にある”がく片”が、反り返っていたら、外来種のセイヨウタンポポ。

 

 花の裏にある”がく片”が、反り返っていなかったら、在来種のカンサイタンポポ。

 

 そして、白い花のシロバナタンポポ。

 シロバナタンポポも在来種で、茎高が30cm以上になることもあります。

 

 次に、外来種同士の「セイヨウタンポポ」と「アカミノタンポポ」の違い。

 この2種の違いは「種」です。

 

 セイヨウタンポポの種と比較し、アカミノタンポポの種の色は濃く、チョコレートっぽい色をしています。

 この状態では、少し分かりにくいので、少し種を取ってみると・・・

 

 セイヨウタンポポ

 アカミノタンポポ

 これで、種の色の違いが分かるかと思います。

 何度も何度も観察を繰り返すと、綿毛の上から色の違いが分かるようになります。

 

 身近なタンポポ。

 在来種かな?、外来種かな?という目線で、観察してみて下さい。


株式会社はぐくみ幸房を設立

2022年04月16日 | 株式会社はぐくみ幸房のお仕事

 令和4年4月に「株式会社はぐくみ幸房」を設立し、代表取締役に就任しました。

 「森を育み、地域を育み、人を育む」をコンセプトに、事業を取り組み、その結果が人の幸せに繋がるよう展開したいと考えています。

 これまで、個人事業として取り組んでいた講師業や木製品などの事業も、全て法人に移行します。

 本ブログは、今後、株式会社はぐくみ幸房のブログとして続けていきますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

 なので、ブログのタイトルが少し変わっています(*´∀`*)。

 

 詳細は省略しますが、弊社が取り組む事業は次の通りとなっております。

 

①森林管理マネジメント

②森林整備マネジメント

③森林空間利用マネジメント

④林業用運搬ドローン「ITAKISO NOAH」の販売

⑤ドローン運搬体制構築支援

⑥職場内コミュニケーションのマネジメント

⑦人材育成マネジメント

⑧緑育・木育などの教育事業

⑨樹木診断・森林診断

⑩木製品・農産物・苗木の販売

 

林業用運搬ドローン「ITAKISO NOAH」


作業道設計 × 表土移動の痕跡

2022年04月13日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 クライアントから搬出間伐の依頼をいただき、作業道設計のため、現地踏査を行いました。

 

 立木の形状や径級は、申し分ない人工林なので、良材が採れそうです(^o^)。

 

 一部、急傾斜な所もありますが、比較的、道が付けやすい地形で、緩やかな傾斜も多く、測量兼踏査がサクサク進む♪進む♪

 

 この勢いで、支線を入れようと思い、50mほど測量した矢先、突如、状況が変わる・・・(-_-)。

 

 堆積する落ち葉を除けて、地表面を見てみると、表土が動いた痕跡が・・・

 

 堆積する落ち葉を払いつつ、スギの根元の観察を重ねると・・・

 赤い矢印が示すとおり、スギの根が地表面から丸見え・・・。

 

 本来、樹木の根は、地面の中にあります。

 その根が、地表面から出ていると言うことは、「表土が動いて、根が剥き出しになった」可能性が考えられます。

 もしくは、「この下に岩が埋まっていて、成長した根が下に潜れず、地表面に現れた」可能性も・・・。

 

 今回は、岩石の痕跡らしいものが見当たらなかったし、剥き出した根も小さいので、前者と判断。

 この辺り一帯の地表面に動いた痕跡があったので、支線はやめて、退避(回避)場所に変更。

 今回は、クライアントに費用負担をかけないことを優先し、この先の管理も視野に入れて、工作物を設けない自然地形を活かした道として設計することにしました。

 

 作業道を設計または作設する際は、根の状態を観察してみると、表土移動の痕跡が見えてくるので、是非、ご参考下さい。


山林作業の基本姿勢②

2022年04月10日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 山林作業の基本姿勢2回目の今回は「鋸・チェーンソー」における作業の基本姿勢についてです。

 

 前回の鉈同様、鋸も刃物なので、切り終わったときの刃先が自分の足にあたらない姿勢が基本となります。

 

 鋸で受け口を作る場合。

 次の写真を例にすると、鋸の動きが(自分自身から見て)左から右なので、左足が前・右足が後になります。

 前回の鉈のお話でも説明しましたが、振り下ろす刃側の足は、必ず後ろになる姿勢が基本です。

 

 

 足が逆になっているダメな姿勢です。

 鋸の場合、この姿勢では、力が入りにくく、切りにくいです。

 ところが、チェーンソーの場合、刃が高速で回転するので、足が逆になっても、違和感なく伐ることが出来てしまいます。

 

 僕が駆け出しの頃、皆がチェーンソーで間伐する中、一人、鋸を渡され、ギコギコと間伐をしていました。

 そして、それにもしっかりとした理由がありました。

 チェーンソーを使う前に、まずは、鋸を正しく扱う技術と正しい作業姿勢を身につけるためです。

 

 鋸で木を伐る場合、足下をしっかりと確認し、しっかりと踏ん張らないと、上手く伐ることが出来ません。

 チェーンソーの場合、機械さえしっかりと持っていれば、高速回転する刃によって、勝手に切り進んでいきます。

 そのため、鋸ほど、足下をしっかりと踏ん張る必要もないし、腰を屈めるような姿勢でも木を伐ることが出来ます。

 鋸は、しっかりと踏ん張らないといけないし、腰を屈めるような姿勢だと腰への負担が大きく疲れてしまい、1日中、間伐することが出来ないので、自ずと、腰を落として、踏ん張る姿勢が身につきます。

 師匠から「鋸を上手く扱えない者は、チェーンソーも上手く扱えない」、「鋸で真っ直ぐに伐れない者は、チェーンソーでも真っ直ぐに伐れない。」と、何度も何度も注意されました・・・(T_T)。

 

 そして、追口。

 鋸の動きが右から左に変わるので、作業姿勢も、右足が前・左足が後になります。

 受け口と追い口で作業姿勢が変わります。

 

 そして、正しくない姿勢、左足が前・右足が後。

 受口の時と同様、切りにくいですけどね・・・。

 正しい作業姿勢、刃物を扱うときの作業姿勢を理解・認識していないと、この姿勢でも違和感なく、チェーンソーで切ることが出来てしまいます。

 

 鋸がチェーンソーに変わっても、基本姿勢は変わりません。

 次の写真のように受口を作る際、チェーンソーの刃は左から右に向かうので、「左足が前・右足が後ろ」です。

 受口なので、そのまま切り進めなくても、刃の進行方向に近い位置の足は後ろが基本です。

 追い口になると、刃は右から左に進むので、作業姿勢は「右足が前・左足が後ろ」になります。

 刃の進行方向に近い位置の足は必ず後ろ、というのは、鉈や鋸と同じです。

 自分の足を伐らないようにするためです。

 チェーンソーは機械ですが、伐る道具なので、刃物と同じように扱う姿勢が基本姿勢になります。

 

 

 次に、鋸の動きが上から下になった場合。

 枝払いとか造材の時ですね。

 

 右利きの方は、右足が後・左足が前になります。

 正しくない姿勢は、右足が前・左足が後です。

 万が一、途中で枝が折れたら、伐り進んだ鋸の刃先が、自分の足にあたるリスクがあります。

 チェーンソーでの枝払いや造材も同様で、そして、その危険度は鋸の比ではありません。

 

 鋸の場合、正しい作業姿勢でないと、すごく疲れるし、無駄な力が入るため、伐り方に違和感を感じます。

 チェーンソーの場合、機械なので、正しい作業姿勢でなくても伐り進むことが出来ます。

 そして、正しい作業姿勢を知っていないと、その違和感を感じることが出来ません。

 

 僕が駆け出しの頃は、初めから機械ではなく、手道具でした。

 今の新人さん達は、早々から機械を扱うことになります。

 山林における作業姿勢、刃物を扱う基本姿勢の認識がないままに、機械を扱うと、姿勢の違和感を感じることなく、作業を進めてしまいます。

 そして、その姿勢が、自分に対する怪我のリスクがあることにも気づきにくくなります。

 

 本来、伐採や枝払い・造材の際は、木や枝の位置に合わして、自分の立ち位置も合わせ、正しい姿勢で作業にかかることが基本です。

 しかし、機械に頼る分、木や枝の位置に合わして、機械の向きを合わせる姿勢がクセになってしまうことが多くなり、結果、伐ったその先に自分の足を出してしまい、自分で自分の足を切るという事故に繋がります。

 

 移動するのが面倒だから、腕と足を伸ばして、枝や玉切りをしていませんか?

 やむを得ず、腕と足を伸ばさないと、木が切れない状況で作業をしていませんか?

 このとき、右足を前にすると、より先の方まで、木を伐ることが出来るので、右足を前に出して伐ろうとし、チェーンソーの刃が右足にあたるという事故に繋がります。

 そもそも、腕を伸ばした状態でチェーンソーを扱うことは危険ですが、少なくとも左足が前・右足が後の基本姿勢であれば、足を切るというリスクが下がります。

 

 機械をすぐに扱えないと仕事にならない時代ではありますが、基本姿勢の認識、一動作での基本姿勢の意識は、非常に重要だと思います。

 特に、林業大学校などでは、こうした基本姿勢、山林作業のそもそも論を、教えていくべきではないかなーと思います。

 

 チェーンソーは機械ですが、扱い方は刃物と一緒です。

 刃物で作業するときの基本姿勢を理解しておかないと、チェーンソーで怪我したとき、具体的な原因と対策が理解できない恐れもあり、同じ事故が再発するリスクにも繋がります。


メダラ 根萌芽

2022年04月09日 | 山菜・キノコなど食を楽しむお話

 メダラとタラノキは、根から新たな芽を出す「根萌芽」で増殖します。

 もちろん、種子でも繁殖します。

 

 根萌芽したばかりのメダラやタラノキは、非常に小さく、見落としやすいので、除草する際は、根萌芽したメダラやタラノキを傷めないよう気をつけないといけません。

 

 これから、まさに根萌芽しているメダラです。

 非常に小さい上、ちょっと触っただけで、芽が取れてしまうので、除草などの際は、芽を傷めないよう注意しましょう。

 

 少し成長し、展葉が始まったメダラ。

 

 1年育つとこんな感じに。

 

 こんな感じで、メダラやタラノキは、根萌芽によって、どんどん増えていきます。

 ちなみに、根を切って増殖する「根挿し」という方法もあります。

 

 本ブログでも紹介していますので、ご参考下さい。

 → https://blog.goo.ne.jp/yamaikora/e/5a76aaa213b3ee78acfd2a5625a55b3f


山林作業の基本姿勢①

2022年04月06日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 林業の仕事は、基本的に刃物を扱う作業になるため、刃物を扱う基本姿勢が山林作業の基本姿勢になります。

 この基本姿勢は、チェーンソーや刈払機の機械を扱うときも同様です。

 4月を迎え、新入社員が入った会社もあると思うので、今回は、「鉈」、「鋸・チェーンソー」、「刈払機」に分けて、山林作業の基本姿勢について、お話したいと思います。

 

 今回は「鉈(なた)」について。

 

 右手で「鉈(なた)」を持ち、右上から左下に向かって振り下ろして、灌木などを切る場合、「右足が前、左足が後」が基本姿勢になります。

 そして、右手で持った鉈を左上から右下に向かって振り下ろす場合は、「左足が前、右足が後」が基本姿勢になります。 

 ちなみに、左利きの方は、左手に鉈を持ち、左上から右下に向かって鉈を振り下ろす場合は「左足が前、右足が後」、右上から左下に向かって振り下ろした場合は「右足が前、左足が後」が基本姿勢になります。

 

 この基本姿勢のポイントは、「刃を振り下ろした側の足が、必ず後になる」ということです。

 それは、「自分が振り下ろした刃で、自分の足を切らないため」です。

 

 この姿勢は、鉈に限らず、日本刀を扱うときも同じです。

 

 映画やテレビなどの時代劇で見られる日本刀で斬り合う「殺陣(たて)」というシーンを、一度、じっくり見てください。

 上段の構えで、日本刀を左上から右下に振り下ろす際、左足が前・右足が後になっています。

 

 また、下段の構えで、左下から右上に振り上げる際は、左足を後・右足が前になっています。

 刃を振り上げる時、左足を切らないよう、左足が後になっています。

 

 そして、鞘から刀を抜く時。

 左足が後・右足が前の姿勢になります。

 これも、鞘から刀を抜く際、左足を切らないため、左足が後になります。

 とある漫画で、必殺奥義の秘密を「抜刀の際、左足が前になっている」と明かしていますが、実際は、正しくない姿勢です(^_^;)。

 

 さて、山林作業において、この必殺奥義と同じ姿勢で、灌木を鉈で切ろうとすると・・・

 自分で自分の足を切ってしまう恐れがあります。

 鉈の目立てが悪く、灌木への切り込みが甘くなり、鉈が滑り、そのまま自分の足へ・・・なんて、ケガになることもあります。

 

 駆け出しの頃。

 師匠から渡された鉈は、右利き用の片刃の鉈でした。

 その理由は、「両刃だと左右両方向で切ってしまう。逆方向を切るとき、基本姿勢を直さず切ろうとして、結果、怪我する」から。

 右利きの場合、右上から左下に振り下ろすのが正方向、左上から右下に振り下ろすのが逆方向と教わり、正方向で切る場合、正しい基本姿勢で切るけど、逆方向に切るとき、そのままの姿勢で切ろうとしてしまうから、怪我に繋がるということです。

 

 まず、正方向で切るときは、この姿勢。

 

 だけど、逆方向で切るときは、この姿勢のまま、切ろうとしてしまう・・・。

 

 人は同じ作業を繰り返すうちに、基本姿勢の意識が薄くなり、段々と無駄な動きをしない、簡素な動きに、無意識に替えてしまう。

 無意識に替えた姿勢が正しいなら問題ないけど、大抵は、正しくない姿勢になる。

 なので、逆方向では切れない、片刃の鉈を持たされた・・・というわけです。

 

 では、片刃の鉈で、逆方向にある灌木を切る場合はどうするのか。

 正方向で切れる位置に体の向きと姿勢を変えてから、灌木を切ります。

 師匠は、状況に応じて、自分の体の向きや姿勢を変えるクセを身につけさせるために、片刃の鉈を渡してくれました。

 

 繰り返しになりますが、林業の作業は刃物を扱う作業が基本で、その基本姿勢は、刃物を扱う基本姿勢と同じです。

 

 鉈を右上から左下に振り下ろすときは、右足が前・左足が後。

 左足が前・右足が後の作業姿勢で鉈を扱うと、自分が振り下ろした鉈で自分の足を切ってしまいます。

 

 逆方向に、左上から右下に振り下ろす際は、左足が前・右足が後。

 鉈を無双のごとく振り回すうちに、無意識で、右足が前・左足が後という姿勢になってしまうと、自分の足を切るリスクが上がります。

 

 林業・ボランティアに関わらず、新入社員や初めて山林作業をする方に、この基本姿勢を指導することは、とても重要で大切なことです。

 

 「なぜ、この基本姿勢なのか。」

 『それは、自分で自分を傷つけないため。

  そして、日本刀を扱うときも同じ。』

 

 と言う風に、指導する際、非常にシンプルで、辻褄のあう説明が出来るので、結構、納得いただいています。

 そして、間違った作業姿勢になっている方を見つけたら、「足、逆ですよ。気をつけて下さいね。」と一言声をかければ、すぐに直してくれます。

 注意された方も、考えて、意識して、直してくれます。

 注意したときの声を聞いた方も、同じように意識してくれます。

 

 林業は肉体労働が多いので、疲労が溜まると、集中力も意識も散漫になりがちです。

 だけど、少しでも、「はっ」と自分で気づき、自分で基本姿勢を直すクセを身につけることが、大切だと思います。

 そして、それを繰り返すことで、正しい作業姿勢が身についていくと思います。


メダラ 天ぷら

2022年04月03日 | 山菜・キノコなど食を楽しむお話

 先日、収穫したメダラ。

 棘がないから、調理もしやすい(^o^)

 

 食べられる新芽の部分だけにします。

 次の写真の真ん中にある新芽は、そのまま天ぷらにして、他は大きいので、外側の大きい芽と中央の芽を分けて、カラっと(^O^)

 

 メダラの天ぷら、実に美味(๑´ڡ`๑)

 まさに春の恵みです。

 シンプルに塩をかけて、ビール片手に、食を楽しむ(^O^)、なんて、どうですか?