はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

ヌメリイグチ

2020年11月18日 | キノコ・菌類のお話

 夏から秋にかけて、松林の林床に生えるキノコ「ヌメリイグチ」。

 その名の通り、カサの表面がヌメヌメしているキノコです。

 

 ヌメリイグチは、カサの直径が約3~9cm。

 湿気が多いと、カサの表面全体が粘液に覆われ、乾燥している時は、乾いた感じのちょっとネチョっとした粘液?があります。

 カサの色は黄褐色~チョコレート色。

 

 キノコの裏側は、”ひだ”ではなく”管孔(かんこう)”。

 これが、イグチ類のキノコの特徴ですね。

 管孔の色は淡い黄色から黄色味を帯びた褐色。

 柄の長さは、約5~10cmで、根元から上部までの太さはほぼ同じです。

 

 柄の上部には、ツバがあるけど、消失しやすいので、ツバがなくなっているものもあります。

 この写真では、うっすら、ツバが残っているって、感じですかね(^_^;)。

 

 食べると美味しいキノコで、ナメコと同じようにお味噌汁など、ぬめりを楽しむ食べ方が一番だと思います。

 ちなみに、僕は、ヌメリイグチを食べたことがありません(^o^)。

 理由は「食が進まない」だけで、ぬめりが嫌いとかではありません。ナメコは大好きです(^_^)v。

 見つけたら、「ヌメリイグチは美味しいよ。僕は食べたことがないけど。」といって、差し上げています(^_^;)。

 

 一般的に美味しいキノコですが、食べ過ぎると消化器系にダメージを与えるそうなので、ほどほどにお楽しみください(>_<)。

 何度も申し上げますが、キノコとしては、確実に美味しい部類に入ります!(^o^)

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常緑樹と広葉樹

2020年11月17日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 樹木には、一年中葉がついている「常緑樹 」と秋から冬にかけて葉を落とす「落葉樹」があります。

 もう少し丁寧に言うと、

 落葉樹は・・・

 1年のうち冬季や乾燥期(無降水量が続いた時期)など、生育不適期の前に、全て葉を落葉して休眠状態になる樹木です。

 また、全ての成葉(緑葉)を失って休眠状態に入る期間が少なくとも1ヶ月か、1シーズン以上続く樹木です。

 

 常緑樹は・・・

 1年中、生きた成葉をもつ樹木で、年中切れ目なく成葉を保持している樹木です。

 しかし、常緑樹も落葉します。

 光合成の効率が悪くなった旧葉から落葉しますが、ほとんどが新葉と入れ替わるように旧葉が落葉するため、新葉と旧葉が混在し、常に、緑色の葉があるように見えます。

 落葉の際には、落葉樹同様、紅(黄)葉してから落葉するものもあります。

 この写真はカゴノキで、よ~く見ると、黄色い葉があります。

 この黄色い葉が旧葉で、この黄色い葉が落葉します。

 あと、クスノキは紅葉した葉が落葉します。

  基本的に、常緑樹は年中成葉があります。

 だけど、時々、クスノキやカシ類は、春に一斉に落葉し、年によっては新葉が展開するまで、1週間前後、全葉が落葉した状態になることもあるそうです。(僕は、まだ、その状態を見たことがありません!)

 

 一般的に、高標高地や積雪の多い寒冷な地域では落葉樹が、低標高や温暖な地域では常緑樹と、ある程度、住み分けされています。

 これは、緯度や標高に依存しており、低緯度から高緯度になるにつれ、クスノキ・タブノキ・カシ類などの常緑樹からブナやミズナラなどの落葉樹に変わっていきます。

 しかし、低緯度・低標高でもアカメガシワ・カラスザンショウなどの落葉広葉樹が、高緯度・高標高でもモミ・トウヒ・エゾマツ・トドマツなどの常緑針葉樹が生育しており、実際には、常緑樹と落葉樹は混在しています。

 

 例えば、和歌山県の大塔山では、ブナとアカガシが混在しています。

 アカガシは、常緑樹の中でも耐凍性が高く、マイナス15℃までの環境下であれば、葉や芽の細胞が凍らず、生育することが出来ます。(マイナス15℃以下の環境では生育できないということになります。)

←アカガシ

 

 しかし、年中葉がついている常緑樹は、雪が葉の上に降り積もると、雪の重みで枝や幹が折れるリスクを抱えることになるので、積雪が多い地域では、やはり落葉樹の方が、生育に有利ですね。

 一方、寒冷地に生育するモミ・トウヒ・トドマツ・エゾマツなどの常緑針葉樹は、積雪による枝や幹の折損リスクはないのか?

 針葉樹は、広葉樹と異なり、幹は真っ直ぐに成長し、枝も広範囲には広げないため、常緑広葉樹よりも積雪による枝や幹の折損するリスクが低くなります。

 多雪な地域に適しているという表現が正しいとは言い難いので、落葉樹や常緑針葉樹は多雪な地域でも生育できる能力・性能が備わっている、という言い方がいいのかな?

 

 あと、積雪の影響以外にも、葉の維持コストと光合成の生産量の影響もあると考えられます。

 葉の生産・維持コストが光合成の生産量を上回ると葉を落葉します(維持コスト>光合成生産量で落葉。)。

 葉の光合成速度は、若齢時は高く、加齢に伴い低下していくため、適当な時期に葉を落とし、新しい葉と入れ替える必要があります。

 また、光合成に不適切な季節(冬季)になると、その期間、葉は光合成ができないのに、葉を維持するために呼吸や蒸散による損失が続くことになります。

 その損失をなくすため、葉を落葉します。

 常緑樹と落葉樹の差は、ここにあるのではないかと思います。

 冬季に落葉することで支出を抑えるか、冬季でも光合成することで収支がプラスになるか。

 落葉樹は、秋まで光合成で稼ぎ、それ以降は落葉する方が効率的という戦略で、低緯度の常緑樹はそのまま着葉した方が効率的という戦略だと考えたのかもしれません。

 高緯度の常緑樹は、光合成に不適切な季節・時期が長くなると、春に生産した葉が、秋口までに光合成で稼ぐ量が、葉の維持コストを下回るようになると、元が取れるようになるまでの長期間、葉を着けて稼がせるという戦略だと考えられます。

 

 簡単にまとめると・・・・

・落葉樹は、春~秋までに光合成で稼ぎ、それ以降は落葉した方が効率的という戦略。

・高緯度の常緑樹は、春~秋までに光合成で稼いだ分では元が取れず、それ以降も着葉し、元を取るという戦略。

・低緯度の常緑樹は、光合成が不適切な冬季であっても、年中着葉した方が効率的という戦略。

 では、ないかと思います。

 

 常緑樹は、冬季でも光合成できる能力を備えています。

 冬季だから常緑樹も光合成しない・・・というわけではありません。

 冬季の光合成による生産量は高くないかもしれませんが、落葉するより着葉する方が効率的・効果的だという戦略だと思います。(そうでなければ、光合成が出来ないまま着葉していると、収入0なのに支出が続くという無駄な状態になってしまうので。)

 そもそも、樹種によって光合成に適した温度が異なります。

 夏季だから光合成に最適というわけではなく、夏季でも高温過ぎると光合成を行わない場合もあります。

 

 常緑樹と落葉樹。

 分け方は単純ですが、樹種ごとの戦略は異なるので、追いかけるととても複雑です。

 温暖な地域なのに、なぜ、落葉するのか?

 寒冷な地域なのに、なぜ、常緑なのか?

 積雪による折損リスクが大きいor小さいとか、落葉した方が効率的/着葉した方が効率的、というのも答えの1つなんでしょうが、樹種ごとの特徴もこれに加わってくるのだと思います。

 

 樹種を特定するのもいいけど、常緑樹と広葉樹の違いに想像を広げる観察も楽しいと思います(^o^)。

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紅葉

2020年11月03日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 今回は、葉が紅葉する仕組みについて、お話します。

 

 落葉する時期になると、葉柄の基部に「離層(りそう)」というコルク質の組織を形成します。

 

 

 離層ができると、葉に送られる水分や養分の供給がストップします。

 しかし、葉の中にはマグネシウムなどのミネラルや窒素が、まだ取り残されているので、離層が完成する前にそれらを回収します。

 だけど、糖類(ブドウ糖やショ糖)は、十分に回収することが出来ず、葉の中に残ってしまいます。

 残された糖類が、酵素と強い紫外線の影響によって、「アントシアン」が生成され、葉が紅葉します。

 落葉するときに、「アントシアン」が生成される理由は、明確になっていないそうですが、徐々に後退する葉緑素を紫外線から守るためという説があるそうです。

 

 次に黄葉。

 離層が出来て、養分が回収され、緑色が退色する過程で、葉の中にもともと存在していた「カロチノイド」という色素が現れて、黄葉します。

 

 続いて、褐葉。

 離層が出来て、葉緑素が減少し、タンニンの仲間である物資が酸化重合した「フロバフェン」という物質の色が現れて、褐葉となります。

 

 紅葉という現象は、葉が何らかの原因で光合成ができなくなったとき、葉が脱落する前にミネラルや窒素などを回収する段階で起こります。

 ほとんどの落葉広葉樹は、気温が5℃以下になると光合成ができない状態になります。

 中には、ハゼノキやヤマザクラのように、5℃より高い気温でも、光合成ができなくなる樹種もあります。

 また、樹勢に元気がない個体では、雨が少なく乾燥した日が続き、干害などのように光合成が不利な状況だと判断されると、早々に落葉する場合もあります。

 

 一方で、ハンノキやオオバヤシャブシなどのように緑色が少し退色した程度で落葉する樹もあります。

← オオバヤシャブシは緑色のまま落葉。

 このような樹種は、窒素やミネラルなどが回収されない代わりに、限界ギリギリまで光合成を行うという戦略をとっています。

 

  一方、お正月を明けても、葉は変色しているのに落葉しない樹木もあります。

 よく見かけるのが、クヌギやヤマコウバシ。

 これらの樹種は、完全な離層を形成しないため、なかなか落葉しないようです。

 特にヤマコウバシの褐葉は、とても目立ちます。

 葉が「落ちない」!!

 ということで、受験生にとって、縁起の良い樹木とされています。

 受験生がお近くにいる方。

 是非、葉が落ちない「ヤマコウバシ」をプレゼントしてあげて下さい!

コメント (2)
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