はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

樹皮 外樹皮と内樹皮

2017年02月28日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 樹皮の重要な役割は大きく分けて3つ。

 1.菌や虫など外敵の侵入を防止する。

 2.水分の蒸発など乾燥を防ぐ。(水分の浸透防止も)

 3.温度変化の緩和。(直射日光の熱を遮断)

 

 一般的に樹皮とは「形成層から外側にある全ての組織を一括して樹皮」とされています。

 

 さらに樹皮は、内樹皮と外樹皮に分けられます。

 

 内樹皮は、形成層の細胞分裂で作られた師部(二次師部)で、柔細胞など多くの細胞が生きており、光合成生産物を通導する役割を持っています。

 簡単に言うと、内樹皮には生きた細胞があって、光合成で生産した養分を運ぶという役割を担っているということです。

 一方、外樹皮には生きた細胞がなく、次々と剥がれていきます。

 外樹皮は生きた細胞と切り離されており、樹木内部を守るため、外界から保護するという重要な役割を担っています。

 

 樹木の内部(木材となる部分、木部)は、菌が定着すると繁殖し、やがて腐ります。

←内部が傷つくと、樹皮がそれを覆う。

←樹皮で覆う前に、腐朽菌が定着すると、木部が腐る。

←木部が腐り、内部が空洞になる。樹木全体の強度が低下するため、台風などに弱くなる。

 という問題が発生しないよう、「樹皮」は腐朽菌から樹木の内部を守るための組織です。

 なので、樹皮は木材のように腐りません。

←間伐されたヒノキ伐根。

←木部が腐朽したけど、樹皮がきれいに残るサクラ。

 木材の部分は腐っていますが、樹皮は腐らずそのまま。

 

 樹皮の分解には微生物が関わり、(あまり?)腐朽菌は関与しないので、材部よりも樹皮の方が長く残るというわけです。

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フキノトウ

2017年02月27日 | 山菜・キノコなど食を楽しむお話

 春の訪れを感じさせる山菜「フキノトウ」。

 家の周りにたくさん生えていました。

 不覚にも、その存在を見逃し、食べるには遅い状態がほとんど・・・・

 でも、粘り強く探していると・・・

 まだ、食べられるフキノトウを発見!

 

 フキノトウは、花芽が開く前の包まれた状態のものを山菜として、いただきます。

 

 こういうのは、食べられません。

 

 開花したものが多かったけど、それでも、美味しくいただけるフキノトウが、たくさん見つけました。

 水気の多い場所に生えているフキノトウは、中身が腐っている場合があるので、要注意です。

 

 お浸しや味噌汁にしてもいいんですが、やはり、フキノトウの苦みを感じながら食べたいので、「天ぷら」に!

 ほんのりとした苦みが「フキノトウ」の旨みですね。

 

 ちなみに、卵がダメなので、天ぷらの衣は、小麦粉と米粉と水で作っています。

 米粉を入れるとカリッと揚がります(入れすぎるとネチネチします。)。

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種子の散布~重力散布と水散布~

2017年02月23日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 前回のつづきで、ドングリ類は重力散布、クルミ(オニグルミ)・トチの実(トチノキ)は水散布を行うということを書きましたので、今回は、この点をもう少し詳しくお話ししたいと思います。


 まず、重力散布。
 童謡でお馴染み、どんぐりコロコロ、どんぐりこ~のとおり、樹から落ちてコロコロと移動させる方法です。
 
 しかし、この方法では、あまり遠くに種子を散布することは難しいと思います。
 本命は動物散布で、重力散布は保険・・・といったところでしょうか。
 まず、重力散布で種子を散布し、その後、動物散布でさらに遠くへ・・・。

 動物に拾われなかった種子は、遠くに運ばれなくとも、親木から離れたその場で発芽できます。
 動物に拾われた種子は、さらに遠くへ運ばれるものの、食べられる可能性があり、食べ残された種子だけが、発芽できます。
 一応、樹木としては、すぐに食べられないように、ドングリに渋みを持たせるという戦略を持っています。(シイとか渋みが少ないものは、数で勝負・・・てとこですかね。)

 このことから重力散布の種子は、ある程度の重量がないと行えません。

 


 次に、水散布
 水に流されて、たどり着いた場所で発芽するという散布方法です。
 ヤシの実がプカプカしているイメージですね。

 オニグルミやトチノキの実は、水にプカプカと浮くことが出来ます。
 水散布も動物散布の保険と考えられます。(両樹種とも種子に重量があるので、重力散布も行われていると思います。)


 山を歩いていると、谷筋でオニグルミやトチノキをよく見かけます。
 そして、生えている場所は水が流れていたり、岩が多かったり、過去に土壌が動いた形跡のある場所と、いずれも「水が流れる」ことと関係しています。



 余談ですが、作業道や林道を作設する時の指標として、谷筋にオニグルミやトチノキが多い場所は避けたほうがいいと考えられます。
 特にオニグルミは陽樹で、攪乱が起こった場所に生える傾向があります。
 地域でクルミ谷とかトチ谷とかの名前がついている谷も、過去にオニグルミやトチノキが生えていたからその名がついた可能性もあるので、クルミやトチという言葉がついた谷も避けたほうがよいと考えられます。

 実際、山や現場を見た限り、そう感じたというものなので、あまりあてにならないかもしれませんが、まったくの的外れではないと思っています。

 この手の話は別の機会にしたいと思います・・・。  

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種子の散布~動物散布~

2017年02月21日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 引き続き、種子散布のお話です。
 今回は、ネズミやリスなど「貯食」を利用した種子散布についてです。

 「貯食」とは、簡単にいうと、ネズミやリスが越冬のために貯蔵する食糧のことです。
  
 
 貯食の対象となる木の実は、ドングリ類・クルミ(オニグルミ)・トチの実(トチノキ)など種子に養分が多く含まれている木の実です。
   

 ネズミやリスは、集めた木の実を土の中に貯蔵します。
 そして、食べ残された木の実や食べ忘れた木の実が発芽します。

 つまり、食べられることを前提に種子を運搬し、食べ損ないが発芽するという戦略です。

 運搬のほかに、もう1つメリットがあります。
 ドングリ類は、種子に栄養分が多く、発芽や成長する能力が高い反面、乾燥に弱いため、土壌中に保存されるということは、最高の乾燥避けになります。


 樹木としては、種子の豊富な栄養を提供することで、種子を運んでくれるネズミやリスの生息数減少を抑えているのではないかと思います。
 もし、栄養分をケチって、リスやネズミの生息数が減少し、結果的に種子の運搬者が減少してしまうと、樹木の生育域拡大が難しくなるわけですから。
 (生物多様性という観点からも、ドングリ類の樹木が重要視されるわけもここにあるというわけです)

 ちなみに、アリ散布という方法もあります。
 アリが好む栄養分(エライオソーム)に種子が含まれています。
 身近な植物で言うと、「オオイヌノフグリ」。


 ちなみに、ドングリ類・クルミ(オニグルミ)・トチの実(トチノキ)は、動物散布以外の方法でも種子を散布します。
 ドングリ類は重力散布、クルミ(オニグルミ)・トチの実(トチノキ)は水散布という方法です。

 このお話は次回。

 

 ネズミやリスなど貯食による動物散布を行う樹種は、上方天然下種更新の母樹となりえる樹種が含まれています。

 上方天然下種更新を行う場合は、こうした樹木に絞り込んで、母樹の調査を行うといいかと思います。

 といっても、ほとんどがドングリ類の樹木になると思いますけどね・・・・。

 

※以下、「上方天然下種更新」に関する記事、関連記事です。

天然下種更新 側方天然下種更新/上方天然下種更新

種子の散布~風散布~

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種子の散布 動物散布「鳥散布」

2017年02月20日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 引き続き種子の散布についてのお話です。
 今回は、動物を利用して種子を散布する「動物散布」について。

 動物散布を簡単に分類すると、

①哺乳類による種子散布
 例:ネズミがドングリを冬の食料として貯蔵するため、巣穴に運ぶ
②鳥による種子散布
 例:鳥が果実を食べて、中にある種子を糞とともに散布する

 と、なります。

 今回は、鳥による種子散布に絞って話したいと思います。

 鳥は果肉質が多い木の実を好みます。
 鳥が好む木の実のほとんどが「液果(えきか)」で、液果とは果皮が多肉で水分が多い果実を指します。
 ちなみに、果皮が乾いていて、多肉でない果実を「乾果(かんか)」と言います。

 果実のほとんどがこの液果に分類されます。
(オオウラジロノキ)

 さて、木の実を食べた鳥は、中にある種子を糞とともに排出し、その場所で種子は発芽するわけですが、鳥は糞をするときに、必ず、木の枝など何かに止まらないと糞をすることはできません。
(ヒヨドリ)
 シカのように、食べながら、歩きながら、ポロポロと糞をすることはできません。


 なので、鳥散布の種子は、必然的に木の下に種子を散布されるということです。

 タブノキなどの陰樹の場合は、木の下に種子を運びたいので、鳥散布が最適だと考えられます。


 では、日当たりの良い場所を好む陽樹の場合は、鳥散布に向いていないのかというと、そうではありません。

 例えば、陽樹であるミズキやクマノミズキも、種子を鳥に散布させます(ツキノワグマが食べる木の実でもあります。)


 ミズキやクマノミズキの種子は、発芽せずに土中で眠る「休眠能力」を備えています。

 木の下に散布された種子は、上層木が鬱蒼としていて、地面に光が当たらない環境では発芽せず、休眠します。

 そして、上層木が倒れる・伐採されるなど地上に光が当たるという発芽に適した環境に変わった時、土中で休眠していた種子が発芽します。

 陽樹は、高い休眠能力を備えることで、日当たりの良い環境になるまで待つという戦略で、日陰という悪環境に対応していると思います。

 このように発芽できる環境になるまで土中で休眠する種子を埋土種子といい、天然下種更新を行う重要な1つの要素でもあります。
 
 


 ちなみに、ミズキやクマノミズキは、日当たりを好むといっても、アカマツのような乾燥した場所ではなく、日当たりの良い谷筋を好みます。

 このように液果の樹木をはじめ、鳥散布種子の樹木は、「木の下で種子が散布される」傾向があると考えられますので、上層木がない環境では、自然にミズキやヤマザクラなどの樹木が生えてくる可能性が低くなるとも言えます。

 なので、多様な樹木を自然に生やすためには、鳥が排泄するための上層木もある程度、残すことが重要であると考えられます。

 

※以下、関連記事です。

埋土種子

 

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種子の散布~風散布~

2017年02月17日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 樹木は動くことができないので、子孫を残すため、風や動物など他の力を利用して、種子を散布しています。

 今回は風を利用し、種子を散布する(風散布)樹木のお話です。

 

 風散布による種子の特徴として、種子を広範囲に飛ばすことができるという長所を持っています。

 その反面、広範囲に飛ばすために種子の重量を軽くしているので、種子の中に発芽に必要な栄養分が蓄えられていないという短所を持っています。

Momizi_syushi 左記写真のような種子を「翼果」といいます。

 

 風散布の代表的な樹木と言えば、マツやモミジですので、「アカマツ」と「イロハモミジ」を例に、風散布の特徴をお話ししたいと思います。

 

「アカマツ」

 アカマツは日当たりの良い尾根筋や痩せ地に生えています。

 日当たりの良い場所を好むアカマツのような樹木を”陽樹(ようじゅ)”と言います。

 日当たりの良い尾根筋や痩せ地は、過酷な環境ですが、競争相手が少ないというメリットがあります。

 競争相手の少ない過酷な環境に適応する。

Akamatu_senku

 それがアカマツの生存戦略。

 尾根筋は風当たりも強く、乾燥しやすい環境ですので、翼果を広範囲に飛ばすためには、最適な環境と言えます。

 過酷な環境を求めて、種子を広範囲に飛ばす。

 ただし、種子のたどり着いた場所が湿潤な環境だと、競争相手も多くなり、発芽しても、その場で生き残る確率が下がります。

 しかも、種子には発芽に必要な栄養分が少ないため、発芽後、まもなく光合成をしないと生き残ることはできません。

 種子が無事、最適な環境に辿り着くか否かは風次第というわけです。

 

「イロハモミジ」

 イロハモミジは日当たりの良くない谷筋など湿潤な環境に生えています。

Irohamomizi_kouyou

 日陰を好むイロハモミジのような樹木を”陰樹(いんじゅ)”といいます。※正確にはやや日陰を好むので中庸~陰樹に位置します。

 アカマツとは真逆の環境を好むイロハモミジも風散布種子を作ります。

 尾根筋と異なり、谷筋は風当たりも悪く、湿度もあるので、風散布は不適のような気がしますが、渓谷など谷底から風が強く吹くという環境もあります。

 「渓谷に生える美しい紅葉のイロハモミジ」的なポストカードとかあると思いますが、本来、イロハモミジはそういう場所を好むと考えられます。

Irohamomizi_keikoku

 また、イロハモミジは、自分より高い木の下で生きることを好みます。

 高い木の下を好むといっても、常緑広葉樹の下ではなく、落葉広葉樹の下を好みます。

 なので、アカマツのように広範囲に飛ばすよりも、高い木の下に辿る着ける程度の距離を飛ばせればいいと考えられます。

 落葉広葉樹林というのは、葉が落葉しているので、春の環境は明るいという特徴を持っています。

 冬の間に落葉広葉樹の下にたどり着いたイロハモミジの種子は、春先の明るい時期に発芽します。

 なお、種子は、暖かい春が訪れるまで休眠期に入っています。

 イロハモミジの種子は長期間(数年)休眠することができないため、辿り着いた先で、春先に発芽しないと生き残ることが出来ません。

 この点は、アカマツと同じだと考えられます。

 ちなみに、伐採跡地などのように開けた明るい環境は、あまりイロハモミジに適した環境とは言えません。

 

 

 アカマツとイロハモミジ。

 全く異なる環境に生育する樹種なのに、種子の散布は同じ風散布です。

 簡単に比較すると、

 アカマツは、高い尾根筋から広範囲に種子を飛ばす。

 イロハモミジは、高い渓谷から別の渓谷に種子を飛ばす。

 

 生育環境は違うのに、子孫を残す戦略は同じ。

 これも樹木の魅力です。

 

 ちなみに、風散布の種子は側方天然下種更新が期待できる樹種が含まれています。

 ただし、伐採した枝条などが敷き詰められた環境では、種子から発根した根が地面に到達できず、発芽しない可能性があります。

 そういう場合は、落ち葉層の除去や地掻きといった更新補助作業が必要になるかと思います。

 

※以下、側方天然下種更新に関する記事

 天然下種更新 側方天然下種更新/上方天然下種更新

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