はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

ナラ枯れ カシノナガキクイムシ

2015年07月29日 | 樹木の病気・森林被害のお話

 ナラ枯れが目立つ季節になりました・・・。

 感覚的には、例年より1週間ほど早い感じがします。

 今年は、7月上旬から枯れが目立っています。

 昨年は、雨が多かったので、天候が落ち着いた9月頃、一斉に枯れました。

 一昨年は、雨が少なく、干害と同時に枯れていましたが、それでも7月中旬くらいからで、その時も「今年は早い」と感じたわけですが・・・

 今年はそれよりも早い。あくまで、感覚的な話ですが(^_^;)。

 

 和歌山県のナラ枯れは、全国的なナラ枯れと少し異なります。

 簡単に分けると植生の違い虫の違いの2点です。

 ①他府県は、コナラやミズナラといった落葉樹がメインで、和歌山県は、ウバメガシやシイといった常緑樹がメインという植生の違いです。

 もちろん、和歌山県にもミズナラはありますが、護摩壇山、大塔山、高野山といった和歌山県内では比較的標高が高い森林に限られます。

 同じ落葉系のコナラも主要樹種の1つですが、アラカシやシイと混在し、コナラが優占する森というのは、あまり多くありません。

 ②他府県のカシノナガキクイムシ(以下「カシナガ」)は「日本海型」と呼ばれ、和歌山県は「太平洋型」と呼ばれています。

 後者は亜種(もしくは新種。”ミナミカシノナガキクイムシ?”)とされています。

 

 常緑樹のウバメガシ、シイ、アラカシなども被害を受けますが、コナラやミズナラに比べると枯れにくいので、山の一部が枯れていても、山の中に入ると見た目以上に被害を受けていることが多々あります。

(直径2ミリくらいの穴があって、下に木屑が積ってる)

 「枯れてなきゃいいじゃない」と思うかもしれませんが、和歌山県の特産品である「紀州備長炭」の原木はウバメガシです(アラカシも)。

 それが被害を受けると、備長炭の原木として扱いにくくなります。

 ちなみに、枯れにくいというだけで、アラカシやウバメガシも枯れています。

 ナラ枯れは、「景観の劣化」として問題にされる傾向にありますが、和歌山県では「産業」に影響があるため、被害が広がると深刻な問題になります。

 

 ところで、なぜ枯れるのか・・・。

 カシナガが、木の幹に侵入すると、持ち込んだナラ菌が幹の中で広がり、木は防御反応で水分の通導器官を自ら塞ぎます。

 水分を運ぶ導管を自ら塞ぐという行為は、カシナガが数匹であれば、大きな影響はありませんが、数十匹、数百匹に侵入されると、あちらこちらで、導管が塞がり、水分を運ぶことが出来なくなり、やがて、枯れてしまいます。

 カシナガは、木を枯らすナラ菌のほか、エサとなる酵母類も持ち込みます。

 ナラ菌が木を枯らすことで、カシナガのエサとなる酵母類が繁殖しやすい環境になると言われています。

 ちなみに、ナラ枯れの正式な病名は「ブナ科樹木萎凋病」。(でも、ブナは枯れないらしい(^_^;))

 

 カシナガが侵入した木を割ってみると、中から幼虫がウヨウヨと出てきます。

 あっ、ついでに言うと、カシナガの幼虫も美味しいです。

 

 蛹もいます。たぶん、今年、飛び立つカシナガでしょうね。

 成虫も出てきます。この子はメスです。

  

 ナラ枯れが拡大したのは、燃料革命以後、薪や炭から化石燃料に変わったことで、薪炭林が利用されず、放置された結果、コナラなどが大径化し、カシナガの繁殖に適した森林環境が増えたからと言われています。

 あと、マツ枯れによって焼失したアカマツ林がコナラ等を主体とする二次林が出現したことも原因の1つと言われています。

 要は、利用されず放置された結果、引き起こされた森林被害が「ナラ枯れ」というわけですね。

 人々が森林を利用することで、守られる・保全される・維持される森林環境があること、一方で、自然のままに任せ、放置することで失われる森林環境もあることを、ナラ枯れを通じて、カシナガが伝えてくれているのかもしれませんね。

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昆虫食「スズメバチ・蜂の子」

2015年07月27日 | 資源利用(獣類・昆虫食)のお話

 先日、スズメバチの巣を駆除しました。

 本当は、とある目的物を得ようと思ったら、巣があったので、とりあえず駆除を

 はじめから、駆除が目的だったわけではありません

 刺されたら…とビビりながら、スズメバチと格闘・・・でも、あの恐怖心が結構楽しかったりする(いつか刺されるタイプやな

 で、ハチの子をGet

 もちろん

 お持ち帰りをして

 いただきます

 

 ちなみに、この日は、川で川エビ(スジエビ?ヌマエビ?)もGET

 うちの子らは、川エビのかき揚げが大好きなので、スズメバチと一緒に天ぷらにしてみました。

 

 ハチの幼虫は、潰さないように、気を配りながら巣から取り出します。

 中には、蛹化したものから、羽化直前のものがいました

 放置していたら、モゾモゾと動き出し、飛び立ちそうなヤツもいました。

 とりあえず、お箸でつまんで、羽をハサミで切って、飛べないようにしました。

 成虫系は衣をつけて、

 一揚げ。

 川エビはかき揚げに

 ハチの子は、そのまま炒る。

 

 昆虫食の王道「ハチの子」

 だけに・・・

 美味い

 成虫の天ぷらもカラッとしてて美味

 

 まぁ、個人的には、幼虫の味はカミキリムシの方が好きですね

 ちなみに、子供たちは、エビだけ食べて、ハチはNGでした

 エビの方が脚の数が多いのに、なぜ、ハチは食べないのだろうか・・・?

 

 以前、ハチの子をピザにして食べましたが・・・・

 チーズの味と香りの方が強くて、ハチ自体を味わうことができず・・・・。

 でも、昆虫食初心者には、ピザとかにした方が食べやすいかも

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ニホンジカ どんどん近づいてくる・・・

2015年07月21日 | 狩猟・獣害のお話

 林道を車で走っていると、シカと遭遇・・・。

 こんなのは、別に珍しくもないのですが・・・・(ほぼ日常茶飯事・・・

 車を止めて、エンジンを切って、しばらく観察していると・・・

 なぜか、近づいてきた

 こちらの様子をうかがいながら、道の草を食べながら、段々と近づいてくる・・・

 

 そのうち、車の横に回り込んで、茂みのササなどをむしゃむしゃと食べ始め、

 ドアを叩くなどして、音を鳴らすものの、1~2回繰り返すと、襲われないと確信するのか、襲われても逃げ切れる自信があるのか、無視

 最後にドアから降りて、近づこうとするとダッシュで逃げました。

 

 いや~、野生のくせに、人に慣れすぎ

 人に接近するシカって、奈良公園か大台ケ原くらいにしかいないと思っていましたが、最近のシカは、平気で人に近づく個体も増えているんですかね・・・。

 そういえば、国道とか県道を普通に走っていても、突然、飛び出してくるシカっていますからね・・・。

 車の音、聞こえてるよね?

 なんで飛び出すの?

 野生なんだから、危機感、持とうよ。

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クガビル ミミズを丸呑み!

2015年07月18日 | 昆虫類+αのお話

 台風が来る前にちょっと・・・と思い、山の中を歩いていると・・・

 ミミズを丸呑みするクガビルを発見。

 もだえるミミズ。

 丸呑みするクガビル。

 

 拾い上げても離さないクガビルくん。

 がっちりと喰いついています。

 最後に、ミミズが糞?内臓?が出て、完食。

 お腹いっぱいになって満足したご様子のクガビルでした

 ヨツワヤクガビル?、かどうかはわかりませんが、ミミズ丸呑みで有名なクガビル。

 雨上がりとか、雨が降っている湿気のある場所でしか出会うことができない。たぶん・・・

 山で出逢える面白い生きもの「クガビル」

 出会うと、ミミズを食べさせたくなること間違いなし!です

 

 

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架線集材 エンドレスタイラー ②

2015年07月15日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 この記事では、架線集材の仕組みについて、簡単に説明していますが、新たに書き直しましたので、こちらをご覧ください→ 架線集材 エンドレスタイラー 仕組み

 もちろん、このままお読みいただいても、結構です。

 よろしくお願いいたします。

 

 

【①のつづき】

  架線集材という技術は、林業の中でも上位クラスの技術だと思います。

 近年は、プロセッサ、タワーヤーダ、スイングヤーダなど高性能林業機械を使って、木材を搬出する方法が主流となっています。

 これら機械を導入したことによって、木材の生産性は向上しましたが、機械が走れる道が山にないといけません。

 和歌山県のように山が険しいところだと、高性能林業機械を使える場所が限られてしまいます。

 そこで、架線集材の技術が必要になってくる・・。というわけです。

 

 もっとも一般的な架線集材は、「エンドレスタイラー」というやり方。

 簡単に言うと、集材機で張り巡らせたワーヤーロープを循環的に回しながら、木材を集める方法です。

 Kasensyuzai05(←集材機)

 

 図にするとこんな感じ。

 Kasen_zu01


 

 でわ、それぞれの役割を。

 Kasen_zu02

 まず、木材を搬出するための搬器を乗せる「主索」。

 主索は、両端とも木に固定しているので、集材機と直接は繋がっていません。

 

 次に、搬器を動かす「エンドレスライン」。

 Kasen_zu03

 エンドレスラインは、集材機にあるエンドレスライン用のドラム(糸巻きみたいな物)を操作して、搬出したい木材の場所まで、搬器を送ります。

 搬器は主索に乗っているだけですので、エンドレスラインの操作1つで、搬器を奥に送ったり、手前に引き戻したりすることができます。

 エンドレスラインを単純に考えると・・・

 Kasen_zu06(←ちいさい円は集材機のドラム。)

 このように集材機の中を通って、グルグルと循環しています。

 つまり、集材機のドラムを左回転すると奥に、右回転にすると手前に搬器が動く・・という感じです(左回転が奥に動く・・・という表現は例えです。その通り動くという意味ではないです。)。

 

 ただし、搬器を木の真下に動かしてきても、搬器そのものは、空高くぶら下がっています。

 そこで、木を吊り上げる・吊り下げるための「リフティングライン」を設けます。

 リフティングラインは、片方は集材機と繋がっており、もう片方は木に固定されています。

 Kasen_zu04 Kasensyuzai06

 そして、集材機のドラムを回して、リフティングラインが張ったり、緩めたりすることで、木を吊り上げたり、下ろしたりすることができます。

 簡単に言うと、固定したロープを引っ張るとピンっと張り、緩めるとロープは垂れ下がる、それと同じ理屈です。

 リフティングラインを緩めると、ワイヤーロープが木の下まで降りる。

 リフティングラインを張ると、ワイヤーロープが木を吊り上げる。

 みたいな

  

 これに、もう1つ重要なものが「ロージングブロック」です。

 Kasensyuzai07

 このロージングブロックにリフティングラインを通します。

 加えて、このロージングブロックを狙ったところに下ろすための重りをつけます。

 上の写真は、専用に作った鉄製の物ですが、木の丸太を利用する人もいます。

 Kasensyuzai09(←ロージングブロックに木をつけている。)

 

 しかし、搬器やロージングブロックは、あくまで主索の線上でしか、木材を搬出することができません。

 

 

 主索の真下から離れたところの木を搬出するために、「ホールバックライン」というものを設けます。(アウトラインとかアウト線とも言います。)

 ホールバックラインは、ロージングブロックの重りに固定し、集材機のドラムと繋がっています。

 集材機のドラムを回して、ホールバックラインを引いたり、緩めたりすることで、ロージングブロックを動かすことができます。

 Kasen_zu05


 

 

 まとめです。

 ①搬器を乗せる主索。

 ②搬器を動かすエンドレスライン。

 ③ロージングブロックを下ろしたり、上げたりするリフティングライン。

 ④ロージングブロックを主索の真下から離れたところに移動させるホールバックライン。

 

 で、こうなります。

Kasen_zu01_2

 集材機が関係するのは、②~④の操作ですね。

 

 その集材機を正面から見てみましょう。

 Kasensyuzai08

 3つのドラムがあります。

 それぞれのドラムを操作することで、搬器等を動かすことができます。

 要は、ワイヤーロープを緩める・張るという動きが、吊り下げる・吊り上げるという働きになると考えてください。

 

 Kasensyuzai04
 実は、この架線集材ができる職人・技術者が減少しています。

 

 後継者がいないんです。

 

 特に、距離が1,000mを超える架線の設置ができる技術者は限られています。

 

 主に高知県で行われている「H型架線」という架線集材が注目を浴び、再び、架線集材が重要視されるようになりました。

 これを機会に、架線集材技術の後継者を育てつつ、集材機の改良も求められています。

 もしここで、架線集材の技術が途絶えたら、再び、その技術を取り戻すことは、本当に大変です。

 特に、今ある技術は先人たちの知恵や経験、そして、犠牲の上に積み上がってきたものです。

 先人たちの犠牲があったからこそ、何が危険なのか、今を働く人たちに伝わっているんです。

 この技術が途絶えたら、先人たちの犠牲が無駄になってしまいます。

 これは、大変無礼なことだと、個人的には思っています。

 誰かが犠牲になったからこそ、二の舞にならないよう、みんなが気をつけるようになったわけです。

 「こういう事故が多いから、気を付けよう。」

 「これは絶対にしてはいけない。」

 「ここには絶対に入ってはいけない。」

 誰かの犠牲が、今、技術として生きているわけです。

 

※本記事は、以前に掲載したものを修正し、改めて掲載したものです。

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架線集材 エンドレスタイラー ①

2015年07月14日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 前回、架線集材について触れたので、詳しく?説明したいと思います。

 といっても、一般的な「エンドレスタイラー」くらいしか説明できませんが・・・

 

 まず、架線集材を簡単に説明しますと、ワイヤロープを空中に張って、集材機を使って材を搬出する方法で、山の地形が険しい和歌山県では、今も使われている林業技術の1つです。

Kasen01 Kasen02

 このような現場を見ると、「自然破壊だ」と思われる方もいらっしゃると思います

 しかし、「木材を使わない」というのも、個人的には自然破壊の1つだと考えています。

 木を使わないと、全ての材料を鉄、コンクリート、プラスチックなどの石油製品に頼ることになり、単純に考えても、製造や廃棄という行為が自然に対して負荷が大きいと言えます。

 もちろん、木を伐ると災害につながる可能性もあります。

 そこで、伐ったら植える、それを徹底することで上手に自然と付き合うことが基本だと思っています。(地質や地形的など条件が悪いところも伐らない・・・も大切ですね

 今、林業の現場では、「環境に配慮」しながら、夏は炎天下の下、冬は凍えるような寒さの中で、頑張っていますので、応援して欲しいと思います。

 

 さて、架線集材に欠かせない「ワイヤーロープ」。

 どうやって、張っているのか?気になるところです

 実は、作業員さんが、山の地形を見て、張っています。

 設計図とか一切ありません。

 緻密な計算もありません。

 測量して、地形を3次元化して、設計図を作ったりとか、そんなデジタル的な方法もありません。

 地形を見て、山を見て、木を見て、現場にあった張り方を、その場で、頭の中で考えています。

 張り方を間違えると、木が採れない上、2回も3回も張り直さないといけない、といった余計な手間が増えます

 張り替える回数が少なくかつ、1回の線張りで多くの材を搬出することができれば、コスト的に安くできるため、ミスは許されません

 まさに職人技

 

 一応、安全基準や基本の設計図はあります。

 ただし、その設計図がすべての現場に適用できるわけではありません。

 おそらく、基本といえる設計図は、これまで行われた架線集材技術の積み上げと発生した事故などの経験を蓄積して作られたと思います。

 

【②につづく・・・】

※本記事は、以前に掲載したものを修正し、改めて掲載したものです。

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架線集材 備長炭の皆伐地にて

2015年07月12日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 備長炭の原木を伐採・搬出している現場に行って来ました。

 今回は、皆伐地です。

 

 炭焼きさんと話をしている内に、搬出の手伝いをすることに・・・

 架線集材では、操縦席から現場・搬器が目視できないので、山にいる人が無線で指示を出すのが一般的です。

 無線で指示・・・なんて、初心者だと、結構、危険な作業なので、ビビりながら・・・

 

 無線を使って、材を積む場所に、搬器を誘導します(言うは易し)。

 ここで、アウトラインを動かせば・・・って、思っても、上手くいかず

 (アウトライン=搬器を動かすワイヤー線・・・かな)

 あれ?じゃあ、リフティングラインをちょっと上げて・・・、も、離れる一方

 (リフティングライン=搬器を上げ下げするワイヤー線・・・かな)

 搬器をもう少し前へ・・・あれれ・・・

 

 何度も失敗して、結局、近くにいた作業員さんとバトンタッチしました。

 架線集材の理屈や各種ラインがどれか認識をしていても、やはり、実際に作業すると思うように指示できないことがわかりました。

 頭の中や机上でイメージしていても、やはり現場は違いますね

 

 で、ワイヤーで材をくくって、搬出。

 材が持ち上げられる時、搬器一式が暴れるので、避難する場所を間違えると、搬器で吹っ飛ばされたり、架線を張り巡らせたワイヤーに吹っ飛ばされたり、材がおちてきたり、と、命に係わる危険が降り注ぎます

 

 今回の経験で痛感したこと。

 無線で指示する作業員さん。

 見えないところで搬器を巧みに操る炭焼きさん。

 どちらもすっげぇ

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紀州備長炭 窯出し

2015年07月10日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 (前回の続きです。)

 いよいよ、備長炭の窯出し

 

 窯の中で精錬される備長炭。

 窯の近くは、遠赤外線によって、とても暑い

 窯内の温度は1300℃以上

 そして、とても美しい

 炭を出すために、窯の口に少しずつ集めます。

 

 そして、窯から炭を出す

 

 なんとも言えない、美しさ

 飛び散る炭の破片も真っ赤で、星屑みたい

 その美しさは、写真では再現できないほど

 実際に、窯から出された炭は、もっと美しい

 

 そして、窯から出された炭は、灰(山の土と混合。水分を含む。)で消火されます(窯外消火法・・・だったかな)。

 かけられた灰で、炭が白く見えるので、「白炭」と言われています。

 ちなみに「黒炭」は窯の中で、自然に消火(冷却)します(窯内消火法・・・だったかな)。

 

 窯から出された備長炭。

 めっちゃキレイで、最高でした

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紀州備長炭の窯出し

2015年07月07日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 知り合いの炭焼きさんにお願いして、紀州備長炭の窯出しを見せてもらいました

 今まで、備長炭関係に関わってきたものの、実は、窯出しを見るのは初めて

 窯出し前夜の備長炭。

 

 窯のすき間から様子を見させてもらいました。

 赤々と光り輝いています。

 よく見ると・・・ガスのようなものが。

 このガスがなくなると、不純なものが取り除かれた備長炭になるそうです。

 なので、備長炭を使うと煙が出ません。

 さぁ!明日はいよいよ窯出しです

 

 その様子はまた次回

 先に感想を述べますと、「めっちゃきれい」でした

 

 

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紀州備長炭 択伐施業

2015年07月06日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 和歌山県の特産品「紀州備長炭」。

 その原木である「ウバメガシ」。

 今回は、ウバメガシ林に関するお話です(炭焼きさんに山を案内していただいたので)。

 江戸時代の頃、製炭が盛んになり、ウバメガシ林を伐採しすぎて、原木不足に陥ったそうです。

 そこで、原木を安定的に供給できるように考えられた施業が「択伐施業」です。

 スギやヒノキの伐採(主伐)で言われている択伐とは異なります。

 ウバメガシ林の択伐施業は、広葉樹の特性を生かした非常に理にかなった施業です。

 ←択伐林

 簡単に言うと、ウバメガシを萌芽させるのですが、一般的な萌芽更新とは異なります。

 それは、株から出ているウバメガシを全て切るのではなく、あえて何本か残します。

 木を残すことで、萌芽に必要な養分を株に供給できるため、株からの萌芽を促したり、根から芽が出る「根萌芽」を促すことにつながります。

 例えば、切株に6本のウバメガシが出ていたら、その中から細いものを1~3本残すというものです。

 実際、残す本数は、ウバメガシ林の密度や成長によって異なり、弱度択伐、中庸択伐、強度択伐という風に使い分けているそうです。

←これで原木を道まで搬出します。

 再生するまでの期間としては、伐採から20~30年くらい。

 僕が知っている択伐施業の現場には、伐採して10年未満で見事なウバメガシ林に戻っているものもあります。

←真ん中から出ているウバメガシの幹は、以前に残された萌芽幹。

 また、伐倒木を林外から全て出すのではなく、株に積み上げることで、株の乾燥を防ぐという工夫もされています(上の写真の右上を参照)

 あと、不要なシイやウルシなども伐採します。

 そして、肥料木となるヤマモモを残すことも重要です。

 ただ、ヤマモモも放置すると、ウバメガシよりも大きくなって、被圧してしまうので、同じ時期に伐って、ヤマモモも萌芽させます。

 逆に、すべてのウバメガシを伐採、つまり皆伐をすると、株の再生力は衰え、アカメガシワやカラスザンショウなどが先に成長してしまうため、ウバメガシ以外の林になってしまいます。

 択伐施業したウバメガシ林では、カラスザンショウなどが生えてきても、自ずと消えていくそうです。

 おそらく、残されたウバメガシによって、被圧され、うまく成長できないのではないかと考えられます。

 

 この択伐施業が伝わっているのは、和歌山県だけだそうです。

 現在、スギやヒノキの木材価格は、高くありません。

 伐採し、木材を売っても、手元に残ったお金では、再びスギやヒノキを植えることが困難な状況にあります。

 

 そのような状況なので、個人的に1つ考えていることがあります。

 それは、スギやヒノキを伐採した後、ウバメガシを植えて、ウバメガシ林を作る。

 そして、そのウバメガシ林を択伐施業を実践している炭焼きさんに売る。

 山主にしてみると、ウバメガシ林は再造林が不要なので、植栽コストがかかりません。

 また、下刈りなども基本的に不要なので、育林コストもかかりません。

 つまり、炭焼きさんが択伐施業をするだけで、ウバメガシ林が繰り返し再生するため、山主がウバメガシ林にかける費用はほぼ0(最初の植栽費用だけ・・・かな。)。

 そして、20年後、売ることが出来ます。

 択伐林施業を実践している炭焼きさんが、1年に必要なウバメガシ林は1.0ha~1.5haくらいだそうです。

 つまり、ウバメガシ林が20haあると、1人の炭焼きさん一生分ということになります。

 仮に、ウバメガシ林1haが100万円で販売されているとすると、山主さんは何もせず、毎年、100万の収入が得られるということです(実際の取引価格は知りません。便宜上、100万円にしているだけです。)。

 ウバメガシ林が40haあると、炭焼きさん2人分、200万円。

 ウバメガシ林が60haあると、炭焼きさん3人分、300万円。

 

 あくまで、机上の話ですが、不可能なことではないと思っています。

 しかも、ウバメガシの適地は、スギやヒノキにとって不適地です。

 痩せ地にウバメガシ、肥沃なところにスギやヒノキという風に、棲み分けも可能で、ウバメガシかヒノキか・・・って、悩む必要もありません。

 

 スギやヒノキは、植栽してから伐採するまで、最低でも40~50年かかります。

 しかも、伐採後は、必ず植栽や下刈りなどの施業が必要です。

 金額的な動きで言うと、スギやヒノキの方が大きく、ウバメガシの方が小さいと思います。

 しかし、ウバメガシで得た収入を、スギやヒノキの育林費用に充てたり、作業道を直したり、別のものに投資することで、複合的な林業経営が可能になると思います。

 植栽(造林、再造林)とは「投資」です。

 林業経営にとて、山に木を植える行為は「投資」です。

 「投資」した苗木が、利益を産む。

 スギやヒノキに限定した「投資」ではなく、ウバメガシなど需要のある樹種を選択肢に加えるという考えもアリではないでしょうか。

 

 これからは、植栽コスト・育林コスト・伐採コストを下げることと作業道などインフラ整備を進めることが重要になります。

 そのためには、再生力の強い広葉樹を生かして、自己負担が限りなく0に近い方法で、その広葉樹を収入源にすることが1つのポイントだと考えています。

 

 和歌山県の場合は「ウバメガシ」。

 ウバメガシの需要、備長炭の流通は、すでに確立されているので、あとは山をつくる。

 山をつくるには、時間がかかります。

 少しでも早く山をつくれば、その分、複合的な林業経営も実現できると考えています。

 ウバメガシを取り入れた複合的な林業経営。

 いけると思うんやけどな~

 

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